ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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衝突する勇者と化け物…!!

 

  光輝の騒動に気がついた香織が自らケジメを付けるべく光輝とその後ろのクラスメイト達に語りかけた。

 

「光輝くん、みんな、ごめんね。自分勝手だってわかってるけど……私、どうしてもハジメくんと行きたいの。だから、パーティーは抜ける。本当にごめんなさい」

 

 そう言って深々と頭を下げる香織に、鈴や恵里、綾子や真央など女性陣はキャーキャーと騒ぎながらエールを贈った。永山、遠藤、野村の三人も、香織の心情は察していたので、気にするなと苦笑いしながら手を振った。

 

 だから、光輝が納得出来ないでハジメが香織に何かしたのだと決めつけるのではないかと一部の人を除きクラスメイトが身構えると、

 

「あぁ、別に構わない、回復はポーションでも代用出来るし俺も雫も今回の件でかなりの力を持った。あとは、、彼らにも協力してもらうから。俺達の心配はしなくていい。

 俺は、南雲に用があるからそこ退いてくれ」

 

「え、あ、うん、ごめん」

 

 興味無く素通りし、と言うより適当にあしらい南雲の前に立ち剣を地面に下ろす。

 

「てっきり「自分の香織に何かしたのか」って言ってくると思ってたけど」

 

 ハジメはこれまでの光輝の言動から予測し近づいてきた光輝に話しかけると、

 

「俺の??……はぁ!?南雲もしかして俺が香織に惚れてたって言いたいのか!?」

 

「?そうじゃないのか」

 

「違うに決まってるだろ!南雲お前マジで言っていい冗談と言って良くない冗談の違いぐらい理解しよう、そんなんだからお前ぼっちなんだぞ!」

 

「ぐっ」

 

「まずなぁ2大天使だっけ?ないないないあり得ない俺あれ雫と香織って聞いた瞬間何言ってんのこいつらって思ったからな」

 

「誰だと思ったんだ」

 

「鈴と恵里この2人だな」

 

 即座に上げたのはクラスのムードメーカーとその親友、

 

天使っていうのは「御使い」と言って神と人間の仲介する役割なんだ。鈴の理由としてはいるだけで笑顔になれるクラスのムードメーカーだから顔が良いとか優しいとかじゃない、その人がいれば楽しくなる、晴れやかな気持ちになる、それが天使として必要な能力だからな。……恵里に関してはかなりの主観が入っているがまず優しいし真面目だ基本誰もやりたくない雑用を引き受けているし学年が違う先生方からも頼られてる生徒会の仕事でも率先して手伝ってくれている。誰も目を向けないようなとこに目を向けて困ってる人がいたら手伝いに行き泣いてる子どもがいたら見過ごせず近づく姿は天使が降りてきたのかと思うほど神秘的で、けど子どもが「目が怖い」って大泣きでどうしたらいいかわからず慌てて赤くなって涙目でこちらを向いて小声で「た・す・け・て」なんて言ったらあまりの可愛さにハンマーで殴られた衝撃が来たしその後泣き止んだ子どもとアイスを食べて口元についたのをハンカチで拭きつつ「ふふ美味しかったですか?」なんて笑顔で聞く姿とその眼はまるで母性愛の象徴たる聖母そのもの、その後子どもの両親が見つかりさよならする時には涙が出ないように眼に力を入れてけど怖がらせないように笑顔で見送る姿は聖人その者だ、かと思えば家に送りさよならの時に腕を絡めて耳元で「私の両親、今日から三泊四日の海外旅行に行ってて今家誰も居ないんだけど、、、どうしたい?」なんて言って服をズラす姿はもうサキュバス、聖人とか聖母とか言ったけどその姿はほんとにエろダッ!」

 

 光輝の後ろから飛来してきた拳ぐらいの石、普段の彼ならば例え目をつぶってでも避けれた速度だが話すのに集中していた為背中に当たり話を強制的に止められ地面を転がる。

 

 石が投げられた方を向けば、ムードメーカーの谷口鈴の後ろで顔が赤くなり湯気が見える中村恵里がいた。

 

「あー「それ以上言うなら別れる」って、ん?あーはいはい「別れるは嘘、むちゃくちゃ怒る」って」

 

「俺の彼女が可愛すぎてまじで困るOGKM。まそう言うわけで若干のメンヘラ気質なやつとストーカーに恋する訳がないんだよなぁ、、、あ」

 

「もう、しばらく話さない」

「あは、は〜大丈夫?恵里っち」

「バカだな」

「まぁそうね」

 

「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」」

 

 当事者である恵里とその親友の鈴、幼馴染でありアドバイザーとして何度も相談に乗った龍之介と雫そして興味のない八雲と未だ彼らについての記憶がない城戸以外の驚きの声で宿場町ホアルドが揺れた。

 

 


 

 

「まぁそれはそれとして」

 

「あぁ、続けるんだ」

 

「まだ何も話せてないからな、まずはすまなかった!俺は君のことを死んだ人として扱った!君の尊厳を傷つけたこと!此処に謝罪する!

 

  すまなかった!」

 

 頭を下げ驚くほど綺麗な土下座を見せつける。

 

「俺は、南雲が奈落に落ちた時死んだ者と決め付けていた。君の命の尊厳を貶した申し訳ない!」

 

「別にどうでもいい、それが話したいことなのか」

 

「いや違う、俺たちの庇護下に入って欲しい」

 

 

「断る」

 

 ノータイム返答からの即拒否まぁ考えていたけど言われると心にくるな。

 

「理由は聞かせてくれるかな?」

 

「お前らが信用出来ない」

 

「確かに失った信頼を取り戻すのはとても難しい針に糸を通すくらいに、けど信じてくれないか。彼が愚かな真似をしないように側においておく。閉じ込める訳じゃないただ迷宮攻略の旅をやめて欲しいだけだ」

 

「なんでそこまでする」

 

「…大体4番目か5番目」

 

「「「??」」」

 

「南雲の中での優先順位、1番が吸血鬼の少女、2番が海人族の子ども、3番目が兎人族の女性、4、5番目が竜人族の彼女か香織だ」

 

「!?」

 

 ミュウやシアは、特徴的な耳などを隠して居ないからバレる可能性が合ったがユエとティオの種族に関しては周りも驚いている。

 

「何故ワシの種族が」

 

「特徴的な服装少なくとも人族では見た事がない砂漠の民に似た伝統衣装があるけどその服じゃ無いのは分かる。魔族の伝統衣装かと考えたが寒波が有るそんな服は着ない、となると険しい山を越えた先にある竜人族の里と考えた。後は魔力の質かな」

 

「なら私はなんで分かったのすでに滅んだ種族なのに」

 

「…ハジメの首の咬まれた傷から、お盛んなのは結構だが子どもが居るんだあまり教育によろしくないことは「わかった、、もういい」あっそう」

 

 光輝はゆっくりと歩きハジメの前で立ち止まる。

 

「まぁ特別な関係というのは分かっている。だからこそその危険な旅は此処で終点にして欲しい。もし誰か1人だけしか助けれないとなった時に香織が死んだら君を恨んでしまう」

 

「誰も俺の前で死なせねぇよ」

 

 互いの圧がぶつかり空気が歪むが、光輝が圧を解きため息を吐く。

 

「あのザマでか」

 

 思い出すのは、遠藤に連れられてクラスメイトと合流しシノビガミという存在と闘い何も出来ず潰され自分たちの攻撃を無視された挙げ句、立ち上がり攻撃している自分たちでは無く、今にも死にそうな勇者への止めを優先した先程の場面。

 

「ハッキリ言おう、性格は置いておいて戦闘に関して俺は君を信頼できない。無理矢理行くのであればその足切り落としても良いんだぞ」

 

 ユエ、シア、ティオ三者三様すぐに戦闘体制を取り武器を構える。

 

 光輝に向けられている3つの殺意だが勇者は一歩も動かず奈落の怪物からの返事を待っている

 

「どうしたらいい?」

 

「今の俺に一撃でいい有効打を当てろ」

 

 地面を足で踏み抜くと剣が浮き上がり勇者の右手に収まり自分を軸に回転その剣圧に全員が吹き飛ばされる。

 

 防御に回した武器が綺麗な断面を作り横に真っ二つになった。

 

 剣を回し地面に突き刺す

 

「改めて言っておく、全員だ、お前ら全員で俺に有効打を当てる事それが、旅に出て良い条件だ」

 

「まっ」

「ダメよ。香織これは必要なこと貴方を任せるかれるかどうかではなくて、彼らにとって大事な事」

「じゃあ私は」

「香織がしたいようにすれば良い彼は全員でと言ったから」

「…わかった」

 

 武器を持ちハジメの側に近づく。

 

「私は、一緒に旅に行きたい」

 

「別に構わない、勝利条件は俺に有効打を与える事勝負は

   

               今からだ

 

 その声は隣から聞こえる、音が遅れてきた

 

「え?」

 

 ドゴン!

 

 轟音と共にハジメが吹き飛び見えない壁にぶつかり地面に落ち息を吐を吐く。

 

「結界ありがとう、八雲」

 

「別に良い、お金払ってくれるんでしょ?」

 

「まぁそうだね。無茶を言ったのは俺だから」

 

「あー勇者君、八雲の相場最低でも億からだぞ」

「えっ??」

「流石にそんな高額にはしないよ、んークラスメイトで少し安くして勇者ってので割って、、物価の高騰で、、、使っている結界が、、、頑張って一千万かな」

 

「ハェ!?」

 

 奇声を上げシノビを見るその隙を逃す人はこの場にいない

 

「て、と」

 

 兎人族から放たれるそのハンマー、竜人の剛腕、類稀なる魔法の才能を持つ吸血鬼の反撃を片腕一本で受け流す。

 

「「なっんで!!」」

 

(…ぬぅ、完全にペースを握られている此処は妾が)

 

「皆はご主人様をたすけるのじゃ、その間の相手は妾が引き受ける」

 

「わかりました!」

「ん、お願いティオ」

「お、お願いします!」

 

 3人がハジメを見に行き、追撃に動こうとした勇者の道を黒い鱗の尻尾が塞ぐ

 

「すまんな、尻尾が出てしもうた」

 

「構わない、俺もたまに彼女が可愛すぎて手が出る時があるからなよく分かる。代わりに相手してくれるんだろうね」

 

「妾はもう既に予約済みでな」

(ご主人様達が戻ってくる前に受け流したトリックを見破り無傷で合流したらご褒美がもらえるのでは!?…いや流石にそれは此奴相手だと厳しいか)

 

「八重樫流 無手術 無拍子 乱打」

 

 走る動作から繰り出された構えの無い正拳そこから両手で放たれる無軌道無差別の拳撃その一発一発は鱗によりダメージは無いが無視することのできない重さが竜人の体を後ろに後ろに押して行く。

 

(気持ち悪いのぉ、痛みは無いがカスっただけで重みが残る受け流しても無駄じゃな、なら)

 

「このままおしき、っ」

 

 足元から出てきた尻尾がティオの体を覆い拳を防ぎ光輝を人の何倍もある巨大な質量で押し返す。

 

「逃さん」

 

 自ら後ろに跳び衝撃を無くしダメージをゼロに抑えた光輝に追撃の火炎放射、それはまるで生き物のように動き獲物を焼き尽くさんとその場に留まる。

 

「やりましたか!」

「お前、そうやって丁寧なフラグ立てるなよ」

「そういえばこの前火を斬ってたような」

「……フラグウサギ」

 

 炎が消えるとそこには無傷の勇者がゆっくりと歩いてくる。

 

「剣は抜かないのか?」

「今の体に慣れておきたくてね」

「俺らはサンドバックかよ」

 

「サンドバックより良いよ。

 

     肩が痛くならないからな!

 

 先ほどと同じ遅れながら聞こえるだが今度は勇者と化け物の間に空飛ぶファンネルが割って入っている。

 

「2度は通じないか」

「当たり前だ」

「ハジメから離れろ!」

「ハジメさんから離れてください!」

「抑する光の聖痕、虚より来りて災禍を封じよ」

「待てお主ら!」

 

 

 左右から襲ってくる敵を見て一歩前からはハジメが繰り出したガンビットによる掃射、逃げ道は防がれ3方向から同時に放たれた攻撃は光輝を素通りして地面や壁にぶつかる。

 

(何故、この眼が見ているコアはしっかりと捉えているのに!さっきもそうだったなんですり抜けるんだ)

 

 一歩でハジメの懐に潜り込み拳を握り殴るが再び割って入ったガンビットを犠牲にダメージを最小限にそれを見た光輝が追撃をしようとしたが

 

「縛煌鎖!」

「くっ」

「やった!」

 

 だが背後からくるワンテンポ遅れた香織の魔法に体を縛られる、が腕力で引きちぎりお返しとばかりに拳を振り抜き風圧をぶつける。

 

「もしかして、ティオ!」

「うむ、ご主人様も気づいたか」

「多分だが、手を貸せ」

「承知した!」

 

 ティオが先行し炎を吐き光輝の視界を遮り、そして火の中から放たれる銃弾の2段式の波状攻撃だがそれも光輝の体を素通りして行く。

 

 コレはあくまで目眩し本当の目的は、

 

「っいない」

 

「ティオ!」

「うむ。今じゃ!」

 

 上空から聞こえる声太陽の光の中から出てくる、ハジメの手から現れたそれは全長二メートル半程の縦長の大筒、通称「パイルバンカー」。外部には幾つものゴツゴツした機械が取り付けられており、中には直径二十センチはある漆黒の杭が装填されている。下方は四本の頑丈そうなアームがつけられており、中程に空いている機構にハジメが義手をはめ込むと連動して動き出した。

 

 ハジメはそのまま、筒の外部に取り付けられたアンカーを射出した。合計六本のアームは周囲の地面に深々と突き刺さると大筒をしっかりと固定する。同時に、ハジメが魔力を注ぎ込んだ。すると、大筒が紅いスパークを放ち、中に装填されている漆黒の杭が猛烈と回転を始める。

 

キィイイイイイ!!!

 

「喰らえ」

 

「…来い」

 

 飛び上がり空中での決着を付ける。

 

 握る拳は姿を変え勇者が望む最高の硬度に

 

 大量の圧縮燃焼粉と電磁加速が射出の準備を

 

 今 放たれた 

 

 漆黒の杭は、光輝の体をすり抜ける

 

「終わりだ」

 

 顔面に拳を打ち込むが見えたのは宙に舞うネジやボルトなど金属片、南雲ハジメが持つ左腕の義手が割り込み光輝の手を掴む

 

「実体を掴めばもう使えねぇな」

 

 義手が変化し手錠のようにハジメと光輝を繋げる。

 

 再度、パイルバンカーを構えるが

 

「だからどうした」

「ぐっ」

 

 空中で身を捻りながら拘束された腕を起点にハジメを振り回し拳を握り縦横無尽に殴られ続ける。

 

 どこを狙っているのか、どうすれば反撃できるか、考えることが出来るのに、拳一個分届かない後数センチを埋める為には、

 

「その程度弱さなら、諦めろ」

 

  振り下される足、周囲には誰も居ない、確実に迫って来る死の予感

 

  …………脳裏に浮かぶ奈落に落ちてからの日常穴の中に引き篭もり死を待つだけの自分、血を吐き、泣き叫び、弱く脆くどうしようもなく弱者だった。そこから這い上がり出ても湧いて出て来る自分たちより強い存在。

 

   だが だが だが!!

 

「…わかってる、俺が弱えことは、けどな俺は、あいつらの前で最強を張らなきゃならねぇんだよ!!」

 

 俺を信じてくれる人の為、俺を好きだと言ってくれる人の為、俺を信じてくれる人の為

 

 「その為なら条件だの資格だのどうでもいい!!踏み倒して全部、、全部喰らって最強だ!!」

 

 ガリ

 

 何かを噛み砕くとともに右腕を振り上げる

 

「勇者、一撃じゃないどちらかが倒れるまでやるぞ、俺らの道の邪魔する奴は総べからずぶっ飛ばす。そう決めてんだ」

 

「そうか、なら甘んじてその一撃は貰うとしよう」

 

 鎖に引っ張られ地面近くから回転し上空10メートルの上昇、体がシェイクされ眼が充血し血が流れ出し、ハジメが撃ち下ろす右腕、鎖が悲鳴を上げ骨が折れる音を聴きながら更に鎖を持つ左腕を引き上げ右腕を振り抜く。

 

「オッラァ!!」

 

 一直線に落ちるクレーターは出来なかったが代わりに八雲が作り上げた障壁に致命的と言えるヒビが入る。

 

「…妖魔を喰らったのか」

「成程、差し詰め半人半妖って感じか」

 

 煙の中からゆっくりと勇者は立ち上がる

 

 赤紫色になった右腕をぶら下げ怪物は歩く

 

 互いの距離、腕一つ分、言葉は無い交わすのは拳のみ。

 

 姿が消える

 

 1秒が延びる0.1秒0.01秒世界から色が抜ける

 

 拳に想いを乗せて

 

 衝突まで

 

「「そこまで!!」」

 

 2人の間に割り込むだが振り上げた拳は止める事ができず。

 

((不味い!))

 

 2人が思い描く最悪の結末だが、現実は彼等の思いと逆に動く。

 

 光輝の拳が顔面に打ち付けるが後ろに倒れながら衝撃を脚に移動、左脚で振り上げ顎を打ち抜き空に浮かし残った右脚による受け流した衝撃をダメ押しにより天井まで吹き飛ばす見事な一回転。

 

 振り抜いた拳には人を殴った感触は無く不自然に丸めた体と添えられた左の足裏、エネルギーを受け止める足裏から回転エグるように横から放たれる右脚、ハジメのパンチの衝撃を完璧に受け流したカウンター。

 

「あ、やば」

「思った以上に力があったな」

 

 ハジメと光輝、2人分の衝撃が結界の壁にぶつかり限界を越えたのか結界が崩れさる。

 

「流石にどちらかが死ぬ攻撃は無視出来ないかな」

「やり過ぎ感はあるけど、まいっか。コレにて終わりで」

 

「納得できるかぁ!ようやくっ!?」

 

 顔を上げ立ち上がろうとしたが額に軽い衝撃が走り腰から崩れる。

 

「ふっ、いいね今の君の方が私は好きかな。はいコレ」

 

 ハジメに渡されたのは一枚の紙にギッシリと書かれた今の身体の修行方法。

 

「その身体が馴染んだら決着を付けたらいい、この試合は八雲の名にかけて私が預からせて貰う」

 

「…わかった」

「決着は次の機会だ。けど理由はともあれ一撃もらった訳だしな、香織の事頼んだぞ」

「ほんとに!いいの!!」

「あぁ、男に二言は無い、言った以上引っ込める事はしない。王様や女王様には俺から説明する。香織は何も心配しなくていい、堂々と南雲について行けばいい」

「ありがとう!光輝くん!」

 

「あ゛〜そう言えばそう言う話だったな」

 

「何というか……いろいろごめんなさい。それと、改めて礼をいうわ。ありがとう。助けてくれたことも、生きて香織に会わせて来てくれたことも……」

「礼は、アイツらに言え俺は、悔しいがアイツの言う通り俺はあの時何も出来なかった」(そうだ俺何も出来なかった)

 

  ハジメは、思わず失笑した。突然、吹き出したハジメに訝しそうな表情をする雫。視線で「一体なに?」と問いかけている。

 

「そうだな、アイツ性格変わったか?」

「あーそっか、あなたからしたらそう感じるのね。私からしたら昔の彼に戻ったって感じね。私達がヒーローって呼んでた頃の彼にね」

 

 その顔は微笑んで懐かしい思い出を思い出すかの様に遠くの景色を見ている。

 

「さて、勝手な言い分だとは分かっているけど……出来るだけ香織のことも見てあげて。お願、、、いや違うわ…ちゃんと見てくれないと……大変な事になるわよ」

 

「はあ?大変って何が」

 

「〝白髪眼帯の処刑人〟なんてどうかしら?」

「は?」

「いや、血塗られた災厄(ブラッディカラミティ)とかかな?」

「お、おま、お前まさか!」

 

「ふふふ、分かったのなら香織の事お願いね」

「………」

「……」

「ふぅ、破滅挽歌ショットガンカオス、壊滅の死者……」

「分かった!わかったからやめろ」

「約束破ったら、この世界でも日本でも、あなたを題材にした小説とか出すから覚悟してね?」

 

「お前それ脅迫だろ」

 

「あら、脅迫なんて酷いわね。香織を無視したらどうなるのか、わざわざ丁寧に教えただけなのに」

 

 香織がパタパタと足音を鳴らして戻ってきて雫の前で項垂れるハジメを見て目を丸くする。

 

「ど、どうなってるの?」

「ううん何も無いわ。それより顔よく見せて」

「わっ、な、何するの雫ちゃん」

 

 よく見る親友の顔を何年間も隣に立って見続けた彼女の姿を腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

 愛らしい白崎香織の姿を最後にこの眼に刻みつけて。

 

「ううん、何も無いわまた会えるから心配する必要無いわまた会いましょう。その時にはしっかりと彼を仕留めておくのよ」

「うん!ありがと雫ちゃん!またね!」

 

 雫達が見送る中、ハジメ達はホルアドの町を後にした。

 


 

 香織達の姿が見えなくなってから数秒後、私の世界が真っ赤に染まる、何度も眼を拭いても世界は戻らない。

 

「何…コあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

 

 頭に入り込んでくる那由多の知識

 

 溢れ出る粘性を含んだ自身の血液

 

「うぉげぇぇぇぇ」

 

 それらに耐え切れず吐いた少しでもこの苦しみを別の苦しみに変え

 

            無理だ

 

 分からない私が今2本足で立てているのか、それとも四つん這いになっているのか、倒れているのか、地面に触れているのか、空に浮かんでいるのか、

 空を見ているのか、地面を見ているのか、建物を見ているのか、人を見ているのか、空気を見ているのか、分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない

 

     分からないや違う

 

「分かってる」

 

 人・天使・悪魔・神・宇宙・神秘・魔法・科学・生命・死・輪廻

 

 分かる分かる分かる

 

 知識の知恵の奔流が止まらない

 

 ゼンブ  ワカル

 

「ァ……ァ…ァ」

 

 

「基本魔眼はすべからず厄ネタです。祝福は出来ませんが。君の行く末が少しでも良い物語であるよう願っておきます」

 

 その言葉が聞こえると体の力が抜け落ち虚脱感に包まれ視界が暗転する。

 

 

「落ち着いた?」

「いや、問題の先延ばしですね。いずれ暴走するけどわたし…あー俺がいるから其処は問題ない」

「そう」

「ただ暫くはコイ、、八重樫に付きっきりになってしまう」

「大丈夫、大和と藤原2人が戻ってくるから問題ないわ。それよりシノビガミの結界見てもらえるかしら」

「あぁ、あの2人が居れば確かに心配は無さそうですね、ちょっと待っててくれ」

 

 左手で左眼を隠して数秒後

 

「うん、起動している。深層領域にある四重結界を取り囲んでる。あ、今は違ったっけ?」

「ええ、私のオリジナル、仮名はあるけど明確な真名は無いわ」

「あー開示する事で能力底上げをしない代わりに隠蔽やらを高めたのか」

「正解。さてと、もどりましょ」

「はぁ、馬鹿にされるだろうなぁ」

 

 雫を左肩に担ぎ上げクラスメイトの方に足を進めつつ、これから彼らに報告するにあたり言われそうな罵詈雑言を考え鬱になっていく城戸の後ろから八雲が声をかける。

 

「あんたが考えてることにはならないと思うわ。勝手ながらの想像だけど。

 そうじゃなくてもこの2人の力、南雲の擬似妖魔化、魔族のシノビの実力、私たちの現状、そしてシノビガミについて城戸のグチなんで言ってる暇ないわ。

……少し自意識過剰が過ぎるわ、そう言うお年頃なら何も言わないけどもう違うでしょ、下に示しをつける為にも地に足付けてと言うかもう少し思慮深くなってもいいと思うわ。お上り三流雑魚底辺」

 

「何自然にナジってやがる、ぶっ飛ばすぞ!」

 

 口調の違和感が無くなり自然に話せるように戻ってきた。

 

 それを確認した後、八雲は結界を消してこれからのことを考え一言

 

「あーめんどくさ」

 





暗い暗い底の底、それは居た、傷を癒す為力を蓄える為。

両膝をつき両腕を広げられ鎖に力無く頭を地面に付けている。

外を確認するための窓も閉じ自身を囲む鎖が幾重にも繋がっており周りには鏡が敷かれカミの動きを写し出している。

【ふ、、ふふ、、、ふははははははは!!
いいだろう!どれだけ私を閉じ込めようと無駄だ!!
名は覚えた!次は油断しない!!この!!】

体から滲み出る妖力が周囲に影響を及ぼし始めると

ギッ、、ギッギッ、ギッジッジジジジジ!!

ドン、ドッドッドッドッ!!

鎖が肉に食い込む

空が落ちてくる石の柱

周囲から光らせ自身を弱らせる鏡

その重さに体が沈む細胞の悲鳴を無視して声を上げる

【…この屈辱覚えておくぞ】

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