偉大なる英雄を支えたい!   作:タク-F

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修(入隊直後)は訪れる試練に打ち勝てるのか……?


荒れる特訓

 本部のロビーにて荒れる香取葉子を見つけた彰は口元を歪めた。そして現状の修を分析して香取と戦わせる事を思いつく。

 

「やぁ香取ちゃん……虫の居所が悪いようだがどうしたのかな?」

 

「………………別に。()()()()()()()()()()()()()()には関係の無い話です。ほっといて貰えます?」

 

「言うねぇ……大方攻撃手や銃手としてのマスターライン8000ポイントを越えるも上位陣と自分の実力差に腑抜けたか、()()()()()()()()()()()()()……って辺りかな?」

 

「…………喧嘩売ってます? 買いますよ? 半端者をボコボコにしてポイントを心許ないレベルまで搾り取ってあげますよ?」

 

 香取の琴線に触れた彰へ多大な敵意が向けられるが、そこへボロボロな修が合流する。

 

「あの……今川先輩……一体何が……?」

 

「お……戻って来たな三雲君。いやまぁ彼女に絡まれているだけ何だけどまぁ……………………あっ! そうだ三雲君! 彼女と戦ってみないかい? 彼女……強いよ? まぁ強くなるなら強者から技術を盗むぐらいの気概が必要だろう?」

 

「へ〜〜……半端者に弟子……ねぇ? ねぇそこのメガネぇアンタA級? B級? まさかC級なんて言わないわよね?」

 

「………………先日入隊したC級隊員です」

 

「プッ! アンタまさかのC級!? C級如きがこのアタシに負けるわけないじゃん!」

 

 彰の提案に香取は爆笑していた。事実香取はスコーピオンと銃手トリガーでマスタークラスに上がった天才だ。ただし彰から見た彼女は努力を怠った机上の天才と認識していた。()()()()()()()()()()

 

「ふぅん……? なら賭けをしないか? 君が勝てば好きな俺の武器トリガーのポイントを1000ポイント提供しよう。俺が勝てば………………いや、ソレが君の成長の糧になるだろうし……ね?」

 

「はぁ? 意味不明なんですけど?」

 

「内容は三雲君と10本、その終了後30分の休憩を挟んで俺と10本勝負で、()()()()()()()()()()()()()()の状態で完勝、俺とは勝ち越しで充分だろう? じゃあ15分後に三雲君との試合を始めてくれ」

 

「話を進めるとか…………はぁ。まっアタシが雑魚に負ける訳無いか……」

 

 香取は無駄な時間を過ごすのだろうという表情をしながらブースに入った。

 

 

 

 

 

「あの…………僕……ボコボコにされますよね?」

 

「そうだな。()()()()()()()()()()()()だからね。そのまま戦うなら間違い無く完敗する。だからこそ君が死ぬ気で戦えるならこの試合に意味がある。試合が終わればその意味も解るからね?」

 

「は……はぁ……」

 

 困惑する修だが既に始まった戦いに身を任せる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『模擬戦10本勝負……開始』

 

 無機質なアナウンスと共に香取と修の戦いが始まった。

 

「めんどくさ……さっさと終わらせてポイントを回収するか……」

 

 弧月を構える香取は修に斬りかかる。彼女の本来の武器はスコーピオンと銃手トリガーの為より不愉快な戦闘スタイルもその要因だが…………()()()()()()()()()()なのだ。慣れない武器だが…………

 

「っ! 彰さんの剣速より速い!? なんとか……防がないと……」

 

 構えるレイガストがみるみる香取の弧月に削られる。防戦一方なまま乱撃を叩き込まれ修のレイガストは叩き割られ胴体を切断された。

 

『三雲ダウン! 1-0』

 

「よっわ…………こんなんに付き合うとかめんどくさ……」

 

 呟きとは対照的に香取は的確な剣筋で修を追い詰める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『9本目……開始!』

 

「ねぇメガネ……アタシ飽きたからさっさと無抵抗になって死んでくれる?」

 

 既に試合は8本目で修の大振りな攻撃は全て躱されるかいなされ、対照的に香取の剣は修のレイガストを叩き込む・もしくは正確に防御をすり抜けて胴体を切断していた。

 

「てかさ……()()()()()()()()()()()()()()()()よね? 何もかも無駄な時間って言わないと分からない?」

 

「……………………そうですね。僕は訓練生……ましてやボーダーに無理矢理滑り込んだ新人で貴女との差は埋めようが無い程どうしようもないって事も解ってます。でも…………貴女に僕の事を否定される必要は無いはずです!」

 

「うっざ……熱苦しい……あぁ〜〜どうしてこんな事になってんのかぁ〜〜」

 

 修に提案を否定された事でいっそうめんどくささを隠さなくなった香取がレイガストの隙間を見極め首を落とそうと一息に距離を詰めた。しかし………………

 

「このまま負ける訳には……行かないんです!」

 

ガキィ!! 

 

 狙われた首をレイガストをズラして剣を受け止めた。しかし……

 

「あ〜〜! イライラする! さっさと死ね!」

 

 弧月を防がれた為にそのまま蹴りを入れ体勢を崩そうとした。

 

「っ!」

 

「今……ここならぁ!」

 

 ズレた重心に対して刃を押し込もうと修は強引に力を込めた。しかし…………

 

「不相応な……自信を持ってんじゃないわよ!」

 

 体勢を整える為に一度距離を取り直した香取はもう1度跳躍して距離を詰めた。

 

「来る!」

 

(あれ……? どうして……()()()

 

「僕は……まだやれる!」

 

ガキィ!! 

 

 再びレイガストと弧月が衝突した。しかし今度は()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ……! 流され………………舐めるな!」

 

 修のレイガストが左手と足を斬り落としたが、右手に持ち直した弧月で強引に崩れた体勢に合わせて無防備な胴体が分断された。

 

『戦闘体活動限界……三雲ダウン!』

 

 無情な機械音が現実を突きつけた。そして最後の一本は力押しによりレイガストを叩き割られ無防備になった修が緊急脱出した。

 

『戦闘終了……トータル10-0香取勝利』

 

「9本目のアレ…………ああぁぁぁ!!! ムカつくムカつくムカつくムカつくうぅぅ〜〜!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません……あれだけお膳立てしていただいたのに1度も勝てず……」

 

気にするな。そもそも今の三雲君は()()()()()()()()香取に勝てる訳なかった。たとえどんなハンデがあっても…………と思ってたよ。だからこそ9本目の気迫……アレは俺も予想してなかったよ。まさか彼女から手傷を負わせるとは………………………………俺も意地を見せないとな

 

「……彰さん?」

 

「まぁ…………今日の戦闘は思わぬ収穫があった。それだけで良いと思うよ? ()()()()()()()()()()……ね?」

 

 彰はそれだけ告げると香取と戦闘準備の為にブースへと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後の2本…………どうしてだろう? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()う〜〜ん……なんというか……僕へ向けられた殺気……なのかな?」

 

 修のこの発言を彰が聞いた時……彰の描く英雄譚の序章が始まる。 

 




流石に勝てませんよ……(泣)まぁ弟子の仇は師が取ると言う事で次回[彰VS香取]の戦いをお楽しみにお願いします!

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