地面に横たわるノヴァが僅かに身じろぎをした。ノヴァの側に片膝をついていた俺は、それを見てようやく最悪の状態から脱せられたと感じ、そっと安堵の息をついた。意識を取り戻しさえすれば、こいつの生命力ならきっと持ち直すはずだ。閉じられた瞼が、ピクピクと痙攣する。もう少し、もう少しだ……。俺は、
ロモスの町並みを見下ろせるこの高台には、先ほどまで響いていた耳を聾するような炸裂音が鳴りを潜め、今は呻くような風の音と、時折その風に乗って運ばれてくる闘技場からの戦闘音が微かに響くのみだった。
瞼が開くのに僅かに遅れて、硬く閉ざされていた口が開いた。
「う、ううん……。こ、ここは……?」
「気がついたか、ノヴァ? ああ、動くなよ。まだお前の治療は終わっていないからな」
俺は、
「ポップ……? き、君が……助けてくれたの……かい?」
徐々に焦点があってきたのか、しっかりと俺の顏を見てそう問いかけるノヴァ。
「……まあ、そういう事になるかな。だけど、一番頑張ったのはお前自身だよ、ノヴァ。大したものだ」
そう答えながら、俺はまだ満足に手を動かせないノヴァの代わりに、こいつの目にかかった髪をそっと梳いてやった。
「頑張っただなんて……。僕はただ、君達の邪魔をしただけじゃないか。……僕はもう長くないんだろう?」
ノヴァはほんの少し瞬いた後、悲壮な目で俺を見上げた。
「馬鹿、そんなわけないだろう。お前はちゃんと治るよ。そのために、今お前に医療魔法をかけ続けているんだ。良い子だから、そのままおとなしく横になっていな」
「医療魔法……? それは一体――」
ズガーン!!
俺がノヴァを安心させようと片目を瞑って声をかけたちょうどその時、眼下に見える闘技場から大きな破壊音が轟いた。俺がそちらにそっと目をやると、ちょうどマァムの閃華裂光拳がザムザのハサミのようになった左拳を砕いた所だった。おや、今気づいたが『ゴーストくん』(つまりブロキーナ老師だ)とチウまでいつの間にか参戦しているようだ。
ノヴァも僅かに首をめぐらし、闘技場での戦いに目をやった。
「まだ戦いが続いているのか……。あそこで戦っているのは勇者達だろう? どうして、君は救援に行かないんだ?」
「あっちの戦いはダイ達に任せているから行く必要が無いし、何より、今はお前の治療が最優先だからだよ」
「治療……。じゃあ、本当に僕は助かるんですか? 気休めじゃなくて?」
「嘘なんかつくわけないだろう。大丈夫、時間はかかるけど、ちゃんと全快するよ。大賢者は嘘はつかないのさ」
俺がニヤッとノヴァに笑いかけると、最初は半信半疑の様子だったノヴァもようやく身体に感覚が戻ってきたのを実感して安心したんだろう。その目から一筋の涙が零れた。
ノヴァは、そのまま静かに眼下の戦いに目をやり、ため息交じりに口を開いた。
「……本物の勇者は強いですね。僕のような偽物の勇者とは、雲泥の差だ」
「ダイが強いのは確かだけど、お前だって立派に勇者していたじゃないか。噂は聞いているぜ。リンガイアでは、ほとんどお前一人の力で超竜軍団の侵攻を押し留めていたんだろう? そんなの俺にだって出来ないよ」
「……だけど、結局僕は失敗しました。何一つ守る事ができなかった。僕が、父さんの忠告に満足に耳を傾けず、アバン殿やあなたの力を侮り、自分の力に自惚れていた愚か者だったせいで、皆を死なせてしまいました……」
ノヴァはそう言って、全てに絶望したかのように息を吐いた。そんなノヴァの額を、俺は魔法を唱えていない左手で軽くデコピンしてやった。
「痛っ。……何をするんですか?」と、恨めし気な視線を向けるノヴァ。
「痛いだろう? 痛いって事は、生きているって事だ。生きている限り、お前はまだやり直せるって事だぞ。失敗した? そんなの誰だってする事だろう。俺だって、これまで何度も失敗したぜ? だけど、大事なのはその失敗から何を学んで何を今後に活かしていくかじゃないのか? 俺は失敗を経験した事が無い人間より、失敗から学んだ人間の方を信頼するよ」
「ポップさん……」
ドォォォーン……
ザムザが地響きを立てて、横倒しに倒れた。やったのはダイかな?
「強いだろう、ダイは? だけど、ダイだって最初からあれほど強かった訳じゃないんだ。あいつだって、いっぱい失敗して、でも少しずつそれを克服していって、あそこまでになっているんだ」
ノヴァは、
「そうか……。彼は、ポップさんを目標にしているんですね。だから彼は……ブレないんだ」
「ん? ダイの事か? そうだな、そう言えばそんな事をいつかマァムも言っていたな。ふふふ。可笑しいだろう? ダイと一緒に旅に出た時ならともかく、今のダイは俺なんてとっくに追い越しているのにな。あいつ、あれだけ強くなっているのに、その事に気づいていないんだよ」
俺の言葉にノヴァは、クスッと笑みを浮かべて俺を振り返った。
「いえ、それは多分、彼が目標としているものがポップさんの言う単純な強さだけじゃなくて、それをひっくるめた全てを目標としているから、今でもそう言っているんだと思いますよ」
「強さだけじゃないって何だよ? 他に何かあるのか?」
「……そうですね。色々ありますが、例えば隣に立っていてくれるだけで感じられる安心感、……もその一つではないでしょうか?」
「何だよ、それ? それはアバン先生の事だろう? 俺にそんな力はないよ」
隣りに立っていてくれるだけで、きっと何とかしてくれると感じられる唯一無二の存在感。それはまぎれも無くアバン先生の専売特許であり、前大戦時はその力が魔王軍打倒の原動力となったはずなんだ。……今の俺が、最も希求して止まない力だよ。
「いえ、敵として一時はポップさん達の前に立ちはだかった僕だからこそ分かります。彼は強敵が現れた時、いつもポップさんの姿を仰ぎ見て、その心を落ち着かせているはずですよ。それは彼だけじゃなくて、ポップさんのお仲間の皆さんが抱いている共通した想いだと、僕は思います」
そうやって訳知り顔で言うノヴァを見ていると、ノヴァに何故こんな事も分からないと内心で笑われているのではという直感が働き、不意にこいつに対するいらだちが募った。だから俺は、右手で放出している
その効果はすぐにあったみたいで、ノヴァの眉間に皺が寄せられた。
「――!? あっ、痛い! 痛いですよ! 酷いです、ポップさん! どうしてッ!?」
「うるさい、うるさい! だいたい、お前いつから俺の事をさん付けして、敬語を使っているんだよ? お前、俺より年上じゃなかったか!?」
「そうですか? 僕は16歳ですが、ポップさんは?」
「15だよ! やっぱりお前の方が年上じゃないか! 何、しれっと敬語使ってるんだよ!」
「でも僕、ポップさんからはもっと年上の、そうですね、ポップさんからは不思議と父さんに似た包容力を感じるので―― い、痛い! 痛いですって、ポップさん! やめてくださいよ、それ!」
「馬鹿! 何が父さんに似た、だよ! 俺はまだそんな年じゃないんだ! ふざけるな!」
その後、俺は何度も、「さん付けするな」、「敬語を使うな」と言ったがノヴァは、「人を尊敬するのに年齢は関係ありません」と言って頑なに拒否るもんだから、結局最後は俺が折れる事になってしまった。
「……たく、強情者め。バウスン将軍に会ったら、言いつけてやるから覚えていろよ」
「え!? 父さん、生きているんですか?」
「ああ、生きておられるらしいよ。まだ会ってはいないけど、パプニカの姫さんが連絡が付いたって、言っていたから間違いないと思うぜ」
ノヴァは泣きそうな顔で「そう……ですか。良かった。……父さん」と口にした。
「元気になったら直ぐに会えるさ。この戦いが終わったら、親子でリンガイアの復興に力を尽くしたらどうだ?」
俺のその言葉にノヴァはしばし沈黙した後、俺を見つめて口を開いた。
「……ポップさん。勝手なお願いですが、この魔王軍との戦いに勝利する事が出来たら、リンガイアに仕官して、僕と一緒にリンガイアの復興のために力を貸してくれませんか?」
……いきなり何を言い出すんだ、こいつは? 頭までザボエラに改造されたか? そうでないなら、寝言は寝てから言えよな。
「え……嫌だよ。そんな事は、リンガイア戦士団の団長だったお前やバウスン将軍がやれよ。俺、リンガイアには縁もゆかりも無いし。それどころか俺、リンガイアにはどこかの誰かさんに武術交流だとか言って、ボコボコにされた嫌な記憶しかないんだよ」
俺がそう言ってノヴァをジトッとした目で睨むと、ノヴァは「う……」と呻いて申し訳なさげな顔をした。
「そ、その節は大変失礼をしました。心から、……心から謝罪します。で、ですが、リンガイアの復興にはポップさんの力がどうしても必要なんです。どうかその力を――」
「だから嫌だってば。だいたい、俺はもう仕官を申し込む事を考えている国が別にあるんだ。悪いけど、他を当たってくれよ」
俺のその言葉に、ノヴァが信じられないとでも言いたげな顔をして「どこに仕官するつもりなんですか!? パプニカですか!? いや、ベンガーナですか!?」と、身を乗り出して聞いてきた。
「おい、まだ動くなよ。治療中なんだから」と、俺は背中を浮かせたノヴァの肩に手を置いて、再び横にさせる。
「ったく、俺の動向なんてどうでも良いだろうに。はー。パプニカでもベンガーナでも無いよ。……カールだよ」
「カール……」
ノヴァは俺の答えを聞き、目をシパシパと瞬かせ「理由を聞いてもいいですか?」と、尋ねてきた。
理由……ね。理由なんて一つしか無いんだけどね。アバン先生が生きていれば、きっと戦後はカールの復興に力を注いだはずなんだ。俺がアバン先生の代わりをできるなんて増長しているつもりはないけれど、少しでもカールの復興の役に立ちたい。それが、アバン先生に救われた俺の命の使い方だから。たとえあの世のアバン先生に、『またポップは義務感で動いて』と叱られたって構わない。それにこれは義務感じゃない、使命感だ。
「知っているか、ノヴァ? カールのフローラ女王はものすごい美人らしいぜ? 今は行方不明だけど、きっと何処かで生きておられると俺は信じている。どうせ仕えるなら、仕えがいのある見目麗しい美人の元が良いだろう? それが理由さ」
俺がノヴァにそう片目をつむってさも何でも無いかのように答えると、ノヴァは何故か少し遠くを見る目をした後、口を開いた。
「……そうか。確か、アバン殿の故郷がカールでしたね。だからポップさんは、アバン殿の代わりに……」
……こいつ。俺の話を聞いていなかったのかよ。ていうか、読心術でも心得ているんじゃないだろうな。心の内を洞察された俺は悔しくなって、再び
「――!? い、痛いっ! 酷いですよ、ポップさん!」
闘技場での戦いはまだ続いている。チウが武術大会の予選の時とはうって変わって開き直ったかのような動きをしている。惜しいな。あの動きが予選でできていたら、決勝トーナメントに進めたかもしれないのに。
へろへろがザムザの膝裏に『どたま金槌』を叩きつけて体勢を崩した瞬間に、でろりんが『まどろみの剣』を振るってザムザの角の片方を根元から断ち切った。だけど、ザムザは切った端から回復しているようだ。やはり奴を倒すためには、圧倒的な力を一度に叩きつけるか、マァムの閃華裂光拳を急所に加えないといけないのだろう。
それをザムザも理解しているのか、ダイとマァムの動きだけは警戒した戦い方をしている。俺はノヴァにかけている
大分治療が進んだが、まだもう少しかかりそうだ。皆、すまないけど頑張ってくれよ。
「でもポップさん、僕は諦めませんよ。僕、ポップさんを兄のように思っているんで、絶対にリンガイアに―― ――!? い、痛いっ! な、何で!?」
「何でもへちまもあるか! 何が悲しくて、俺より年上のお前に兄貴呼ばわりされなきゃならないんだよ! だいたい俺の弟枠は、ダイとルーンとカミーユでもう一杯なんだよ! お前の入る枠は無い!」
「えっ、ええ!? ダイ君は良いとして、誰ですか、ルーンとカミーユって!?」
「ルーンは、ラドルって村で俺のことを兄貴、兄貴って慕ってくれるかわいい弟分だよ。カミーユは、ヤマガイって村に住んでいる奴だ。お前にボコボコにされた後立ち寄った村で知り合ったんだよ。利発で優しい、あれこそ理想の弟って感じの奴だったよ」
俺はルーンとカミーユの顔を思い出す。……ルーンか。エルサさんと元気にしているだろうか? 俺は左手首に巻いたミサンガに目を落とした。エルサさん、気立ての良い、めちゃくちゃ良い娘だったなー。
いかん、エルサさんの事を考えていたら、彼女の手料理が食べたくなってしまった。あの時は2週間もエルサさんの自宅でお世話になったから、アバン先生も俺も完全に胃袋を捕まれてしまったんだよな。
「ボコボコって、もうそれについては謝ったじゃないですか、ポップさん。それより、ヤマガイというのはリンガイア西部の村の事ですよね? そんな村の人とも交流があったんですね」
「ああ、そうだよ。1ヶ月ほどそいつの家でお世話になったからな。……あれ、そう言えばカミーユに戦いが終わったら、一度顔を見せにいく約束をしていたな。うーん、いずれにしても一度リンガイアには行かざるを得ないか……」
「――! い、いつ、ヤマガイに行かれるのですか? その時には僕にも声をかけてくれませんか。是非、そのカミーユさんとの面談に同行させていただきたいです……!」
……。俺の勘が、気色ばんだノヴァの様子からこいつにリンガイア訪問を知られたら危険だと訴えている。だから俺は、「分かった、分かった。カミーユの所に行く前には、お前に先触れを出すよ」と答えながら、絶対にこいつには知らせず、カミーユの元気な顔を見たらすぐに家に帰ろうと心に決めた。
ガラガラガラ……。
闘技場の中の観客席の一部の壁が崩れる大きな音が、この高台まで運ばれてきた。その音に俺が再び闘技場に意識を戻すと、ザムザの大きな手にマァムが捉えられた所だった。そのマァムの手には、何やら粘着性の物質が纏わり付いていて、必殺の閃華裂光拳が封じられていた。
その様子を見て、俺は一瞬肩を震わせた。まずいな、
即座にマァムのその両手に、まぞっほの放った火炎呪文が命中しその粘液を溶かしていった。やるな、まぞっほ! その腰に巻かれた『マトリフのベルト』が輝いているぞ! ……もう外せないけどな。
直後、マァム渾身の閃華裂光拳がザムザに決まった。大きな叫び声を上げて、苦悶の表情を浮かべるザムザ。
そんなザムザに対し、観客席の最上段に立ったダイは『覇者の剣』のレプリカを手にアバンストラッシュの構えを取っていた。あの剣が既に本物の『覇者の剣』とすり替えられている事はダイも承知しているはずだ。それでもなお、あの構えを取るという事は一合で勝負を決めようとしているのだろう。
俺はダイの中に流れる
そして、こちらもそろそろ終わりか。俺は
「……うん、治療はうまくいったみたいだな。リハビリを兼ねてまだ数週間の静養は必要だけど、後はよく寝てよく食べていたら全快するさ」
「ありがとうございます、ポップさん。何てお礼を言ったらいいか……」
「良いんだよ。治療は終わったと言っても、身体は弱ったままだからな。お前、ザボエラに囚われていた間、禄に飯を喰ってなかっただろう。身体がガリガリだぞ。もう少しそのままでいると良い。その間に俺は最後の用事を片付けておくから。パン、待たせた。そいつをこっちに連れてきてくれるか?」
俺は首を後ろに巡らし、パンを呼んだ。その俺の声に反応し、パンは口に俺がそいつと呼んだ物を咥えて、トコトコとやってきた。
パンは、俺の前でそいつをぺいっとばかりに地面に転がして、(仕事した、褒めて褒めて)とばかりに俺の体にその細い体をスリスリと擦り付ける。
そんなパンの頭を俺は優しく撫でてやる。
「ふふふ。見張りありがとうな、パン。さて、待たせたな、ザイード。何か言い残す事はあるか? ザボエラに何か言いたい事があるなら、機会があったら伝えてやっても良いぞ」
俺の言葉にザイードは、「何もあるものか。……やるなら、さっさとすれば良いだろう……」と力のない声で答えた。
そう、今俺の前に転がっているのはザイードだったものの成れの果てだった。俺の放った
俺は、只の鎧になって脅威度が低くなったこいつのとどめは後回しにして、ノヴァの治療に移っていた。それほど、ノヴァの容態は喫緊のものだったという事だ。そのノヴァの治療が終わった今なら、とどめをさせる。普通の攻撃呪文がこいつに通じるかどうか分からないが、もう一度この鎧に対して
敗者を必要以上にいたぶりたくなかった俺は、早速
「待ってください、ポップさん。……彼を、ザイードを生かしてやってくれませんか?」
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side ノヴァ
僕は、眼下の勇者達の戦いを横目で見つめながら、時折、難しい顔をして僕の側に膝を突いて治療を施してくれているポップの顔を見つめた。
僕はもう長くないだろう。自分でも分かっていた。ザイードの身体から救い出されたものの、もう僕の身体はまるで自分の身体ではないかのように錯覚するほど感覚が無かった。手も足も動かない。呼吸すら満足に自分の意思でできない。時間的な感覚はとうに麻痺していたが、ザボエラに捕らえられ、あの黒い鎧を着てからこれまでの間、奴に身体の隅々を散々に書き換えられた感覚がある。そんな身体だから、最初はポップが僕にかけてくれた魔法は、ただの気休めとしか思えなかった。
だけど、ポップはそんな僕の言葉を否定し、絶対に助けると断言した。そんな事を言って僕に希望を持たせないでくれ、と思ったけれど徐々にそのポップの言葉が正しい事を証明するかのように、身体の機能が元に戻っていくのを感じた。
手の指が少しずつ動きだした。足もだ。そして、目に色が戻った。ザボエラに捕らえられてからこれまで、徐々に失われていったものが逆に徐々に戻ってきた。色彩鮮やかな景色が瞳に映るのはいつ以来だろう……。
嬉しい……。僕はどうやら本当に助かるようだ。浅ましくも、思わず僕の目から涙がこぼれた。
眼下では、勇者達が大きな異形の敵と戦っている様子が遠目にだがよく見えた。皆が互いを補い合って強大な敵と対峙している。あの日の僕には出来なかった事だ。もっと父さんの言葉を真摯に聞いていれば……。僕のせいで大勢の人間が死んでしまった。
あのポップと対峙した日に共にいたロイも、マーロイも、ヨセフも、ランドルも皆命を落とした。そうやって嘆いていたら、ポップが僕を諭した。
「……大事なのはその失敗から何を学んで何を今後に活かしていくかじゃないのか? 俺は失敗を経験した事が無い人間より、失敗から学んだ人間の方を信頼するよ」
その言葉は、僕の胸の一番深い場所にすうっと染みこむように入っていった。どうしてだろう、ポップさんの発する言葉は何故か暖かい。ああ、なんだか父さんに感じるような包容力を僕はポップさんに感じているんだ。そうか、だから僕は知らぬうちに彼を『ポップさん』と呼んでしまっていたのか。
ダイ君の戦いを見ていると、彼が目標としているものが何か分かったような気がした。彼はポップさんの強さを、単純な戦闘力としての一面で捉えるのではなく、ポップさんが纏っている全ての事柄を目標として捉えているから、ブレないんだろう。
僕はほんの少し、いや本当の事を言うと、少し所ではないほどダイ君に嫉妬した。あの日、僕が国王の了承をいただきアバン殿の弟子となってさえいれば、僕もまた違った道を歩めていたかもしれない。師としてアバン殿をいただき、兄弟子としてポップさんをいただく。だから僕は、その僕の夢想を体現しているダイ君に、強い嫉妬を感じていた。
僕はポップさんに、「ダイ君達が目標としているのはあなただ」と伝えたが、ポップさんは理解不能とでも言いたげな表情で僕を見返した。
「何だよ、それ? それはアバン先生の事だろう? 俺にはそんな力はないよ」
くすくすくす。僕は心の中で笑った。僕の脳裏には、ザイードが食した魔物が保有していた記憶が僅かながら残っている。その記憶の中では、戦いの際勇者
その事に、当の本人がまるで気がついていないなんて。鈍感なのかな……? 自分以外の事にかけてはあれほど優れた洞察力を発揮するのに、自分が絡んだ途端それが働かない。でも、そこがポップさんの魅力の一つなのかしれない。
そうやって僕が含み笑いをしていると、突然全身を鈍い痛みが遅い、僕は思わず苦痛の声を上げた。
――ちょっ、理解できなくて悔しいからって、そういう意地悪をするのはいけないと思います、ポップさん!
……良かった、父さんが生きていてくれた。親不孝ばかりしてきた僕だけど、これで少しは孝行ができるかもしれない。命を救ってくれたポップさんに、改めて僕は心の中で謝意を示した。
だけど、そうか。リンガイアは深く傷ついた。魔王軍との戦いにもし勝利できたら、贖罪の意味でも僕は故国の復興に力を尽くさなければならない。おそらく、父さんもそのつもりだろう。
しかし、一度は瓦礫と化した国を再び一から興すのだ。それは苦難の道だろう。命を失った民はもう戻らないし、国や町から逃げ出して流浪の身となった民も、辛い時を過ごしている事だろう。彼らのためにも、一刻も早く国を復興しなければならない。彼らに、今度こそ安心して家族と暮らせる場所を提供しなければならない。それが、国で重責を担っていながらその国を守れなかった者の責務だ。
僕は目の前の人物に目をやった。ポップさんが手を貸してくれれば、それも可能となるかもしれない。国の人間ではない者に頼るのは、他力本願と誹りを受けるかもしれない。しかし、どんな誹りを受けようが、構わない。何万人もの国民の命がかかっているんだ。
彼さえいてくれれば、皆が復興に向けて顔を上げ、前を向いて歩める。そんな気がするんだ。彼の、“隣に立っていてくれるだけで感じられる安心感”は決して戦乱の時だけに発揮されるものではない。
僕はリンガイア国民のためにも、彼をリンガイアに引き込まなければならないと覚悟を決めた。なんとしても、カールにポップさんを取られる訳にはいかない……!
しかし、カミーユ君か。彼は使えるかもしれない。ポップさんは彼に会うために、一度はリンガイアに来るらしい。これは入念な計画が必要だ。父さんと会ったら、何をおいてもそれを相談する事にしよう。リンガイアが誇る智将なら、ポップさんを捕縛する術を見つけられるかもしれない。
ポップさんは、僕にカミーユ君を訪問する前に連絡すると言ったが、その言葉を鵜呑みにするほど僕は鈍くない。ヤマガイ……。リンガイア国内の全ての村には、迅速な情報伝達を可能とする櫓台がある。あそこから一番近い砦まで情報が届くのに、確か信号旗を使って約10分だったか。そして、それから早馬を飛ばすとなると、リンガイアの町までは更に時間がかかる計算になるな……。
ポップさんがヤマガイの村に着いてからその間、時間稼ぎをする人間が必要だ。カミーユ君の協力も必要だな。僕は、故国に戻ってからやるべき事の最優先事項としてそれを脳裏に刻み込んだ。
ポップさんがゆっくりと立ち上がり、ザイードに止めを刺すために呪文の詠唱を始める。一見ただの黒い鎧にしか見えないほどその身体を縮めたザイードは、もう抵抗する気力も無いようだった。その姿をじっと見ていたら、僕は自分でもどうしてそう考えたのか分からないけれど、自然と口から言葉が紡がれていた。
「待ってください、ポップさん。……彼を、ザイードを生かしてやってくれませんか?」
僕のその言葉に、ポップさんは目をむいて振り返った。
「な、何を言っているんだよ、ノヴァ。こいつは、お前を殺そうとしていたじゃないか。駄目だ。こいつは危険だ。生かしてはおけない」
ポップさんは一瞬、僕が正気かどうか怪しんだ様子だったが、その時には僕は自分の心の中の整理がついていた。うん、僕はいたって正気だ。これは、僕の本心だ。
「彼は……ザイードは、僕と同じなんです。この世に生を受け、彼を構う相手がザボエラだけという状況で、彼は広い世界を知らずにただザボエラに言われるがまま、煽てられるがままその言葉に従っていた。それはかつて、『北の勇者』と煽てられ大海を知らずに自惚れ、国王の言葉を盲目的に聞いていただけの僕と共通する部分があります」
「ノヴァ……」
「けっ! 俺がお前と同じだと! ふざけるんじゃねえ! 俺は親父のためにここまで成長して強くなったんだ! 親父だってそれを分かってくれているんだよ!」
ただの鎧の姿となったザイードのどこから声が発せられているのか分からなかったが、ザイードは顔があったらふてくされた表情なんだろうな、と思えるほどに声を荒げて、僕の言葉に反論した。
「ああ、分かっていると思うよ。だけど、ザイード。お前が親父と慕うザボエラは、研究成果だけを抜き取り、お前を捨てたじゃないか。……違うかい?」
僕の言葉に、それはザイードも分かっていたのか、ただ力なく言葉を発するだけだった。
「…………。だけど、俺には親父しか……」
それは分かっている。ザイードが生まれたのは僕がザボエラに捕らえられて直ぐということになる。つまり、彼はまだ自我が生まれて2ヶ月足らずであって、その間出会った者は僕を除けばザボエラと、今あそこでダイ君達と戦っているザムザの2人だけだ。
「そうだね、今は君にはザボエラしかいないだろう。だから、さ。僕と一緒に大海を知らないかい?」
ザイードは、「……大海……だと?」と不思議そうな声を出した。
「そう、大海だよ。この世界は広い。今は君の世界にザボエラしかいないとしても、いつかもっと多くの発見ができるよ。僕もそうなんだ。大海を知らずに狭い世界の中にしか視野を向けていなかったけれど、これからはもっと広い世界に目を向けたいんだ」
今なら分かる。以前の僕は、自分の力に自惚れていた上に、僕以上の名声を得ていたアバン殿に対する嫉妬で濁りきった眼をしていた。その濁った眼は、アバン殿の力を軽視したばかりか、その弟子であったポップさんの力まで見誤った。魔法使いが本職のポップさんに対して、魔法を使わない立ち合いで勝利して、一体何の武勇を誇れるというのか。穴があったら入りたいというのは、まさにこういう時の事を言うのだろう。
世界は広い。今なら、僕は前よりずっと曇っていない
「ザイード。至らない者同士、共にあの暗い牢獄で過ごした者同士、助け合いながら世界を知っていかないか? 僕は、君と一緒に歩みたい……。きっと、君にとっても新しい発見があるはずだよ」
僕の言葉に、ザイードは迷うかのように沈黙した後答えを返した。
「世界を……知る……。だ、だけど……、そこの氷の賢者は俺を許さないんじゃないのか?」
僕は、ポップさんに顔を向けた。ポップさんなら、きっと分かってくれると信じて。
そのポップさんは、親に怒られる前の子供のような声を出したザイードがおかしかったのか、突然吹き出した。
「くっくっく。そうだな、許さないな」
「ポップさん……」
「だけど、ザイード。俺を、お前の知る新たな世界の1ページに加えてくれるのなら許すよ。だいたい、お前が悪さをしないのならノヴァが許した時点で、俺には何も言う事はないよ。ノヴァの言うとおり、この世界は広い。お前の寿命がどれほどか知らないけれど、世界は常に新しい驚きをお前に与えてくれると思うよ」
そう言ってポップさんは笑みを浮かべながら黒い鎧の表面を僅かに撫でた。
「……ありがとうございます、ポップさん」
「……あ、ありがとう……、氷の賢者」
「よせよ、お前達に礼を言われるような事じゃないよ。さあ、向こうの決着もついたみたいだ。肩を貸してやるから行ってみようぜ。ザイードはすまないが、パンに咥えてもらってついてきてくれ」
「ああ、それは良いが、その前に……ノヴァ。俺に新しい名をつけてくれないか? 俺の今の名は、その……親父がつけてくれたものだから……」
そうか、心機一転新しい名でスタートを始めたいのか。良い考えだと思った僕は、少し考えた後口を開いた。
「それじゃあ、僕の家の家紋には獅子が刻まれているから、シーザーなんてどうかな?」
「……シーザー。ああ、それが良い。今日から俺はシーザーだ!」
その時、僕達の会話を静かに聞いていたポップさんが、口を開いた。
「なあ、話がまとまったようだから俺からも一つ聞きたい事があるんだけど、良いか?」
何の話だろうと、僕が首を傾げながら頷くと、ポップさんが内緒話をするかのように僕の耳に口を寄せて尋ねた。
「お前、ザボエラの所に囚われていた時に、エルフの女の子を紹介されたりしなかった? もしメアドとか聞いてたら、俺にもこっそり教えてくんない?」
「……」
あまりに想定の斜め上を行く質問を浴びせられると人間って固まるんだな、と僕は早速新しい発見をした。
そうして僕達は、戦闘が終わったらしい闘技場にポップさんの
~~~~闘技場~~~~
激しい戦闘音が響いていた闘技場だったが、今はぜーぜーという荒い息づかいのみが耳に残るほど、静まりかえっている。そんな中、ダイとマァムは闘技場の舞台の中央にゆっくりと歩いて行く。チウやでろりん達は力を使い果たしたのか、闘技場の周囲にそれぞれ腰を下ろして荒い息を吐いていた。
闘技場の中心……。そこには、ダイの放った
ゆっくりと近づいてくるダイとマァムを横目に見て、ザムザは口を開く。
「強いな……、
その言葉を発している間にも、ザムザの身体は、四肢の先から徐々に灰へと変貌を遂げようとしていた。風が、灰と化した彼の身体をサラサラと運んでいく。マァムは、そんなザムザの側に膝を着き、哀悼の表情を浮かべた。
そのような表情を向けられた事自体が初めてだったのだろうか。ザムザは、自身の側で膝をついたマァムに視線を向けて、眉を上げた。
「マァム……と言ったか。お前の技にも驚いた。だが、俺はあの技の攻略法を思いついたぞ。あの技は生物の過剰回復から細胞の自滅を促す技だろう? だったら死体を体に纏ったり、直接その拳に肉体を触れられぬよう工夫すれば良いはずだ。……違うか?」
「……」
マァムはそのザムザの言葉に何も返さず、ただ複雑な思いだけを胸に抱いていた。ザムザの言葉は間違っていない。実際にザムザの父親であるザボエラはその結論に既に至っていて、今ザムザが言ったとおりの対策を取って奇襲をかけてきた事があったから。
だからマァムが今考えていた事は、ザボエラが知っていたその情報が、何故息子であるザムザに共有されていなかったのだろうという事だった。その情報をザムザが知っていれば、先ほどの戦いで彼はまた違った戦い方を取れただろうにと……。
マァムのその表情を、自身の技の秘密を言い当てられたための苦渋の表情と理解したザムザは、ニヤッと笑みを浮かべる。そしておもむろに、かろうじて灰と化していなかった右手で額の髪飾りを手にし、それを空に翳した。
ダイとマァムが止める間もなく、その髪飾りを空に放ったザムザ。それが彼に残された最後の力だったのか、空に伸ばした彼の右腕はそのまま灰と化して風に運ばれていく。しかし、ザムザの顔に悲壮感は見えない。むしろ、誇らしげな感情をその顔に浮かべているようにマァムには見えた。
「クックック。この情報があれば、超魔生物の研究は父上が引き継いでくれる。もちろんお前のおかしな技への対処もだ。……ククッ、残念だったな」
マァムはその言葉を受けて、ザボエラとザムザという親子の関係性について一人想っていた。子は父のために少しでも有益な情報を送ろうと、自身の命が尽きようとしているこの瞬間まで尽くしているのに、父は子に対してあまりに……。
「そう、……ね。でも、私達は負けないわ」
ザムザに何も伝えなかったのは、マァムの優しさだった。
ザムザは、マァムの胸元で薄紅色に淡く輝く光を、徐々に色彩をなくしていく目で最後まで見つめながら、息を引き取った。その表情は父親に有益な情報を伝える事ができた事に、ただ満足した息子の表情だったが、直ぐにその顔は灰へと変貌し崩れていった。
皆が、ザムザに訪れたその無情な最後に声もなく押し黙る。そんな中、マァムがかつてザムザだった物の遺骸の灰を手に取り、小さく呟いた。
「……表面上はどうあれ、きっと心の底では父親の愛を求めていたんだわ……。ザムザは……」
そしてダイは、「分かる……。俺、なんとなく分かるよ」と悲しそうな表情で呟いた。ザムザにとってザボエラは、たとえどれほど無情に思える仕打ちをされても、それでも父親だった。
ダイは、ザムザとザボエラという親子の関係を目の当たりにして、初めて親子の間に存在する情と言うものを心の内で形として捉える事が出来た気がしていた。ダイはこの時、ようやくポップがダイに対して伝えたかった事を理解できたと感じた。
『……自分の事を知り、両親の愛情を知れよ、ダイ。それが、愛情を注がれた息子の義務ってものだと俺は思うよ』
あの人、今頃どうしているかな……。もう怪我が治っていると良いけれど……。
それは、ダイが初めてバランに対して、いや、……父親に対して抱いた紛れもない愛情だった。
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ノヴァ・ヴァレスタイン――。その名が初めて歴史に登場するのは、大魔王戦役勃発の数年前まで遡る。年若くも才に恵まれた彼の武勇は、当時近隣諸国まで鳴り響いており、僅か15の歳で旧リンガイア王国戦士団の団長を務めていたという。その後彼は、大魔王戦役勃発直後に侵攻を開始した魔王軍に敗れ一時虜囚の身となるも、第2次ロモス動乱の折に『氷の賢者』ポップ・マーカストンに救出され、戦役の終盤において欠かす事の出来ない働きをしたと記録されている。
虜囚の身となる以前、彼は『北の勇者』と言う呼び名と共に高い名声を得ていたが、大魔王戦役終結からさほどの時を置かず、彼は父バウスンの後を継ぎ新生リンガイア王国の将軍に就任。そして戦役終結からちょうど1年と1カ月後に生涯の伴侶を得た彼は、同国で顧問の職に就いたポップ・マーカストンと並び、後に『リンガイアの両翼』と称えられる。
新生リンガイア王国の復興及びその後の躍進は、大魔王戦役から150年経った現在でも『リンガイアの奇跡』として広く知られているとおりである。
その要因としては、現在まで伝わる名君カミーユ王の手腕がまず上げられるが、加えてポップ・マーカストンとノヴァ・ヴァレスタインの両名を政務の中枢に置く事ができた点も大きかったと伝わっている。
旧リンガイア王国の国旗に描かれていた大鷲の片翼が、戦役後定められた新生リンガイア王国の国旗では大鷲が翼を大きく広げた両翼が描かれている図柄になっているのは、2人に対する期待の現れからであったと、その図案を採用したカミーユ王自身が晩年語った記録が残されている。
そして、そのカミーユ王の期待に応えるかのように、ノヴァ・ヴァレスタインの大魔王戦役終結後における功績は、ポップ・マーカストンを除けば同国において余人の追随を許さないものとなっている。
ポップ・マーカストンが主に内務・外務でその辣腕を振るう傍ら、ノヴァ・ヴァレスタインは新生リンガイア王国の将軍として軍務で功績を上げた。その功の大部分は国内の治安維持や国内に残った魔王軍残党の討伐に力を尽くした事であるが、加えて戦役終結から約半年後に国内で発生した『ポップ・マーカストン暗殺未遂事件』の全容解明も大きな功績として記録されている。
この『ポップ・マーカストン暗殺未遂事件』は、当時彼の秘書をしていた女性が身を呈して彼の命を救った事でかろうじて防がれたが、その後のノヴァ・ヴァレスタインの調査の結果、首謀者は魔王軍の残党であり、共謀者は旧リンガイア王国の一部の貴族達という事が判明する。
この時、この事件に関わった旧リンガイア王国の貴族に対するノヴァ・ヴァレスタインの苛烈な追究と断罪が、旧来より残る悪しきしがらみに縛られたリンガイアが大きく飛翔するために必要不可欠であったとは、後の識者が指摘する所である。
また、ノヴァ・ヴァレスタインは『黒衣の騎士』との呼び名の方でも知られているが、その由来は、現在までリンガイア王国で続くヴァレスタイン家の家宝となっている
ノヴァ・ヴァレスタイン以降の歴代当主にのみ受け継がれるその鎧は、元々は魔界より地上界に持ち込まれた魔具の幼体であったと言われるが、ある時より自我を持ちその豊富な知識でヴァレスタイン家歴代当主を支えて来たと伝わっている。
それがただの言い伝えでない事は、
この歴代ヴァレスタイン家当主の内、旧リンガイア王国と新生リンガイア王国の双方で要職にあったバウスンとノヴァの親子に関する伝記が最も多く残されているのは、無理からぬ事であった。
その中でも特に、恋に恋する年頃の女性に人気の高いエピソードは、やはりノヴァ・ヴァレスタインとその伴侶のラブロマンスであろう。彼の伴侶は、彼よりいくらか年上の他国出身の女性であったようだが、その出会いは戦役の末期に、戦い力尽きた彼をその女性が介抱した事に端を発すると伝わっている。
このエピソードは、その運命的な出会いから1年後の再会及び求婚のシーンまでが常に一括りで描かれており、今となってはどこまでが史実かは明らかではないが、戦役中に発生した3大ラブロマンスの一つとして絶大な人気を博している。
明日も投稿予定です。
『始めたら 最後までやる トーナメント』(字余り)