「じゃあ始めようか香取ちゃん。せっかくだから今回のトリガー構成を教えてあげる。コレはハンデじゃない。君のトリガー構成のバッグワームを鉛弾に変更した」
「………………ナメてんの? 手札を隠して相手の警戒心を煽る事が基本戦術の使い手が最初から手札を晒すとかあり得ない」
「ナメて無いよ? まぁやればわかるさ!」
『10本勝負1戦目開始』
無機質な機械音と共に2人の転送が開始された。
「さて……狩るか!」
香取へ
「1対1なら開始早々に射程武器の
「そうかもしれないけど……この構成ならこういう事もできるよね!」
「アタシを舐めるなぁ!」
彰は射撃直後にグラスホッパーで足を止めた香取へ接近を試みるも姿を視認した香取は防御後すぐにスコーピオンを二刀で構える。
「流石天才、対応が速いのは良い事だね!」
「甘い!」
スコーピオンは耐久性が欠けると言われている。よって両者はシールド以外では守るより攻める方が向いているトリガー構成な為互いにスコーピオンを自分から振る事で鍔迫り合いが発生した。
「ッ!? スコーピオンで受け太刀とか……本当に天才って奴は!」
「ッ…………射撃準備! でも射線さえ見切れば!」
彰が鍔迫り合いからすぐに拳銃を構えた為に射線を見切り即座にシールドを展開する香取だが、
「反応の速さ、剣速とタイミング、適切なシールド展開……
「どういう…………しまった!」
足を止めてシールドを即時展開した……それはB級上位帯の隊員なら当たり前の技術だが、
「
「そういう事だよ!」
シールドに突きつけた拳銃から放たれた
「その構成で機動力を削られたら……どうなるかな?」
「小賢しいけど……チィ!
失った機動力を銃撃で補う発想に転換した香取だが、彰は全てのトリガーの扱いに精通している。故に銃口から射線を予測する事ができる。
「落ちた機動力を即座に銃撃戦に持ち込む事で立て直そうとした判断力……素直に良い事だよ。だけど忘れてないよね? 君のトリガー構成を! 」
「なにを……ッ!」
彰が展開したのはグラスホッパー……跳躍や加速に利用されるこのトリガーは
「そういう事だよ……」
『トリオン供給器官破損……
銃撃を掻い潜り彰のスコーピオンが香取のトリオン供給器官を貫いた。
2戦目は
「心理戦で手札ってのは隠すだけじゃないんだよ?」
3戦目は香取も負けじとグラスホッパーとスコーピオンで接近戦に持ち込み彰を防御漬けにして攻略を図ったが、冷静さが少しずつ削がれていく事を彰は実感しながら左腕→右腕と斬り落としトリオンを大量消費させた後にグラスホッパーで一定の距離を保ちながら消耗戦に持ち込み香取が活動限界を迎え
4戦目……彰は
「10本勝負で良かったね香取ちゃん……5本勝負ならとうに終わってるよ? 」
「うるさい…………うるさいうるさいうるさあぁぁぁぁい!! 」
「はっきり言ってあげるよ香取ちゃん……
発狂に近づくにつれ香取の動きが少しずつ雑になり、彰の対応が徐々に洗練されていく……
8戦目開始早々彰が香取に投げかけた。
「香取ちゃん……残念だけど現状6-1で俺の負け越しは無くなった。だからこそ
「ウザい……説教? うんざりなんだよ! 」
香取は両手にスコーピオンを構え防御を捨てて火力と速度に全てを賭けていた。そして彰は冷静にシールドで受けきり、下がりながらの
「動けない内に言わせて貰うよ? 君が三雲君に募らせた感情……それは嫉妬だ。圧倒的格下の筈の相手に執念で手傷を負わされた……それが引き金だろう? そして嫉妬の対象……それは凡人が必死に手繰り寄せた発想・工夫・努力だ。君は強い技術や大きな才能を嫌悪しているんだろ…………うぉ!!?」
「最後まで聞いてよ……っと、君は強くなれる。そのためには君のプライドに障るだろうけど愚直に努力して相手に勝つ為に努力を……そして
『戦闘体活動限界
そして残り2本は
『戦闘終了……9-1 勝者今川!』
試合を見ていた修は呟いた。
「コレが……今川先輩の実力? いや……確か香取先輩が呟いた
入隊直後の修がその重大な事実に気付くのはまだ未来の話……
「三雲修……アタシはアンタを許さない。アタシが味わったこの屈辱……アンタがBに上がったら絶対に清算するから。見せて貰おうじゃん……凡人の努力が無駄じゃないって事を……」
彼女の呟きは誰にも聞こえない……
香取ちゃんは惨敗した……そんな彼女にかけられた言葉それは彰の弟子である修にも得るモノがあった。
次回……[戦いで得たモノ]
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