マリー「最強のふたりと、わたし」   作:ゼブラーの野郎

1 / 7
あなたに一ヶ月の試用期間を与えるわ

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

安藤「・・・」

 

押田「・・・」

 

 

押田「・・・・・・」

 

安藤「・・・っ」

 

 ガコンッ

 

 ソミュア<ガロロロォン・・・!

 

 

 ソミュア<ギャラギャラギャラ!

 

押田「・・・公道はずいぶん混んでるな」

 

安藤「どけってんだ。ソミュアのお通りだぞ」ガコッ

 

 ソミュア<ギャラギャラギャラ!

 

 

 公用車<プップー! ププーッ!

 

安藤「お出ましだな。逃げ切れるかどうか100ユーロ賭けよう」

 

押田「乗った」

 

 ソミュア<ブオォン!ギャラララララ!

 

 

押田「絶好調だな」

 

安藤「ああ」

 

 ソミュア<ギャラララララ!

 

 公用車<ブオオォ――・・・

 

安藤「ハッハッハ!どうだ撒いてやったぞ!」

 

 公用車B<ブオン!

 

安藤「!?」

 

 ソミュア<キキィーッ! ギギギ・・・!

 

 

安藤「・・・くそっ。囲まれた」

 

押田「言うこと無しだな」

 

 公用車B<ガチャ

 

文科省役人「戦車から降りたまえ!キーを手に持って降りるんだ!」

 

 

安藤「・・・うまく切り抜けたら100ユーロ」

 

押田「キミが負けるよ」

 

安藤「じゃあ200だ」

 

押田「乗った」

 

 

 ソミュア<ガパッ

 

安藤「話を聞いてください」

 

役人「言い訳をするんじゃない。両手を頭の上に置きたまえ」

 

 公用車A<ブロロロ・・・ ガチャ

 

戦車道連盟会長「やれやれ・・・会合の帰りに面倒な現場に出くわしたもんじゃな」ドッコイセ

 

安藤「待ってください。これにはワケが――」

 

役人「口を閉じるんだ。君達の暴走行為は高校生にあるまじき凶行だ。当然看過できん。車内にいるもう一人、早く出てきなさい。このメガネには熱探知機能もあるんだ」

 

連盟会長「路上であんなスピードを出してはいかんだろう。戦車道全体に悪い印象を与えてしまうぞ」

 

安藤「だから話を――」

 

役人「中のもう一人!いい加減にしないと廃校にするぞ!早く降りてくるんだ!」

 

安藤「降りられないんだよ!彼女は重体なんだ!」

 

役人「!?・・・何を言っている」

 

安藤「妊娠してるんだよ!8ヶ月なんだ!見てみろ!」

 

連盟会長「っ・・・なんだって!?」バッ ノゾキコミッ

 

 押田「――うう・・・ハァ、ハァ・・・ううぅ・・・」

 

連盟会長「こりゃ大変だ!お腹が膨らんだ生徒がおるぞ!」

 

安藤「ホラみろ!」

 

連盟会長「こりゃまずそうだ。辻くん、その目で確かめたまえ」

 

安藤「なんだってんだ!遊びで戦車走らせてたと思ったのか!?病院に連れてくとこだったんだよ!破水してるんだ!こんなトコでグズグズしてたらどんどん危なくなる!」

 

 押田「うぅ・・・お腹痛い・・・!」

 

役人「・・・ほ、本当だ。どうしましょう・・・?」

 

安藤「よーしいいだろう、考えてくれ。ゆっくりな。ただしダンナにはアンタから説明してくれよ。もし母子に何かあったらアンタのせいだ。ホラ考えろ!」

 

役人「・・・!」

 

 押田「ううう!痛いイタタタタタタ!お腹いたいよぉ〜〜〜!」ジタバタ グウゥ~!

 

安藤「あァ!?考えろ考えろ!もう片足出てるかもしれないぞ!」

 

役人「~~~っ!・・・行け!急いだ方がいい!」

 

 安藤「・・・ヘッ」

 

 

役人「君、どこに向かえばいいんだ?」

 

安藤「救急外来」

 

役人「では我々が先導しよう。未来ある子供達のためだ。会長の車は後方を」

 

連盟会長「う、うむ!がんばるんだぞ君達!」

 

 公用車A<バタム 公用車B<バタム

 

 

安藤「・・・・・・ふぅ、うまくいったな」

 

押田「にっ、にっ、妊娠だと!?誰が妊婦さんだ!」ポカポカ

 

安藤「ハッハハハ、そう膨れるな。名演だったぞ」ハハハ

 

押田「そもそも私は殿方と手を繋いだことすら――」

 

安藤「わざわざクッションを服に入れて、オスカー女優も真っ青だな」ハハハ

 

押田「そ、それよりも!それよりもだっ!今は一刻も早くマリー様のもとへ行かねばならんのだ!早く出発しろ!」

 

安藤「いい大人が二人してダマされてたな。200ユーロ儲かった」フフ

 

押田「馬鹿言うな!賭け金が高すぎる!」

 

安藤「ムードを変えてお祝いだ。ソミュアにコンポを積んでて正解だったな」

 

 CDコンポ<ガチャッ ♪~【EARTH WIND & FIRE:SEPTEMBER】

 

押田「いいか!私のおかげで助かったんだぞ!そこんとこ忘れるな!」

 

安藤「なあ押田クン、『先導しよう。未来ある子供達のためだ』だとさ。この先我々がどうなる見物だな」ハハハ

 

押田「まったく・・・野蛮人はこれだから」

 

安藤「待ってろよマリー、今迎えに行くからなー!」オーッ!

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

――これは、BC自由学園が『チーム』になるまでを描いた物語である・・・――

 

 

 

 ・・・・・一年前、冬・・・・・・

 

 

 ――BC自由学園――

 

 

 \ザワザワ・・・/ \ガヤガヤ・・・/ \ワイワイ・・・/

 

安藤(一年生)「・・・」

 

 「新体制は誰が隊長だろう」ザワザワ

 

    「私達もいよいよ2年生かー」ワイワイ

 

  「3年いなくてもやってけるかな~」ガヤガヤ

 

 

 <カツ・・・カツ・・・カツ・・・

 

アズミ「整列」

 

 \!/

 

アズミ「これより本年度最後の定例会議を始めます」

 

 安藤(3年のアズミ隊長・・・大学も決まってさぞご満悦かと思ったが、まだ隊長らしい面構えだな。さすがだ)

 

アズミ「内部生、外部生共に揃っているわね。諸君は互いにいがみ合い、練習すら別々で行うほど仲が悪いけど、今は我慢してちょうだい」

 

 内部生「・・・」 外部生「・・・」

 

アズミ「我々3年生は引退、明日からチームは新体制に移るわ。よって・・・これより新隊長の任命式を行う」

 

 安藤(・・・どーせ内部生の2年が隊長だろ・・・実力からみてアスパラガス先輩か・・・)

 

アズミ「出ていらっしゃい」

 

 <ザッ

 

 

アズミ「新隊長はマリーよ」

 

マリー「よろしく~」ヒラヒラ

 

 \ッ・・・!?/ \ドヨッ・・・/ \ザワ・・・/

 

 安藤(!?・・・あいつは確か私と同じ一年の・・・!)

 

 

アスパラガス「お待ちくださいアズミ様!その子はまだ一年生ザマスよ!」

 

アズミ「これは決定事項よ」

 

アスパラガス「で、ですが上級生を差し置いて一年が新隊長など・・・実力的にも学年的にも次期隊長はこの私が相応しいザマス!」

 

アズミ「アスパラガス、あなたも確かに実力はあるわ。でも・・・あなたには無い物をマリーは持っている」

 

アスパラガス「ッ・・・!」

 

 \ザワザワ・・・/ \ドヨドヨ・・・/

 

「チェッ・・・1年が隊長に・・・?」

                「あんな子がボスなんて・・・」

 

      「こんなのおかしいわ・・・」

 

アズミ「マリー、あとは任せたわよ」ポン

 

マリー「は~い」

 

 安藤(どういうことだ・・・アズミさんは何を・・・)

 

マリー「ん~っと、そうねぇ。とりあえず隊長就任のスピーチでもしましょうかしら」

 

 安藤(なんかトボけた奴だな・・・)

 

 

マリー「新隊長のマリーよ。私はこの学校に革命を起こすわ」

 

 

 「!?」ドヨッ・・・

 

 「革命・・・?」ヒソヒソ・・・

 

 「何言ってんだ?」ザワザワ・・・

 

マリー「BC自由学園の有史以来続く内戦を終わらせる。内部生と外部生を取りまとめて、この学園を統一するの」

 

 安藤「!」

 

マリー「あなた達を一つにまとめて、と~っても強い戦車道チームにしてみせるわ。それが私の野望よ」

 

 マリー「まずは両陣営から私を補佐する『副隊長』を立てるわ。副官になりたいという外部生の子は明日の正午、第一会議室に来てちょうだい」

 

 マリー「じゃ、待ってるから。よろしくね」ニコッ

 

 

安藤(・・・なんなんだアイツは・・・)

 

 

 

 ――・・・翌日

 

押田「誰も来ませんね」

 

マリー「焦らないの。甘いものは寝て待てと言うじゃない」ケーキ パクッ

 

押田「しかしマリー様、本当に外部生の野蛮人を副官にされるおつもりで?」

 

マリー「そうよ」モグモグ

 

押田「私を副隊長に選んでくださったことには感謝しています。しかし外部生をお側に置くなど――」

 

 扉<ガチャ

 

押田「!」

 

 

安藤「・・・」ズカズカズカ

 

押田「っ・・・」

 

 机<バン!

 

安藤「サインしてくれ」

 

押田「・・・・・・す、座りたまえ」

 

安藤「この書類にサインしてくれたらすぐ帰る」

 

押田「っ・・・え、えーと・・・・・・君は外部生だね?副隊長の立候補者かい?」

 

安藤「副隊長?あれ冗談で言っただけだろ?」

 

押田「エ・・・」

 

安藤「『内部生と外部生を平等にするため、副官を両陣営から1人ずつ選抜』・・・誰がそんな話を真に受ける。形式上、我々にもポストを与えて取り繕うって魂胆がミエミエだ」

 

押田「なっ、貴様っ・・・!」

 

マリー「あら、副官希望じゃないならその書類は何?」モグモグ

 

安藤「我々の独立認可の書類だ。今まで内部生と外部生は別々に練習をし、公式試合のみ合同でやってきた。当然、連携もバラバラでマトモなチームじゃなかった」

 

 安藤「今後は練習だけでなく試合も別々で挑みたい。我が校は外部生チームと内部生チームの二部構成でやっていく。それを認める契約書だ」

 

マリー「なるほどね。外部生を代表してあなたが直談判に来たわけ」モグモグ

 

安藤「ほとんどの上級生はアスパラガス先輩を筆頭に『強襲戦車競技(タンカスロン)』に完全移行し、チームを離れた」

 

マリー「存じてるわ」

 

安藤「我々外部生はもとより、わずかに残った内部生もアンタに従う気はないんじゃないか?」

 

押田「言わせておけば・・・!」

 

 

マリー「あなた、高校生になって何か目標はある?」ゴクン

 

安藤「そりゃあるさ。戦車道で名を上げるのさ」

 

押田「フン・・・」

 

マリー「本気?」

 

安藤「もちろん。全国大会で勝てるような――」

 

マリー「このBC自由学園の一員として、本気で武勲を上げる気はある?」

 

安藤「!・・・」

 

 

 安藤「・・・ある」

 

押田「・・・」

 

マリー「ふふっ」

 

 

安藤「・・・・・・それで、サインするのかしないのか。ハッキリしてくれ」

 

マリー「明朝10時に内部生棟3Fに来なさい。そこでサインした書類を渡すわ」

 

安藤「・・・わかった。じゃあ今日は帰らせてもらうよ」

 

押田「・・・」

 

安藤「ついでにこのイチゴもらってくな」ヒョイ パクッ

 

押田「あっ!こ、こいつ!マリー様のショートケーキのイチゴを・・・!」

 

安藤「そんじゃあ、明日受け取りに行くからな」ガチャ バタン

 

押田「なっ、なんてヤツだ・・・」

 

マリー「・・・」

 

 

 

 ――外部生寮

 

外部生A「お、安藤!どうだった?」

 

安藤「明日サインするから取りに来いってさ」

 

外部生A「意外とすんなりいったんだね」

 

外部生B「あんどーさん、マックのポテト食います?」モグモグ

 

安藤「ああ、私はいいよ。後で食べるから」

 

外部生A「おい、後で食べるってよ。残しといてやれよ」

 

 外部生C「聞いた?アスパラガスさん、タンカスロン初戦で白星だってさ」

 

 外部生D「さすがだなぁ。私、次の隊長はあの人だと思ってたよ」

 

 外部生E「まさか一年のあんなデコっぱちが隊長なんてな~」

 

 外部生F「内部生の二年で残ってる人も少ないらしいっしょ」

 

 外部生G「そりゃあそーだよね~」

 

外部生A「なあ、安藤。私達の独立が認められたらアンタがリーダーやってくれるんだろ?」

 

安藤「私が?」

 

外部生A「二年生はみーんなアスパラガスさんについて行っちまったし、残ってるメンツで一番強いのはアンタさ。誰も依存はないよ」

 

安藤「私が隊長か・・・」

 

 

 

 ――翌日

 

 \キラビヤカ~/

 

 《内部生棟》

 

安藤「・・・ったく、豪勢な校舎だこって」

 

 扉<ギイィィ~・・・

 

砂部「おはようございます。ようこそいらっしゃいました。砂部と申します」

 

安藤(さすが内部生のエリート、美人さんだな)

 

砂部「こちらへ。ご案内いたします」

 

 

 ――・・・

 

砂部「こちらが図書庫です。貸し出しのカードは不要ですが、借りた本は一週間以内に返却してください」

 

 砂部「食堂は内部生は無料ですが、安藤さんも特別に内部生と同じ待遇を受けることができます」

 

  砂部「夜は22時に消灯となっており、以降は公共スペースでの行動は原則禁止です」

 

安藤「・・・あのさ、内装もキレイだ建物も立派だと思うけど、ここに部屋は借りないよ。金もないしさ」

 

砂部「棟内を案内しろとのマリー様のご指示です。ついてきてください」

 

安藤「・・・なんだってんだ?」

 

 

砂部「こちらが安藤様専用の部屋となります」ガチャ

 

安藤「・・・!」

 

 ゴウカ~\,゜.:。+゜,゜.:。+゜,゜.:。+゜/リッパ~

 

砂部「こちらの扉が化粧室、こちらはお手洗いで、こちらは浴室です」

 

安藤「・・・エスカレーター組は皆、こんな立派な個室に住んでるのか?」

 

砂部「そうですよ。さ、案内はここまでです。マリー様の下へご案内いたしますね」

 

 

 ――・・・

 

マリー「いらっしゃい。待ってたわ」

 

安藤「・・・」チラ

 

 押田「・・・」ニラミツケ~

 

マリー「あの書類サインしておいたから、そこに置いてるわ」モンブラン モグモグ

 

安藤「どーも」カサッ

 

マリー「・・・聞かせてちょうだい。どんな気分かしら?」

 

安藤「・・・なに?」

 

マリー「周囲の期待を一身に背負うのは気分が良い?それとも重荷?」

 

安藤「そっちこそどうなんだ」

 

マリー「自分は有能な人間だと証明したい?責任を持って、人を率いる旗手になれると」

 

安藤「どういうことだ」

 

 

マリー「あなたに一ヶ月の試用期間を与えるわ。押田と一緒に私の右腕として仕えなさい。住み込みでね。合格すればあなたは我がチームの副隊長よ」

 

 

押田「!」

 

安藤「!・・・なんだって・・・それは・・・」

 

マリー「一ヶ月後、まだ独立したい気持ちがあるのならその書類を持ち帰りなさい。独立を認めるわ」

 

押田「マ、マリー様!?なにを――」

 

マリー「よろしいかしら?」

 

安藤「・・・本気なのか?あんたの言ってた野望ってのは・・・本気で叶えるつもりなのか?」

 

マリー「あら、私が意味の無い嘘を言うと思って?」

 

安藤「・・・」

 

 

安藤「・・・・・・わかった」

 

マリー「ふふっ」ニコッ

 

押田「んなッ・・・!」ガ~ン

 

マリー「それじゃあ荷物を持ってきなさい。あなたには明日から私の身の回りの世話を全部してもらうから」

 

安藤「!?・・・身の回りって・・・」

 

マリー「わかりやすく言うと私のお世話係になってもらうの」

 

安藤「メイドをやれってのか!?私が!?」

 

マリー「私の右腕なんだからそれくらいしてもらわないと。安心してちょうだい、なにもメイド服を着せようってわけじゃないわ」

 

安藤「い、いやそういうことじゃなくて・・・」

 

マリー「よろしくね♪」ニコッ

 

安藤「・・・・・・マジか」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。