鈴科先輩の話   作:ヌンチャクッパス

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えーっとですね、久しぶりに会った友達がラノベ出しててですね…その
私もオリジナルを書いてみたくなってしましまして
設定とか考えてたらいつのまにか月日が過ぎ……ごめんなさい

間が空いたのでもしよければ十話を見返してみて

原作読んできました

このまま私が考える流れにすると術師側のワンサイドゲームになりそうで余り手が動かなかったのですが、きっと宿儺が圧倒的な呪力量と出力でカバーしてくれるでしょう

それはそれとして私がうまく動かせる範囲で特級呪霊が生えるかもしれませんが

今回は直哉君強化フラグや‼︎
関西の言葉むずかち〜



十一話

 

 

 

「どォすっかねェ…」

 

 

家入の要望を受け入れた百合子ではあるが、実のところ何もプランはなかった。安易に力を利用されないようにと安請け合いは避けて来たが、後輩の悩みを聞いてやるくらいの器量はあるつもりらしい

 

しかしそんな優しさを発揮したところで方法がないと言う事実は変わらない

 

立場上、他人に貸しを作りたくない百合子が気兼ねなく相談できる相手といえば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「18歳児のお守りって…硝子の頼みなら叶えてあげたいけど…」

 

「あァ、なンかねェか?」

 

 

百合子がウチに来た。相談された私は真剣に考えている風を装っていたが内心では歓喜が渦巻いていた。なにせあの百合子が頼ってくれたのだ

 

ほぼ全てのことを一人でこなせる百合子が人に頼るのは超レアケース

 

どうにかして期待に応えたいとは思うものの…

 

 

「正直アイツらの事はあまり知らないし……」

 

 

結局そこに帰着する。そもそもあの憎たらしい後輩たちは、京都への引越しを機に記憶の彼方に追いやりたいと思うほど…

 

 

 

割とガチで嫌いである

 

 

何がそんなに面白いのか、思い返せば出て来るのはニヤけ面ばかり、とにかくバカにされ続けた

 

アイツらの関心がもっぱら百合子に向かっていたのが唯一の救いだ。それがなければ私の胃と血管は無事ではなかったハズ

 

そんなアイツらに元気がないなんてなんの冗談かと思った

 

だからだろうか

 

 

「叩けば治ったりしないかしら…?」

 

 

なんて蔑ろに返してしまった

 

 

待って‼︎ 待って今のナシ‼︎

せっかく百合子が頼ってくれたのに適当な事言っちゃった‼︎

何かちゃんとした事言わなきゃ‼︎

えーっと‼︎ あー‼︎ んー‼︎

 

 

「アリだな」

 

「……え?」

 

 

百合子によるとあの二人─特に五条─は『最強』と言うものにこだわりがあるらしく、百合子に勝ち逃げされたのが我慢ならないのかも知れない、ということらしい

 

特級ともなると通常の任務では全く成長を感じる事ができないため、それもマイナス思考に拍車をかけているのだろう

 

 

「まァオレは最強なンざ興味ねェンだが、今のアイツらにくれてやるほど安くもねェな」

 

 

"今の“と言う事はアイツらには先があるのだろうか。百合子が真に最強を任せられるほど強くなる可能性が

 

百合子が存在する以上呪術師と言うモノの限界点があそこではない事は分かっていたが、アイツらもその領域に到達し得ると

 

翼の一振りで嵐を掻き消し、瀕死の人間を一瞬で完全再生する

 

アイツらもそんな事が出来るように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え⁉︎ なんか普通にヤダ‼︎

 

圧倒的な力が持つ未知や神秘への畏怖が一瞬で消し飛び、クソガキに拳銃を持たせるような違う意味での恐怖が広がる。ああ言うのは百合子が使うからこそ凄みが出るのだ

 

 

ねぇ百合子、考え直さない?

 

アイツらは元気がないくらいが丁度良いのよ

 

硝子ならもっと良い友達見つけられるハズよ

 

やっぱりほっときましょ? ね?

 

 

「まァ、助かった」

 

「ん"っ!」

 

「あ?」

 

「な、なんでもないわ」

 

 

変な声が出てしまった。たった一言の感謝が嬉しすぎて、やっぱりやめようなんて言えないではないか

 

 

「んっ」

 

 

支えを失った私はソファーに横たわる

 

 

「もう帰るの?」

 

「あァ、なンかあったか?」

 

「……なんでもない」

 

 

本当はもう少し一緒にいたい

 

せっかく京都に来たのだからゆっくりしていけば良いのに。なんならウチに泊まってくれても良い。いや、それならもっと高いホテルにでも泊まるか

 

 

「そォか、じゃあな」

 

 

今私があの背中に縋りつき、一言強請れば彼は言うことを聴いてくれるだろう。優しい彼はその程度のわがままなら許してくれる

 

そう分かっていても、もし気分を悪くしてしまったらなんて考えてしまうのだ

 

彼は立場上特定の誰かと添い遂げることが難しい。今の距離感ですら奇跡的と言えるだろう

 

 

 

 

 

結局私は何も言えず、しばらく百合子が出て行ったドアを眺めていた

 

 

 

────────────────

 

 

 

戦うと言うのは五条に対しては確かに有効な案だと考えられるが夏油の方はそこまで単純な問題ではないだろう

 

歌姫が何やら張り切っている様子だったのでそれとなくフォローしたが…まぁ『非術師皆殺しにするか悩んでるらしいぜ』なんて相談をアイツにするつもりはない

 

夏油の問題は自身の手が届く範囲に限界があることを受け入れられないその精神性だ

 

最後の手段として一度価値観を破壊してしまうことも視野に入れなければならないか。ほぼ博打だが方法がないわけではない

 

この方法は失敗すれば取り返しがつかない事になる。しかも成否はアイツらに委ねるしかない

 

ただこのままアイツらを放置していれば良くない事になるのは明白。やるしかないのだろう

 

 

 

 

ここまで真剣に物事を考えるのは久しぶりだとも思いつつ京都に来た目的を果たすため移動を始めた

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「伏黒甚爾にはガキがいンだろ? 寄越せ」

 

「知らんな」

 

「アァ? 知らねェこたァねェだろ。禪院(ここ)に売られることになってたハズだ」

 

 

百合子は禪院本家に来ていた。目的は伏黒恵の回収。無理矢理奪うことも可能だが、無用な軋轢を生まないためにも本家に許可を取ることにしたのだ

 

今は禪院家当主、禪院直毘人と交渉…いや、一方的に要望を突き付けていた

 

 

「甚爾に聞いたか……ヤツは?」

 

「……オレがヤった」

 

「ガッハッハ、そうか死んだか。あの怪物も最強の術師には勝てんかったか」

 

 

直毘人は嗤う。呪力を持たずして家の誰よりも強かった甚爾は禪院の思想的には認められないものであり、その甚爾が術師代表とも言える百合子に敗北したことがよほど嬉しいのだろう

 

 

「オレが負けるワケねェだろ。だから寄越せ」

 

「タダでとは行かんな」

 

 

目の上のたんこぶを排除してやったのだから礼として子供を寄越せと要求するが、それは結果的にそうなっただけのこと。直毘人からすればあの鈴科百合子に貸を作れるチャンスかもしれないのだ。当然そう易々と渡すつもりはない

 

 

「なンか勘違いしてンじゃねェか? テメェらはオレに指図出来るほど強かねェだろ」

 

「その時は貴様が呪詛師に認定されるだけだ」

 

 

百合子は言外に武力行使を仄めかすが直毘人は冷静に反論する

 

百合子ならば一つの証拠も残さず禪院を潰すことは能力的には可能。しかしそれをすれば単純に術師の全体数が減り、他に皺寄せが来る

 

コレは上層部にも言えることで、気に入らないが仕事自体はこなしているため無闇に潰すことができない組織の存在は、間接的に百合子の精神にダメージを与えられるある意味希少な存在だった

 

 

「いくらだ?」

 

「金はいらん。そうだな…」

 

 

しかしここで直毘人は黙り込み、何か思い悩んでいる様子だった

 

 

「さっさと決めろ」

 

「いや、───。コレでどうだ?」

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「また来い、いつでも歓迎するぞ」

 

「二度と来ねェよ」

 

 

アレが鈴科百合子。呪術界最強の男

 

あの悟君を差し置いての評価。甚爾君が負けたんが事実なら、間違いなくアッチ側の人間のハズ

 

強いのは分かる。ウチの爺さん等よりは確実に。でも甚爾君を初めて見た時の様な衝撃は全く感じへん

 

なんでや? まさか力に差がありすぎて正しく認識することすら出来へんとでも言うつもりか?

 

 

「なあ」

 

「……」

 

「無視すんなや」

 

「ハァ、なンだ」

 

 

強い者のことを理解できないのは弱い者の罪

甚爾君は誰にも理解されんまま死んだ

 

爺さん等が甚爾君を見た時の感覚がこんなモンやろか

絶対に認められへんわ

 

 

「甚爾君倒したの嘘やろ」

 

「…ア?」

 

「お前が甚爾君に勝てる訳あらへん。本当は悟君がやったんちゃうか?」

 

「嘘ついてどォすンだよ」

 

 

コイツが本物の強者ならそれを理解出来ひん俺は弱者。そうなれば俺はアッチに行けんくなる。コイツは偽物や証明せなあかん

 

 

「表出ろや、化けの皮剥がしたる」

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「さっさと来い」

 

 

いきなり因縁を付けられた百合子の方に付き合ってやる義理はないが、禪院の術式を体感出来ると言うメリットはあった。彼は自身の知識欲の深さを理解していた

 

 

「…いてこましたるわ」

 

シュン…

 

 

初手から術式発動。百合子を認めていなくても、認めていないからこそ全力で沈めるつもりの様だ

 

直哉の術式は投射呪法。自らの視界を画角として1秒間の動きを24の瞬間に分割したイメージを予め頭の中で作り、それを実際に自身の体でトレースする術式

 

直哉は速度を上げるため百合子の周囲を旋回する

 

しかし

 

 

(なんやこの感触? 全く振り切れへん)

 

 

百合子はただ立って居るだけであり目が合った訳でもないが、直哉は常に位置を捕捉されている様な気味の悪さを感じていた

 

だがやることは一つ。一度目の接触で1秒の停止を強制し、二度目で仕留める

 

死角に回り込んだ瞬間仕掛ける……

 

 

「どこ見てンだァ?」

 

「…ッ‼︎」

 

ヴンッ

 

 

事は出来なかった。まさに飛び込もうとしたその時、測ったかの様に"背後から“声をかけられたからだ

 

それどころか驚愕のあまり術式を制御出来ず自身がフリーズする始末

 

全く視認出来なかった。幻覚を見せる類の術式で位置を誤認させたか、それとも純粋なスピードか

 

とにかくここでの1秒が致命的である事に変わりはない

 

 

(やばっ、…………………は?)

 

 

硬直は終了したが何処にも怪我はない。直哉は疑問に思いつつひとまず距離を取る

 

百合子は先程と変わらない位置で立っていた

 

 

「…なんでや? なんで何もせぇへんかった?」

 

 

この期に及んで相手のミスを考えるほど愚かではない。例え術式に攻撃力がなかったとしても拳を振りかぶることすらしていないのだ。明らかに見逃されている

 

 

「散々イキり散らかした結果が自爆ってンで構わねェなら、そォしてやったンだがなァ」

 

「ぐっ……ざけんなやクソが‼︎」

 

 

強さへの執着が人一倍強い直哉には耐え難い屈辱ではあるが百合子の力は認めざるを得なかった。先程のスピードは最速の術師と呼ばれる父でさえ捉える事は出来なかっただろう

 

だが認めたからと言って対処法が浮かんでくる訳ではない。直哉に出来るのはさらに疾くなる事だけ

 

術式が破綻しないギリギリまで変則的な動きを混ぜ眼前の男の知覚を振り切る

 

もっと、もっと疾く

 

 

(今──‼︎)

 

 

慣れない激しい挙動のため上手く調整できなかったが指先がどうにか百合子の肩を掠めた

 

 

(勝った‼︎)

 

 

あとは流れに任せて無防備な顔面に一撃喰らわせてやるだけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

額に指を添えられる。額に指を添えられる。額に指を添えられる。額に指を添えられる。額に指を……指、指、指……

 

 

「へ?」

 

 

間違いなく術式は発動したはず

 

 

「予め24fpsで動きを作り、トレースする。普通の人間が相手なら充分な速さだがァ……まァ、俺には効かねェな」

 

 

百合子はつまらなそうに術式の詳細を言い当てる。百歩譲って術式を看破したことは理解できる。この男にはそれほどの速さがあった

 

だが

 

 

「なんで…なんで"俺の動きに合わせられんねや‼︎”

 

 

そう。百合子は投射呪法を看破しフリーズを回避するだけでなく、直哉の動きを完全に予測して額に指を合わせ続けた

 

つまり24回殺すチャンスがあり、そして全て見逃したと言うこと

 

 

「物理法則を無視できる範囲に限界があンだろ?条件付きならクソガキの24手程度簡単に読める」

 

 

初対面の人間の行動を完璧にトレースする。一体どれほどの洞察力と分析力があればそんな芸当ができると言うのか

 

 

「そもそも人間の視認速度が60fps相当。術師非術師問わずだ。24で俺を振り切ろうなンざ舐められたモンだな」

 

 

人間の視界が60fps相当であるのは事実だが、それはあくまでもそれ以下のfpsだと違和感を感じる程度のものであり、一枚一枚を個別に認識できる訳ではない

 

しかし直哉は自身が一般人の知覚すら超えられないと言われている様に感じた

 

 

「どォしてそンなムキになってンのかは知らねェが……テメェはそこまで強かねェよ」

 

 

指から電流を流し直哉を昏倒させようとした百合子だが、ここで直毘人の言葉を思い出す

 

百合子は直哉の額に添えた指を開き、呆然とする直哉の頭を掴む

 

 

「せっかくだァ、微積の素晴らしさってのを教えてやろうじゃねェか」

 

 

百合子は直哉の頭を掴んだまま術式を発動。術式の応用で普段百合子が処理している情報量をそのまま直哉の脳に流し込む

 

毎秒24回情報処理を行う投射呪法では、常に周囲の状況を観測し連続的に情報を処理する百合子と同じタスクは熟せない

 

十秒もせずに直哉の意識は闇にしずんだ

 

 

──────────────────

 

 

 

『いや、ウチの直哉を観る。コレでどうだ?』

 

 

ここでの『観る』は術師としての能力を評価すると言う意味だろう。御三家なら金に興味がないのも当然か。だが、そもそも直哉とは誰なのかを百合子は知らない

 

 

『俺の息子だ。一応次期当主ということになってるが、自分の力を過信してる節がある』

 

 

御三家で自信家。五条を彷彿とさせるが流石にあのレベルのクソガキはそういないだろう。そう信じたいところだ

 

 

『託児所じゃねェンだがな』

 

『ん?』

 

『ハァ、コッチの話だ』

 

 

それにしても観るとはなんとも曖昧な表現だ。縛りとしての契約でなければ条件が曖昧でもなんら問題はないのだが後で約束を反故にされてはたまったものではない

 

そんな百合子の内心を汲み取ったのか直毘人が一言

 

 

『別に成果は求めておらん。見所なしと判断すればそれでもいい』

 

『ン? 随分と慎ましィじゃねェか』

 

 

直毘人の脳裏に浮かぶのは甚爾。今の禪院があるのは甚爾の気まぐれだと言うのは家の者の共通認識。もちろん誰一人として口には出さないが

 

仮に百合子が呪詛師認定されたとしても今までと何も変わらないだろう。無理に敵対すれば滅びるのは日本の方だからだ

 

触らぬ神になんとやら

 

筋を通してくれただけ感謝するべきだと、直毘人は思い直した

 

 

『で、直哉ってのはドコにいンだよ』

 

『今日はこの屋敷にいるハズ。因縁をつけてくる若い男がいたら、それが直哉だ』

 

 

 




イタチがサソリにナルトの説明をする時
「一番最初に突っかかってくる奴だ」
的な事言ってなかったっけ?あれ好き

>「もう帰るの?」
ここから百合子が帰ろうとする動作をした事が読み取れます

>支えを失った私はソファーに横たわる
さらにここからは百合子が帰ろうとした事で歌姫が倒れた事が読み取れます

つまりそう言う事です


60fpsの件は市販のテレビがそのくらいと言うだけで個人差はあると思います。余り気にしないで

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