本作はポケットモンスタースカーレット/バイオレットのネタバレを多分に含んでいます。
それでも良い方のみよろしくお願いいたします。




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書きたいだけの捏造設定だらけの妄想二次創作。
結構暗い内容になってしまった。

時系列としてはスターダスト大作戦の後の話になります。
よろしくお願いいたします。


スーパーノヴァ大作戦

「スーパーノヴァ大作戦、かぁ……」

私ネモはつい先ほど初めて耳にした言葉を口の中で転がしていた。

 

最近いきなり勢力を増したスター団を鎮圧してくれないか、唐突に私を呼び出したクラベル校長は開口一番私にそう言った。

 

穏健派で有名なクラベル校長らしからぬ過激な提案に私は受けるべきかどうかを悩んでいた。

はっきり言って彼の提示した報酬(LP)に興味はない。その点でいえば乗る必要のない提案。

しかし、ただ一つの魅力が私を悩ませていた。

 

『スーパーノヴァ大作戦では昨今更にパワーアップを遂げたスター団のボスとマジボス、そしてその背後に立つ”ガチボス”を倒してほしい。ボスを失った組織は解散していくのみ、そうすればスター団そのものも解体することができるだろう。」

 

つまり、この作戦に参加すれば、私は強い相手とポケモン勝負することができる。

最近同じ土俵(チャンピオンランク)に立てる数少ないライバルとも連絡がつかず、バトルに飢えている私は、この魅力に抗えないでいた。

 

 

結局のところ、答えは決まっていたのだろう。

私はスマホロトムで、校長に連絡を取るのであった。

 

 

────────────

 

 

 

それから、私は課外授業を利用してスター団のアジトに戦いを挑んでいった。

彼らは確かに以前までよりも強くなっていた。

 

それに対抗するように私とクワッスは力を合わせて戦っていった。

好きなようにバトルをして、気が付けば強くなっていた私が、初めて意識してポケモンを鍛えるほどに、彼らは強くなっていた。

 

 

そうして、最後のボスであるシュウメイと戦うころには、クワッスはウェルカモを経て、ウェーニバルになっていた。そんな相棒と何とか勝利を収めたのちに私は彼に問うた。

 

「そんなに強いなら普通に授業に出たらさ、私みたいにチャンピオンランクになれば思い切りバトルできて楽しいのになんでスター団なんかに入ってるの?」

 

 

その瞬間だった。

左頬を風が撫でた。

見ればシュウメイの拳を私の顔の横に突き出し、それをウェーニバルが両の手で抑えていた。

 

「なあ、普通ってなんでござるか?拙者たちは普通にしていたでござる。そうしたら”普通”の方々が普通じゃないって言って、拙者たちを虐めたでござる……いや、結構。何も言わないでほしいでござる。結局この世の中は多勢に無勢でござるからね……」

 

 

そう言ってシュウメイは煙玉を地面に叩きつけて退散した。

これまでに倒したスター団ボスも、多かれ少なかれ似通ったことを話していたし、その度に私は何が正しいのかがわからなくなっていた。

 

 

ただ一つだけ幸いだったのは、私の目的が最初から正義の執行でなかったことだった。

強い相手と戦いたい、その目的を果たすという意味では私は楽しい旅を過ごしていた。

 

 

「ロトロトロト……」

スマホロトムが鳴る。

「やあ、ネモ。私はスター団”ガチボス”、ペルセウスだ。五人のボスを倒したようだね。お見事。楽しんでもらえたかな?」

ボイスチェンジャーを用いた声に思わず身震いをする。

「何のつもり……?」

「友人が倒されたとなれば敵討ちを願うのは当然だろう?だから私は君に宣戦布告をする。今夜アカデミーのグラウンドで君を待つ。君を倒して私はスター団を名実ともに”最強”にする。」

「そんなこと……私は負けない……!」

「では後ほど、よろしく」

 

そう言うと静かになったスマホロトムを眺める。

 

校長に連絡しようか。そもそも行かずにそのままにしようか。

色々な考えが頭をめぐる。

しかし、それにしては私を倒せると言わんばかりのあの口調に度肝を抜かれている自分もいる。

 

 

「ネモとやっても楽しくない。」

「弱い者いじめして何が楽しいの?」

 

時折脳裏をよぎる言葉はいつも私に批判的で後ろ向きだから。私に勝とうなんて人、ほとんどいないから。

だから私は気になって、空を飛ぶタクシーを呼んだ。

「アカデミーまで。」

 

日が落ち始めた空に、色とりどりのイキリンコが飛び立った。

 

 

────────────

 

 

 

夜の学校。

寮も併設するアカデミーでは夜間も一部営業しており、生徒がいたところで怪しまれることはない。

 

また、チャンピオンランクともなると、グラウンドを含む一部設備を申請なしで使用することができるため、侵入は容易であった。

(尤も申請なしでのポケモン勝負は誰であろうと罰則対象であるが。)

 

 

そうしてグラウンドに踏み入れた直後だった。

バッと照明が点く。

普段は賑やかなバトルコートに私一人しかおらず、不気味な静寂が辺りを包んでいる。

 

そこに私以外の足音がもう一つ響く。

蛇の意匠を施したフードを深く被った……男だろうか。謎の人物がバトルコートの反対側に立つ。

 

「久しぶりだね、ネモ。私、いや僕が、スター団の”マジボス”こと、ペルセウスだ!」

そう言ってボールを投げた拍子にフードが脱げた彼の顔を見て、私は驚きを隠せなかった。

そこにいたのは、ここ半年ほど連絡が取れず、会うことも叶わなかった私のライバルだった。

 

合わせて私もボールを投げる。

私の先発はルガルガン、彼はヘルガーを繰り出した。

 

「何で君がスター団なんかに!?」

「そのセリフ、シュウメイにも言ったらしいね、スター団がどんな組織かも知らずに」

「強引な勧誘をして他の生徒を困らせている!君も見たろ!?」

「一部を見て全部を判断する、君たち普通の生徒はいつもそうだ」

 

言い合いの裏で、苛烈な戦いが繰り広げられていく。

お互いがお互いを傷つけている。

 

君との勝負はやはり楽しい、それなのにこの状況が全力で楽しませてくれない。

私のルガルガンが力尽きて、ノココッチを繰り出す。

 

「スター団は家族だ!弱き者たちの拠り所になるべき場所なんだ!」

「それでもやり方を間違えてる!」

「正しさは役に立たない!」

「ならば誰かに助けを求めればいい!」

「大人は誰も助けてくれなかった!」

 

ノココッチがヘルガーを倒して、彼がエクスレッグを繰り出す。

一進一退の攻防が続く。

言い合いも平行線のまま、お互いに最後の一匹、頼れる相棒を繰り出す。

 

 

「行って!ウェーニバル!」

「マスカーニャ!頼む!」

 

 

「「テラスタル!」」

 

それぞれの相棒が、トレーナーの信念をその水晶に宿して頭上に煌めかせる。

「トリックフラワー!」

「アクアステップ!」

 

 

彼がにやりと笑う。

その理由も私にはわかっている。

お互いにテラスタルをした今、トリックフラワーはウェーニバルにとって相性が悪い。

また、その攻撃は確実に急所を射抜く。

 

そして攻撃を指示してしまった以上、ウェーニバルに躱すことは不可能。

互いの攻撃が、互いに命中する瞬間を私はスローモーションのように見守っていた。

否、見守ろうとした。

 

 

「ウェーニバル!耐えて!!!!」

心底からの願いが口から溢れる。

思えば私はポケモン勝負でここまで激情に駆られたことはなかった。

それどころか感情が揺さぶられること自体が殆どなかった。

 

この高揚は、君と最初に戦った時と同じもの……

君が教えてくれたもの。だから……

 

不格好に、土にまみれながらも、私を信じて立ち上がるウェーニバルに、指示を出す。

 

「ウェーニバル、アクアステップ!」

「マスカーニャ……!」

 

余りに早いウェーニバルの動きに、彼の指示は間に合わない。

ウェーニバルのステップを交えた蹴りは、無防備なマスカーニャの急所を激流と共に正確に打ち抜いて、一度目のアクアステップのダメージと共にマスカーニャをついに戦闘不能に追い込んだ。

 

「マスカーニャ……」

彼は落ち込んだ様子でマスカーニャを戻したボールを眺める。

 

 

「ねえ、ペルセウス……ううん、ハルト……もうやめにしようよ。」

「そうです。スター団は、もう終わり。いえ、すでに終わっている。そうでしょう?ハルトさん。」

彼に声をかけた直後、思わぬところから声がかかる。驚いてそちらに目をやると、クラベル校長が立っている。

 

「あの時、私が止めきれなかったことを私は猛烈に後悔しています。今なら引き返せます。退学措置も期限を延期しています。ですから……止まってくれませんか?」

 

「大人は信用できない。」

そう言ってハルトは私と校長の制止を振り切ってどこかへ消えていった。

 

 

────────────

 

 

「ボクは、弱い……」

脳裏にアカデミーに来る前の出来事がよぎる。

 

 

『わぁ~ハルト菌が移った~』

『汚~い!』

 

 

ケラケラと笑う声。

見て見ぬふりをする担任。

 

「ねえハル君、今と別の学校に行かない?」

「もうどうでもいい。」

ねえお母さん。何でボクが転校しなきゃいけないの?

ボクが暗いから?弱いから?

分かんないよ。疲れたよ。

 

 

パルデア地方ならいじめがないなんて言って、大人はいつもなかったことにするじゃん。

でもせっかく新しい環境だから。

ボクは明るく振舞おうとした。

 

それでも。

 

ネモがスター団を悪く言ったとき。

カシオペアからスターダスト大作戦について聞いた時。

あるいはスターダスト大作戦遂行中。

 

 

違和感が首をもたげて大きくなっていった。

違和感は疑念となり、疑念は確信へと変わっていった。

 

パルデア地方にはいじめがないだなんて嘘っぱちだった。

大人は結局信用できない。

だったら、ボク(ハルト)(ペルセウス)になって、彼ら(スター団)の居場所を残すしかないじゃないか。

 

私のような人は、もう作らせない。

 

 

だから、スターダスト大作戦でカシオペア(ボタン)を倒した時に、スター団に入れてくれるように頼み込んだ。

マジボスが倒されたとしても、私がガチボスになれば、ボスは全員倒されていない。だからスター団は解散しない。

私がお願いすれば、彼らはまたボスになれる。

 

そんな詭弁を弄してまで私は彼らを引き留めた。

詭弁と知ってなお、スター団(みんな)は力を貸してくれた。

そうでなければ、いずれまた、居場所のない者たちが生まれると、私の言葉に折れてくれた。

 

 

幸い校長がボスを全員集めていたおかげで、通達は速やかに行われた。

こうしてスター団は”再結成”したのだった。

 

「でももう、解散かな……」

「うん、終わりだよ。」

口を衝いて出た独り言に思わぬ返事を返したのは物陰から現れたボタンだった。

 

「ハルト、もういいんだ。校長も今回の件の処分奉仕活動だけでいいって言ってる。その活動も悪くなさそうだしさ。」

「でも、スター団がないとみんなの居場所が……」

「スター団があることで、居場所がなくなった人もいる。結局スター団がやったことってそういうこと。ハルトも気づいてるはず。」

「そんな……」

「わたしたちも納得してる。ありがとう、ハルト。行こう、私たちのSTC(新しいアジト)に!」

そう言って、ボタンは私の手を引いて、二人は夜に駆け出した。

 

 




☆おまけ(という名の書ききれなかった設定集)☆

1.主人公の手持ち

ウェーニバル
色違いイルカマン(体色が違って迫害されているところを拾った)
エクスレッグ
ヘルガー
パーモット
サザンドラ

2.結局スターダスト大作戦の後どうなったの?

元々いじめられたせいで転校して第二の学校生活を送ろうとしていた主人公がスター団に共感し、マジボスという形で参戦。校長は罪悪感諸々から止めきれず。

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