転生大賢者の冒険   作:怪盗218

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162話 起てよ勇者!!!

『……世界破滅を祝して、裏切り者の軍団長ヒュンケルとクロコダインの処刑を行う』

 

早朝から開かれた最後の砦での会議は、冒頭から紛糾した。それは、魔王軍からこのような通達文が鏡を通じて呪法で送られてきたためだった。

 

最初は、俺達がバーンに敗れてからこれまでの5日間で、世界各地が被った被害について情報共有を図っていた。その話を聞くのは、正直言ってつらい事だった。それは、俺達があの時バーンを倒せていたら、被るはずのなかった被害だからだ。

 

ロモス王国北西に位置するポルトスの町の名を聞いた俺の脳裏に、ロモスで出会ったライトグリーンの瞳の女性の顔が思い浮かぶ。ごめんなさい、クラリスさん。本当に……。本当に……。机の下で、俺は左手を血が出るほど強く握りしめていた。俺の隣の席に腰を下ろしているマァムが沈痛な表情を浮かべて俯き、背後の壁際に立っているメルルが僅かに身じろぎした気配を感じた。

 

俺達が円卓を囲む椅子に席を下ろし、耳を塞ぎたくなるような被害状況を聞いていた時に、その知らせが届いた。

 

そして今は、その対応について侃々諤々(かんかんがくかく)の議論が始まっている。一通り意見が出尽くした頃、姫さんが俺に視線を投げかける。

 

「……ポップ君は、どう思う?」

 

「ん……、そりゃあ、既に皆が意見しているように、罠だと言う事は間違いないと俺も思うよ。問題は、何を狙っての罠なのか、だよな。まず一つは、俺達をまとめて一網打尽にするため」

 

「そうね……。他に何かあるかしら?」

 

「うーん、一般的には、他に目を向けられたくない何かがあって、それから目を逸らすために派手に罠をぶち上げる、って言うのはあるような……」

 

俺の思いつきのような言葉に、バウスン将軍が顎をさすりながら俺に視線を向けた。

 

「ふむ……。目を向けられたくないものから目を逸らすため……か。面白い意見だ。実際に大魔王と対峙したポップ殿には、何か見えているものがあるのだろうか?」

 

「いやー、すいません。具体的な事は何も……。ただ、これだけは言わせて下さい。ヒュンケルとクロコダインは、俺達の大事な仲間です。俺はこれがたとえ罠であっても、あいつらを救出にいくつもりです」

 

……そうだ。俺がこの処刑の話を聞いて最初に思ったのは、生きていてくれてありがとう、だ。罠なら食い破ればいい。生きてさえいてくれたら、まだいくらでもやり様があるんだから。おっさんの豪放磊落な野太い声、ヒュンケルのすかした笑みを、俺はもう一度見聞きしたいんだよ。

 

俺の言葉にフローラ様が頷いて、立ち上がった。

 

「ポップの気持ちは分かったわ。どのみち大魔王バーンを倒すためには、もう一度こちらの最高戦力であるアバンの使徒達を大魔宮(バーンパレス)に送り込む必要があるわ。処刑には大魔宮(バーンパレス)もその姿を現すはず。救出と同時に、大魔宮(バーンパレス)への再突入を試みましょう!」

 

「ふむ……、それは良いが、フローラ女王。大魔宮(バーンパレス)へは瞬間移動呪文(ルーラ)で乗り込む事ができないと聞いているが、空に浮かぶあの凶鳥にどうやってポップ達を送り込めばいい?」

 

ライオネル王がフローラ様にそう問いかけるが、その問いにフローラ様が答えようとするのを制止するかのように、ベンガーナのアキーム隊長がすっくと立ち上がった。

 

「それについては、我々戦車隊にお任せください……!」

 

鼻息荒くそう宣言したアキームは、どや顔を決めて皆を舐めるように見渡していく。

 

え、戦車隊……? 俺の第七感(セブンセンシズ)が感じたのか、猛烈に嫌な予感がした俺は、控えめに手を上げて口を開いた。

 

「ア、 アキーム隊長。具体的にどうするつもりなのか、お聞きしてもよろしいですか?」

 

「おお、よくぞ聞いてくれました、ポップ殿。なーに、その大魔宮(バーンパレス)とやらにかかっている結界は魔法によるものを拒むものなのでしょう? ならば、我が国の誇る戦車隊の出番でしょう! ――あいや、お待ちを!」

 

「今更そのような物が通用するのか?」と、声を上げかけた人を留めて、アキームの口上は続く。

 

「私は、パプニカで学びました。いかに兵器を開発しても、そこに人の魂が込められていなくては、十分な力を発揮する事が叶わぬと言う事を……!」

 

……おい、更に猛烈に嫌な予感がし始めたのは俺だけか?

 

「――そこで!! 私は考えました!! まず砲身を、長距離射程(ロングレンジ)が可能となるよう改良します。これについては、鬼岩城の残骸から見つかった魔界産の大砲の鋼材を流用することで実現間近となっております!」

 

そこでグッとこぶしを握り締め、更にアキームは鼻息荒く続ける。

 

「そしてその上で……! 砲弾の代わりに鋼鉄変化呪文(アストロン)をかけたポップ殿達を砲身に詰めて、大魔宮(バーンパレス)目がけて撃ち込むのです……!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

先ほどまで激しい議論がなされていた円卓の間が、突如としてひっそりと静まり返った。フローラ様の鳩が豆鉄砲を喰らったような顔は、かなりのレアなのではないだろうか。スマホがあったら、激写して待ち受け画面にしておきたいほどだ。壁際のメルルがよろっと崩れ落ちる気配を感じると同時に、俺の視界に、何故かあちゃーと言いたげに額に手を当てて顔をしかめるバダックさんの姿が映る。

 

……っと、他人事のように論評している場合じゃない。砲弾代わりに撃ち込まれようとしているのは他ならない俺達なんだ。

 

驚いた事に、どうやらこの世界には俺以外にも転生者がいたようだ。それも、現代日本からでは無く、いかれた世紀末からの。まさかアキームに、南斗百八派の一つ『南斗人間砲弾』の伝承者が転生していたとは。……これは盲点だった。どうせなら義とか仁の漢が転生してくれたら良かったのに、何故よりにもよって……。

 

いや、そうと断定する前にまずアキームの精神状態を鑑定するのが先決か……。もしかしてもしかすると、ザボエラあたりがアキームに精神混乱呪文(メダパニ)をかけている可能性もあるしな。

 

そんな疑念を感じた俺は無言で席から立ち上がり、円卓をぐるっと迂回して、鼻息荒く皆の反応を伺っているアキームの背後に立った。

 

「ちょっと失礼。……診断呪文(インパディ)

 

俺が左手をアキーム隊長のスキンヘッドの頭の上にかざすと、緑色の魔法光で構築された輪が出現した。俺はそれを、頭部から首元まで念入りに何度も往復させる。

 

……ふむ。脳波に異常は見られないか。するとこれが、アキームにとっての平常運転というわけか。やはり南斗の伝承者?

 

「ポップ殿、これはいったい?」と、目の前を何度も往復する魔法の輪を見て、不思議そうにのたまうアキームの言葉をあえて無視する俺。

 

「どうかしら、ポップ? その、……正常……かしら?」

 

そう言葉を選びながら尋ねたのは、フローラ様だけではなかった。アキームを除いたこの場にいる全員が、俺の診断結果に注視しているようだった。だから俺は、皆に聞こえるようにこの残念な診断結果を伝える。

 

「ええ、診断呪文(インパディ)で調べた限りでは、精神混乱呪文(メダパニ)をかけられた形跡はありません。誠に遺憾ながら……正常です」

 

「そ、そう……。ご苦労だったわ、ポップ。席に戻ってちょうだい。アキーム隊長もどうかお座りになって。その、……そうですね。隊長のご意見はとても斬新かつ画期的なものだと思いますが、少々独創的過ぎて周りの理解が追いついていけていない気もします。

幸い、テランのフォルケン王から大魔王の結界を破る可能性のある呪文の提示がありました。詳細はこれから検証しますが、まずはそれを検討し、それが難しければ改めて隊長の提案を吟味すると言う事でいかがでしょうか?」

 

「ふむ……。仕方ありませんな。それでは、その呪文が失敗した時のために、私は砲身の改良などの準備から粛々と進めておきましょう」

 

いや、準備を進めるなよ。空気読めよ、おっさん。ベンガーナって、こんなのばっかなのかな……? ベンガーナへの仕官は絶対に無いな、うん。

 

 

 

さて、どうにか気を取り直し、ヒュンケル達の処刑場と宣告されているカール北部 ロロイの谷への侵入作戦を話し合っている時、フローラ様の側近の一人が部屋に駆け込んできて報告した。

 

「お話し中、失礼します! 先ほど、勇者ダイ殿の意識が戻ったと報告がありました!」

 

――! そうか、戻ったか! ったくダイめ。ヤキモキさせやがって……。

 

「おお、それは朗報だな。俺も早く今代の勇者と話をしてみたいと思っていた」

 

「ふふふ。ライオネル王、お気持ちは分かりますが、ここはまずは彼女に譲りましょう。レオナ姫、こちらは良いので、ダイの所に行っておあげなさい」

 

姫さんはフローラ様の言葉に喜色を浮かべ、「ありがとうございます!」と一声かけると部屋を文字通り飛び出して行った。

 

しかし、会議が終わった後俺がマァム達と一緒にダイの様子を見に行こうと医務室に向かっていたら、その医務室の方から姫さんが血相を変えて走ってきた。

 

「……大変よっ! ダイ君っ……。ダイ君がどこにもいないのっ!!」

 

 

 

「見当たらない!? そんな馬鹿なっ。もう一度よく探したまえ!」

 

俺が砦の外に出ると、ちょうどチウが、門の前で部下である獣王遊撃隊のメンバーに発破をかけている所だった。いつの間に隊員を増やしたのか、今では10号までメンバーがいるようだ。小粒が多いようだけど……。まあ、それはさておき、鼻が利きそうな隊員が何名かいるにも関わらず、未だにダイが見つかっていない所を見ると、あいつもしかして……。

 

ダイの捜索が始まってもう数時間が立つ。もうすぐ日が傾き始める時間だと言うのに、ダイが見つかったと言う報告は未だ届いていなかった。

 

門の側では、やはり心配そうな表情の姫さんとフローラ様が会話を交わしていた。

 

「きっと……すごく責任感の強い子なのね……。戦う事が恐ろしくて逃げたのではないわ。……彼が恐れているのは、皆の期待に応えられないかもしれない自分を恐れているのよ。……でも、残酷なようだけど自分に勝てないような者では、真の勇者とは呼べない……」

 

「……違います! ……彼は……本物です!」

 

……ふっ。姫さん、分かっているじゃないか。俺は姫さんのダイを信じ切った目を見て、思わず頬が緩んだ。

 

「ポップ、どう? ダイは見つかった?」

 

森の奥の方から戻って来たマァムが、門の前で立つ俺の姿を見て駆けてきた。その隣にはメルルも。

 

「ポップさん……。ダイさんはもしかしてもうこの地には……」

 

「うん、チウ達が探して見つからないと言う事は、俺もそういう事だと思う。多分あいつ、瞬間移動呪文(ルーラ)を使ってどこか遠くに行ったんじゃないかな……?」

 

「どこか遠くに行ったんじゃないかなって、ポップ、あなた心配じゃないの!? あのダイがこんな事をするなんて、今まで無かったのよ!」

 

ダイの行動に動揺しているマァムが、俺の胸ぐらに掴みかかる。その勢いによろめいた俺は、背後の木に背中をぶつけた。

 

「あっ、ご、ごめんなさい、ポップ……」

 

「いや、良いよ。でもマァム。別にそこまで心配する事はないと思うよ」

 

俺の楽観的な言葉に、再びマァムは眉間に皺を寄せる。

 

「心配する事無いって、どういう――」

 

「言葉通りの意味だよ、マァム。確かにダイは今、壁にぶつかっていると思う。どんな種類の壁かは、あいつにしか分からない事だから、俺には何も言えないよ。だけど、俺は確信している。あいつは、……あいつならきっと、その壁を乗り越えられるってね」

 

俺の言葉に、マァムはハッとした顔で俺を見つめた。その隣で、メルルはホッと安心したように微笑んだ。

 

「……ポップさんは、ダイさんを信じているんですね」

 

「そりゃあ、相棒だからね。大丈夫、神様は乗り越えられる試練しか与えないものさ。あいつはきっと、一回り大きくなって戻って来るよ」

 

そう言って俺は、あいつがいるであろう方角に目をやった。

 

「そう、……そうね。ダイならきっと……!」

 

ようやくマァムも、ダイを信じる事が出来たようだった。

 

「と言っても、今ダイが直面している壁には、俺もちょっと責任を感じているんだよな。……という事で、ちょっくら様子を見に行ってくるよ。あ、夕飯は念のために2人分残しておいて欲しいかな」

 

「様子を見に行くって、ポップ、あなたダイの行先に心当たりがあるの……?」

 

マァムの問いかけに、俺は「言っただろう? 俺はあいつの相棒だって」と片目を瞑って返事を返し、瞬間移動呪文(ルーラ)を唱えた。

 

 

 

 

~~~~テラン王国 テランの泉~~~~

 

 

「どうしたらいいんだ……。俺はっ……」

 

ダイは、湖畔からテランの泉に張り出す形で建造されている(ドラゴン)の騎士を祭った神殿の柱に縋り付き、一人大粒の涙を零していた。勇者様が大魔王を倒してくれる、と信じている男の子の期待にも応えられず、俺は一体何を……と。

 

大魔王バーンの強さは圧倒的だった。真の(ドラゴン)の騎士である父さんでも出来なかった事が、俺なんかに出来るわけがないじゃないか! どうして、こんなに弱い俺に、皆はあんな風に信じ切った目を向ける事ができるんだよ!

 

ダイは地面に拳を叩きつけて、肩を震わせる。

 

そんな時、背後からダイに優しく声をかける者がいた。

 

「……いつ来ても良い場所だな、ここは。思わず水遊びをしたくなるよ」

 

その声の主は、ダイが兄の様に慕っていたポップだった。

 

 

 

「うーん、足が冷たくて気持ちが良いぜ。ほら、ダイもやってみろよ」

 

「……」

 

ポップは神殿の端に腰を下ろし、湖面に投げ出した足を子供のようにパチャパチャと動かしていた。夕日に赤く染まった湖の清廉な水がポップの足の動きに合わせて飛び散り、気持ちよさそうに目を細める。

 

しかしダイは、ポップの隣に座り込みただ(こうべ)を垂れるだけで何の言葉も返さない。

 

その様子にふうっと小さくため息をついたポップは、何かを思案するような素振りをした後、おもむろにダイの肩に自身の左手をぐっと回した。

 

そして、「行くぞ、ダイ!」の声と共に、ポップはダイの肩を抱いたまま2人揃って湖に身体を投げ出した。

 

「えっ、ちょっ!? ポ、ポップ、何を! ――う、うわぁっ! ガボガボ……!?」

 

 

穏やかに凪いでいたテランの湖面に、ドパーンッと派手な水しぶきが上がった。

 

 

 

最初に湖面に顔を出したのはダイだった。

 

「ゴ、ゴホッ! 何をするんだよ、ポップ!?」

 

到底水遊びなどできる気分でなかったダイはポップに対して怒りの声を上げる。しかし、ダイがキョロキョロと首を巡らせても湖面に顔を出しているのはダイだけで、ポップの姿は何処にも見当たらなかった。

 

「え? ポ、ポップ? どこに……。――!? ポップ!」

 

ダイが湖面上では無く下方に視線を向けると、底まで見通せるほど澄み渡ったテランの湖の水中で、焦った様子で目を見開いているポップが視界に入った。ポップは必死に左腕で水を漕いでいるが、片手のため真っ直ぐに浮上することが出来ないようで、その努力は完全に空回りしていた。口からゴボゴボと泡を吐き出し焦りの表情を浮かべながら、徐々に湖底に沈んでいくポップ。

 

「――ポップ、今行く!」

 

ダイは自身の葛藤も忘れて、ポップを助けるために水中に潜った。

 

 

 

「プハァッ! ゴ、ゴホッ……!」

 

「ほら、ポップ。早く上がって……!」

 

ポップを神殿の縁に押し上げたダイは、直ぐに自身も陸に上がって、ポップの左手を引っ張り上げた。

 

そして、ようやくポップの身体を完全に地上に引き上げる事が出来たダイは、ゲホッと地面に横倒しになって喘ぐポップの横で、同じようにして荒い息をついた。

 

「――ゲ、ゲホッ! ハァッ、ハァッ! し、死ぬかと思った……。いや、マジで」

 

飲み込んでしまった水を口から吐き出しながらそうのたまうポップの独白に、とうとうダイの堪忍袋の尾が切れた。

 

「死ぬかと思った、じゃないよ!! もう少しで溺れるところだったじゃないか! 何考えているんだよ、ポップ!!」

 

そのダイの剣幕に、ポップは横になった姿勢のまま明後日の方向を向く。そして、苦笑いしながら弁明した。

 

「い、いや、右手を無くしている事をすっかり忘れていたんだよ。最近ようやく片腕に慣れてきた所だったんだけど、それがこんな事になるとは。あ、あははは……」

 

「――!」

 

「マァムとメルルに知られたらまた叱られそうだから、内緒にしてくれな」と片手で拝むようにするポップを、ダイは呆然として見ていた。

 

ダイの視線は、もう存在しないポップの右腕に注がれていた。そう、ダイ自身も忘れていた。自分が不甲斐ないせいで、ポップの右腕が永久に失われてしまったと言う事を。

 

その事を思いだしたダイの瞳から、不意につぅーと、涙が零れた。それは、ダイにとって眩しい程に輝いて見えた魔法技能がポップから永久に失われてしまった事と、その原因を作ったのが自分である事の自責の念からくる悔恨の涙だった。

 

そしてその涙には、楽しかったパトス湖での水遊び、その夜のレオナ達を交えた演奏会などが脳裏に浮かび、二度とあのような光景を迎えられない事に対する悲しみも含まれていた。

 

「ご、ごめん、ポップ。俺の、俺のせいでポップは……。う、うゎあーー!」

 

仰向けに横たわったまま、両手で顔を覆い号泣するダイ。そんなダイに、同じく仰向けになったままのポップが、まだ身体を動かす気力が沸かないのか、視線だけを向けた。

 

そのダイを見つめる慈しむような瞳は、『まったく、仕方のない奴だなー』と言っているかのようだった。

 

ひくっ、ひくっと、声にならない泣き声を上げるダイの側に、ポップは胡坐を組んで座り込む。そして、左手でそっと自身のローブの右袖を撫でながら、優しくダイに語りかけた。

 

「ダイ、前も言ったけど、これは俺自身の不覚が招いた結果だ。ダイが責任を感じる必要は全くない」

 

「グ、グスッ。だ、だけど…、俺がしっかりしていたら……」

 

ダイのその言葉を、ポップは明確に否定する。

 

「お前がしっかりしていても、結局は同じ結果になったさ。ダイ、これ以上は言わないからな。よく覚えておけ。この怪我の責任は俺の……、俺だけのものだ。お前には絶対に渡さない。良いな……?」

 

先ほどまでの優しげな口調から一転して厳しい視線を向けるポップに、ダイは二の句を告げる事が出来なかった。その様子を見てポップは、再び優しげな眼差しに戻って言葉を続けた。

 

「それに、俺はまだお前に憐みの目を向けられるほど弱くないつもりだぜ? 今は目下、この身体でバーンに一泡吹かせられる手段を模索中さ」

 

今しがた、バーンに一泡吹かせるどころか、バーンと全く関係のない場所で溺れて死にかけた事を、記憶から完全に抹消したかのような強気な発言をするポップ。そんなポップに、ダイは大きく目を見開いて驚きの声を上げる。

 

「――そんな! そんな身体で、まだポップは戦うつもりなのか!? 万全な状態でもバーンには敵わなかったのに!?」

 

「もちろん、戦うさ。そりゃあ、単純な戦闘力という面ではパワーダウンしているかもしれないけど、まだ俺には戦うための牙がある」

 

そう言って、ポップは残された左腕をダイに見せつけるように掲げて見せた。

 

「……牙が1本でも残っている限り、俺のやる事は変わらないよ。それに、言ってみれば俺は頭脳労働担当だからな。極端な話、俺には首から上が残っていたらそれで十分なのさ。あっ、でも、戦後の幸せな二股ライフのために健全な下半身はいるな」

 

マァムなどに見られたらまたどやしつけられそうな笑みを浮かべるポップを呆然と見つめていたダイが、首を振って肩を落とした。

 

「ポップは、……ポップは凄いよ。俺なんて、バーンの強さに怯えて戦いから逃げ出したって言うのに……。ポップだけにアバン先生の果たすはずだった役割を背負わせないって言ったのに、それからも逃げて……」

 

「あっ、それだ、ダイ」

 

「えっ……?」

 

「いや、それだよ。俺、別にダイを連れ戻しに来たわけじゃなくて、ダイにそれを謝らないといけないと思って来たんだよ」

 

ダイは、ポップの言っている事の意味が分からず、呆然としていた。そんなダイを見て、ポップは恥ずかしそうに頭を掻いた。

 

「いや、確かに俺、あのデルムリン島の洞窟でさ、アバン先生の代わりをしなきゃって思い詰めていたし、ダイもそれを背負ってくれるって言ってくれただろう……?」

 

「うん……」と、もうずいぶん前の様にも思えるあの日の光景を思い出しながら返事をするダイ。そんなダイにポップは、「それ、やめるわ」とあっけらかんと続ける。

 

「えっ!? ど、どういう事? ポップはアバン先生の弟子じゃなくなっちゃうの!?」

 

ダイは、あまりにあっけなくアバン先生の代わりをする事をやめると言ったポップの真意が分からず、動揺した。しかし、ポップはそのダイの動揺に全く動じず、いやいや、と手を振る。

 

「違うよ、アバン先生の弟子と言うのは変わらないよ。だけど、弟子だからと言って、アバン先生の代わりをしないといけないって訳じゃないだろう? ていうか、したくてもできないよ。だって俺、アバン先生じゃないし。ははは」

 

そうからからと笑うポップに、ダイは未だ思考が追い付いていけない様子だった。

 

「フローラ様が気づかせてくれたんだ。俺はアバン先生じゃないし、アバン先生も俺じゃない。もちろん俺はアバン先生が好きだから、アバン先生の望んでいた事をやってやりたいとは思っている。でも、それよりまず自分のやりたい事はなんなのか、って事を一番に考えるようにって、諭されちゃってさ」

 

「……自分のやりたい事」

 

「そっ。俺、いつの間にかそれを忘れていた気がするんだよな。俺はさ、この世界が好きだけど、全部が好きって訳じゃない。この世界は、死が身近にあり過ぎる。殺伐としすぎてんだよ。平和ボケした現代っ子の俺には、それがちときつい。だから俺は、この世界に医療魔法を浸透させて人死にを減らしたい」

 

平和ボケや現代っ子と言った言葉にダイは疑問を持ったが、それよりアバン先生の意思とは別にこれほどポップ個人の願望を聞いたのは初めてで、ダイは唖然とした。

 

「ははは。アバン先生は何の関係も無いだろう? だってこれは、アバン先生と出会う前から俺が抱いていた夢なんだから。で、その夢の実現のためには、この大地を破壊して弱肉強食の世界を作るなんて言っているあいつが邪魔なんだよ。だから俺は戦う。アバン先生は関係ない。俺の夢の実現のために、邪魔する者を排除する。それが、こんな身体になってでもまだ戦おうと思う、俺だけの戦う理由さ」

 

そう言って、ポップはゆっくりと立ち上がる。もう西の地平線に太陽が半ば以上隠れようとしていて、ポップは左手をかざしながら眩しそうにその西日を見つめる。そして、おもむろにダイを振り返って問いかけた。「……お前はどうなんだ?」、と。

 

その問いかけに、ダイは「……俺?」とかすれた声を返す。

 

「そう、お前の戦う理由だよ。いや、別に戦わなくても良いんだけど、お前は何がしたいのかなって思ってな。俺は、俺の戦う理由を思い出した。それをもう忘れたりしない。お前がもう一度バーンと戦う決心をしてもしなくても、俺にはそれをどうこう言う資格は無いし、俺の決断は変わらない。……だけどダイ。お前がどんな決心をしたとしても、俺をその理由に使うのだけはやめてくれ」

 

「ポップを理由に使うのはやめてくれって、どういう意味……?」

 

ダイのその問いに、ポップはふっと笑みを浮かべた。

 

「お前は優しいし、兄思いだからな。俺の負担を減らしたいとか、俺の夢の実現のためなら、とか考えるかもしれないって思ってな。だけど、これはフローラ様の言葉だが、俺はお前に呪縛をかけるつもりは無いんだ。アバン先生が俺に対してもそう思っていたように……。俺のためとか、俺が望むから、とかじゃなくて、お前がどうしたいのか、という事を聞かせて欲しい」

 

「俺がどうしたいか……」

 

ダイは座り込んだまま、その言葉を反芻するように呟いた。アバン先生や父さんの仇を取りたい。ポップだけを戦いに行かせたくない。それも本心だ。だけど俺が一番に望むのは……。

 

不意にダイの脳裏に、物心がついてからこれまでのデルムリン島で過ごした楽しかった日々が思い起こされた。人も魔物も関係なく、助け合って生きていたあの島での日々。血の繋がっていない魔物でもない俺を、愛情を持って育ててくれた爺ちゃん。台風で家が壊れた時に、力自慢の魔物がこぞって直すのを手伝ってくれた。寂しくて涙をこぼした時にそっと側に寄り添ってくれた優しい魔物達。

 

あの島の光景を世界中に広げる事が出来たなら、もう父さんと母さんに起こった様な悲劇も無くなるんじゃないのか。

 

ダイは顔を上げた。

 

「俺は、バーンの言う強いだけが全ての世界は嫌だ。人も魔物も関係なく、優しい奴が笑って生きられる世界を守りたい。……ううん、作りたい。それが俺の望み」

 

ダイが自分自身の希望を口にすると、それまで感じていた皆の期待に応えられないかもしれないと言う恐怖心が薄らいでいくのを感じていた。それは、ダイが初めて皆のためでは無く、自分のために戦う決心をしたからなのかもしれなかった。

 

ポップは、自分の望みを口にしたダイのその瞳を見つめて嬉しそうに笑った。

 

「くっくっく。良いね、その望み。俺も、強いだけの奴が生き残れる世界なんてくそくらえだ。皆違っていて良いんだ。歌の上手い奴・下手な奴、金勘定の上手い奴・下手な奴、エロい奴、朴念仁みたいな奴、みんながみんな違っていてそれが良い。俺もそんな世界を作りたい。奴をぶっ倒したら、是非一緒にやろうぜ。

 ふふふ。くしくも、望みが重なったな、ダイ。目的が同じなんだ。俺や砦にいる皆と一緒に、もう一度立ち上がらないか?」

 

そう言ってポップは、濃藍色の帳が降りかかった空を見上げる。その様子を見てダイは大きく頷くが、直ぐに不安そうな表情を浮かべた。

 

「……でも俺、ヒュンケルやクロコダインが危ないって知っていたのに、逃げたんだよ。レオナや砦の皆からも……。こんな俺と、皆今更一緒に戦ってくれるのかな……。もう愛想を尽かされているんじゃあ……」

 

しかし、そう不安を口にするダイを、ポップはいつものごとく軽く笑い飛ばした。

 

「なーに言ってんだよ、ダイ。お前はただ壁にぶつかって転んだだけじゃないか。転んだら、立ち上がれば良いのさ。ほら、手を出せよ、ダイ。お前が立ち上がろうとするとき、俺はいつだって、何度だって、手を差し出すぜ。……見ての通り、傷だらけの頼りない手だけどな」

 

そう言ってポップは、座り込んで不安そうに自分を見上げているダイに、左手をスッと差し出した。そのポップの左手にはこれまでの闘いで負った火傷や切り傷が生々しく残っていたが、ダイはその手を頼りないどころか、この世界で最も信頼する手のように感じた。

 

 

 

そしてダイは、ポップの差し出したその傷だらけの手を、何度か目を瞬かせた後、強く握り返した。

 

 

 

 

~~~~カール王国 最後の砦近郊の街道~~~~

 

 

「フハハハハ! どこへ行こうというのだ、人間! いい加減、諦めたらどうだ! ――火炎呪文(メラミ)!!」

 

「う、うわぁッ!!」

 

街道を土ぼこりを上げながら駆ける1台の荷馬車。その荷馬車に追いすがる白い馬のような姿をした魔物が、高速で回転する馬車の車輪に巨大な火の球を叩きつけた。

 

荷馬車を引いていた馬が嘶き、大きな音を立てながら横倒しに倒れる馬車。

 

「ククク! よく逃げたが、ここまでだ、人間ども! さあ、お前達のアジトを吐いてもらおうか」

 

ヒヒーンと、馬の嘶きを上げながら、黒い煙を上げている馬車を睥睨する1体の魔物。その魔物の背後には、漆黒の馬に騎乗した10体を超える首の無い魔物の集団。魔物達は、横倒しになった馬車の逃げ道を防ぐように、その周囲をゆっくりと取り囲む。

 

周囲を包囲された馬車の荷台から、横転した際に負傷したのか、よろよろとよろめきながら武装を纏った数人の騎士が現れる。

 

「くっ……! 誰がしゃべるものか! カール騎士団の誇りにかけて、俺達は最後まで戦うのみ!」

 

1人の騎士が腰の剣をスラっと抜き放ち、魔物達の首魁と思われる白い馬の姿をした魔物に声を張り上げた。

 

「フッフッフ。どれほど虚勢を張ろうと、無駄よ。もはや世界は大魔王様のもの。勇者も、氷の賢者も、皆死んだのだ。おとなしく投降すれば、貴様らもこいつらのように首の無い魔物デュラハンに姿を変えて新たな生を掴めるかもしれんぞ?」

 

その言葉に、ぞっとしたかのように顔を青ざめる騎士達と、無言のまま彼らを見つめる首なし騎士デュラハン達。

 

宵闇の中、横倒しになった馬車の荷台の幌に炎が移り、そこだけが昼間のように赤々と周囲を照らしていた。炎に照らされた騎士達の表情が苦渋に歪む。

 

もはやこれまで、と悟ったのか、先ほど気勢を上げた騎士が「兄上、どうか力を……」と呟きながら、腰を落として突撃する構えを取る。その姿を、ただにやにやと下品な笑いを浮かべて見つめる馬型の魔物。

 

だが、そんな馬型の魔物に対して、突如上空より言葉が投げかけられた。

 

「おいおい、誰が死んだって? 勇者も、俺もこの通りピンピンしているぜ?」

 

「――!? 誰だ!?」

 

上空を見上げて叫ぶ馬の姿をした魔物。その魔物の縦に伸びた1対の瞳孔には、片袖を風にたなびかせた緑衣のローブをまとった成年と、一人の子供が映っていた。

 

 

 

「ポップ!」

 

地面に足をつけたダイが、相棒であるポップを一瞥する。微かに頷いたポップは、背後にいる傷ついた騎士達を肩越しに振り返った。

 

「ダイは、その人達の傍に首なし騎士(デュラハン)を近づけない事を第一に戦ってくれ。俺は、あの白い馬面の魔物をやる!」

 

「うんっ、分かった! でも、無茶はだめだよ、ポップ!」

 

「もちろんだよ」と相棒に言葉を返すポップの耳に、耳障りな声が届く。

 

「フハハハ。誰かと思えば、ダイに、ポップだと? まさか生きていたとは……。しかし、肝心の勇者には剣が無く、氷の賢者は片腕を失っているではないか。やれやれ、万全の状態だったならば、このジャミ様の相手に相応しかったものを!」

 

その言葉にポップは、すっと細めた目をジャミと名乗った魔物に向ける。

 

「片腕を失っているのが、どうしたって言うんだよ。片腕でも、お前程度の三下に遅れを取る俺じゃないぜ……?」

 

「ほざくな、小僧!! やれ、首なし騎士(デュラハン)! この口だけは達者な小僧の身体を引き裂いてやれ! 片腕を失った氷の賢者なぞ、恐れるに足らぬわ!!」

 

そのジャミの言葉で、周囲に展開していた首の無い魔物デュラハンが一斉に彼らに対して襲い掛かる。

 

「来たなー! 皆、俺の傍から離れないで!」

 

「かたじけない、勇者殿!」

 

傷ついた騎士達は、ダイの邪魔をしないよう彼の背後に集まる。その間にも、一体のデュラハンが剣を振りかぶり突進してくる。

 

「勇者殿! 私の剣を……!」

 

一人の騎士が、自身の手にある剣をダイに手渡そうとする。だが、ダイは……。

 

「――!?」

 

ダイの脳天に向かって剣を振り下ろしたデュラハンが、動揺したかのように身体全体を震わせた。なぜならそれは、その勢いよく振り下ろした剣をダイが右手でがっしりと掴んでいたためだった。その状態でダイは視線をデュラハンに固定したまま、背後の騎士達に声を投げかける。

 

「俺の事は良いから、皆はその剣で自分の身を守る事だけを考えて! はーー! 竜闘気(ドラゴニックオーラ)!!」

 

ダイの右手に(ドラゴン)の紋章が浮かび上がり、更に白く発光する。途端にダイの手にあったデュラハンの剣が粉々に砕かれる。だが、それをデュラハンが認識する事はなかった。なぜなら、それを認識する前にデュラハンの身体はその愛馬毎粉々に砕かれていたためだった。

 

 

 

ドスドスドスッ!!

 

デュラハンの纏っている鋼鉄の鎧を物ともせずに、ポップの唱えた氷系呪文(ヒャダルコ)の氷の槍がその鎧に突き刺さる。これで3体目! 深々と刺さった氷の槍がデュラハンの息の根を止めたのか、漆黒の馬からぐらっと崩れ落ちるように倒れる首なしの魔物。

 

ポップの背後では、ダイが傷ついた騎士達を背に庇いながらも、縦横無尽に暴れている。くくっ。勇者に剣が無いだって? 確かにそれはディスアドバンテージなんだろうが、それがダイにとって本当に不利だと言えるのは大魔王を相手にした時ぐらいだろうよ。そもそもダイの背に剣があったとしても、お前達程度が相手ならあの剣は『自分で戦え』、と決してダイに抜かせようとはしなかっただろうさ。

 

そんな事を考えながら、ポップも自身の周囲にまるで衛星のように氷の槍を飛ばし、首なし騎士(デュラハン)の接近を許さない。しかしポップが4体目の首なし騎士(デュラハン)の息の根を止めた時、それまで配下をけしかけるのみだったジャミが動く。

 

「――馬鹿め! 片腕で戦場に立とうなどという傲慢を、あの世で悔やむがいいわ! 氷の賢者など、もはやこの世のどこにもおらぬ! 喰らえ、『こごえるふぶき』!!!」

 

ジャミの口から氷雪の奔流が放たれ、それが一直線にポップに向かう。

 

「――ポップ!」

 

異変を察知した背後のダイから、ポップを心配した声が飛ぶ。だが、ポップはそのダイを振り返る事無く、心配するなとばかりに、残された左腕を軽く上げた。そしてそのままポップは、周囲に飛ばしていた13本の氷の槍を眼前に引き戻す。

 

引き戻された氷の槍は、船の舵輪の形状で集結していた。同時に、その氷の舵輪はポップの眼前で高速回転を始める。

 

ジャミの放った氷雪の奔流が、ポップの眼前で回転する氷の舵輪に接触する。次の瞬間、回転する舵輪に遮られ四方に霧散していく氷雪の奔流。

 

「なっ!? 馬鹿な、俺の『こごえるふぶき』を!?」と、驚愕に目を見開くジャミ。

 

「氷の賢者を吹雪で仕留めようなんざぁ、お前こそ傲慢が過ぎるんじゃないのか?」

 

ポップの指の動きに合わせて、『こごえるふぶき』を霧散させた氷の舵輪が再び13本の氷の槍に散開する。

 

「――!? ガ、ガハァッ!!」

 

次の瞬間、ジャミの身体には13本の氷の槍が深々と刺さっていた。血反吐を吐いて横倒しに倒れるジャミを見下ろし、ポップが口を開く。

 

「……あいにくだったな。二重魔法詠唱(ダブルキャスター)の名は返上しても、氷の賢者の名まで返上した覚えは無いんだよ。もちろん、小さな勇者の方もな」

 

ポップがニヤッと笑みを浮かべて背後を一瞥すると、最後に立っていた首なし騎士(デュラハン)の身体を(ドラゴン)の紋章の浮かんだダイの拳が貫いたところだった。

 

「誰が小さな勇者だよ! そんな名前で呼ばれたことなんて一度も無いよ!」と憤るダイと、「そうだったか?」と嘯くポップ。

 

そんな会話を二人がしている傍で、瀕死のジャミが呟くように言葉を発していた。

 

「だ、大魔王様……。ゆ、勇者と氷の……賢者。い、今なお健在――」

 

ジャミの言葉は最後まで続かなかった。突如としてジャミの身体は巨大な氷の塊に覆われていた。その様子を見てダイが首を傾げる。

 

「ポップ、どうしてこの魔物を氷漬けにしたの?」

 

「ん……、いや、よく考えたらジャミって名前に聞き覚えがあってな。死に際に最後の力を振り絞って石化攻撃なんかされたらえらい事だと思って、念のために……な」

 

「……?」

 

その後ポップ達は、負傷した騎士達を救助し最後の砦に戻っていった。

 

 

大魔王バーンと勇者一行(パーティー)の最後の闘いは、刻一刻と近づいていた。

 




家族のコロナ罹患は大きな後遺症もなく、皆回復しました。ご心配していただきありがとうございました。妻に言わせれば、2年前のワクチン接種による副作用の方がつらかったとの事ですが、これも人によるのでしょうね。お盆で人の移動が増える事でまだまだコロナが広まりそうですね。皆さまも、どうかお気を付けください。
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