偉大なる英雄を支えたい!   作:タク-F

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筆がノリました。イルガー君にとっては7対1の集団リンチではありますが防衛側は被害軽減絶対のある意味両陣営苦戦必至の戦いです!


市街地防衛戦

 発生した緊急門(イレギュラーゲート)より出現した大型近界民【イルガー】……その特徴は見た目通りの質量と攻撃方法だった。

 

「完全に空中に留まるタイプか……地上に降りて来た所を撃退するのは困難か?」

 

「目測では地上から20〜30メートルの位置で円状に旋回……その過程で地上を空襲する合理的な型ですね」

 

「パッと見だけど装甲は分厚そうだね。中距離で落とせるか?」

 

「下手したらアイビスでも撃ち抜けるか怪しいですね。ですが最も警戒しないといけないのは……」

 

「「「「地上にあの質量で落下したら被害は甚大だな/ですね」」」」

 

 幸いにもイルガーの行動は現状旋回と防衛に専念すれば対処可能レベルの空爆のみ。監視・持久戦前提の立ち回りに於いては采配が決定するまでを凌げるのは僥倖だった。

 

「とはいえ恐らくすぐに本格的な爆撃が始まる筈です。すぐに共有を行います! まず僕の基本プランは(ブレード)トリガーを撃破のベースに射程持ちが爆撃の迎撃です。この場合二宮さんも迎撃をお願いします」

 

「意外だな。二宮の火力なら撃破の方が合理的じゃあないか?」

 

「そうですね。撃墜前提ならそうしたいですが今回は被害の軽減を軸にする為にあの爆撃を止められる人が足りません。狙撃手全員がフォローするにしても犬飼君の負担が重すぎます。その観点からは二宮さんは迎撃を希望します」

 

「なら今川は何を担う? 流れからは弧月を持つかのような言い方だが?」

 

 東の指摘に彰は即答した。

 

「アイビスです。ただし【グラスホッパー】を使いあの近界民……便宜上【サカナ】とでも呼称しますが、サカナが空中旋回してる以上攻撃手の射程外に逃げる事を考慮し、跳躍補助の後地上からサカナを狙います」

 

「なるほど……確かに俺達のトリガー構成なら支援トリガーを運用するなら今川が適任か。二宮の対案はどうだ?」

 

 東から会話のパスが飛び二宮も口を開く。

 

「俺が迎撃する以外は大凡同じですが、俺なら荒船・東さんと辻・村上を分けて配置します。犬飼の見立て通りなら旋空でも斬れない可能性を考慮し、同じポイントに攻撃を重ねるべきだと考え、ソレを2方向からぶつける事で撃墜を試みます。この時俺はあのサカナを正面から合成弾で撃ち抜く予定です」

 

「合成弾か……データが無い以上試す価値はあるな。そうなると逆に俺の案と噛み合うかもしれんな」

 

「東さんの案とは?」

 

「村上・辻を高所に配置してサカナが旋回射程圏に入り次第多角同時攻撃で速攻撃破だな。被害を抑えるなら得策と思うが……」

 

「そうですね。速攻撃破をするなら東さんの案が最も速そうです。村上君・荒船君・辻君・犬飼君……4人の意見は?」

 

「………………」

 

 数秒思案の時間が流れた後意見が出る。

 

「辻は今川案を軸で二宮さんの合成弾を推します」

 

「犬飼も辻チャンとほぼ同案です。ちょっとアレを1人で捌くのはキツイです」

 

「村上は二宮さん案から狙撃・攻撃手ペア案を支持します。旋空でいけるとは思いますが単発で斬れない場合別方向からの攻撃で滞空中に撃破が必要かと」

 

「東さん案で。全員による集中砲火で今川もアイビスなら確実性を採りたいです」

 

 戦闘員全員の意見を受け東が軸方針を伝える。

 

「俺は今の意見を踏まえ重複要素は【多角攻撃】で、対立要素は【撃破に必要な火力】と【被害軽減の為の迎撃】と感じた。ここまでは良いな?」

 

「はい」

 

「それを踏まえ俺の総合案はこうだが聞いて貰えるか?」

 

「お願いします」

 

 全員がそれぞれの意見を踏まえ東の総合案を待った。

 

「まず狙撃・攻撃手ペアがメインでサカナを2方向から削る。今川・二宮・犬飼で2地点を繋ぐように下から撃ち抜くが、二宮は合成弾で合成中は今川・犬飼でフォローだ。撃破できなければ即断で第2射に移行。サカナの自爆落下を想定し2ターン以内に撃破を目指す。よって2点は旋空射線が少し交差する範囲の円での配置が好ましい」

 

「旋空の斬れ味は先端に近いほど……でしょうね」

 

「なら俺が下からスポットします。攻撃の合図は……」

 

「俺の徹甲弾を使います。コレの着弾を合図にするのはどうですか?」

 

「徹甲弾? なるほど通常弾の合成弾を使うのか……それなら少し火力が盛れそうだな」

 

「爆撃の迎撃に重きを置くなら手を空け誘導弾を放てるように考えますので本来ならコントロールが難しいですが……あの大きさなら多少ズレても問題ないでしょう」

 

「確かに合成弾なら削れそうですね。それを出来るのは二宮さんの技量の高さの証明ですし、今伝えるのは違うかもしれませんが俺はすごく高揚しています!」

 

「……任せるぞ二宮。俺も今川と似た心境さ。元部隊仲間が独立して部隊を率いて、その上で隣に立てるんだからな」

 

「了解です」

 

「異論・補足意見が無ければ配置に付く。村上・荒船ペアは北側を、俺と辻で南側を押さえる。早く配置に着いた方が牽制や足止めをする。地上組は下から援護を頼む!」

 

「「了解です!」」

 

 方針の共有が終わった7人は最適な配置を探して分かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜修Side〜〜

 

 モニターから今川先輩達の打ち合わせと映像が中継されていた。

 

「凄い……会話ですね」

 

「今川は所属歴が長く幾つもトリガーを使い慣れてるから前・中・後衛のどこに配置するか、最強射手の二宮さんを迎撃か撃墜のどちらを担うか、一撃か連撃か……それぞれの意見には一長一短の特徴がありあの【サカナ】の推定強度に認識の差はあるけど、【被害を抑える】事が共通認識になった。今回は多角攻撃を軸に置いた。正直に言えばサカナの情報さえあれば意見のすり合わせはもう少し短縮出来ただろうけど仕方ない」

 

「二宮が大人しいな。東のオッサンがいるとはいえ【俺の指示に従え】が行動基準の人間だと思ってたが……アイツも思うところがあったのかもな……」

 

 解説されている会話の内容がほとんどわからない。中継される映像を見ると地上に残った3人の射撃はサカナに対して大したダメージを与えているようには見えない。

 

「その……どうしてあのサカナを別方向から攻撃するんですか? 落とすなら全員で中心を撃ち抜いたり上から落とした方が速いんじゃ……」

 

「【質量落下】だね。サカナのスキャンデータによればアレは相当高質量で相当高いトリオン反応がある。もしこのトリオンが爆弾として運用されたら……」

 

「結構な範囲の建物が吹き飛ぶだろうな。それこそここも含めて大惨事だろうよ」

 

「でも大丈夫。二宮さんならきっとあの装甲を撃ち抜ける。あの人が使う合成弾ならきっとね」

 

「合成弾……とは……?」

 

「気にすんなメガネ。どうせお前どころか大半が使えるモンじゃねぇよ」

 

「……なるほど」

 

 合成弾の説明を断られる頃映像に動きがあった。

 

「配置が終わったな。二宮の合図で一斉に攻撃が始まるぞ」

 

 影浦先輩の視線の先でサカナへの一斉攻撃が始まった。だけど大きな狙撃銃からの弾丸ではあまり削れているようには見えなかった。

 

「硬いね。イーグレットであまり削れないだろうとなるともしかしてアレも通じないかな……?」

 

 氷見先輩の表情が少し曇り本部との連絡が重く見える。

 

「…………チッ……ムカつくな。俺でもあの装甲を削りきれるか怪しくねぇか? これで待機が正解だったらムカつくどころじゃすまねぇぞ?」

 

「大丈夫……ですよね?」

 

「まだだ。BORDERの(ブレード)トリガーには最も斬れ味の良いモンがある。幾らサカナの装甲が硬くても傷口なら斬り裂ける……筈だ」

 

 全員でモニターを見つめ空気が重くなる。

 

「その……影浦さ「先輩で良い。別に気にしなねぇ」影浦先輩ならあのサカナにどう対応するんですか?」

 

「上から最速で切り裂く。爆発する前に解体する。それ以外考える必要がねぇ」

 

「確かに影浦ならそれが最速だね。部隊編成でもそう対応する事が最善だと思う。でも今回それを選ばなかったのは……」

 

 氷見先輩の視線はモニターを射抜いていた。

 

「落とせなかったら爆発……だね。そしてサカナは予想よりも硬い。だから影浦も大人しい。まぁ今日は別の事で複雑なのも大きいのかもね」

 

「…………外で備える。奴らが全滅したら落とし前をつけねぇといけねぇからなァ」

 

 影浦先輩の言葉は声色と内容は明らかに乖離しているけど、それを指摘できる人はこの場にはいない。

 

「それとメガネ……奴等がサカナを片付けたらここで祝勝会をするぞ! コキ使ってやるから覚悟しとけ!」

 

 そうだった。…………影浦先輩は僕の内心を読めるって今川先輩が説明してたんだった。

 

 

 

〜〜修Sideout〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爆撃警戒お願いします!」

 

「迎撃準備オッケー! 二宮さん!」

 

誘導弾(ハウンド)!」

 

 彰がスコープ越しにイルガーの爆撃位置をスポットして情報の共有が行われ二宮・犬飼が上空にて迎撃を行い、彰自身も狙撃を行うが装甲に阻まれ決定打には至らない。

 

『……こちら東・辻配置に着いた』

 

『荒船・村上配置に着きました。今川! 推定装甲強度は?』

 

「イーグレットで小突いた限り表面の装甲は厚く、狙撃するならアイビスが必須です。高所は取れましたか?」

 

『少し目標から離れたがサカナの上を取った。幸いあの硬い装甲により俺達の弾丸を脅威と認識していない。一撃で仕留めるつもりで行くぞ!』

 

 東の指揮の元イルガーの上を取った4人は二宮の合図を待った。しかし二宮は東との通信中に既に弾の合成を始めていた。

 

「徹甲弾!」

 

「…………!?」

 

 先程まで爆撃は迎撃されるも、大きなダメージを受けていなかったイルガーは変わらず飛行を継続し次の爆撃準備へ移行していた。イルガーにとって初見の合成弾がはじめて自身の装甲を大きく削る。そして下からの脅威を認識した時……既に戦いは決着した

 

『『撃てぇぇ!』』

 

 前後からアイビスによる狙撃に挟まれ装甲に無数の弾痕と亀裂が生じた。迎撃に至らずも確実に削れた装甲を前後からの斬撃が斬り裂いた。

 

「装甲の分解を確認! 分析に必要な中央を除き粉砕を!」

 

『『旋空弧月!』』

 

『『両攻撃!』』

 

 頭部・腹部・下部に分断された小さくなった質量のイルガーは狙撃・斬撃・射撃により腹部を除き破壊された。

 

『大型近界民【サカナ】の撃破を確認しました。お疲れ様でした』

 

『回収班は既に向かっていますので皆様は残骸の確保をお願いします』

 

 戦闘の終了をオペレーターより受けた事でこの戦いの終了が確定した。

 

 

 

 

 

 




フリーオペレーターちゃんは新人であり、氷見さんから送信された情報の分析・解析に追われてました。

※フリーオペレーターはオリキャラにする予定なので活動報告にて募集をし、先着2名採用します。詳細はそちらにお願いします。(活動報告リンク)

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=325703&uid=327174



イルガーを無事に撃破した戦闘員は影浦達と合流し本部へと向かう。そして正史と異なる運命の歯車が動き始めた。

本作の反応をいただけると作者の執筆速度が上がりますのでお待ちしています!
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