鈴科先輩の話 作:写像
「この中に『帳は自分で降ろすから』と補助監督を置き去りにした奴がいるな?」
「そして帳を忘れた…」
「名乗り出ろ」
現在東京校2年の3人は担任の夜蛾に説教をされていた
「でも帳は百合子が降ろしたんだし良くないですか⁉︎」
「悟だな」
バコッ‼︎
夜蛾の拳骨が五条を襲う
五条は術式を使わずその拳を受けた
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教室
「悟、傑、この任務はオマエ達二人に行ってもらう。天元様のご指名だ」
「依頼は二つ。"星漿体“の少女の護衛と抹殺だ」
「少女の護衛と抹消?」
その後諸々の依頼内容の説明を受け二人が真っ先に考えたのは
"これ、百合子でよくね?“
である
「何故私たちなのでしょうか?」
「まー悔しいけど百合子の方が確実じゃね?」
そしてコイツらは思ったことを口に出してしまう人間である
「俺もそう思って一度鈴科に話を通してみたが『どうせオレはお呼びじャねェよ』と断られてしまってな」
「実際上に確認したら鈴科は外せと、そう言われた」
夜蛾は怪訝な顔をしていたが五条と夏油は思い当たる節があるようだった
「百合子、やっぱ上の連中となんかあったか」
「これが『自分の意思で』って言うヤツなのかもね」
「? まぁいい、心してかかれ‼︎」
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百合子が真剣な表情の夜蛾先生と何かを話しているのを見つけた
「どうせオレはお呼びじャねェよ」
百合子のその一言で会話は終わったようだが
今度はケータイを取り出し、誰かと通話を始めた
prrrr…
『…………』
「残念ながらオレはお呼びじャなかったらしいな」
『……………』
「そンなに気になンなら自分でどうにかすりャァいいだろ」
『…………』
「…わーったよ、面倒見てやる。咽び泣いて喜べ?」
ピッ
通話を終わらせた百合子がこちらを向く
目が合った
『夜蛾先生の真剣な表情』『直後の電話』『二度繰り返された《お呼びじャねェ》と言う表現』
ここから予想できるのは『夜蛾先生の頼み事を断ってその結果を電話で報告したが、電話相手の懇願で仕方なく了承した』と言う流れ
何故百合子は一度断ったのか。いつものようにただ面倒くさがっただけか、それとも百合子ですら手を焼くような大事が起こっているのか…
普通に考えれば前者だ。アイツの面倒臭がりはこれでもかと見てきたし、後者なら他の人間にはどうすることも出来ないから夜蛾先生はもっと食い下がるハズだ
でも何故か、もし後者だったらと言う不安が拭えない。今日呪霊に閉じ込められて-冥さんがいたとはいえ-あの時のことを思い出してしまってナーバスになっているのだろう。そこでまた、これではアイツに依存しているだけではないかとネガティブな思考に陥る
何か話さないといけないような気がして、でも何を話せばいいかわからなくて
「何の話してたの?」
結局どストレートになってしまった
「クソ女にガキのお守りやらされるだけだ」
「オマエが気にする必要はねェよ」
何気ないその言葉を聞くだけで何も心配は要らないと確信できる。冷静に考えればコイツに対処できないと言うことはすなわち国家レベルの危機で、そんな事普通起きないのが当たり前なのだが…
私はこの声を聞くとやはり安心するのだ
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彼はうまくやってくれただろうか
彼の推測によると天元の同化は必要不可欠なものではないと言う
ヤツが進化したとしてもヤツの結界が精神にも作用するものなら理性を保つことは可能だろうと
確証は無いが彼の言葉にはある程度信用が置ける
なにせ彼は日本、いや世界で最も呪力を"掴んで“いると言っても過言ではない男だ。的外れと言うことはないだろうし、その人柄も無愛想な表情や荒い口調からは想像できないがとても律儀で誠実だ。適当を言っていることもないだろう
子供達を犠牲にしないためなら十分賭けられる証言だ
今は星漿体の護衛依頼が高専に入ったと聞いて彼に依頼を受けるよう頼んだところだ
prrrr…
来た
「鈴科君、どうだった?」
『残念ながらオレはお呼びじャなかったらしいな』
まぁ何となく分かっていた。彼は上層部に嫌われている
「でも君なら無理矢理ねじ込めただろう」
『そンなに気になンなら自分でどうにかすりャァいいだろ』
それは正しい。だがそれで研究を疎かにしては本末転倒だ
「頼む、お願いだ」
『…わーったよ、面倒見てやる。咽び泣いて喜べ?』
泣き落としみたいになって申し訳ない気持ちになるが彼なら許してくれるだろう
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「ったく ドイツもコイツも…」
面倒臭くても頼まれたことはこなすのがこの男、今もインターネットで情報を探っていた
「まァそォだよなァ」
呪詛師御用達のダークウェブで見つけたのは
天内理子にかかった懸賞金3000万
しかし百合子はここであることに気づく
「やっぱほっといていいか」
・『自分の意思で』
・あの時のこと
・ウェブを見て気付いたこと
全然隠れてないから伏線ではないんだけど
なんか『後に繋がる』的な奴がやりたくなったんだ