ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す 作:なんとなく考えて書いてみました
シノビガミと彼らの対決、それは、リリアーナ達の理解を超えていた。
瞬きするたびに彼らの戦場は姿を変える、流星雨の中で藤原と八雲がシノビガミとぶつかり合い、三日月がシノビガミを結界の中に閉じ込めていたり、空中を走りながら城戸と草薙がシノビガミと斬り合い戦い、炎の中でシノビガミが相手に全方位で放った千を超える神槍を1本の神槍で全て弾き落とした大和の大立ち回り、、
目の前のシノビガミと彼等が離れ数秒経つと、壁と地面が崩れ落ち始めた。
世界が遅れてシノビ達の戦闘の被害を受けた。
「…弱くなったぁ、シノビガミ俺は悲しいぜ」
【貴様らこそ、同じだろう弱く、、いや違うな、あの極地で戦った時より遥かに衰えている】
もし、シノビガミが先程の戦闘を私達の戦いでしていたら勝負にすらならなかった。
それでも師匠たちからすればシノビガミは弱くなっていて、シノビガミからすれば師匠たちは衰えている。
成長している?壁を超えた?冗談じゃない!!
弱くなったシノビガミと衰えた師匠たちより弱い私たちは、いったいなんなんだって話になる。
動かなかった腕に力が入る、悔しさと屈辱と無力感が心の中を渦巻き握り締めた拳から血が流れる。
だが、心が折れること無く、渦巻く全てを飲み込んで草薙師匠の「私達の戦いを見て下さい」を信じて集中して……
「え〜さすがシノビガミ、過去の栄光はすっごお〜…んぅ?アレぇ?その栄光の中で俺たちに倒されてるじゃんwあ!もしかして〜負けた時の言い訳でも作ってたの〜?ごめ〜ん、そう言うのちょっと分かんなくてさー、けど衰えてる俺たち相手に未だ膠着状態、、、いくら弱くなってるからって……こう言うのはアレだけど〜シノビガミってやっぱ名前負けしてるよ〜。よわよわで〜だっさぁい〜ざこざこの根性無しって名乗ったらぁ〜」
腰をくねくねと動かしながら言い放つ城戸
見て聞いて後悔したが、そんなことを考える暇はすぐに無くなった。
【シネ】
空間が歪み城戸が吹き飛ばされ、城戸がいた場所には拳を振り抜いたシノビガミが再び消え、吹き飛ばされている城戸の背後に現れ割り込んだ三日月ごと振り上げた足を下ろし捻じ伏せる。
「タンク役がすぐ潰れるな!ハグレモノ
肉体に作用する特殊な香りをだし、自分の風下にいる者を朦朧とさせる。
三日月と城戸を巻き込む白い煙をシノビガミは肺に残っていた酸素を吐き出し吹き飛ばす。
「私立御斎学園 怪段」
旧校舎の怪異を召喚し見えない怪段が現れ戦場が空中へと変化する。
「隠忍の血統
「ハグレモノ
自身の周囲に踏み込んだ者を傷つける殺界を作る忍法。
魔と戦う陰陽武術の一種。体内の気を最大限に高めて打ち出す。
襲い掛かる斬撃と拳ほどの大きさの気弾に対して、怪段を時に登り時に降り襲い掛かる脅威に対して、クナイを持ち斬撃を受け流し気弾を斬り裂き最速最短で2人に迫る、
八雲によって張られた結界を瞬時に把握し右腕の指ひとつで解除、振り下ろされた獣の腕も左腕ひとつで力の流れを変え藤原に返し腕を破壊する。
「ーーッ゛」
壊れた獣の腕を掴み八雲に投げる、迫る藤原を避けて反撃の数十発の気弾を撃ち放ちシノビガミに当たるが煙になり消える
「影分【こっち】ッ」
投げ飛ばした藤原の影に隠れ八雲を死角を突き怪段を破壊しながら2人を地面に突き落とす。
【私は弱くなってる。が、君らは衰えてる。この差は大きい。例えるなら、私は若返り過ぎて子供に、君らはただ年老いて老人になった】
老人相手に技術は必要無い。力で捩じ伏せていく。
クレーターから八雲と藤原を引きずりながら優雅に歩く行くてを阻むように大和が槍を構えていた。
「もう勝ったつもり?」
【あぁ、そうだが】
それは最初から最後まで、素人目で追いかけるには高次元の攻防だった、
ぶつかり合う剣撃はおろか、めまぐるしく入れ替わる立ち位置や足捌き、どちらが優勢でどちらが劣勢なのか、見ている3人の眼からは捉えきれず分からない。
大和が繰り出すのは一呼吸に10を超える神速の突き、大槍を持ちつつ常に死角に入るように周る特殊な歩法、構えはキツく苦しいけれど最も槍を振れる体勢をとっている。
対するシノビガミの攻撃は縦に下ろす横に薙ぎ払う下から斬り上げる。倒す為に振るう、それだけの心構えで鍛え上げた大和を容易く凌駕する。
特別な忍法でも特殊な技術もない。
ただ、ただ規格外との理不尽な戦い、、
それでも、彼らは諦めない、
作戦が破れたら、次の作戦に、次の次の作戦に
勝負に負けたら、次の勝負に、次の次の勝負に
絶対に、故障しても、呪われても、重傷を負っても、病があっても、腕が無くなっても、不調でも、大切な何かを忘れても、辱めをうけても、ドロドロに溶かされても、毒を喰らっても、眼が見えなくても、耳が聞こえなくても、尊厳がなくなっても、血を吐いても、死にかけても、
絶対に、、絶対に、、たとえ
「死んでも諦めない。鞍馬神流 神槍」
大槍の速度は上がり血を吐きながら光となり放たれた神速の刺突は、
【待ってた】
完璧に合わさるカウンターにより、
心臓を貫いた。
「ーーがぼ」
【勝負を急いだな大和】
「ーーに、げほーー」
【?】
「俺が、大和に見えるのか」
大和の顔が黒いヘドロとなり落ちその顔は、先程潰した城戸 要の顔
【しまっ】
「奥義
背後からの奇襲、
回避も防御も許さない絶望に至り生まれた奥義
大和 椿から流れ落ちる血は、意志を持ちその場にいる全ての知的生命体の心情無関係に経歴のみで判別し血の裁量のみで痛みの度合いを決定する。
「
その全ての血は
シノビガミを貫き
遠藤浩介の器を貫き
シノビが創った封印を貫き
鎖に繋がれたシノビガミの器を貫き
心臓の鼓動を肺の呼吸を血管の流れを、生きる為に必要な生命活動の全てを貫き世界に縫い止めるに至る。
そして、シノビガミとの戦いにおいて
決定的な隙を与える事に成功する。
「草薙!」
「私立御斎学園 旧校舎管理委員会 特別教室」
リリアーナ達を助ける為に使った忍法。拘束できたのはせいぜい数秒、だが彼らの行動を見るに何としてでも特別教室に閉じ込める、その意志を感じ取れれた。
なぜ特別教室に閉じ込める必要があるか。それは、特別教室の忍法に由来している。
特別教室
旧校舎にある特別教室にもどり、修行をし直す。
草薙の特別教室の修行内容は、シノビガミを閉じ込める牢獄と錠前の製造。
心臓を貫かれた城戸を除きすでにシノビ達の準備は終わっており、その場に置かれている机や椅子が封印の補助として作用してシノビガミを教室の中心で拘束する。
「「「結界術」」」
「「封術」」
【ーーう、おぉぉぉぉぉ】
床から出て来た鎖が四肢を縛り付け両手と両足には杭が撃ち据えられる。
「煉獄の焔にその身を灼き」
円となりシノビガミを囲んでいる。シノビ達のその身が燃え上がる、その焔は肉を焼かずその熱をもって身を清め
「己を歳月を削り」
この世に産まれてから感じた17年の歳月という記憶はたった一つの技の為に削り、余計な物を消し去り漂白した世界で
「魂を祭壇に奉納し」
残り少ない魂だが、それぞれ分け合いひとつにまとめて形を創りシノビガミの器に楔を穿つ
「私たちは辿るその軌跡を、印を此処に示し待つ」
特別教室にいない城戸の言葉を八雲が代わりに綴る
円を描くように廻る足跡は舞の意味を持ち
「定義はふたつ封じる錠と檻を」
何度もした動作は間違える事なく、シノビ達はその技を呟く
「「「「「
煉獄が魂を熱して打ち直し歳月をかけて捧げ祭ることで錠と檻を創り上げる。
体には大和の奥義により穴が開き、そこから全身を蝕んでいる、それに加えて四肢は鎖により拘束されその手足には楔が撃たれている。だがその力は、1秒事に力は増している。
勝負は五分五分。
【ーーぐ、うぉぁぁぁ】
器に鎖が巻き付き檻が出来る
鎖の擦れる音が鳴り軋む
扉が閉まり幾つもの錠が掛けられる
虚数空間に在る教室が歪む
シノビたちは血を吐きながら力を込める
楔が抜ける
均衡が崩れる
【私の「六花断章」!?なんだと】
六花断章
それはシノビガミを封印する為に過去のシノビ達が創り出した私たちの封印とは全くの別物、後から来るシノビに託した希望を繋げる書
シノビガミの視線の先にいるのは心臓を潰した城戸が血反吐を吐きながら祝詞を囁く
「
以下省略!!封印術式 起動!!」
6冊の本はページが破れシノビガミに巻き付き幾重もの呪詛が現れ檻を鎖を補強し楔が再び穿たれ
決着の足音が聞こえる。
【まぁだだぁ!】
だがもう既に髪と瞳の色は元の黒色に戻り力も無くなって来ているが、遠藤浩介は未だ戻って来ない。
「遠藤が戻ることを拒絶しているのか」
ハイリヒ王国の被害、友達を傷つけた事、師匠達の怪我、なにより虚な眼に体半分が消し飛び一度死んだリリィの姿。
遠藤浩介のなかに渦巻く感情はひとつ
俺は此処で
「何をバカな事考えてるんですか?」
その全ては自分がヤってしまった
やっぱり自分は
スパァッン!!
「何をバカな事考えてるんですか?」
「え」
スパァッン!!
「何をバカな事考えてるんですか?」
「え?!え?え?」
スパァッン!!
「何をバカな「ご、ごめんなさい!」こと、、何をですか」
「このまま戻らなかったら倒してくれるんじゃ無いかなって、俺はいなくなった方がいいって」
「怪我人は出ましたが、この戦いで死者は出てません」
「……そうか」
「崩れた建物は、また新しく造り直せばいい」
「……でも」
「むしろ、教会の施設を壊せて気分が良い」
「え、、、え?」
「反省点は山ほどあります。けど今はこの戦いで失わずに済んだものを考え、それを守る為にこれから何が出来るかそれを考えるべきでは?」
「……そう、、だな」
「彼等が誇るシノビになるんでしょう」
「はい」
「ならもう、2度と言わないで下さい」
「はい」
「もし言ったら今度はグーで殴ります」
「はい」
「私の心が傷ついたので今日は一緒に寝ます」
「はい、、、え?!それは!!…」
「もう、、限界」
四肢を縛る鎖は器へと溶け込み新たな檻を形成し錠前は鍵をかけた。
自由になった遠藤の両手は倒れるリリィを抱き抱える。
シノビガミと戦い動くのも辛いはず、それでも遠藤の為に動き。遠藤のその言葉を聞き力が抜けリリィは遠藤の胸に寄り掛かかり、寝息をたて始める。
それを見た遠藤もまた、これまでのリリアーナ、フリード、八重樫、天之川との戦闘その後にシノビとの戦闘、その反動が起きたのか瞼が閉じ寝息をたて床に倒れる。
「お前達、記憶や体はどんな感じだ?」
「私記憶喪失、貴方だれ?」
「つかれだぁぁぁ」
「三日月あなたタンクのクセに一発でのされてんじゃ無い!」
「都合の良い記憶喪失だなおい、八雲」
「楽しかったー2度としたく無いーまたしたいーきついーげほ、げほ」
「どっちだよ、大和」
「貫く矛と守る盾が私を苦しめる」
「皆さんお疲れ様でした。もう私は戦衣装を使えないんですが皆さんはどうですか?」
「「「「「……」」」」」
全員口と鼻、眼から血を流しながら話し合う、そして、それぞれの経験則で理解する。
もう直でに、体は限界を迎えている事に。
近づいてくる、死の足音に。