マリー「最強のふたりと、わたし」   作:ゼブラーの野郎

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手を握ってくれ

 

 ――・・・戦車道全国大会抽選会当日

 

マリー「ハンチングにしてみようかしら」スッ

 

押田「お似合いですマリー様」

 

安藤「ダメダメ、昔の漫画家みたいだ」

 

マリー「ん~、どの衣装で行こうか迷っちゃうわね」コレモイイ アレモイイ

 

安藤「どれでもいいじゃん。たかが抽選会だし」

 

押田「なにを言う。全国の強豪と顔を合わせるのだぞ。マリー様の品格を見せつけるためにもハンパな格好ではダメなんだ」

 

マリー「こんなのどうかしら。赤いドレス」シャランラ~☆

 

押田「ぅおあキレイですマリー様!」

 

マリー「う~ん、でもやっぱりいつもの制服が一番かしら♪」シャルンッ☆

 

押田「ほあぁ美しいマリー様!」

 

安藤「やれやれ、付き合ってられないや」

 

マリー「いい機会だわ。安藤、抽選会には押田が付き添ってくれるから、あなたはオフにしなさい」

 

安藤「丸一日休みか」

 

マリー「大会本番までに外部生の子達の士気もまとめておいてちょうだい」

 

安藤「わかってるよ。マリーも一回戦で強豪校を引き当てるんじゃないぞ」

 

マリー「・・・ちょっと緊張する」

 

安藤「初戦から黒森峰やプラウダを相手にはしたくないもんな」

 

押田「安藤ォ!マリー様にプレッシャーを与えるな!」

 

マリー「・・・やっぱ行くのやめよかな」

 

押田「マリー様ァ!」

 

 

 ――・・・

 

外部生A「よ、安藤」

 

安藤「見つかった?」

 

外部生A「いや、まだだよ。青と金のリボンで包装された包みだろ?」

 

安藤「ああ、この学園艦のどこかにはあるはずなんだ」

 

外部生A「学校の敷地内はくまなく探したよ。みんなでね」

 

安藤「人数を増やしてくれ。念のため船底も頼む。誰かが拾って持ってっちまったかもしれない」

 

外部生A「わかった。だけど一体何の包みなんだい?そんなに大事な物?」

 

安藤「私のじゃないよ」

 

 安藤(押田が紛失した隊長へのプレゼント・・・どこにあるんだろうな)

 

 

 

 ――・・・戦車道全国大会対戦抽選会場

 

押田「――!」

 

マリー「・・・」

 

押田「・・・マリー様・・・」

 

マリー「どうやら初戦から大物を相手にすることになってしまったようね」

 

 

 司会【あーっと!聖グロリアーナが引いたクジは10番!よって9番のクジを引いたBC自由学園との試合が確定しましたー!】

 

ダージリン「よろしくね、マリーさん。手加減ないたしませんわよ」

 

マリー「まあ怖い」

 

 

押田(我が校の戦車では聖グロの防御力を貫くのは至難の業・・・かなりの難局だ・・・)

 

マリー「押田、帰るわよ」

 

押田「えっ・・・でもまだ残りの抽選結果が・・・」

 

マリー「興味ないわ。帰るの」

 

押田「わ、わかりました」

 

マリー「それでは、ごきげんよう」

 

ダージリン「ええ、ごきげんよう・・・」

 

 

 ――・・・

 

安藤「くそっ・・・全然見つからない・・・押田のやつどこにやったんだよまったく・・・」

 

 携帯<オーパッキャマラードー♪パッキャマラード♪パオパオパー♪

 

安藤「あ、電話」ピ

 

マリー【安藤、今何をしてるの?】

 

安藤「探し物。そっちは?抽選会終わったのか?」

 

マリー【ええ】

 

安藤「一回戦の相手は?」

 

マリー【聖グロリアーナよ】

 

安藤「・・・そうか」

 

マリー【ええ】

 

安藤「・・・・・・」

 

マリー【今から出かけない?押田と3人で】

 

安藤「・・・わかった。校門まで行くよ」

 

マリー【待ってるわ】Pi

 

安藤「・・・聖グロか」

 

 

 

 <ヒュオオオォォォ~~~ッ

 

マリー「いい景色ね~」ンー

 

安藤「よせマリー!戻ってこい!」

 

押田「マリー様!危ないですよ!落ちたらどうするんですか!」

 

マリー「二人もこっちに来なさい。素晴らしい眺めよ」

 

安藤「来いったって・・・」

 

 

 

 ――・・・―― 《 凱旋門 》 ――・・・――

 

 

安藤「凱旋門の上だぞ。そんな端っこに行ったら危ないだろ」

 

押田「落っこちないうちに早く戻ってきてくださいマリー様ァ!」

 

マリー「やーよ。二人が来てくれるまで帰らないから」

 

押田「ま、マリー様・・・」

 

安藤「押田くん、行けよ」

 

押田「君こそ行ったらどうなんた安藤くん!」

 

 マリー「らんらららん」♪~

 

押田「ああっ!マリー様!そんなとこで踊っちゃダメです!危ないっ!」

 

安藤「くっ・・・仕方ない。こうなったらやぶれかぶれだ。私は行くぞ」グッ

 

押田「あ、安藤・・・!」

 

安藤「お前も来い。ふたりで行かないとダメなんだから」

 

 マリー「押田~、待ってるわよ~」

 

押田「っ!・・・~っ・・・ええい、ままよっ!」グッ

 

 

 <ヒュオオオ~~~・・・・・・

 

押田「あ、安藤!しっかり手を握っててくれよ!」ブルブル

 

安藤「そんなにひっつくんじゃない。歩きづらいだろ」

 

押田「す、すまん・・・」ブルブル

 

安藤「ほら、隊長、ご要望通り来たぞ」ジリジリ

 

マリー「待ちくたびれたわ。見てごらんなさい、この眺めを」

 

安藤「眺めなんて――」

 

 

 ―――――・・・・・・ ・ ・ ・  ・  ・  ・   ・   ・   ・  ・  ・  ・ ・ ・ ・・・・・・―――――

 

 

安藤「――・・・たしかに荘厳だ」

 

押田「学園艦をこんな場所から見たのは初めてだが・・・これほど美しいとは・・・」

 

マリー「私ね、この場所けっこう気に入ってるの」

 

安藤「・・・」

 

マリー「内部生と外部生を一つにまとめて勝利を得られたなら、この門を凱旋してパレードするのが夢なの」

 

押田「マリー様・・・」

 

マリー「あなた達がいなきゃその夢は叶わないわ。がんばってね」

 

安藤「アンタもがんばるんだよ」ビシッ

 

マリー「あうっ」

 

押田(・・・マリー様の夢・・・そうだ、私はもっとマリー様の右腕に相応しい人間にならねばならない。いや、私達は・・・)

 

安藤(BCを統一か・・・無理だと思ってたけど・・・こいつなら・・・マリーなら出来るかもな・・・)

 

 

押田(もっと強く。もっと気高く・・・)

 

安藤(私も・・・マリーの夢を叶えてやりたい)

 

 

押田(私達は・・・)

 

安藤(私達なら・・・)

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 マリーのおなか<グウゥ~

 

マリー「おなかすいちゃった。帰りましょっか」

 

安藤「そうだな」

 

押田「安藤くん」スッ

 

安藤「?」

 

押田「歩くの怖いからまた手を握ってくれ」

 

安藤「・・・仕方ないな」

 

マリー「じゃあ私も~♪」

 

安藤「おい、なんで私と押田の間にマリーが入るんだ。捕らえられた宇宙人みたいだぞ」

 

マリー「わーい」ブランブラン

 

押田「ま、マリー様!揺らさないで!こっ、怖いっ!」

 

安藤「やはりこんなのが隊長じゃ頼りないかもしれない・・・」

 

 

 

 ――・・・

 

安藤「――だから言ってるじゃないか。フランス映画の最高傑作は『最強のふたり』だって」

 

押田「一般認知度を加味してもジャン・レノの『レオン』が至高ということは目に見えているだろう。これだから一般ピーポーは」ヤレヤレ

 

安藤「なんだと~!隊長、アンタはどっちがいいと思う?」

 

押田「そんなこと訊くまでもないだろう。ね、マリー様」

 

マリー「どっちが上かなんて決められないわ。どちらも素晴らしい、それでいいじゃないの」

 

安藤「か~っ!これだからお嬢様は!」

 

押田「さすがマリー様!寛大です!」

 

 

 <ザワザワ・・・ドヤドヤ・・・

 

マリー「あら、噴水の前が騒々しいわね」

 

 <コノヤロー! ナニヲー! ナンダーテメー!

 

内部生A「やはり貴様達の仕業だったんだな!この盗人どもめ!」

 

外部生A「違うって言ってるだろ!決めつけるんじゃない!」

 

 内部生B「我々の敷地に無断で入っておいてその言い草はなんだ!」

 

 外部生B「お前達だって寮に押し入ってきただろう!」

 

  内部生C「なにをー!」

 

  外部生C「なんだとー!」

 

 \ワーワー!/ \ナメンジャネエゾー!/ \フザケンジャアリマセンワー!/

 

押田「きみたち、まちたまいー!」ザッ

 

安藤「何を言い争っているんだ」ザッ

 

外部生A「安藤!聞いてくれ、こいつらが――」

 

内部生A「押田様、ごらんください!外部生の連中がこれを隠し持っていたのですよ!」

 

押田「!・・・これは・・・」

 

安藤「青と金のリボンで包まれた・・・包み・・・これって」

 

内部生B「これは押田様がマリー様への誕生日プレゼントとして用意なさっていたものですよね」

 

内部生C「外部生の奴らがこの包みを持って、寮に入ってゆくのを目撃したんです!」

 

押田「なっ・・・やっぱり外部生が持っていたのか!」

 

 安藤「――・・・やっぱり?」

 

外部生A「違うと言ってるだろう!私達は安藤に頼まれてこの包みを探していたんだ!」

 

外部生B「戦車倉庫の奥で見つけたから、安藤さんが帰ってきたら報告しようと持ち帰ったんだ」

 

外部生C「そしたら内部生の連中が我々の寮に押し入って奪っていったんだ!盗人はお前達の方だ!」

 

内部生A「嘘を言うな!最初からお前達が隠していたんだろう!」

 

安藤「・・・」

 

マリー「あなた達、少し落ち着きなさい。押田、この包みは戦車倉庫の奥にあったそうだけど、心当たりはあるのかしら?」

 

押田「そ、そういえば・・・誕生日当日の朝連までは確かに持っていましたが、そこで置き忘れていたのかも・・・」タラ~

 

マリー「それから?」

 

押田「・・・安藤に探してほしいと頼みました・・・外部生の者達が言っていることは本当です・・・」

 

外部生A「ほれみろ!」

 

内部生A「なっ・・・そ、それは本当ですか押田様」

 

押田「・・・」コクリ

 

内部生A「っ・・・我々の勘違いだったとは・・・」

 

外部生A「盗人呼ばわりされたんだ!謝ってもらいたいね!」

 

安藤「押田」

 

 

 安藤「『やっぱり』・・・あんたそう言ったよな?」

 

押田「!」

 

 

安藤「外部生が包みを持っていたと聞いて、第一声が『やっぱり』・・・我々が盗んだと、そう思っていたのか」

 

押田「・・・い、いや・・・」

 

安藤「私に探してくれと頼んだのは、外部生の誰かが盗んだと思っていたからだったのか」

 

押田「・・・そういうことでは――」

 

安藤「見下げ果てられたものだな・・・こんなことじゃ一緒に戦うなんて無理な話だ」

 

押田「・・・!」

 

安藤「・・・試合はあんた達だけでやるんだな。行こうみんな」

 

押田「!?・・・な・・・待て!どういうことだ!?」

 

安藤「あんた達とはやっていけない・・・私達はチームを抜ける」

 

押田「っ!・・・安藤待て。待ってくれ・・・安藤・・・・・・安藤!」

 

 

マリー「・・・」

 

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