マリー「最強のふたりと、わたし」   作:ゼブラーの野郎

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あなたに一ヶ月の試用期間を与えるわ

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

・

 

 

安藤「・・・」

 

押田「・・・」

 

 

押田「・・・・・・」

 

安藤「・・・っ」

 

 ガコンッ

 

 ソミュア<ガロロロォン・・・!

 

 

 ソミュア<ギャラギャラギャラ!

 

押田「・・・公道はずいぶん混んでるな」

 

安藤「どけってんだ。ソミュアのお通りだぞ」ガコッ

 

 ソミュア<ギャラギャラギャラ!

 

 

 公用車<プップー! ププーッ!

 

安藤「お出ましだな。逃げ切れるかどうか100ユーロ賭けよう」

 

押田「乗った」

 

 ソミュア<ブオォン!ギャラララララ!

 

 

押田「絶好調だな」

 

安藤「ああ」

 

 ソミュア<ギャラララララ!

 

 公用車<ブオオォ――・・・

 

安藤「ハッハッハ!どうだ撒いてやったぞ!」

 

 公用車B<ブオン!

 

安藤「!?」

 

 ソミュア<キキィーッ! ギギギ・・・!

 

 

安藤「・・・くそっ。囲まれた」

 

押田「言うこと無しだな」

 

 公用車B<ガチャ

 

文科省役人「戦車から降りたまえ!キーを手に持って降りるんだ!」

 

 

安藤「・・・うまく切り抜けたら100ユーロ」

 

押田「キミが負けるよ」

 

安藤「じゃあ200だ」

 

押田「乗った」

 

 

 ソミュア<ガパッ

 

安藤「話を聞いてください」

 

役人「言い訳をするんじゃない。両手を頭の上に置きたまえ」

 

 公用車A<ブロロロ・・・ ガチャ

 

戦車道連盟会長「やれやれ・・・会合の帰りに面倒な現場に出くわしたもんじゃな」ドッコイセ

 

安藤「待ってください。これにはワケが――」

 

役人「口を閉じるんだ。君達の暴走行為は高校生にあるまじき凶行だ。当然看過できん。車内にいるもう一人、早く出てきなさい。このメガネには熱探知機能もあるんだ」

 

連盟会長「路上であんなスピードを出してはいかんだろう。戦車道全体に悪い印象を与えてしまうぞ」

 

安藤「だから話を――」

 

役人「中のもう一人!いい加減にしないと廃校にするぞ!早く降りてくるんだ!」

 

安藤「降りられないんだよ!彼女は重体なんだ!」

 

役人「!?・・・何を言っている」

 

安藤「妊娠してるんだよ!8ヶ月なんだ!見てみろ!」

 

連盟会長「っ・・・なんだって!?」バッ ノゾキコミッ

 

 押田「――うう・・・ハァ、ハァ・・・ううぅ・・・」

 

連盟会長「こりゃ大変だ!お腹が膨らんだ生徒がおるぞ!」

 

安藤「ホラみろ!」

 

連盟会長「こりゃまずそうだ。辻くん、その目で確かめたまえ」

 

安藤「なんだってんだ!遊びで戦車走らせてたと思ったのか!?病院に連れてくとこだったんだよ!破水してるんだ!こんなトコでグズグズしてたらどんどん危なくなる!」

 

 押田「うぅ・・・お腹痛い・・・!」

 

役人「・・・ほ、本当だ。どうしましょう・・・?」

 

安藤「よーしいいだろう、考えてくれ。ゆっくりな。ただしダンナにはアンタから説明してくれよ。もし母子に何かあったらアンタのせいだ。ホラ考えろ!」

 

役人「・・・!」

 

 押田「ううう!痛いイタタタタタタ!お腹いたいよぉ〜〜〜!」ジタバタ グウゥ~!

 

安藤「あァ!?考えろ考えろ!もう片足出てるかもしれないぞ!」

 

役人「~~~っ!・・・行け!急いだ方がいい!」

 

 安藤「・・・ヘッ」

 

 

役人「君、どこに向かえばいいんだ?」

 

安藤「救急外来」

 

役人「では我々が先導しよう。未来ある子供達のためだ。会長の車は後方を」

 

連盟会長「う、うむ!がんばるんだぞ君達!」

 

 公用車A<バタム 公用車B<バタム

 

 

安藤「・・・・・・ふぅ、うまくいったな」

 

押田「にっ、にっ、妊娠だと!?誰が妊婦さんだ!」ポカポカ

 

安藤「ハッハハハ、そう膨れるな。名演だったぞ」ハハハ

 

押田「そもそも私は殿方と手を繋いだことすら――」

 

安藤「わざわざクッションを服に入れて、オスカー女優も真っ青だな」ハハハ

 

押田「そ、それよりも!それよりもだっ!今は一刻も早くマリー様のもとへ行かねばならんのだ!早く出発しろ!」

 

安藤「いい大人が二人してダマされてたな。200ユーロ儲かった」フフ

 

押田「馬鹿言うな!賭け金が高すぎる!」

 

安藤「ムードを変えてお祝いだ。ソミュアにコンポを積んでて正解だったな」

 

 CDコンポ<ガチャッ ♪~【EARTH WIND & FIRE:SEPTEMBER】

 

押田「いいか!私のおかげで助かったんだぞ!そこんとこ忘れるな!」

 

安藤「なあ押田クン、『先導しよう。未来ある子供達のためだ』だとさ。この先我々がどうなる見物だな」ハハハ

 

押田「まったく・・・野蛮人はこれだから」

 

安藤「待ってろよマリー、今迎えに行くからなー!」オーッ!

 

 

・

・・

・・・

・・・・

・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

――これは、BC自由学園が『チーム』になるまでを描いた物語である・・・――

 

 

 

 ・・・・・一年前、冬・・・・・・

 

 

 ――BC自由学園――

 

 

 \ザワザワ・・・/ \ガヤガヤ・・・/ \ワイワイ・・・/

 

安藤(一年生)「・・・」

 

 「新体制は誰が隊長だろう」ザワザワ

 

    「私達もいよいよ2年生かー」ワイワイ

 

  「3年いなくてもやってけるかな~」ガヤガヤ

 

 

 <カツ・・・カツ・・・カツ・・・

 

アズミ「整列」

 

 \!/

 

アズミ「これより本年度最後の定例会議を始めます」

 

 安藤(3年のアズミ隊長・・・大学も決まってさぞご満悦かと思ったが、まだ隊長らしい面構えだな。さすがだ)

 

アズミ「内部生、外部生共に揃っているわね。諸君は互いにいがみ合い、練習すら別々で行うほど仲が悪いけど、今は我慢してちょうだい」

 

 内部生「・・・」 外部生「・・・」

 

アズミ「我々3年生は引退、明日からチームは新体制に移るわ。よって・・・これより新隊長の任命式を行う」

 

 安藤(・・・どーせ内部生の2年が隊長だろ・・・実力からみてアスパラガス先輩か・・・)

 

アズミ「出ていらっしゃい」

 

 <ザッ

 

 

アズミ「新隊長はマリーよ」

 

マリー「よろしく~」ヒラヒラ

 

 \ッ・・・!?/ \ドヨッ・・・/ \ザワ・・・/

 

 安藤(!?・・・あいつは確か私と同じ一年の・・・!)

 

 

アスパラガス「お待ちくださいアズミ様!その子はまだ一年生ザマスよ!」

 

アズミ「これは決定事項よ」

 

アスパラガス「で、ですが上級生を差し置いて一年が新隊長など・・・実力的にも学年的にも次期隊長はこの私が相応しいザマス!」

 

アズミ「アスパラガス、あなたも確かに実力はあるわ。でも・・・あなたには無い物をマリーは持っている」

 

アスパラガス「ッ・・・!」

 

 \ザワザワ・・・/ \ドヨドヨ・・・/

 

「チェッ・・・1年が隊長に・・・?」

                「あんな子がボスなんて・・・」

 

      「こんなのおかしいわ・・・」

 

アズミ「マリー、あとは任せたわよ」ポン

 

マリー「は~い」

 

 安藤(どういうことだ・・・アズミさんは何を・・・)

 

マリー「ん~っと、そうねぇ。とりあえず隊長就任のスピーチでもしましょうかしら」

 

 安藤(なんかトボけた奴だな・・・)

 

 

マリー「新隊長のマリーよ。私はこの学校に革命を起こすわ」

 

 

 「!?」ドヨッ・・・

 

 「革命・・・?」ヒソヒソ・・・

 

 「何言ってんだ?」ザワザワ・・・

 

マリー「BC自由学園の有史以来続く内戦を終わらせる。内部生と外部生を取りまとめて、この学園を統一するの」

 

 安藤「!」

 

マリー「あなた達を一つにまとめて、と~っても強い戦車道チームにしてみせるわ。それが私の野望よ」

 

 マリー「まずは両陣営から私を補佐する『副隊長』を立てるわ。副官になりたいという外部生の子は明日の正午、第一会議室に来てちょうだい」

 

 マリー「じゃ、待ってるから。よろしくね」ニコッ

 

 

安藤(・・・なんなんだアイツは・・・)

 

 

 

 ――・・・翌日

 

押田「誰も来ませんね」

 

マリー「焦らないの。甘いものは寝て待てと言うじゃない」ケーキ パクッ

 

押田「しかしマリー様、本当に外部生の野蛮人を副官にされるおつもりで?」

 

マリー「そうよ」モグモグ

 

押田「私を副隊長に選んでくださったことには感謝しています。しかし外部生をお側に置くなど――」

 

 扉<ガチャ

 

押田「!」

 

 

安藤「・・・」ズカズカズカ

 

押田「っ・・・」

 

 机<バン!

 

安藤「サインしてくれ」

 

押田「・・・・・・す、座りたまえ」

 

安藤「この書類にサインしてくれたらすぐ帰る」

 

押田「っ・・・え、えーと・・・・・・君は外部生だね?副隊長の立候補者かい?」

 

安藤「副隊長?あれ冗談で言っただけだろ?」

 

押田「エ・・・」

 

安藤「『内部生と外部生を平等にするため、副官を両陣営から1人ずつ選抜』・・・誰がそんな話を真に受ける。形式上、我々にもポストを与えて取り繕うって魂胆がミエミエだ」

 

押田「なっ、貴様っ・・・!」

 

マリー「あら、副官希望じゃないならその書類は何?」モグモグ

 

安藤「我々の独立認可の書類だ。今まで内部生と外部生は別々に練習をし、公式試合のみ合同でやってきた。当然、連携もバラバラでマトモなチームじゃなかった」

 

 安藤「今後は練習だけでなく試合も別々で挑みたい。我が校は外部生チームと内部生チームの二部構成でやっていく。それを認める契約書だ」

 

マリー「なるほどね。外部生を代表してあなたが直談判に来たわけ」モグモグ

 

安藤「ほとんどの上級生はアスパラガス先輩を筆頭に『強襲戦車競技(タンカスロン)』に完全移行し、チームを離れた」

 

マリー「存じてるわ」

 

安藤「我々外部生はもとより、わずかに残った内部生もアンタに従う気はないんじゃないか?」

 

押田「言わせておけば・・・!」

 

 

マリー「あなた、高校生になって何か目標はある?」ゴクン

 

安藤「そりゃあるさ。戦車道で名を上げるのさ」

 

押田「フン・・・」

 

マリー「本気?」

 

安藤「もちろん。全国大会で勝てるような――」

 

マリー「このBC自由学園の一員として、本気で武勲を上げる気はある?」

 

安藤「!・・・」

 

 

 安藤「・・・ある」

 

押田「・・・」

 

マリー「ふふっ」

 

 

安藤「・・・・・・それで、サインするのかしないのか。ハッキリしてくれ」

 

マリー「明朝10時に内部生棟3Fに来なさい。そこでサインした書類を渡すわ」

 

安藤「・・・わかった。じゃあ今日は帰らせてもらうよ」

 

押田「・・・」

 

安藤「ついでにこのイチゴもらってくな」ヒョイ パクッ

 

押田「あっ!こ、こいつ!マリー様のショートケーキのイチゴを・・・!」

 

安藤「そんじゃあ、明日受け取りに行くからな」ガチャ バタン

 

押田「なっ、なんてヤツだ・・・」

 

マリー「・・・」

 

 

・

・

・

 

 ――外部生寮

 

外部生A「お、安藤!どうだった?」

 

安藤「明日サインするから取りに来いってさ」

 

外部生A「意外とすんなりいったんだね」

 

外部生B「あんどーさん、マックのポテト食います?」モグモグ

 

安藤「ああ、私はいいよ。後で食べるから」

 

外部生A「おい、後で食べるってよ。残しといてやれよ」

 

 外部生C「聞いた?アスパラガスさん、タンカスロン初戦で白星だってさ」

 

 外部生D「さすがだなぁ。私、次の隊長はあの人だと思ってたよ」

 

 外部生E「まさか一年のあんなデコっぱちが隊長なんてな~」

 

 外部生F「内部生の二年で残ってる人も少ないらしいっしょ」

 

 外部生G「そりゃあそーだよね~」

 

外部生A「なあ、安藤。私達の独立が認められたらアンタがリーダーやってくれるんだろ?」

 

安藤「私が?」

 

外部生A「二年生はみーんなアスパラガスさんについて行っちまったし、残ってるメンツで一番強いのはアンタさ。誰も依存はないよ」

 

安藤「私が隊長か・・・」

 

 

・

・

・

 

 ――翌日

 

 \キラビヤカ~/

 

 《内部生棟》

 

安藤「・・・ったく、豪勢な校舎だこって」

 

 扉<ギイィィ~・・・

 

砂部「おはようございます。ようこそいらっしゃいました。砂部と申します」

 

安藤(さすが内部生のエリート、美人さんだな)

 

砂部「こちらへ。ご案内いたします」

 

 

 ――・・・

 

砂部「こちらが図書庫です。貸し出しのカードは不要ですが、借りた本は一週間以内に返却してください」

 

 砂部「食堂は内部生は無料ですが、安藤さんも特別に内部生と同じ待遇を受けることができます」

 

  砂部「夜は22時に消灯となっており、以降は公共スペースでの行動は原則禁止です」

 

安藤「・・・あのさ、内装もキレイだ建物も立派だと思うけど、ここに部屋は借りないよ。金もないしさ」

 

砂部「棟内を案内しろとのマリー様のご指示です。ついてきてください」

 

安藤「・・・なんだってんだ?」

 

 

砂部「こちらが安藤様専用の部屋となります」ガチャ

 

安藤「・・・!」

 

 ゴウカ~\,゜.:。+゜,゜.:。+゜,゜.:。+゜/リッパ~

 

砂部「こちらの扉が化粧室、こちらはお手洗いで、こちらは浴室です」

 

安藤「・・・エスカレーター組は皆、こんな立派な個室に住んでるのか?」

 

砂部「そうですよ。さ、案内はここまでです。マリー様の下へご案内いたしますね」

 

 

 ――・・・

 

マリー「いらっしゃい。待ってたわ」

 

安藤「・・・」チラ

 

 押田「・・・」ニラミツケ~

 

マリー「あの書類サインしておいたから、そこに置いてるわ」モンブラン モグモグ

 

安藤「どーも」カサッ

 

マリー「・・・聞かせてちょうだい。どんな気分かしら?」

 

安藤「・・・なに?」

 

マリー「周囲の期待を一身に背負うのは気分が良い?それとも重荷?」

 

安藤「そっちこそどうなんだ」

 

マリー「自分は有能な人間だと証明したい?責任を持って、人を率いる旗手になれると」

 

安藤「どういうことだ」

 

 

マリー「あなたに一ヶ月の試用期間を与えるわ。押田と一緒に私の右腕として仕えなさい。住み込みでね。合格すればあなたは我がチームの副隊長よ」

 

 

押田「!」

 

安藤「!・・・なんだって・・・それは・・・」

 

マリー「一ヶ月後、まだ独立したい気持ちがあるのならその書類を持ち帰りなさい。独立を認めるわ」

 

押田「マ、マリー様!?なにを――」

 

マリー「よろしいかしら?」

 

安藤「・・・本気なのか?あんたの言ってた野望ってのは・・・本気で叶えるつもりなのか?」

 

マリー「あら、私が意味の無い嘘を言うと思って?」

 

安藤「・・・」

 

 

安藤「・・・・・・わかった」

 

マリー「ふふっ」ニコッ

 

押田「んなッ・・・!」ガ~ン

 

マリー「それじゃあ荷物を持ってきなさい。あなたには明日から私の身の回りの世話を全部してもらうから」

 

安藤「!?・・・身の回りって・・・」

 

マリー「わかりやすく言うと私のお世話係になってもらうの」

 

安藤「メイドをやれってのか!?私が!?」

 

マリー「私の右腕なんだからそれくらいしてもらわないと。安心してちょうだい、なにもメイド服を着せようってわけじゃないわ」

 

安藤「い、いやそういうことじゃなくて・・・」

 

マリー「よろしくね♪」ニコッ

 

安藤「・・・・・・マジか」

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