ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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最悪とは準備している時には来ないものだ

 

 

 時刻は、夕方。

 

 畑山愛子は1人で夕陽が差し込まれる廊下を歩いていた。これから生徒達に南雲ハジメの件についてどう話をするか悩んでいると、何者かの気配を感じて足を止める。前方を見れば、ちょうど影になっている部分に女性らしき姿が見える。廊下のど真ん中で、背筋をスっと伸ばし足を揃えて優雅に佇んでいる。服装は、聖教教会の修道服のようだ。

 

 その女性が、美しい、しかしどこか機械的な冷たさのある声音で愛子に話しかけた。

 

「はじめまして、畑山愛子。あなたを迎えに来ました」

 

「えっと、はじめまして。迎えに来たというのは……これから生徒達と夕食なのですが」

「いいえ、あなたの行き先は本山です」

「えっ?」

 

 ゆっくり足音も立てずに近寄ってくる美貌の修道女に、愛子は無意識に後退る。その時、修道女の碧眼が一瞬、輝いたように見えた。途端、愛子は頭に霞がかかったように感じた。思わず、魔法を使うときのように集中すると、弾かれた様にモヤが霧散した。

 

「……なるほど。流石は、主を差し置いて〝神〟を名乗るだけはあります。私の〝魅了〟を弾くとは。仕方ありません。物理的に連れて行くことにしましょう」

「こ、来ないで! も、求めるはっ……!?」

 

 一瞬で愛子との距離を詰めてきた修道女によって鳩尾に強烈な拳を当てる、が

 

「……一応聞いておきましょう、あなたお名前は?」

 

 愛子を守るように展開されていた不可視の壁、殺す気で殴った訳では無い、とはいえ神の使徒の攻撃にヒビ一つ入らない硬さ。それを作り上げた術者が使徒の後方から歩いて来る。

 

「先生の話を聞いてからちょっと不安を覚えたんだ、そんな全能の愉快犯ならナニカ行動を起こすんじゃ無いのかなって。そんなただの勘よ、けど…よかった師匠達も言ってたな「困ったら第六感」って」

 

 夕日の逆光に照らされ腰に下げた刀が揺れながら、手首からヘアゴムを取り髪を一纏めポニーテールにして、ゆっくりと姿を表す。

 

「八重樫よ。一応勇者パーティーそして今作った先生のファンクラブNo.01よろしくはしないわ、これで良いかしら」

 

 使徒はいま一度愛子の周りにある不可視の壁に触る全力の力を込めるがヒビは入らない奥の手を使えば突破出来るがその場合中にいる愛子は無事では済まない。それよりこの力は間違い無くイレギュラーと同格かそれ以上

 

「無視はできませんね。ノイント"神の使徒"として主の盤上より不要な駒を排除します」

 

 ノイントから噴き出した銀色の魔力が周囲の空間を軋ませる。大瀑布の水圧を受けたかのような絶大なプレッシャーが襲いかかった。

 

 内心で冷や汗をかきながら落ち着いてゆっくりと言葉を紡ぐ、

 

「…私に、構うのは別に良いけど、私に構ってて良いの?」

 

 気配なく魔力なく、いきなりの奇襲、銀色の軌跡を描きノイントが吹き飛ばされる。

 

「っ!?」

 

 王道を無視してての奇襲、吹き飛ばした実行犯(勇者)は巨大化した腕を戻しながらノイントから目を逸らさず話しかけた。

 

「雫、悪い知らせがいくつかある」

 

「何」

 

「師匠達との連絡が取れない、魔物の大群が攻めてきて王女がそっちに向かった、メルドさんとこにあれに似たのが向かってったから遠藤がそれを追いかけた」

 

「考えうる限りの最悪がいきなりやってきたってことかな……なら急いでこいつを倒さないと」

 

「そういうことだ、全力でいこうか」

 

 2人は腰に下げた剣を引き抜き、空を飛びコチラを睨んでいるノイントに向け一歩踏み出す。

 

 

 

 

 

 視界を埋め尽くす魔物の数およそ200万弱それが、今か今かとゆっくりとだが、進み続ける。

 

 それを城壁から眺める王女が1人だけで佇んでいる。

 

「はぁ、嫌な予感がするのは此処じゃ無い。王宮の方だ、浩介に何かあったか…けどこちらも無視はできない。めんどくさいなぁ〜」

 

 蠢く魔物たちの中にいる、姿は見えはしないが何十人のシノビの気配と、その中でも飛び抜けて強い3つの気配これに関して一筋縄では行かないだろう。

 

「元々私が得意なのは闇討ちとか政治工作とかそっち方面、真っ正面の戦闘なんて苦手分野にも程がある。けど…私が私であるために頑張ろう」

 

 

 

 場所を移動して騎士団団長室、普段はきれいに整頓してあるこの部屋は、2人の怪物によりこの世で最も危険地帯となった。

 

「な、何が起こってるんだ……」

 

 メルドは強者であった、この国において団長という立場に立ちそこであぐらをかかずに研鑽し続けて来た、自慢では無いがこの国では最強と言われている。だが今この戦いにおいて自分は、、、自分は、、!

 

「…さん!メルドさん!!」

 

「っな、なんだ浩介」

 

 膝をつき使徒と名乗った女の二振りの大剣を同じく二振りの短い刀で鍔迫り合う、少しずつ少しずつ後ろに下がって来ているがそれを無視してコチラを向いて声を出す。

 

「勇者からの伝言です!外から魔物の大群が来てるそうです!そちらはっ!任せます!!」

 

 勇者が誰の事を言っているのか、すぐに理解した、聞きたい事は山程ある、その強さは、使徒と名乗ったそれはなんなのか、だがその全てを飲み込んで

 

「分かった、任せておけ」

 

 武器を手に取りすぐ後ろにある窓を破りながら飛び降りる、使徒はその動きを潰そうと外に飛び出て大剣を首にめがけ振り下ろす。

 

 が、光速で動くシノビが許す訳なく窓に向かい走り勢いを緩めずジャンプ、両膝を折りたたみ使徒の顔面にドロップキックを決め隣の塔にぶつける。

 

「お願いします!!」

 

 そのまま塔の壁に着地し壁を走り使徒に握っていた刀を投げる、使徒は大剣で防ぎ翼を広げ遠藤から距離を取る

 

「私立御斎学園 怪段(かいだん)

 

 旧校舎の怪異「増殖する階段」を召喚する。

 

 そして、壁を蹴り怪段に着地飛んで来る使徒の攻撃ゆっくりと構え待ち、鞍馬神流の後の先の心持ちを思い出す。

 

「お前は、此処で俺が倒…す」

 

 横から飛んできた銀色の物体に巻き込まれ塔を貫き城の一部が崩壊していく。

 

 通り過ぎた方向から2人の男女がボロボロの姿で飛んできた。

 

「遠藤?どうしたの?」

 

「いや、なんでも無い…です」

 

「遠藤銀色の羽根に気を付けろ触れた瞬間、文字通り分解、、粉々になる。ってかなった」

 

「なるほど。…じゃあ防御が厚く攻撃が強く速さもある。特殊能力も有りと」

 

「王道を征く強さって感じね。けど」

 

「ああ、それだけなら。大丈夫だ、人数も勝ってる」

 

「八重樫さん、天之河さん、協力お願いします!」

 

「さんはいらない、天之河だけで良い」

 

「私も八重樫で良いわ、行くわよ2人とも!」

 

「はい!」「あぁ!」

 

 使徒は互いに眼を合わせ言葉は交わさないが何か通じ合ったのか、明確な殺意を持ち二振りの大剣を顕現させ、銀翼を羽ばたかせ銀羽を散らばして相対する3人にぶつけていく。

 

「羽は任せて。信じて進んで!重力魂×10」

 

 空中に投げ出された、あらゆるものを引き寄せる黒い球が散らされた羽を縦横無尽に移動させ消滅させていく。

 

 そして、味方には攻撃の補助を遠藤が投げた鞍馬神流神槍を、重力により進行方向を曲げ捻り背後からの攻撃に、光輝の鞭のように伸ばした攻撃を動かして全方位の攻撃に変える。

 

 羽による分解を潰す、大剣の軌道を逸らす、2人の使徒が連携しない様に一対一の状況を作り八重樫からの支援を受けれる様に、修行で学んだ相手に何もさせない自分の得意を押し付ける完璧にこなしている。

 

「(強い1人多いからとはいえ此処まで私達の行動が完封されると、、このままでは…まずい)」

 

 ほんの少しの焦りを(勇者)は逃さない。

 

 左手で右手を引き抜き剣を作る白銀の剣

 

 自身で考えて付けたその名は銀彗剣(ぎんすいけん)

 

「光速剣」

 

「しまっ」

 

 左腕が消える、直ぐに異常を察知して翼を動かし攻撃の範囲外に、

 

「させない」

 

 黒い重力に動きを止められる。

 

「あ」

 

 血は流れない人と思える部分さえ残らない。銀羽に魔力を流す暇も無い、ただ自分が斬られている感覚も無く使徒は消えさった。

 

 そして、ゆっくりと銀彗剣を右腕に納める。

 

「雫!そっちの状況は!」

 

 

「援護は必要無さそうね」

 

 遠藤の状況を確認する八重樫その目に映るのは、光速で空を走り使徒を真っ正面から叩き潰しているシノビの力だが、リリィから師匠達から聞いた話とは全く違う戦い方、その戦い方には見覚えがある。それは以前オルクス大迷宮で見たシノビガミを想起させる絶望的な圧倒的な姿。

 

 自然とほんの自然と冷や汗が流れ警戒心が、上がっていく。

 

 

「おぉおぉぉぉぉ!!」

 

 使徒は体全体が銀色の魔力で覆われており、感じる威圧感が跳ね上がっている。

 独楽のようにクルクルと物凄い勢いで回転しながら遠心力をたっぷり乗せた双大剣を振るった。

 

 が、

 

「斜歯忍軍 武器破壊」

 

 相手の使用している獲物を破壊する。

 

 無手で大剣を真ん中からへし折り

 

「鞍馬神流 天狗(あまきつね)

 

 疾風の体当たり。見方によっては、流星の如き一撃に見える。

 

 至近距離からぶちかまし、王国に張ってる結界まで飛びヒビが入る。

 

「ぐっ、はぁぁぁ!!!」

 

 大瀑布の魔力が周囲を襲う、

 

「隠忍の血統 血霞(ちかすみ)

 

 血社(しえしゃー)に伝わる血功の一つ。回避時に自身の体を血の霧に変え、敵をとらえる。

 

 左手で首を掴み右手と左足で両腕を押さえ込み右足を振り上げ落とす。

 

「汎用忍法 天牛(かみきり)

 

 力任せの攻撃で、敵の装備ごとダメージを与える。

 

 僅かに残った武器を壊し鎧を砕き骨を折り地面に落とす。

 

「…圧倒してるな」

 

「えぇ、そうね。底知れぬ不安感は何か見落としてる?)」

 

「どうした?」

 

「いや大丈夫、手伝いに行こうか」

 

「手伝いなぁ、いるかぁ?大丈夫そうだけどな」

 

「念の為よ(いや、大丈夫何も問題は無い筈よね)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【くひ、くひひ】

 





 
 matudareiさん、たなはまあかさん、お気に入りありがとうございます。
投稿遅くなりました。モチベーションが上がってきたのでこれから少し早くなる予定です。
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