ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す 作:なんとなく考えて書いてみました
早朝まだ太陽が出ておらずあたりも薄暗い中、金属のぶつかり合う音が王宮の至る所から響き渡る。
その音は少しずつ大きくなり監視塔の上、城壁、庭園を通り中庭に2人の男女が現れる。
男の方は、右手に刀を逆手で持ちファイティングポーズを、女性は両手にクナイと口に数枚のお札を咥えている。
数秒経つと互いの体から血が流れ出し一息入れ、姿が消え金属音だけで無く破砕音、炸裂音、雷音、竜巻音と様々な音が辺りに広がる。
「人が戦ってるのを除けばとても綺麗な景色だよな」
あぐらをかき天之川は呟く。
眼に映る光景は赤から黄と七色に変化し虹色に光る。
問題はそれらは人一人殺すのにお釣りが出る威力だと言うこと。
被害は更に広がっていき豪華な城が跡形も無く綺麗さっぱり崩れていく。
1人で呟いたはずの言葉に返事があった。
「へぇ〜そうなんだ」
コツコツと音を立て背中を木につけてゆっくりと城の反対を向き雫は返事を待ち
「雫、反対方向ね」
「あっこっち?ほんとに何も見えないのよね」
木の裏から出てきて光輝の隣に眼を黒い包帯で覆われ黒い杖を持った雫が座り込む。
「キツそうだね」
「そうね。見え過ぎるだけでここまで生活するのが難しいなんて考えてなかった、後悔はしてないけど、ちょっとだけキツいね」
王女から聞いた話だが、雫は起きて直ぐ彼らの言葉を聞く前に眼に付けられている、包帯を取ってしまい眼を抑え血を吐き撒き散らし発狂したと聞かされた。
この事について雫は覚えて無いと言っているが脳が思い出すのを拒絶しているのでは、と考えている。
今は日常生活を送る為、包帯を巻き杖を突いて生活している。そんな状態なのに日々の日課の素振りは怠ってないあたりやはり真面目なんだろうな。
「私もだけど、そっちはどうなの?」
考えを止めて雫の方向き一言
「アイツら逝かれてる」
「はは、知ってる」
「光速を知るためとか言って空から落とすし、実力が知りたいからって1人ずつ丁寧にボコボコにしてくるし、「いつでも戦場に出れる心構えを持て」って寝ててもぶん殴って来るしちょっとでも気を抜けばっ!…クナイが飛んでくるし」
少しでも遅ければ頭に刺さっていたクナイを見れば刃先が少し濡れている。よくよく見ればクナイの周りがものすごい速さで腐っている。
「毒、、まっずい」
直ぐに転がりその場を離れるとバキバキと音を立て数秒前まで自分がいたところに倒れ込む。
「これがあの時からずっとだ」
「私と同じかそれ以上にキツそうね」
「はは、まぁどっちもどっちだろ」
「だね。戦力外だから適当に意味のないことをされてるなんて無いよね?」
「、、まさか」
「意味が無いことはしない。コレはお前達を俺たちのレベルまで上げる。最短最速で登り詰める為の土台作りだ」
「きゃ、い、いつの間に」
「ッ!?!」
「よろこべ、お前らがくる前からいたぞ」
全く気付かなかった、雫の方を見れば驚いて地面に倒れている。
眼は包帯で見えない筈なのに何度も瞬きしているのが分かる。
自分より驚いている人がいると冷静になるのは本当なんだなと、一息入れ疑問に思ったことを話す。
「あの訓練にどんな意味があるんだ?」
「あぁ、簡単に言えば肉体、精神のレベルアップだ。お前らにシノビとしての才能は無い、だからこそ俺たちの戦いについて来れるようにする為の特訓だ」
「私はそういうのしなかったけど」
「八重樫はその眼がある。光速で動こうが、世界を欺こうが見抜けないものはない、故に馴染ませる必要があった。じゃないと情報量に殺されるだからな」
「よろこべってどういうことなんだ?」
「帰還した大和と藤原と話し合って修行方法が決定した。八重樫には俺が付いて魔眼を実戦形式で徹底的に鍛え上げる。天之川に関しては他の奴ら個人個人の実戦形式でひたすら鍛え抜く、それで潰れたらそこまでと判断して修行は打ち切る。」
空気が重くのしかかる、手足が震える、汗が服に引っ付き気持ち悪い、だけどそれ以上に心臓が熱く燃える、鼓動が身体中に響く、ワクワクが止まらない。
「だがコレを乗り越えれば見えなかった世界が見えるようになる。望む未来を自身の手で掴める。
いいか、俺たちが欲しいのは即戦力であり、気概だけの雑魚が欲しいわけじゃない。2人とも、この修行当然の様にこなし、当たり前のように乗り越えろ」
「ああ!」「ええ!」
意図せず同じタイミングで返した。
互いの頭の中にあるのは、オルクス迷宮でのシノビガミと名乗る人に殺されかけた事。
圧倒的なまでの実力差、彼らがこなれければ殺されていたと言う確信。
そして、暗に彼は言っている。聞きたいことは乗り越えたら全て話してやると。
「勇者と魔眼の自己流超短縮圧迫集中修行、略称八大地獄修行を開始する」
腕を広げ勢いよく両手を叩きパンッと音が鳴ると少しの浮遊感の後、周りの景色が変わり眼の前には槍を持ち空を見て黄昏ている大和がいた。
「ん、遅かったね。地獄修行メニュー第一階層私の攻撃を五分間耐え抜く。出来なかったら最初からよーいスタート」
「え」
初撃、上段からの振り下ろし気づいた時には地面が割れていた、避けれたのは奇跡だった、
2度は続かない。
次は地面からの振り上げに対して全力でその場から後ろに跳び退く。
「速さで私の上を取れるとでも?」
背後から聞こえる声と風を切り裂く音。
運任せで腰に刺していた剣を抜き体を丸め防御姿勢を構える。
「がっ」
幸運にも剣の腹にあたり数メートル吹き飛ばされ地面を転がる。
勢いをつけ立ち上がり剣を構えるが防いだ時の影響で腕が痺れ、何よりたった数秒で死にかけた事により精神的な疲労が体を雁字搦めにする。
「大丈夫?まだ1分も経ってないぞ?」
「違うだろ、もう1分も経ってる、が正しい」
「…ふふ、そうだな、その通りだな。なら少し、、本気で行く」
槍が消える。嫌、違う耳に入ってくる音が消えた事を否定する。
見えないだけ俺が知覚できない
地面が少しずつ削られ砂煙が立ち込める。
大和は見えなくなった槍を回し始めるそれは、次第にある形を作り上げた。
「真球かぁ〜」
「残り4分」
風を地面を空間を削りながら無限に近い圧力が攻めてくる。
「防御、、は無駄か」
鞘を投げ入れるが触れた途端削られ粉になる。止まる可能性も無い。
「けど、見えてるなら逃げやすい」
あくまで危険なのは槍の範囲内触った瞬間即死の絶対の間合い、先程投げた鞘でその範囲を確認後は、全力の後ろ走りで大和行動を確認しつつ逃げるのみ。
「問題は時間制限」
人間が全力で走れるのは40秒前後、残り時間は3分大体こういうのは最後の1、2分は違うパターンで攻めるに決まってる。
それまで体力を極力使わない様に気をつけて丁寧に酸素を足に脳に回せ。
障害物を使い遠心力を付けて上に落下の速度で下に。全力で横に跳んで、跳ねて。
そして
「残り1分」
来る!
確信、岩石地帯が整地され地平線が見えるまで綺麗になり大和が足を止めた。
それを見てから可能な限り足に力を込め、その場から離れる。
もしこの1分が本気でなら、光速で移動するその場合距離を取ろうが無駄隠れ様にもそれが出来るオブジェクトは無い。
残ってる手段は迎撃、
『攻撃は最大の防御なり』
剣に右腕の液体を纏わせる色が変化し灰色の剣は黒色に変色する。
「後は、タイミング、、」
どこを狙うのか、動くのはいつか、どの程度の速さか、
「残り50秒。軽い本気で。槍術 忍法 夜叉」
消える。
色が抜け落ちる。白黒の世界で全ての動きが遅くなる中、色も落ちずごく普通に歩いている姿を視界の端に捉える。
緩慢な動きの中耳をつんざく音で色が戻り大和槍を弾く。
その表情は驚き、防がれるとは思ってなかったのか、驚愕、感嘆そして微笑み。
「アッハァ♪」
体がその場体飛び退く前に地面が砕け地下に落下する。
鍔迫り合いが解かれ。体にかかる浮遊感、キンと言う音と共に根本から斬られる剣、
踏み締める地面が無い空中で死神の槍は構えられた。
「終わってまるかぁ!!」
まだ諦めるわけにはいかない。足を腕を動かし槍がどこから振り下ろされるかを見て。
大和の腕が消え、地面が落ちる。
「え」
崩落に巻き込まれた岩、土、木それらは全て粉々に両断されている。
そのスピードを余す事なく破壊力に変換しそれが俺に目掛け振り下ろされる。
諦めるな!!喰らいつけ!!
全ての瓦礫が地面に落ちきり音が無くなった。
俺の顔の横スレスレに槍先が地面にめり込んでいる。
鳴り響くタイマーの音、それを止め大和は口を開く。
「時間切れ。5分経過、、、
よく耐え抜いた。文句無し合格、第一階層等活地獄をクリアとする。おつかれ」
「よっしゃぁ!!」
久々に出た心の底からの喜び、両手を上げそして再び地面に倒れる。
落ち着いて考えるとよくクリアできたな、
初撃の奇跡的回避
真球による触れれば死の逃避行
一か八かの迎撃
そして落下中の体動制御の回避
最後の槍の諸々のパワー、を合わせた一撃の紙一重
「はは、出来過ぎだ」
「出来過ぎて悪いことなんてない。その時その場所、無数の選択肢の中で完璧な選択が出来たからこそ、この結果になった、その心がけは、いいかもだけど今はよくやった俺って褒めるべき」
そう、時計を見ながら答える。
確かにそうだな。
「よくやった俺!最高!天才!」
「うんうん
それじゃ休憩はここまで次の訓練に入ろうか」
「え??」
「ん??」
「つ、次って」
「うん、次の訓練第二階層黒縄地獄だよ?」
その眼はとても澄んでいた。
「コレ含めて七階層あるから頑張ろう!大丈夫君ならいけるさ」
「ふ、、、ふざけんなぁぁぁ!!!」
俺の声はただただこの空間に響くだけだった。
どこからから聞こえた叫び声に耳を傾けるとコツンと拳を頭にぶつけられた、
「よそ見する暇は今の八重樫にないぞ」
「分かってますけど、コレって何か意味があるんですか?」
今私がしているのは、城戸が宣言した攻撃を防ぎ可能なら反撃をする事。
コレをかれこれ一時間近くしている。まだ体力は温存出来ているが、丸一日コレが続くと。。
「右上、意味はある。…突き、そうだな少しゲームするか」
「ゲームですか」
「水平思考クイズわかるか?」
謎に対して、回答者が「はい」「いいえ」「関係ありません」のいずれかで答えられる質問を繰り返すことで状況を整理し、真相を推理する形式のクイズ、それなら何度か香織とやったことがある。
「わかるわ」
「よし質問は3つまで、いつでもいいぞ」
…私が知りたい事、「面」それはこの修行の意味、「左腕」ならまずは、「右薙ぎ払い」
「露骨に早くなってないですか!!」
「はい、後2回だな。左切り上げ」
「なっ!」
露骨に邪魔してきて!
落ち着いてクールにまだ2回もある。
「逆に考えろ2回しかないぞ」
露骨に思考を読むな!
…最初の質問大事だ。
何を質問する。あと2つしか聞けない以上これで確信に近づきたい。
修行の意味、彼が最初に言った、
「この修行は、私の眼に関することですか?」
「はい」
よし!これはでかい!
そう考えると
1、私の眼の力を知る為 は✖️
彼はこの眼を元から知ってる感じだった
2、剣術の実力を知る為 なわけない
そもそも眼と関係がない
3、待ってわからない。
「自分の身に及ぶ謎その原因は必ず自分にある」
「え?」
「俺の先生の家訓だ」
なんで今、!そう言えば私の思考読んで
今一度私の状態を考えてこれは眼に関する事、私の眼は今どうだ、あの時の力を発揮するどころか、私の身体を蝕み眼を開くことさえ出来ず生活も厳しい。
「コレは私の眼を開く為に必要な事ですか」
「はい」
なら答えは、こうだ、
「これは私の魔眼を開く為の何らかの儀式、それが答え」
「、、、なぁ所でよく防げてるな俺の攻撃、何も言ってないのに」
「あれ?そう言えっばっ!」
鈍い音をたて剣を受け止めるが、数秒と持たず私の剣が折れ斬られた。
一向に痛みは来ないそれどころか、何か開放感を感じもする。
「正解だ」
眼を開く、目が眩む。太陽の眩しさのせいでも無く、砂が眼に入ったとかでも無く、
ただ、ただひたすらに美しかった。
「ようこそ、魂の世界へ」