ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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 手に取っていただきありがとうございます。


妖魔の存在

 

 

「草薙何をやらかした?」

 

 転移した先は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはある。

 

 橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。自分達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

 奥には、体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けた魔物がいる。

 

 メルド団長が呟いた〝ベヒモス〟という魔物は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

「私ではありません。が、この状況になってしまったのは私の油断です。失態は私が取り戻します。結界起動」

 

 手を握りしめ地面を殴る、草薙の器の水が地面を伝い自身の体に纏う。そのまま走り出し先程使っていた剣を握り走り出す。

 

 周りからは、数百を超えるガイコツが止めようとするが光速で移動する草薙を止めれる筈がなく斬り刻まれ粉のように消える。

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

「ッ!?」

 

 その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

 だが、メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員轢殺してしまうだろう。

 

「舐めるな!」

 

 そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。

 

 それと同時に草薙が障壁を踏み土台としてさらに高くジャンプして、ベヒモスの上を取る。

 

「ここくらいかな?」

 

 剣を下に向けて自身の体を固定そのまま重力に従い落ちるつまりは、ベヒモスの首に突き刺さるそのまま全体重を右側に倒し傷を拡げようとするが筋肉によって途中で止まる

 

「掘削術」

 

 右手で柄を持ちドリルの様に体ごと回転させるどんどん剣がベヒモスの首に入り込んでいくが、2メートル入り込むとボキッという音と共に剣が真ん中から折れた。

 

 首から大量に血が流れ呼吸器官も先程のドリルによってズタズタに引き裂いているがベヒモスは、倒れずその眼に殺意を灯す

 

「まだ倒せない。頑丈なだけなのかな?なんか変ですね」

 

 近くにあったガイコツの剣を手に取り今度は、眼や柔らかい部位を狙い動き出す為、掘削術を使い地面に潜ろうと集中した時、ベヒモスも同じ行動をして、草薙の技を潰す。

 

「それって、よ」

 

 一瞬の油断、首元から流れる血を無視して突進してくる。避けようとすると地面が隆起して閉じ込められる。

 

 それと同時に、目の前の敵を潰さんとベヒモスが突進衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れた。撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。

 

 そして、後ろの壁に激突しクレーターの中で頭から血を流している草薙がいた。

 

 遠藤はすぐさま、敵を倒す為クラウチングスタートを取るが城戸に止められる。

 

「っ!」

「ストップだ。遠藤確かにそれを使えば一掃出来る、文字通り敵味方関係なく一掃できてしまう。あの時は、俺たちが結界を作ってたから周りに被害が出なかったんだ」

「うっ」

「可能性としてはありえたんだがやっぱり」

「ベヒモスに取り憑いてる感じだな。面白いな中々見ない興味深い」

「なんか変な感じがしたと思ったら、やっぱり妖魔ね」

 

 可能性としては十分に考えられていたシノビガミが創り上げた新しい生命体、妖魔の存在に

 

「恐らく使役型です。掘削術が消されました。はやく周りのガイコツを潰さ無いと面倒な事になります」

「成程、眷属、土隠持ちか。忍術は、見せないように技術のみでアイツを止めるぞ」

「あと、草薙の要請通りクラスメイトを助けるのも同時進行で行くよ」

「りょーかい」

 

「私と大和、三日月は、最後尾でガイコツの相手よ」

「俺と遠藤は中盤でクラスメイトを助ける」

「私と藤原であのデカブツを倒します」

「任務開始!」

「GO!」

 

 

 まずは、大和が背中から出した三連装砲をガイコツに向けて撃ちまくり道を開け、八雲のお祓い棒を振るいその風でガイコツを橋から落としていき、三日月が地面を叩き掘削術でガイコツが出てくる魔法陣を削り道を作る

 

「みんな〜こっちから階段に戻るよー」

「道は、開けたから早く来なさい!」

 

 前方に立ちはだかる不気味なガイコツの魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達はパニック状態になっており。シノビの言葉が届かない。

 

「クソ面倒ね」 

「私達こういうの向いてないからね。兎に角出てくる奴はぶっ飛ばして道を作っていこ」

「遠藤に貸した機忍返して貰えばよかった」

 

 3人のシノビは更に増えていくガイコツを倒すと同時に、道を作り撤退の準備に取り掛かる

 

 

 遠藤と城戸は、クラスメイトがガイコツと混戦している中盤を任された。

 

「さて、どうする遠藤?」

「機忍・影分身」

「うん。良い判断だ」

 

 一つ目の球体が液体状し遠藤の分身が出てくる

 

「ピンチになった人がいたら助けてやってくれ」

「了解した」

 

 影分身が直ぐに行動したのを見て、城戸の方を確認すると既に石橋の中に30を超える数のガイコツを埋めていた

 

「いいか遠藤、混戦中の戦闘で大事なのはいかに敵と味方を区別するかだ。それが出来なければ範囲攻撃で味方を傷つけてしまうからな」

「はい!」

「良い返事だ。ヒントは出さないからな自分で考えて答えをだせ」

 

 たとえ、どんな場面であれ彼等にとっては遠藤の修行の一環として考える全ては、国の利益のため。

 

 

 

 ベヒモスとの最前線に到着した藤原は気配を消し状況を確認する。ボロボロの騎士団達に勇者達何故かここにいるハジメを見て大体を理解したすると最後の力を振り絞ってか天之川の詠唱が始まった。

 

「神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」

「これに乗じるか。確認したいこともあるし」

 

 天之川の突き出した聖剣から極光が迸り。その背後から極光より速くベヒモスに接敵する。

 

 橋を震動させ石畳を抉り飛ばしながらベヒモスへと直進する。が力が分散し過ぎて当たったところで大したダメージは出ないが、

 

「怪力 異形化」

 

 両手を使いベヒモスの脚を掴み異形化によってできた尻尾で体を固定、全身に力を入れちゃぶ台返しの要領で引っくり返す

 

「おぅぅぅぅうりゃぁぁぁぁ!!!」

 

 叫びと共にベヒモスの脚が地面から離れ行き良いよく倒れるかと思ったがベヒモスが地面から90°のところで耐える。が、藤原に続いて追いついた草薙がベヒモスの体を出っ張りを踏み台に登っていき頭に到達すると

 

「走法 手練」

 

 そこからさらに跳び天井近くまで行き落ちてくる。スピードに乗り脚に力を込めてベヒモスの頭を蹴り抜き転倒させることに成功する。

 

「良い重量だった」

「これみんなも下がる時間が取れましたね。」

 

 だが、2人ら考えていなかった。真の敵は有能な敵より無能な味方だと、

 

「ベヒモスの首から大量の血が」

「よし!みんなこの隙にとどめを刺すぞ!」

「はぁ?」

「うわっマジか。そう考えるのか」

 

 あくまで、シノビが使用したのは小手先の技術確かに多少ダメージは入るがそれでも技術、怪物相手だとどうしても火力が足りないので、見た目以上にベヒモスは元気だろう。

 

 どうするか、2人が悩み考えようとすると。

 

ハジメは必死の形相でまくし立てる。

 

「早く撤退を! 皆のところに! 君がいないと! 早く!」

 

「あれが見えないの!? みんなパニックになってる! リーダーがいないからだ!」

 

「皆の恐怖を吹き飛ばす力が! それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ! 前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」

 

 呆然と、混乱に陥り怒号と悲鳴を上げるクラスメイトを見る天之川は、ぶんぶんと頭を振るとハジメに頷いた

 

「ああ、わかった。直ぐに行く!」

 

「へぇ、頭良いな南雲」

「本当に感謝ですね。あれ以上刺激すると私達シノビの存在を感知するかもしれませんしね」

 

 

 天之川達は、直ぐに後ろに下がりメルド団長達もそれに続いてクラスメイトを階段に誘導しつつ下がり始める。

 

 これならと遠藤は安心したがシノビ達はまだ安心しておらずむしろ警戒を強めベヒモスの近くに走っていている

 

「まずいまずいまずいまずい」

「これって奥義だよな間違いなく!」

「どうする!橋の強度はもう限界だぞ!」

「私達で止めるしかない!」

「クソが!」

「間に合わなッイ」

 

 眼に映る全てが陽炎の様に揺らめき出してくる鎧が熱くなり数秒も掛からず汗だくになり服が、肌に引っ付く。ベヒモスの体は赤熱化し周りの温度をさらに上げる

 

 獣の声は、分からないだが、シノビ達は何を言っているのか理解した

 

グルァァァァァア(奥義・赤熱熱線)

 

 赤熱化した体から放たれるのはレーザービーム360°全方位に向けて人が殺すにはお釣りが出る威力の一撃が撃たれまくる。

 

 シノビ達の行動は迅速だった。直ぐに橋を壊しベヒモスを奈落に落ちるようにする、まだ橋の上にいるクラスメイトや騎士団員を階段入り口まで運ぶ。

 

 だが彼等も、人だ腕は二つしかなく限界まで持って4人、騎士団は鎧も着ており2人しか運べない。

 

 だからこそステータスの低い中最前線に居た南雲を回収するのが最後になってしまう。

 

 だが、橋が完全に崩れるにはまだ時間がありシノビである彼らからすれば十分間に合うはずだった。

 

 ベヒモスの抵抗により香織達が作り上げた障壁を破りレーザービームが藤原の腹を直撃したのを見るまでは、あの一撃を貰ったところで死にはしない、だが空いた穴からシノビガミの気配がするのをシノビ達は気付いた

 

「藤原!」

「イヤァァァァ」

「ヒィ!」

 

 全員がそちらに意識を裂いてしまった結果南雲に一発の魔法が当たった。それは、ベヒモスがこちらに来ない様に全員が放っていた魔法の一部が。

 

 シノビの足が止まり南雲の足が止まった結果橋の崩壊が先に始まった。南雲が落下に巻き込まれる。

 

 クラスメイト1人、シノビにとっては別にどうでも良い存在この後、遠藤のケアをどうするか考える。次の日に済まないと天にむかって謝り忘れるその程度の存在。

 

 だが、それを許容できないシノビが1人居た。

 

「私立御斎学園 怪段」

「おい!」

 

 怪段それは、誰にも見えず誰にも気付かれず誰にも触れられず、怪談の様に伝わってる力。空中、海、地面ありとあらゆるところに階段を作る力。

 

 城戸の声は聞こえない、草薙は、走り出すまだ全域に造られていない透明な怪段を身を投じ暗闇に取り込まれようとしている南雲に手を伸ばし。

 

「掴んだ……あ゛っ」

 

 掴んだ南雲の手、引っ張る為に力を入れたお腹、踏み締めている脚それらを全てレーザービームに撃ち抜かれた。どれを取っても致命傷。

 狙っていた。必ず来ると読んでいた。他のシノビなら来ないだが、友のこと思い、絆を大切にし、その為なら自分の命を投げ捨てる彼ら彼女らなら私立御斎学園の物なら来ると。

 

 ベヒモス(妖魔)は笑う見たかと一矢報いてやったと。不気味に笑いながらレーザービームによって周りの壁を壊しながら深く深く暗闇に落ちていく。

 

 

 手を腹を脚を撃ち抜かれた衝撃で壁にめり込み動くことが出来ないだが草薙の眼から南雲の姿が見えるなら動かなくてはいけないもう2度と友達を亡くしてはならないから。

 

「直ぐに助け」

「いや、それ以上はダメだ」

 

 普段なら気付く筈の気配に気付かず首を絞められ意識が遠のき目の前が暗くなり気絶する。

 

 

 

 

「何で何でなのねぇ答えてよ!!」

 

 子どもが泣いている、7、8歳くらいの子どもが20台半ばの女性の服を掴んで。どこかで見た事がある光景だ。

 

「いや!まだ教えてもらいたい事が山程ある!まだ見て欲しい事がたくさんある!まだ貴方と一緒に生きていたい!だから行かないで!」

「すみません。それは無理です。私が行かないと大勢の仲間が亡くなります」

 

 そう。彼女は、そう言って私の元を去っていた。私は何も知らない子どもだっただからゴネたんだ

 

「それでも私は、貴方といたい!!仲間なんてどうでもいい私は、貴方と「それはダメです」

 

 いつも、いつもそうだった優しく透き通った声で私を諭してくる。うるさいし、分かりにくいくらいに遠回しに言うけど私はそれが好きだった。

 

「ふふっ。仲間なんて、と言ってはいけません。今は、分からなくても良いです。けど、いつか必ず知る時が来るそして、仲間のためにと貴方が言う時がきます」

 

「わたし…が?」

 

 

「ええ。貴方は、私の憧れの人よく似てるから。けれど、その時は、1人で全部しようとせず仲間を頼りなさい。そうしてみんなから認められ頼られる草薙 蕾でありなさい。そしたら、私は安心できます」

 

「うん、……わかった」

 

「ふふっ、なら私も頑張らないとですね」

 

 そうして、彼女は歩いていく助けを呼ぶ仲間の元に羽織りを背負って狐のお面をつけて雨上がりの夕陽に向かって歩き始める。

 

「いってきます」

 

 それは、遠い遠い在りし日の記憶、旧いアルバムの奥底に未だ残っていた大切な記憶。

 

「今の私は、どうなんだろうな」

 

「遺恨とか嘘くさいとかなんとか言って」

 

「とても見せられないなぁ」

 

「起きたら少し皆と話し合おうかな」

 

 

 私は、歩き始める夕陽の反対側未だ雨が降り続いている中ゆっくりと一歩づつ前に進む。

 

 周りの景色が無くなっていく艶やかな色が、耳を通る風が、空の雄大さが、次第に暗くなり。

 

 気がつくと一本の橋の上に立っていた、そして目の前からくる眼を瞑るほど眩しい光が包み込んでくる。

 

 

 目を開けるそこは、ベッドの上ホアルドの宿の一室、自分以外に5人の気配そして光速でこの場から離れていく1人の気配。体を起こす撃ち抜かれた腕、腹、脚、は完全に復活してる多少の痛みはあるが無視して問題ない。

 

 5人に顔を向ける、その顔からは悲痛の表情を浮かべている。何があったかは分からないが予測することは出来る、壊れたんだろうギリギリで成り立っていた同盟が(ゆが)んで(ゆが)んで捻じ曲がり最悪な結果で砕け散ったんだろう。

 

 ゆっくりと立ち上がり扉まで歩く、痛みで止まってしまうが扉を開けて誰かが近くに置いてくれた配膳ワゴンそこから良い匂いがする。

 

 室内に持って来て机に並べていく。無言だが5人とも手伝い早くに料理がテーブルに並び終わる。みんな話したいんだ。何があったかは知らないけれど何かがあったんだろう。自身の譲れないものの衝突そのことで起こってしまった事の懺悔、そんな悲しそうな顔をするくらい。

 

 「く~」と誰かのお腹の音がする。いやもしかしたら全員の音かも知れない。ここに来てから何も食べてないのだから。

 

 席に座る

 

「冷える前に食べましょう。せっかく持って来てくれたんですし。食べ終わってからデザートを食べながら話し合いましょう。私達について」

 

 5人が席に座り手を合わせる

 

「「「「「「いただきます」」」」」」

 

 うん。きっと1人で食べるよりみんなで食べた方が何倍も美味しいからね。






 楽しんでもらえたら嬉しいです。
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