ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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恐怖とは未知から来るものである

 

 赤髪が風によってゆらぎフリードの周囲を囲み収まるとそこには、この魔物の大軍を創り上げたカトレアが現れた。

 

「フリード様、全軍配置終わりました」

 

「そうか、分かった。隠忍の血統 呼び声」

 

 遠い次元の向こうからでも聞こえるという、魂に響く声。

 

「諸君フリードだ。これより我らは戦争を仕掛ける。当然だが直ぐ隣にいる戦友が、上司が部下がただただ無意味に死ぬ可能性がある。その時は逃げてくれ。私達のゴールは此処ではない。ひたすらに泥水啜ってでも生きろ。私からの言葉はひとつ死ぬな。以上」

 

 改めてハイリヒ王国を見る人類の繁栄を示す巨大な王国、その城壁に1人で立ちコチラを見下ろしている。ハイリヒ王国唯一無二にして最強の王女(シノビ)、世界大戦を引き起こそうとしたヘルシャー帝国を1人で制圧、魔王領に1人で侵入したのち魔王城を半壊させ無傷で帰還。数々の偉業を成し遂げているにも関わらず誰もその事について知らない、噂すらも流れない誰1人として彼女の本気を知らない。戦い方すら不明。

 

  故に第一級脅威リリアーナ・S・B・ハイリヒ

 

「知っているのに知らないと言うのは怖いな」

 

「ですが、もう後戻りはできません」

 

「あぁ、そうだな」

 

 右手を上げ

 

「全軍突撃!!」

 

 戦争開始の合図を下ろす。

 

 魔物の雄叫びが進軍する大地が揺れ悲鳴を上げ王国に攻め入る。

 

 最初に気がついたのは先頭を走る魔物、障害物は無いただの平原だった、がそこに人間がいたたった1人だけそれに女、動いてすらいない、恐怖しているのか、それとも絶望しているのか、だが魔物には関係ない女を喰らい邪魔な壁を破壊しさらに人を喰らうそれだけ ヲ?!

 

 魔物は頭に穴が空きその背後にいた魔物達も同じく頭に穴が空き倒れていく。

 

「斜歯忍軍 鍔鑿組(つばのみぐみ)  精密機動」

 

 機身による高速移動中の動作補正機能。しかし、その使用は、脳に多大な負荷をかける。

 

 頭に乗せたティアラが光り空から槍、剣、鎌、弓に矢、様々な武器が落ちてくる。そのどれもがリリィが自らの手で創り上げた国宝とも引けを取らない一級品たちを、投げる、投げる投げる投げる。

 

 射線上にいた魔物たちは斬られ貫かれ爆ぜて、その着弾地点ではその威力によって何万もの魔物が巻き込まれ死んだ。

 

「此処より!!一歩でも超えたら!!私が許さない!!!その覚悟ある者から!!進んでみろ!!」

 

 止まった。万を超える魔物の軍勢が、たった1人の先制攻撃によって威圧によって、だが

 

進軍しろ(・・・・)

 

 カトレアの言葉により再び魔物は動き出すゆったりとした歩みから、大地を揺らす走りになるには時間はかからなかった。

 

 リリィの地面が爆ぜ武器を投げ再び魔物は吹き飛ばされていくが、止まらない死んだ魔物を踏みつけ更に先に一歩進むごと数は減って来ている。だが、確実に城に近づいている。

 

「まぁ、設置してるよな」

 

「斜歯忍軍 奈落+比良坂機関 醜女衆(しこめしゅう) 道返(ちがえし)

 

 単純な技、落とし穴を作っておき、相手の足を止める忍法。

 

 罠を用いて、足止め、妨害を行う忍法。

 

 その規模は地面が見えない程の深さであり、半分以上が奈落に落ちていくたとえ生き残っていたとしても、毒などの罠で確実に進軍を止めた。

 

 残りを排除していた時、全方位から放たれたクナイを左右に持った剣と槍で捩じ伏せる。

 

「来ましたか」

 

 地面から、魔物の死体から、空からそして正面から15人のシノビそして彼らの大将フリードが歩いてくる。

 

「遅かったですね。ようやく諦めましたか?」

 

「元々この程度では倒せないのは知っていた。ほんの少しでも削れたらの楽観的作戦だ」

 

「つまるところ」

 

「此処からが本番だ。

           隠忍の血統 鬼人」

 

 隠忍たちに流れる妖魔の血。それを呼び起こす。

 

 鬼、ワイバーン、グール周囲少なくとも同じ妖魔はいない、それに

 

「ナニソレ」

 

 8本の尻尾に光沢のある殻、凶悪な2本のハサミそして、眼を見張るはそのデカさ城壁近くの巨大さ。

 

 呼び起こしたフリードは、剣を抜き

 

「ここで貴様を討伐する。攻撃開始!!」

 

 全方位から放たれた初見の攻撃を、設置していた退避用の奈落で直ぐにその場から離脱、

 

 「妖魔忍法 狂骨」

 

 圧倒的な狂念を発し、敵の位置を暴く。

 

 妖魔忍法それは極めて強力であり、恐ろしく禍々しい妖魔の技。この忍法を身に付け使うという事は、妖魔に近づくという事である。

 

「妖魔忍法 猟犬」

 

 空間の狭間を抜け、標的を追い詰める。

 

 リリィの背後の空間から出現した爪、尻尾により地面から引き摺り出される。

 

「比良坂機関 操り人形」

 

 誰かの心に忍びより、自由に操る。

 

 地面が揺れる、

 

「こい、コイツらをねじ伏せろ!」

 

 次々と地面から出てくる魔物たちの波に魔族は呑みこまれていく、コレくらいでシノビましてや妖魔に変化(へんげ)した彼らが死ぬ事はないだろう。

 

 そして、今の魔物同士の共食いで大半を削ることが出来た残りは1万近くそして

 

「魔法一斉掃射開始!!」

 

「「「「「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」」」」」

 

 城壁に近いていた魔物達の一部が騎士団達により消し飛ばされる。

 

「ふぅコホッコホッゴッホ」

 

 ただの咳から手のひらで抑えきれない血の量が口から吐き出される。

 

 精密機動の反動、200万近くの魔物、数十人近くの同格のシノビそこからの妖魔化、奈落に落ちた万を超える魔物達を操る、アドレナリンや薬で誤魔化していた物が気を抜いてしまった瞬間に一斉に襲ってきた。

 

 気を抜いた、抜いてしまった。

 

「流石だな。正直言って今回はもう無理だと思っていたんだがな。飛ぶぞ」

 

「っ!」

 

 音を置き去りにしてリリィが血を吐きながら眼に見えないスピードで横に落ちて行く、

 

「ふっ」

 

 そのスピードに追い付き追い越し更に剣を振るい城壁にぶち当て、体が痺れ動きが止まるとフリードの姿が消え背後からリリィの頭を掴み城壁と結界の空間を飛びハイリヒ宮殿に落ちる。

 

「すまないな。お前相手に手加減はできん」

 

 剣を納刀し身なりを整えながら地面に倒れ込んでいるリリィに話しかける。

 

「別に構いません。それよりなぜあのような大軍を?元々の予定では、もっと少なくシノビも貴方含めて2人のはずでは?」

 

 土を落としながら武器を確認し頭にティアラをのせ鏡で髪を整え疑問に思ったことを問いかける。

 

「こちらにも色々あった。私達の部隊の中に内通者がいて、その捜索を兼ねての大進軍を実行した」

 

「フリード様、カトレアただいま現着しました」

 

「どうだ黒は見つけたか?」

 

「いえ、ですが絞り込み残りは1人だけ、…魔王様から推薦された魔族です」

 

「黒ですよ。間違い無くそいつが黒ですよ。真っ黒でしょ!」

 

 リリィからの罵倒のような抗議の声、それに黙り込む魔族幹部の2人、心情的には少しでも魔王様のことを信じていたかったのかもしれないが真実は残酷という物だ。覚悟していたとはいえ思わず口をつぐむくらい。その時

 

 頭上から落ちてきた2つの影、1人は羽をむしり取られ、粉々になった武器とボロボロの防具もう1人は、傷はなく息切れもしていない両者の間に圧倒的な実力差があることがわかった。

 

 その姿は、

 

 ガキィィィィィン

 

 その場にいた魔族の2人はすぐに、納刀した剣を抜こうとするがそこに剣は無く視線の先リリィとその影に隠れて顔は見えないが両者の手には魔族が持っていた剣が握られている。

 

「答えなさい貴方は、誰ですか」

 

 その声は、酷く冷淡で聴く者全てを底冷えさせる様な圧倒的な気品と共に放たれる重圧それは近くにいる物全てを凍らせる。

 

「遠藤!遠藤浩介です!!」

 

 答えたが、力は抜いてない重圧は変わらないどころか増し続けている、

 

「…姿はそうです。声もそうです。眼の色も匂いも感触も私の知る浩介です」

 

 記憶を思い出し答えているのか、ほんの少しだけ口角が上がっている。

 

「だろ!?だから剣おろしてくれ!使徒にとどめ刺さないと!」

 

 が、そう答えた瞬間、口角は下がり、重圧は殺意と変わり拮抗していた剣が押し込まれて遠藤の体が後ろに下がっていく。

 

「…い…す」

 

「え?」

 

「解釈違いです」

 

 剣を落とし両手で遠藤の服を掴み

 

「斜歯忍軍 鳳凰(ひのとり)

 

 化学忍法の必殺技。自身を炎で包み、相手に体当たりする。

 

 地面を焼き焦がし使徒ごと巻き込み上空に飛翔し結界にいくつも穴を開け宮殿の壁を幾つも壊し城外まで飛び地面に激突しクレーターを作っていき吹き飛ばす。

 

「ふー」

 

 白い息を吐きながら風にあたり肉体が冷えていく、その後ろからフリードとカトレアが追い付き、上空からは今の炎の川を見たのか天之川と八重樫が降りてくる。

 

「カトレア!?」

「雫!」

 

「リリアーナ、なぜ遠藤に攻撃した!」

 

「アレは遠藤じゃありません」

 

「どういうこと」

 

「あぁ俺も聞きたいなぜ俺が偽物だと?」

 

「「「「!!??」」」」

 

 自分たちの背後から聞き慣れた声、後ろを向けばそこには遠藤がいた右側の火傷が酷かったが瞬きのたびにみるみる回復していく。

 

「ミスをしたつもりは無かった、何度も見て演じてコレで本物と思えるくらい真似た、実際アンタ以外の連中にはバレてなかった。どこで違うとわかった」

 

「勘」

 

「「「「「……」」」」」

 

 断言した二言にその場の全員が絶句し、遠藤皮をかぶっている何かは気を取り直して劇団員の様に手を広げ声を張り上げ話し始めた。

 

「…まぁいい、初めての自己紹介といこう。俺はシノビガミにより遠藤浩介の心の内海より生み出された深淵よりきたる存在そう我が名はアビスゲートそう呼んでくれ」

 

 






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