ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

32 / 39
 
おそくなり本当にすみません。
何があろうとも完結までは書き切るつもりですのでこれからも引き続きご愛読のほどよろしお願い申しあげます。


戦後処理が1番面倒…!!

 

「みんな!まだ油断するな!迷宮での気の緩みは死に直結することを忘れたか!怪我人は回復をまだ戦える人は周囲の警戒を!そして…早く帰ろう」

 

 光輝の指示によりみんなは一斉に動き出す、そんな中、光輝の指示を無視して何かを探す雫。

 

「八重樫、魔族の体なら向こうにあるよ」

 

「っ!……私は魔族が死んでいるか確かめて来るね」

 

「分かった。こっちよ」

 

 その顔に有るのは焦りと恐怖ほんの少し一縷の望み、小走りで八雲について行く。

 

 それを見た勇者もついて行こうとするが城戸に肩を掴まれ止められる。

 

「城戸行かせてくれ。いくら強いからと言っても女性2人だけじゃ危険かも知れない、俺も」

「おいおいおい、勇者くん今危ないのは君だよ君、いいかい、丁寧に教えてあげるが、君の欠損した部位を補っている物体は現状不安定だ。分かるかい、物凄く気分が良いかもしれないが、不安定なんだ、安定するために、それは変化し続ける、だから人にとって有「あ゛っ゛ぁ!!」害な…うんすまない。先に鎮痛剤をあげておくべきだったな」

 

 突然倒れ肩や足の部位は溶け激痛に声をあげる肉の溶ける様子からして酸にでもなったのか。ポッケから取り出した薬を地面にのたうち回る勇者の口に入れ込む。

 

「ぁあ゛ぁ」

 

 そのまま死んだ様に地面に倒れ動かなくなる。心配したのかクラスメイトが聴きに来る

 

「む?あぁ安心しんしてくれ。これは仮死薬で眠ってるだけだ。彼女達が戻ってきたら迷宮から脱出しよう。そこ白髪くんたちはどうする、一緒に来るかい?」

 

「いや助けるためにここに来た。俺はもう帰る」

 

「そうか、分かった帰りたい人がいれば彼について行ってくれ、私は友人を待たないといけないから暫くここから離れる事ができないからな」

 

 ハジメがユエとシアを連れて、パイルバンカーの杭などいくつかのものを回収し、開けた竪穴から出ていこうとする。それを聞いたクラスメイト達は早く帰ろうと、ハジメ達に追随し始める。

 

「早く戻ってくれるといいんだが」

 

 

 自分の心臓の音以外何も聞こえない、今は全力で走りカトレアの安否を確かめて

 

「ッ!…そんな」

 

 信じたくなかった。けど、自分の眼が真実を見せてくる。

 

「……」

 

 頭の一部が削られ胸には穴があり地面に広がりつづける致死量の血溜まり。

 

「結構無事そうだね」

 

 ズカズカと歩きカトレアの死体を雑に掴み持ち上げる

 

「何してるの!?」

「なにって、回復するよう促してんっの!」

 

 そのまま壁にぶつける地面が揺れ天井が崩れ落ちそれはカトレアを潰そうと落ちる

 

「カトレアぁ!」

 

 手を伸ばすが届かない無惨にも墓標が建てられる

 

「そ、、そんな」

「いきなり走るからびっくりしたよ潰れるところだったよ!」

「何を言って!貴方のせ、、い、で、、え?」

 

 振り向くと後ろにいたのは、髪と同じ燃えるような赤い眼で、服装は艶のない黒一色のライダースーツを纏っている。

 

 見間違うはずが無い殺し合った仲で私の友達の

 

「カト、、レア、、なの?」

 

「私以外に何が見えるの?正真正銘ぴちぴちのカトレアよ。少しぶりね雫」

 

「う、うっ!よかったよかったぁ!!」

 

 カトレアに泣きながら抱き付き先程の驚かせた恨みを込めて力の限り抱き締める

 

「痛い痛い痛いあれだから!まだ復活したばっかで身体中ボロボロだから!離れて離れて!」

「嫌!驚かせた罰!これでも喰らえ!」

「ア゛ー!!」

 

 更に力を込めミシミシとカトレアの肉体が悲鳴を上げ痙攣した辺りで離れる、カトレアは地面に座る雫も同じく座りカトレアを見るため顔を上げる。

 

「反省した?」

「しました」

「次からは?」

「しません」

「誓える?」

 

「…誓います」

 

 無言で腕を広げる

 

「誓います!誓います!」

 

 無言でそのまま抱き締める、けれど今度は優しく生命の暖かさを感じるれる様に、無駄にでかい胸に耳を当て速くなっている心臓の音を聴いて。

 

 生きていることを確認する為に、落ち着いてきたのか顔をぐりぐりと寄せ付けカトレアを見て笑う、カトレアも驚いていたカトレアもその両腕で雫を抱きしめ互いの温もりを交換し合う。

 

 いつまでそうしていたのか分からないけどカトレアが腕を離す雫も名残惜しそうに離れると

 

「…あ、終わった?」

 

「ッ〜〜」

 

 隣から八雲が話しかけてくる、生きていた事に喜んで忘れていたのか、先程のことをバッチリと見られていた事に気付き、次第に雫の顔は赤くなるそれはまるで恋人とのやり取りを友達に見られたかの様に、声にならない声を上げ耐えきれなくなったのかカトレアの後ろに隠れる。

 

「あははっ可愛いなぁ〜」

「うるさい!」

 

「…はぁ、私、記憶が無くなりがちだから、逃げたいのなら逃げていい私はキレイに貴方のことだけ忘れるから」

 

「何で」

 

「何でって、アイツ倒すのに1番貢献したから、けどアイツを解放したのは貴方だからこれでチャラよ」

 

「…何で勇者の一撃で殺さなかったの」

 

「教えない、貴方の仲間にアイツに協力しているヤツがいる可能性があるから。あと一つ」

 

「貴方はなにもの」

 

 

「貴方と同じシノビそれ以上もそれ以下もないわ」

 

 

 カトレアは背後でうずくまっている雫を立ち上がらせ手を掴み急いで話し始める。

 

「ごめん雫そろそろ許して貰えなくなりそうだから」

「またぁ…逢える…かな?」

 

 顔はまだ赤い恥ずかしいのか眼はあっちをたりこっちを見たりけど最後はカトレアの眼を見て途切れ途切れながらも質問する。

 

「勿論!人と魔族とか、住んでる世界が違うとか、関係ない!私は雫の友達だから!逢えるし逢いにくる!絶対!」

 

「うん、うん分かった。それじゃまたね。カトレア」

 

 誰も見た事がない幼馴染みの天之川でも親友の香織でも見れない、キラキラした笑顔を魅せて

 

「ええまたね。雫」

 

 それに応え、カトレアの姿が風と共に消える。雫の手首にはカトレアが持っていた銀色のガーベラの装飾が施されたブレスレットが、

 

「ふふ」

「嬉しそうね」

「ひゃっ!なっなっ!」

「もしかして」

「ちがう!」

「何も言ってないけど」

「うっ」

「はぁ、、行くよ」

「わ、分かりました」

 

 歩き始めた八雲を急いで追いかけ濃密だった迷宮を後にする。

 

 

 

 ここは迷宮から離れた森の中雫と別れたカトレアが上司に連絡を入れている。

 

「ふーすーふー、ヨシ」

 

「カトレア定期連絡にはいささか早いが何があった」

 

 迷宮攻略者であり初めてシノビとなった魔人族のリーダー的存在、フリード・バグアー。

 

「任務失敗しました。言い訳になるかもですが勇者達の中にシノビが居ました。私の知らない術を使い私達より数段上のシノビに」

 

「…そうか、他に何か情報は?」

 

「強いて言うなら本気を出せないようでした。デメリットが何とかとあとは、長時間は戦えないとも」

 

「そうか、よく生きて戻って来てくれた。任務は無い魔王、、、いや、急ぎグリューエン大火山に来てくれ」

 

「はっ、どのような任務でしょうか」

 

「負傷者を魔族領まで運んで欲しい、お前の奥義なら簡単だろう」

 

「何が起きているんですか?」

 

「シノビと戦っている」

 

「「「ぐわぁぁぁぁ!!」」」

 

 遡ること10分前

 

 【グリューエン大火山】は、巨大な渦巻く砂嵐に包まれているのだ。その規模は、【グリューエン大火山】をすっぽりと覆って完全に姿を隠すほどで、砂嵐の竜巻というより流動する壁と言える

 

 しかも、この砂嵐の中にはサンドワームや他の魔物も多数潜んでおり、視界すら確保が難しい中で容赦なく奇襲を仕掛けてくる。

 

 偶然バッタリと恋愛漫画のワンシーンみたいに曲がり角でぶつかった様な。けれどそんな微笑ましい者達では無いが。

 

 おびただしい数の竜とそれらの竜とは比べ物にならないくらいの巨体を誇る純白の竜が飛び、その白竜の背に赤髪で浅黒い肌、僅かに尖った耳を持つ魔人族の男フリード、地面には総勢31名の魔族相対しているのは、日本刀を持った2人の男女、来ている服は互いに軽装この砂嵐の中で過ごすにはおかしな服のせいで異常性が高まる。

 

 ここにいる人は全員が理解したコイツらはシノビだと。

 

 三日月が話し始める。

 

「こんなに引き連れてピクニックか?こんな場所よりいい所知ってるけど教えようかい?」

 

「はは、君らもこんな所でデートなんて危ないだろ、いいデートスポット教えてあげよう」

 

「「天国って言う場所なんだが……」」

 

「出陣!」「結界術!」

 

 こんな所に来る以上、互いの目的は神代魔法なら、話は速い互いに譲る気持ちは無いどちらが先か戦争だ。

 

 話したのは互いにスイッチを押す為、戦闘の準備をする為。

 

「展開完了これで大丈夫」

 

「第一部隊撃てぇ!」

 

 10名が放つ火遁が嵐に煽られ更に巨大になり迫りくる。

 

「斜歯忍軍 機忍 十括主任」

 

 10体の人形が2人を守る為壁となる、それを逃さず竜がブレスを放つ。

 

「第二部隊撃てぇ!」

 

 火遁を放った後ろにいた10人が次は嵐の風を纏い鎌鼬を投げてくる。

 

「すかさず第三部隊撃てぇ!」

 

 鎌鼬を投げた背後にいた10人が持っているのは神槍、一斉に投げる。

 

「神槍はまずい」

「私立御斎学園 怪段上は私が相手します」

 

 見えない壁に神槍は突き刺さるが貫通はしない砂煙の中から草薙が飛び出し空に駆け上がる。

 

「狙いは俺か、放て!」

 

 竜がブレスを溜まる、その前に草薙が辿り着くが1匹の竜が突貫無惨にも両断されるがその竜が作り出した数秒でブレスは溜まりきり放たれた。

 

天より放たれた白き極光、凄絶な熱量と衝撃を以て草薙を破壊の嵐の中へと呑み込もうとする。

 

「刀術 矢止めの術」

 

 空中で刀を振るうブレスは全て草薙を素通りする。

 

 そしてフリードと同じ高さに辿り着く、

 

「斬らせてもらいます」

 

「やってみろ」

 

 日本刀と両手剣がぶつかり空中戦が始まる。

 

「今すぐ援軍を!」

 

「させねぇよ、主任!」

 

 空を飛ぼうとする魔族の前に10体の人形が立ち塞がる。

 

「第二部隊!」

「斜歯忍軍 奈落」

 

 突如出現した穴に第二部隊が落ちていく。

 

「集団で動くからそうなる」

 

「くっ!第三部隊!俺ににつづけぇぇ!!」

 

 総勢11名が三日月に突撃を仕掛ける手にもつは神槍、刀を抜く

 

「こっちも始めるか、てか神槍って事は全員鞍馬神流かよ」

 

 元々俺は戦いに強く無い、自分より階級が下だとしても、この人数差だと負ける。

 

 だから俺の勝利条件は草薙がタイマンで勝ち戻って来るまで耐久する事もし負けたなら、、、

 

「まぁ、耐久戦なら俺は強いぜ、来な軽く揉んでやるよ。ヒヨッコども」

 

 砂塵と爆炎が巻き起こる中シノビの戦いが始まった。

 

 

 各種の屋台が所狭しと並び立ち、迷宮に潜る冒険者や傭兵相手に商魂を唸らせて呼び込みをする商人達の喧騒。そんな中一際目立つボロボロの布を纏った集団が男の主張を抑えうずくまり、

 

 クラスの2大天使の1人白崎香織が南雲ハジメに告白する場面だった。

 

「それは、ダメだ」

「ちょっと待て勇者くん今君のから…行っちゃったよ」

 

 倒れていた勇者が立ち上がり割って入るように間に立つ

 

「…はぁ、、」

 

「……はぁこれ程面倒くさいものはないな」

「もう、、それ…はぁ」

 

  恋愛ドラマも恋愛映画もどれも俳優の顔を見て楽しむものそれをクラスメイトがやってるのを見て楽しめる訳がないし、恋愛漫画のようにフィクションじゃなくリアリティがある本物(現実)だ。

 

 ましてやどうでもいいクラスメイトのハーレムを見ていて面白いとも感じない。

 

 この茶番劇を見て特大のため息を吐きながら一言

 

 

「「はぁぁぁぁぁぁ…めんどくせぇ〜」」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。