――・・・街中
安藤「もしもし?・・・ああ、隊長は離れたところにいる。今は私一人だよ。ああ、わかった。じゃあ7時半に」ピッ
マリー「どう?砂辺ピリピリしてた?」
安藤「ああ、アンタの誕生日パーティーの準備真っ最中だ」
マリー「毎年盛大にやってくれるのよ。私に隠れてるつもりでね」
安藤「6時半には寮に戻るぞ。買い物に付き合ってやれるのはそれまでの間だけだ」
マリー「わかってるわかってる~♪」
安藤「ブランドものの店ばかり渡り歩いてるが何も買ってないな」
マリー「ん~っ・・・隊長らしい素敵なアイテムが欲しかったのだけど、どれもピンとこなくてねぇ~」
安藤「ふーん。ま、たしかに隊長らしい装飾品はある方がいいかもな。威厳が出て。まあ、マリーじゃ威厳は出なさそうだがな」
マリー「むーっ、バカにしてるでしょ」
安藤「ははは、悪い悪い」
マリー「むむむーっ」ポカポカ
安藤「すまんすまん、叩くな叩くな」ハハハ
・ ・ ・
――・・・BC自由学園舞踏ホール
<♪~♪♪~
\ワイワイガヤガヤ/ \ペチャクチャペチャクチャ/ \ニギニギヤカヤカ/
外部生A「・・・すげぇ・・・」アゼン
外部生B「隊長の誕生日会だよね?王族のパーティーじゃないの・・・これ」
外部生C「エスカレーター組の連中はさも当たり前のようにおしゃべりしてるし・・・」
安藤「・・・」キョロキョロ
外部生A「お、さすがの安藤クンも豪華な舞踏会には挙動不審になるか?」
安藤「いや・・・あいつが・・・押田がいないと思って・・・」
外部生A「そりゃ妙だな。隊長の側近がいないなんて」
安藤「・・・ちょっと見てくる」
・ ・ ・
――・・・押田の部屋
扉<コンコン
安藤「おーい押田くん、いるか~?」
扉<・・・・・・グスン・・・
安藤「どうした?・・・泣いてるのか?」
扉<ヒック・・・
安藤「入るぞ」ガチャ
押田「!・・・グスン・・・勝手に入ってくるんじゃない」
安藤「なんだ生理痛か」
押田「ほうっておいてくれ!私なんかに構うな・・・」グス・・・
安藤「おいおいどうした。いつもの減らず口は?様子がヘンだぞ」
押田「もう終わりだ・・・・・・私はマリー様にお仕えする資格などない・・・」ポロポロ
安藤「落ち着けって押田。そんなメソメソしたら綺麗な顔が台無しじゃないか。・・・何があった」
押田「・・・マリー様への誕生日プレゼントを紛失してしまった・・・・・・もうおしまいだ・・・」
安藤「なんだって?」
押田「一週間も前に用意しておいたのに・・・当日になって紛失していることに気づいたんだ・・・」ポロポロ
押田「マリー様に会わす顔がない・・・副隊長失格だ・・・人間としても失格・・・私なんかいないほうがいい・・・学校中退する」
安藤「なにバカなこと言ってんだ。ほら行くぞ。もうパーティーはじまってるんだから」グイ
押田「安藤・・・探してくれないか?」グスン
安藤「・・・私に頼み事か?お嬢様のアンタが」
押田「お金なら出す!いくらでもいい!青と金のリボンでラッピングしたこれくらいの包みだ!探してくれ!」
安藤「・・・なんだと」
押田「学校のどこかにはあるはずなんだ!いくらならやってくれる?言い値で払うから!」
安藤「いい加減にしろ。金を払うだと?私を見損なうな・・・!」
押田「安藤・・・」
安藤「仲間だったら素直に頼れ。お前にはガッカリだ・・・無くしたもんは自分で探すんだな」
扉<バタン!
押田「安藤!・・・・・・私を見捨てないでくれ・・・!」グスン
扉<・・・ガチャ
安藤「じゃあいくら払う?」
押田「っ!・・・・・・ひねくれもの・・・」
・ ・ ・
マリー「あら、安藤どこに行ってたの?これからビンゴ大会がはじまるのよ」
安藤「隊長、押田くんが言いたいことがあるんだとさ」
押田「ま、マリー様・・・実は・・・誕生日プレゼントを紛失してしまいまして・・・」モジモジ
マリー「んマッ」
押田「申し訳ございません!不名誉除隊だろうと甘んじてお受けいたします!誠に申し訳ございませんでした!」ガバッ
マリー「私がそんなことであなたをチームから追い出すと思っているのかしら?」
押田「っ!・・・」
マリー「いつか改めてプレゼントしてちょうだい。今日は私の誕生日。湿っぽい顔はナシよ」
押田「マリー様・・・!」
マリー「これからも私の大切な騎士でいてちょうだい」ニコッ
押田「っ・・・はいッ!押田ルカ、一生マリー様にお仕えいたします!」
マリー「さ、ビンゴが始まるわ。はい、カード持って。安藤も」
安藤「はいよ。・・・ウチの大将は器がデカイのか脳天気なのか・・・」ヤレヤレ
・ ・ ・
祖父江【マリー様お誕生日ビンゴ大会の特賞賞品は見事マリー様が当てられました~!】
砂部【はい、特賞はフランスの名曲『さくらんぼの実る頃』のレコードです。ビンテージ物ですよ】
マリー「やったー」ブイ
押田「さっすがマリー様!」
安藤「イカサマ無しのガチで当てるからすごいんだよなぁ・・・」
・ ・ ・
エクレール「マリーさん、お誕生日おめでとうございますですわ」
マリー「わざわざ来ていただいてありがとう。どうかしら、マジノの仕上がり具合は」
エクレール「隊長に就任してからというもの、苦労の毎日ですわ。でもそれはあなたも同じことでしょう?」
マリー「そうね。ウチも一筋縄ではいかないもの」
エクレール「お互い努力しましょう。全国大会で相対することとなっても手加減はいたしませんわ」
マリー「ええ、もちろん」
・ ・ ・
ダージリン「お誕生日おめでとう、BCの新隊長さん」
マリー「ありがとう」
ダージリン「代々、聖グロとBCは友好的な関係を築いてきたわ。先代までは幾度となく合同練習を行ってたわね」
マリー「ええ」
ダージリン「でも隊長があなたに代わってからは一度も一緒に練習していない・・・手の内を見せないためかしら?」
マリー「やることがいっぱいでして」
ダージリン「両校の関係を白紙に戻す気なのかと思いましたが、こうしてパーティーに招待されたということは友好関係は継続ということでよろしいのね?」
マリー「当然ですわ。これからもよろしく、ダージリンさん」
ダージリン「こちらこそ」
マリー「友好のしるしとして・・・こちらを」スッ
☆【安藤が描いたよくわかんない絵】☆
ダージリン「まあ、なんとも前衛的な油絵ね・・・」
マリー「貴校に譲渡しようかと。高名な方が描かれた貴重な作品ですわ」
ダージリン「へえ・・・」
マリー「受け取ってくださるわね?我々の友好のしるしとして」
ダージリン「もちろん、喜んでいただくわ」
マリー「1万1000ユーロで」
ダージリン「えっ、お金とるの」
マリー「友好的な値段でしょう?」ニコッ
ダージリン「・・・」
・ ・ ・
吹奏楽部<♪!♪~♪~
マリー「安藤、この曲を知ってる?」
安藤「トムとジェリーの曲だろ」
マリー「フフっ」
押田「なっ・・・このクラシックの名曲を知らんのか!」
安藤「音楽ってのは踊れなきゃ音楽じゃないんだよ。おーい指揮者」ガタッ
押田「んな!?なにをするつもりだ!演奏の途中だぞ!」
安藤「もっとノリノリで楽しく踊れる曲を演奏してくれよ」
指揮者「踊れる曲ですと?・・・」
安藤「アースウィンド&ファイアーの『Boogie Wonderland』とか出来ない?」
指揮者「おお!いいですとも!皆の衆!いくぞ~、3、2、3、2、1・・・」カッカッカッ
吹奏楽部<♪ッ♪ッ♪ッ♪♪ッ ♪~♪♪♪ッ♪~♪~♪~♪♪~
マリー「あら、激しい曲ね」
安藤「ほらほら隊長、座ってないで立って立って」スック
マリー「ふふ、安藤からダンスのお誘いなんて驚きね」
安藤「みんなもホラ!隊長の誕生日だぞ!踊ろうじゃないか!ほらほら!」
内部生A「・・・たしかに・・・」
内部生B「マリー様と一緒に踊れる機会なんてもうないかも・・・!」
内部生C「わたくしも踊りますわ!」
外部生A「安藤がそこまで言うなら・・・!」
外部生B「せっかくだから私も!」
外部生C「同じ阿呆なら踊らにゃ損々!」
吹奏楽部<♪~♪♪~ ♪♪♪♪~♪~♪~
安藤「はっははは!どうだ?楽しいもんだろう?」♪~
マリー「ええ、とっても」♪~
押田「マリー様・・・」
安藤「お姫様、お手を」スッ
押田「!・・・な、なにを言うんだ君は!・・・わ、私はいい」
安藤「そんなこと言わずに。みんな楽しそうに踊ってるぞ」
押田「・・・わ、私は踊るのは苦手なんだ・・・」
安藤「いいんだよ、リズムに合わせて動けば」
押田「で、でも・・・」
安藤「ほら」グイ
押田「わ!わっ!」
安藤「隊長、押田くんも踊るってさ」♪~
マリー「あら、いらっしゃいルカ」♪~
押田「ま、マリー様・・・私、うまく踊れてますか?」♪~
マリー「楽しかったらそれでいいのよ」♪~
押田「!・・・それなら・・・大丈夫ですね」♪~
安藤「はっははは、高貴なお嬢様でもダンスは苦手か」♪~
押田「う、うるさいやい!」♪~
安藤「ハハハハ」♪~
マリー「ふふふ」♪~
押田「・・・はは・・・ハハハ」♪~
・
・
・
――・・・夜
マリー「うふふふ、今日は楽しかった~」ピョンピョン
安藤「ほれ、もう寝る時間だろ。ベッドに入った入った」
マリー「はーい」ピョンコ モフ
安藤「枕の位置これでいいか?」バフバフ
マリー「ええ。ありがとう安藤」
安藤「どういたしまして。アンタの世話も慣れたもんだよ」
マリー「もうすぐ夏の全国大会の抽選会ね。私が隊長に就任して初めての公式試合だわ」
安藤「努力の成果が試されるな」
マリー「なんとしても勝たなくちゃね」
安藤「そんなアンタにOGのアズミ先輩から誕生日プレゼントだ」スッ
マリー「手紙?」
安藤「読み上げるぞ。『前略マリー隊長へ。がんばってるかしら?隊長にもなると気苦労も多いでしょうけど、無理しないでね』」
安藤「『戦車道の一番の武器は信頼と友情。それを覚えておきなさい』」
安藤「『もしも内部生と外部生がお互いを信頼して一体となったら・・・』」
マリー「・・・」
安藤「『・・・』の意味はなんだと思う?『さいきょう』って意味さ」
マリー「ふふふ、私達が最強、ね」クスクス
安藤「あんたならやれるさ。受験組もエスカレーター組も一つにまとめて、きっと最強のチームを作れるよ」
マリー「ありがとう。最高の誕生日プレゼントだわ」
安藤「・・・じゃあ、そろそろ私も寝るよ。手紙、枕元に置いておくからな」
マリー「おやすみ、レナ」
安藤「・・・誕生日おめでとう、マリー様」