――・・・翌朝
安藤「Zzz・・・Zzz・・・」
扉<ドンドンドン
安藤「んぁ・・・」ムニャ
祖父江「起きてください。マリー様が起床されますよ」
安藤「・・・・・・んん・・・メイドの朝は早い・・・」ムクリ
――・・・
祖父江「朝はマリー様のストレッチのお手伝いをするのが日々の日課です。心臓に遠い位置から順にゆっくりほぐして・・・」グイ
マリー「う~」ググ~
安藤「そんなこともやんなきゃいけないの?」
祖父江「マリー様のお世話をすることは光栄なことですよ」
安藤「なあ祖父江さん、アンタも隊長になったばかりのペーペーなコイツに従うなんてイヤじゃないのかい?」
祖父江「あなたもいずれマリー様にお仕えすることの意義がわかりますよ」
安藤「・・・洗脳でもされるんじゃないだろうな」
マリー「いたいいたいいたい」ググ~
祖父江「我慢してください。もう少し伸ばしますよ~」
マリー「うえ~ん」
安藤「・・・こんなのが隊長で大丈夫なのか」
――・・・
<シャワー
安藤「ちくしょー、なんだってアタシがこんなことを・・・」ゴシゴシ
マリー「なにをフワフワやってるの。もっとゴシゴシやってくれないとキモチよくないわ」
安藤「あのな隊長殿、シャンプーくらい自分でやってくれよな。それにしても全然泡がたたないなこのシャンプー・・・」ゴシゴシ
祖父江「上手くやってますか?」ヒョコッ
安藤「高級なシャンプーって泡立ちが弱いモンなのかい?」ゴシゴシ
祖父江「泡?・・・あ、これ間違ってますわ。ボディソープでシャンプーしてるじゃないですか」
安藤「えっ、マジかよ」
祖父江「しかもシャンプーで足を洗っちゃってます」
マリー「安藤、あなた字は読めるんでしょうね」
安藤「そりゃ読めるっての!いつもは固形石鹸でやってるからわかんなかっただけだ。頭も身体も全部いける石鹸は無いのかよ」
マリー「早くしてちょうだい。いつまで目を瞑ってればいいの」
安藤「どれでやるんだ?これ?」
マリー「シャンプーって書いてあるやつよ」
祖父江「やれやれ・・・」
――・・・
祖父江「うまく出来るかしら?」
マリー「もちろんよ。安藤は足をシャンプーする名人ですもの。あなたは昼食にしなさい、祖父江」
祖父江「わかりました」ガチャ
安藤「・・・このドレスをどうしろって?」
マリー「着せてちょうだい」ンッ
安藤「・・・・・・お断りだ」
マリー「んマッ」
安藤「服くらい自分で着ろ!」
安藤「赤ん坊じゃあるまいし出来るだろう!」
安藤「なんで私がこんなことしなくちゃならないんだ!」
安藤「そんなことじゃ一人でなんにもできなくなっちゃうぞ!」
安藤「私は絶対にやらないからな!」
~ソレカラドシタノ~
安藤「・・・はい、ばんざーいして」
マリー「ばんざーい」
安藤「ジッとしろ」グイグイ
マリー「ん~っ、むぎゅーっ」グイグイ
安藤「ボタンを締めて・・・」ポチポチッ
マリー「優しくね」
安藤「ほら、着せてやったぞ。これで満足か?」
マリー「ありがとう安藤」ニコッ
安藤「ったく、なんだって私がこんなことを・・・それで、こっちのクローゼットにあるキレイなドレスは明日着るのか?」
マリー「それは安藤のドレスよ」
安藤「へ?」
マリー「あなたが正式に副隊長になったら社交界を開く予定よ。で、それがあなたが着るドレス。押田がデザインしたの」
安藤「は!?」
マリー「キレイな衣装を纏った安藤との社交界、楽しみね♪」
〜〜〜
安藤「いいか、私は着ない!あんなおべべを着て人前に出るなんて・・・こっぱずかしくてやってられるか!」
安藤「ああいうのを着るヤツは自分がカワイイと思ってる自惚れ屋だけだろ!」
安藤「あんな悪趣味なデザインのドレス絶対に着ないからな!絶対に!」
祖父江「・・・後でもいいですか?今は押田様と打ち合わせをしているので・・・」
押田「・・・」ジトー
安藤「チッ!・・・後でちゃんと話し合うからな!」ズカズカ
祖父江「ふう・・・申し訳ありません押田様、彼女は少々・・・言葉遣いが荒く――」
安藤「いやいや待て待て」ズカズカ
祖父江「ギョ、もどってきた」
安藤「話し合う必要もない。あんなドレス、見るのもイヤだ。どう考えたってマトモな神経じゃ着られない」
押田「・・・」
安藤「マリーにお洋服を着せろってのもイヤだったけど我慢した。今度はそっちが我慢する番だ。社交界はナシってことでいいな!」
祖父江「・・・わ、わかりました・・・」
安藤「よし、これで問題は解決したな。それじゃ、ごゆっくり」
押田「・・・」
祖父江「・・・わ、私はいいと思いますよ。あのドレス・・・」
――・・・
内部生一年「押田さまっ・・・あの・・・あのっ・・・お会いしてくださって光栄です・・・」
押田「私も君と話せるのは光栄だよ。何か用かな?」
内部生一年「これ・・・手紙っ、受け取ってください・・・!」
押田「どうもありがとう。後でゆっくり読ませてもらうよ」
安藤「おいそこ、なにをイチャイチャしてるんだ」
押田「!・・・」
内部生一年「あ、あなたは確か外部生の・・・」
安藤「戦車倉庫で乳繰りあうな。やるなら校舎裏でやれ。まったく」
押田「なっ!・・・き、キミはデリカシーというものがないのか!失礼だろう!」
安藤「こっちは午後の戦車道授業のために昼休み返上で準備してるんだ。ヨソでやれって言ってんの」
押田「き、貴様・・・」
内部生一年「ワイルドな物言い・・・押田さまもいいけど、あの方もカッコイイ・・・」ポッ
押田「!?」
――・・・
押田「整列!これより戦車道訓練を開始する!」
\ザッ!/
マリー「今日の訓練は安藤に指揮ってもらうわ。みんな安藤の言うことをちゃぁんと聞くようにね」
\!/ \ザワザワ・・・/ \ドヨドヨ・・・/
マリー「それじゃ安藤、よろしくね~」フリフリ
安藤「はいよ。・・・ってことで諸君、今日は私に従ってもらう」
\・・・/ \・・・/ \・・・/
安藤「私はこのチームの副隊長だ。今はまだ試用期間だが・・・諸君は私の仲間ってことになる」
安藤「すぐに信用されるとは思ってない。今までイガミあってた間柄だもんな。だが・・・」
安藤「だが、きっと君達が信用できるような副官になってみせる。私が信頼に足る人間かどうか、君達も品定めしてくれ」
\・・・!/
マリー「ふふ・・・」
安藤「おーし、そんじゃまずは準備運動して、行軍訓練をしよっか」
押田「フン・・・」
――・・・
マリー「あ~ん」
安藤「どうしてこんなことまで・・・こんなのまるで赤ん坊のお守りじゃないか」シブシブ
マリー「安藤、もっと食べたいわ。あ~ん」アー
安藤「あーはいはい、わかったわかった」ガポ
マリー「ん~っ、やっぱりこのイチゴショートは別格ね~♪」
砂部「マリー様お墨付きの店ですから」
安藤「そんなに美味いのか・・・どれ」パクッ
マリー「(〇ω〇)!」
砂部「あっ・・・よ、よりによってイチゴを食べるなんて・・・」
安藤「うん、たしかに美味い」ングング
マリー「(〇ω〇)・・・」
砂部「ま、マリー様!お気をたしかに!」
――・・・
外部生A「私達が訓練場を使うんだ!」
内部生A「いいや我々が使う!」
外部生B「やいの!」
内部生B「やいの!」
\ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ!/
押田「君達、なにをヤイノヤイノと言い争いをしているんだ」
内部生C「押田さま!外部の野蛮人達が訓練場を占拠しているんです!」
安藤「なんだなんだ、何を騒いでる」
外部生C「安藤さん!エスカレーター組が我々の邪魔を!なんとか言ってやってくださいよ!」
安藤「まあ落ち着いてくれ。あ、ホラ、その件について隊長から話があるから」
マリー「みんな~、今日の訓練は内部生外部生と合同でやることにしたわよ」
内部生&外部生『『『えっ!?』』』
安藤「そういうわけだ。今後も度々合同練習をすることになるだろう」
「そんな・・・」ザワザワ
「野蛮な猿どもと一緒に練習なんて・・・」ザワザワ
「甘ちゃん連中とじゃマトモに訓練できないよ・・・」ザワザワ
安藤「はいはい、言いたいこともあるだろうけど、とにかく訓練始めるぞー」パンパン
押田「・・・」
マリー「押田、あなたもがんばってね」
押田「・・・は、はい!」
押田(マリー様・・・本当に外部生をも治める気なのですか・・・)
――・・・
押田「マリー様、馬車の用意が出来ました。どうぞ」
マリー「ん」
押田「・・・安藤くん、キミも早く乗りたまえ」
安藤「こんなのイヤだ」
押田「・・・なに?」
安藤「文房具を買いに行くのにわざわざ馬車なんて乗りたくない。マリーもそんなんじゃ運動不足で太っちゃうぞ」
マリー「あらそう?じゃあ安藤がおんぶしてくれるのかしら」
安藤「なんでだよ足ケガでもしてんのか」
押田「貴様!マリー様に歩けと言うのか!」
安藤「そうだよ」
マリー「う~ん・・・そうね、安藤が言うことも一理あるわ。たまには歩こうかしら」ストン
押田「ま、マリー様が歩いてる!ご自分の足で!」
マリー「ふふんふ〜ん♪お散歩もたまには楽しいわね。気分いいわ」
安藤「そいつあ良かった。これからは時々運動も兼ねてウォーキングするこったな」
押田「マリー様、お疲れになったらばいつでもお申し付けください。私が馬になりますので・・・む?」
受験組<ペチャクチャペチャクチャ アハハハハ
押田「また・・・外部生の連中が往来で溜まって座り込んでるぞ」
マリー「この学園艦の中は全て自分達のフィールドだと思っているみたいね」
押田「戦車道履修生ではなさそうだが、人通りの多い道端を占拠して・・・迷惑な不良学生め」
安藤「・・・」ザッ
押田「!・・・安藤?」
安藤「やあ、君たち、ちょっといいかな」
受験組A「は?なんだアンタ・・・ってうおっ・・・い、イケメン!」キラキラ
安藤「おしゃべりが楽しいのはわかるが、ここはみんなが通る道だ。君たちがここでたむろしていると他の人が通りづらくて困る。申し訳ないが場所を変えてくれないか?」
受験組B「は、はい!スミマセンっした!」
受験組C「い、以後気をつけます!失礼しました!」
安藤「ああ、わかってくれたなら助かるよ。ありがとう」
受験組D「い、いえいえ!こちらこそありがとうございます!そ、それてば!」ソソクサー
安藤「・・・ま、こんなもんだよ」
マリー「すご〜い安藤!さすがね」パチパチ
押田「くっ、ちょっと顔がイイからって調子にのるなよ」
安藤「ほら、さっさと行こう。ただでさえマリーは歩くの遅いんだから」
マリー「む、そんなこと言われたら黙ってられないわ。私はトロくないって見せてあげるわ。それ〜」タッタッタ
押田「ま、マリー様が走ってる!あのマリー様が走っておられる!」
<ガッ
マリー「だ」ペチャ
安藤「あ、コケた」
押田「マリー様ァ!」
――・・・
―聖グロリアーナ学園艦―
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マリー「・・・美しいわ」
安藤「ふわぁ~・・・ぁ」アクビィ~
アッサム「今回の展示会の目玉作品です。数日ですぐに売れるかと」
安藤「もういいだろ。一時間もここに張り付いてるじゃないか」
マリー「せっかく絵画の展覧会に来たのだからあなたも芸術を堪能なさい」
安藤「聖グロの学園艦に行くって言うから一緒に来たけどまさかこんな成金イベントとは・・・」
マリー「飾られてる絵画をその場で購入出来る、楽しい催しよ」
安藤「まさかこんなワケのわからん絵に金を出すつもりじゃないだろうな?」
マリー「この絵は暴力的でもあるけれど同時に穏やかさを秘めてるの」
アッサム「心を打たれますね」
安藤「白いキャンバスに赤の点々垂らしただけにしか見えないけどな。これいくらなんスか?」
アッサム「たしか・・・3万ユーロだったかと。確認しましょうか」ノートパソコン カチャカチャ
安藤「確認した方がいい。どう考えたって高すぎだ」
安藤「おいおいこんな絵に3万ユーロも出さないよな?トンデもねぇよ!」ヒソヒソ
マリー「安藤、人はなぜ絵を描くと思う?」
安藤「・・・商売になるから?」
マリー「違う。地上に残せる唯一の足跡だからよ」
安藤「こんな足跡、50ユーロくれたら材料買って私が描いてやるよ。青い点々を足してやってもいい」
マリー「おバカなこと言ってないで、喉がかわいたからお水ちょうだい」
安藤「・・・ヤだ」
マリー「水筒持って来たでしょ。早くちょうだい」
安藤「・・・・・・チビは飲んじゃダメ」
マリー「!?」
安藤「・・・冗談だよ。冗談。あんたがワケわかんないことばっかり言うからちょっとからかったのさ」
マリー「・・・」
安藤「冗談だって!笑えるだろ。この水は身長150cm以下は飲めません~!ハッハハハ、な、面白いじゃん!」
マリー「(。-`ω-)・・・」
安藤「ふてくされるなって!ジョークジョーク!ハッハハハ」
アッサム「お待たせしました。この絵の値段、間違ってました」
安藤「ほらな」
アッサム「4万1500ユーロです」
安藤「!」
マリー「買うわ」
安藤「!?」
――・・・
押田「お時間を取らせてしまい申し訳ございません」
マリー「折り入って話とは何かしら?」ケーキ モグモグ
押田「・・・あの野蛮人の・・・安藤くんのことです」
マリー「・・・」モフモフ
押田「マリー様・・・十分承知でしょうがあんな奴を側に置くのは危険です。礼儀を知らない言動の数々・・・恥をかくのはマリー様なのですよ」
マリー「つづけて」ングング
押田「奴に悪影響を受け始めている内部生もいます。なぜあの様な輩を重宝されるのですか」
マリー「・・・」コウチャ スス・・・
押田「我々とは住む世界が違いすぎる・・・奴の頭の中は我々と根本的に違うのですよ」
マリー「そこがいいのよ」カチャ・・・
押田「!?・・・」
マリー「あの子、私のケーキの苺を食べるのよ。躊躇無くね。私に遠慮していない証拠よ」
マリー「押田、組織というのはみんながみんなイエスマンじゃダメなのよ。組織の長には、道を誤った時『間違えている』と言える人間が側に居るべきなの」
マリー「あなた達は忠実な騎士だけど、私が間違えても『間違っている』とは言わないでしょう?」
押田「そ、そんなことは・・・」
マリー「私だっていつでも真っ直ぐ歩けるとは限らないもの。気づいたら湖にドボンかもしれないわ」
押田「・・・」
マリー「組織には違うものの見方が出来る人間が必要なの。わかるわね?」
押田「・・・マリー様がそうまでおっしゃるなら・・・」
マリー「んっ、わかればよろしいっ。さ、紅茶が覚めないうちにケーキもいただきましょ♪」