嵐山隊の調査の結果増援の兆候なし。避難済の生徒・関係者への調査の結果嵐山は報告に頭を抱える事になった。
「う〜ん……こっちにいなかったか。俺が三雲君に話を聞くべきだったか?」
「それを言っても状況は変わりません。仕方ないですが何かあったんですか?」
「あぁ。本部長から人探しを依頼されてな」
「人探し……?このタイミングとはまた急務ですか?」
「まぁな。空閑君という転校生を探すようにな。もしかしたら本部長の知人か何かじゃあないのか?」
「詮索するのは野暮ですしね。あとで三雲君に聞きに行くぞ」
嵐山と時枝は聞き取りから被害は南校舎周辺に留まり、早期の対処が被害の低減に貢献している事を実感する。しかし現在の問題の根幹には迫れていない。
「【緊急門】の発生件数はわかっているか?」
「今回で4件目……明らかに異常事態ですね。私見ですが作為性があるのでは?」
「あるだろうな。最近以外の【緊急門】発生は二宮さん達が市街地で撃破した空母型トリオン兵の【サカナ】の件だけ。以来ほぼ無かった事象が頻繁に起こっているなら作為だろう。コレだけ痕跡を探して発見出来ないんだ。迅の予知で原因が特定出来れば良いんだが……」
「そのキーパーソンに会えるかどうかは保障されてませんからね。じゃあ木虎と合流しましょう」
「そうだな。三雲君に話を聞かないとな……」
状況の見聞と痕跡の有無を確認した2人は合流する為に移動する事にした。
「………………はぁ。私にそれを言われても困るのよ。貴女もBORDER隊員ならわかるでしょう?彼の行為が明確に違反だと言える事を」
「えぇ理解しています!ですが私を含め32人の避難者は死ぬべきだったと言う事ですか!それがBORDERの公式主張だと言うのですか!」
「落ち着いてくれ2人共!僕の行いは明確な違反だった……それで良いじゃないか!」
木虎は聞き取りの過程で避難者の中にいたBORDER隊員訓練生の早苗と口論をしていた。そして2人の争点は修の目から見ても明白だが、修が処罰される以外の解決策を提案できずにいた。
「それはそこの女の言う通りじゃないのか?お前達は間に合わずオサムが俺達を救った。事実はそれだけだろ?」
「空閑!火に油を注ぐな!」
「オサムは悔しく無いのか?つまらないウソに付き合わされるなんてめんどくさいだろ?どうせ活躍したオサムが羨ましいだけだろ?」
「なっ……!私はそんな事を思っても無いし嘘なんてついてないわ!根拠ない批判は遠慮して欲しいわね!」
「空閑!もう退散するんだ!」
………正確には遊真を抑える事すら出来ていないが。
「まぁ状況の見聞は終わったわ。あとは隊長の指示を待ちます」
「拗ねるなよキトラ」
「空閑〜!やめろ〜!」
とうとう遊真と会話に取り残された早苗を連れて修が退散しようとした時だった。
「………?嵐山さんから通話?はい…………はぁ。…………引き留めます」
「君もだ。僕が処罰されたら終わる話だ。これ以上は関わらない方が良い!」
「三雲君……少し聞きたい事があると嵐山さんが言ってるわ。暇じゃないから早めに終わらせなさい」
「…………はぁ」
『済まないな三雲君。君の友人に空閑という少年がいるか?いるなら少し話が聞きたい』
「空閑ですか?隣にいるので代わります。空閑〜通話相手がお前を呼んでるぞ!」
修は嵐山から遊真へのパスを依頼された。その様子を木虎は苛立ちながら見ていた。
「えぇっと……おれが空閑遊真です。貴方は?」
『通話越しで失礼だが確認したい。Yes-Noで答えてくれるか?』
「む?構わないよ?」
『そうか。じゃあ質問だ……BORDERに家族の関係者がいるかもしれない空閑君は君の事で間違いないか?』
「YES」
『ありがとう。端末は木虎に返してくれ』
遊真は木虎へと端末を返す。それにムッとしつつも木虎は相手を待たせられず退くしか無かった。
「何の話だった?」
「さぁ?」
遊真は真意を知らなかったが木虎は遊真の顔写真を撮った。
「本部長……空閑君の顔写真を入手しました。確認をお願いします」
『助かったぞ嵐山。彼が空閑君……………なるほど。確かに何処か面影を感じる。どうやら調べる事になりそうだな。私の予想通りならば知り合いは……』
「本部長?どうしました?」
嵐山は入手した遊真の写真を忍田に送信していた。そして忍田の反応から忍田の知人の可能性を想像した。
『ひとまず確証が欲しい。どうやら三雲君に空閑君を連れて来て貰う必要があるな』
「わかりました。ならすぐに連れて行きましょうか?」
『いや、また緊急門発生の可能性がある以上防衛の強化に人員を割きたい。三雲君に連れて来て貰うとしよう。有事における行動を見ればやるべき事が多くてな』
「わかりました」
嵐山は通話を終了し木虎へとメッセージを送る。
【三雲君を本部へ連れて行く。俺達は防衛任務に戻るぞ】
しかし木虎からのメッセージは意外なものだった。
【すみませんが彼を信用できません。私がしっかりと目を光らせて連行します】
「やれやれ……だったらこうするか」
【三雲君に本部への出頭命令と空閑君を本部への案内をしてくれ。本部長からの命令だ】
【部外者を基地にですか?わかりました。2人揃えて連行します】
「無いと思うがトラブルの可能性を考慮するなら一応念を押しておくか」
【わかっていると思うが空閑君は客人だ。顰蹙や反感を買うなよ?俺達の仕事と責任を忘れるな】
「コレだけ念を押せば大丈夫か……」
「どうですか嵐山さん。木虎は?」
「三雲君を自分が連行するとさ。まぁさっきの空閑君を本部へ案内するらしいから護衛と思えば問題無いだろ」
「僕は少しだけ不安ですね。あの少年からの木虎への態度でトラブルになるのでは無いかと」
「そこは信用してやらないと駄目だろ?」
この判断の良し悪しがわかるのは先の話だ。
「待たせてくれるわね三雲君。それと空閑君……だったかしら?貴方も本部に来て貰うわ」
「えっと……嵐山隊の木虎さんですよね。僕に何か御用ですか?これから本部へ向かいますが……」
「貴方達と私は同学年だから敬意があるのは結構だけど過剰な敬語は要らないわ。まるで丁重に扱われるようで気分良くないもの」
「じゃあなんて呼べば?」
「呼び捨てで良いわ。敬意を払えるならね?」
「………ほう?」
「何故空閑も?」
「上層部の言葉の真意は私には計り知れないわ。素直に従いなさい」
「ふむ……」
聞き取り調査時のやりとりから一触即発を危惧する修が冷や汗を流す中遊真が木虎を煽ろうとした。
「さっきも言ったけどさ……お前つまらないウソつくね。羨ましいなら羨ましいって素直に言えば良いじゃん。愛嬌?ってヤツがあれば人望も集まるだろ?キトラは可愛いんだし」
「………ッ!」
「空閑……お前は何をしたいんだ?木虎は?」
「空閑君は私の事が嫌いなのかしら?」
「つまらないウソが嫌いなだけ。キトラが取り繕わないだけで良いんだぞ?」
「揉めるな!煽るな!もういっそ直接会話するな!」
仲裁する修すらも会話そのものを止めざるを得ない程に疲弊していく。
「でも私は1つ理解したわ。三雲君は間違い無く彼の弟子ね。他人の為に行動するのは師弟似るのね」
「……?はぁ。今川先輩とそんなに似てます?というか僕はあの人に遠く及びませんよ?」
「当たり前じゃない。彼は古参で貴方は新参……そもそも比べる対象にすらなり得ないわ。文句あるのかしら?」
「無い。半年色々試行錯誤してようやく小さな1つ目標1つ達成出来たぐらいだからね」
「心意気は立派ね。下手の横好きにならないと良いわね」
「耳が痛い……」
『【門】発生!【門】発生!座標2145!座標2145!付近の方々は直ちに避難を!』
「……ッ!【緊急門】ね。頻繁に出現するなんてどうかしているわ……」
修が肩を落とす中、河を越えようとした時に警報が鳴り始める。そして出現したトリオン兵を見て修は驚愕した。
「あれは……【サカナ】?確か特徴は!」
修はかつてモニター越しに見た巨大トリオン兵【イルガー】を思い出した。そして次の行動は明白だった。
「早くサカナを倒さないと街に被害が出る!」
トリガーを取り出し換装を試みた修を制止したのは木虎だった。
「三雲君は懲りないのかしら?本日2度目よ?そもそも君はあのトリオン兵を倒せるつもりなのかしら?」
「そんな場合じゃない!あのトリオン兵は空爆をしてくるんだ!今出来る事をしないと街が大変な事になる!」
「なら私が倒すわ。私は
「トリガー
木虎が換装する時……修も同時に換装していたが、レイガストの生成は出来なかった
「呆れたわね。武器の生成出来ない貴方の出る幕は無いわ。今換装を解くなら不問にしてあげ……待ちなさい!」
「空爆の被害を受けた場所で避難出来ない人を助けます!僕にも出来る事がある筈です!」
「待てよオサム!」
「空閑君まで!あぁもう!…………仕方ないわ。手早く撃破して捕まえ無いと!」
(判断……早すぎ無いかしら?)
木虎は修の捕獲を諦めイルガーとの交戦へと切り替えた。しかしそれにもう1つの思考が紛れていた事は本人さえも気づけなかった。
「あの先輩がBORDERをクビになるのは理不尽だよね。私がおかしいのかな?」
修によって引き剥がされた早苗は世の中の理不尽を感じていた。そこから一つの行動を起こそうとしていた。
「今回嵐山隊が温情をかけてくれないなら……嘆願しないと」
英雄の行動に感化された早苗の決意は速かった。
「三雲先輩……だったよね?貴方の決意を無駄にはさせません。貴方がいなければ私達は死んでいた。だからどうか……」
避難者の署名を集めた嘆願を試みていた。
イルガー襲撃の本筋を変えないように立ち回るとこうなりました。
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オッサム(原作前)修行編って見たい?
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