ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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何が大切で、何が大事で、何を実行するか、誰もわからない。

 

 帝城に備え付けられている門番達の休憩所にて、勇者達御一行は待ちぼうけを食らっていた。

 

 リリアーナから事前連絡が有り歓迎の準備は出来ていたが、問題となったのがハジメのハーレム達、門兵達は事前連絡の通り勇者御一行の天之河光輝、中村恵里、八重樫雫、白崎香織、谷口鈴、坂上龍太郎、とそうそうたる面子で緊張しながら職務に勤めていたが。

 

 唐突に出てきたユエ、ティオ・クラウス、シア・ハウリアの3名、聞いた事ない名前に勇者と同じ国とは思えない容姿に、固まってしまい入城表の予定表にない者を下っ端門番の一存で通すことはできない為、上に取り継いでもらっている。

 

「すみません、事前に王女様から連絡があったと言うのにこちらの不手際で時間をかけさせてしまい」

「いや、急遽人が増えたことを連絡しなかった、俺たちのミスだ。君達は職務を忠実に守っているだけだ。気にしなくていい」

「いえ、そんなことは!」

 

コンコン

 

 扉からノックが聞こえちょび髭を生やした男が休憩所にはいる。

 

「こちらに勇者殿一行が来ていると聞いたが……貴方達が?」

「あ、はい、そうです。俺達です」

 

 彼は、応対する天之河を見てから天之河達のステータスプレートを確認しながら、他のメンバーにも探るような視線を向け始めた。

 

「確認しました。自分は、第三連隊隊長のグリッド・ハーフ。既に、勇者御一行が来られたことはリリアーナ姫の耳にも入っており、お部屋でお待ちです。

 

 ですがその前に幾つかお聞きしたいことが」

「俺たちがわかる質問ならある程度は」

「感謝を。ではカムという兎人族の男を知っていますか?」

 

 

「「「「!?」」」」

 

 ハジメ達にはしるわずかな動揺、それに気付かずに天之河とグリッドは話を進める。

 

「カムと言う兎人族ですか…俺は知ら無いな」

「あっ」

「「「「「あ?」」」」」

「あーいや、すこし、カムというのは私たちがあくまで短く、まとめた名前で」

「本名ではないということですか?」

「はい、本名は、深淵蠢動の闇狩鬼ーーカームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアです」

「「「「「???」」」」」

「深淵蠢動の闇狩鬼ーーカームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアです」

「いや、聞こえてはいます。ただ」

「ええ、私達も同じことを考えました。再度調べ本名でした」

「えっーとその、深淵……」

「深淵蠢動の闇狩鬼ーーカームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアです」

「ありがとうございます、けどすみません俺は、やっぱり知りませんね。みんなは?」

 

 八重樫達も少し考えるが首を横に振る。

 

 勇者達は兎人族を助けると聞いただけで有り名前もどういう関係なのかも分からない。

 

「いえ、時間をとらせてしまいすみません。なら貴方は知っていますか?シア・ハウリア(・・・・)どの」

 

 

「昨夜、城に攻め込んだハウリア達が消失しましてね。当時牢屋番をしていた者に聞くと、青いウサ耳女と白髪の男と金髪の少女、丁度合致しますね」

 

「俺らを疑ってんのか?」

「職業上、可能性があるなら全て追求しなくては行けないので」

 

「しつらいします!」

 

 扉を開けて入ってきたのは、片手に酒瓶をもち、もう片手にも酒瓶を持ち出来上がっている、転んで気絶したあの女がいた。

 

「よく来たこの3人がお前から聞いた人物像に似ているがどうだ?」

 

「?」

 

「??」

 

「なんのことです???」

 

「朝方にお前の部下が渡してくれた資料にほらこれだ」

 

「………????」

 

「おい」

 

「ん………………〜〜〜てへっ」

 

「っふぅ〜〜〜なぁ、朝は覚えていたんだよな」

 

 首を90度に傾けて頭を捻っている女の側に仕えているメイドが答える。

 

「はい、起床後に私に伝えられたので間違い無いかと、、、ただその後、「頭痛いからお酒飲む!」と言ってトイレにふらつきながら入ってヤケにスッキリし出てきて、、、」

 

「………つまり?」

 

「あー、ゲロって忘れちゃったってこと!あはっ!」

 

「なぁ」

「酒抜きしましょうか?」

「明後日からで頼む」

「鬼!悪魔!ヒゲ!お父さんに言いつけるぞ!」

「貴方の父に言い付けるついでに、彼等を応接室に連れて行ってください」

 

「Booo!!」

 

「はいはいはいこれから私は巡回に行く、ウォッカやるからサッサと行った」

 

「はいはいはーい!みんな列に並んで!早く早く!私の帝城案内ツアー始めるよ!」

 

「いいのですか?彼等に関して」

「良いわけない、が皇帝に判断を任せる」

「かしこまりました」

 

「君!酒に弱いね!君は、酒で強いね!けど強かだからわざと酔ったふりしたり、酔い潰れた好きな人みてニヤニヤするタイプとみた!!」

 

「「え??」」

 

「天之河様、中村様、お気になさらないでください。酔って絡んで来てるだけです」

「んっんっんっんっ、ぷはぁ!!アイツ性格悪いけど良い酒選ぶぅな〜〜あ、そだ、シアちゃんカムさん大丈夫そ〜?」

「「「え???」」」

「かわいいって言ってたけど、ほんとに可愛いねぇ〜、似てないって言ったけどよくよく見れば面影ある〜ねぇ、可愛いねぇーぷはぁーうまい!」

 

「ぇなんで」

「なんでってお話ししただけだよ、お酒呑んでご飯食べて踊って歌って楽しい宴会を」

 

 その言葉にハジメ達は、言葉が出ない、それに気に入らないのか、酔っ払いはさらに絡む。

 

「聞かれたから答えたのに黙るなぁ〜酷くない竜人のティオさ〜んあそだ、アドゥル・クラルス元気してる〜?」

「なっ」

 

 世界の常識では五百年以上前に滅びたはずの竜人族その名前は、現竜人族の族長。誰も、ハジメ達にすら言ってない、ティオに嫌な冷や汗が流れる。

 

 それに気付いているのか分からない、酒に酔って焦点の合わない眼が遠くを見ながら言葉を綴る。

 

「別にさ〜ぁ、君らが何しよう〜と、どうでもいいけどさ、少し分かった?君らがこれから誰を相手にしようとしているのか。

 私はね!黒衛隊の1人第四席アール・コル、よろしくね」

 

 

 わずかに残った酒の瓶を逆さにして飲み干し応接室の前で止まる。

 

「じゃ、わたしわこれて、リリィはこの部屋にいりゅからまたねぇ〜」

「では、また失礼します」

 

「黒衛隊…予想以上に」

「シア落ち付くのだ」

「分かってます。けどそれはティオさんも同じです」

「ん…」

「どうかしましたか?」

「「「うおっ!!」」」「「「「きゃぁ!!」」」」

 

 アールとメイドがいなくなり漏れ出た怒りと不安、それに反応したのは自分達の横にいたリリアーナだった。

 

 ハジメ達の驚きの声を無視して応接室の扉を開ける、机にはお菓子や紅茶の準備が出来ており招き入れるように話し掛ける。

 

「皆さんお久しぶりです。どうぞコチラへティータイムしつつ、何があったか話し合いましょうか」

 

 事情を掻い摘まみながら話す彼らをBGMに耳を傾けながら紅茶を飲みつつ、頭の中で真っ白のミルクパズルのピースに色を加える。

 

「カトレアがいて良かったですね」

「まさか、知ってたんですか!囚われていたのが私の家族だってことに!」

「リリィ本当なの?」

「ええ、知っていました。それが何か?ハウリアはハイリヒ王国の民でしたっけ?」

「だからって!?」

 

 ハウリア族はハイリヒ王国の民じゃ無い。

 

 これが、ハイリヒ王国の王女の線引き、ハイリヒ王国の民であれば子どもから老人誰であれにこやかな笑顔で対応する。自分が死ねば彼等が助かるのならすぐに腹を切るだが、それ以外の国に、その国に住む人に対して何の感情も湧かない。

 

 リリアーナの強さは、情報戦を得意とした闇討ちや工作だが、それはあくまで自己申告によるもの、彼女を知る者達からすれば最恐の強さは、その冷酷性と残忍性である。

 

「???」

 

 最恐は本当にわからないと首を傾げる。

 

 各々が考えを巡らせ沈黙が部屋を包み込み耐えかねた様にお菓子や紅茶を飲み時間を潰していると部屋の扉がノックされる、案内役に従って、ハジメ達はガハルドが待つ応接室に向かうことになった。

 

 三十人くらいは座れる縦長のテーブルが置かれた、ほとんど装飾のない簡素な部屋だった。そのテーブルの上座の位置に、書類を処理している皇帝がいる。

 

「り、り、あー、なー、テメェ〜」

「どうしましたか?ガハルド殿そんな怨みがましい眼で私を見ても仕事は無くなりませんよ」

「ガハルド、次はこの資料にサイン」

「分かってるよ!!クソッタレ!!」

 

 愚痴を言いながらも手を動かし山の様に積み上げられた書類を捌いていく、が次々と書類は積み上げられていく。

 

「雫、久しいな。俺の妻になる決心は付いたか?」

「前言を撤回する気は全くありません。陛下の申し出はお断りさせて頂きます」

「ははは、つれないな。だが、そうでなくては面白くない」

「ガハルド次はこれ」

「分かってる」

 

「勇者お前、抱いたのかその女」

「まだですよ、俺が一人前になってからっす」

「今度また戦おう、きっと楽しめる」

「慎んでお断りします」

「くはは、はは「ガハルド間違ってる」すんません」

 

「あーっとお前ら3人のことは、ま、御付きの者ってことで対処するが、、、南雲ハジメか、、ま、どうでも良い」

 

 そこで時間が来たのか、背後に控えていた男の一人が、そっとガハルドに耳打ちすると、ガハルドはおもむろに席を立った。

 

「まぁ、最低限のことは、言えたし聞けた……というより分かったからよしとしよう。ああ、そうだ。今夜、リリアーナ姫の歓迎パーティーを開く。是非、出席してくれ。姫と息子の婚約パーティーも兼ねているからな。〝勇者〟や〝神の使徒〟の祝福は外聞がいい。頼んだぞ」

 

 バタンと扉の締まる音が響き、正気を取り戻した谷口達がリリアーナを詰問しているが、天之河と雫が未だに唖然としてその場を動かない。

 

 2人は知っている、リリアーナという女は国の為に動き民の為に命を削るそんな自己犠牲を体現した女、それも確かにリリアーナの一部だろう。だが、当たり前だがそれ以外もある。

 

 それは、先程の応接室でのハウリア族やカトレアの扱いでの問答で分かる通り、別に見下してる訳でも、差別している訳でも無い、区別して優先順位を考えて、それが遥か1番後ろに置かれているだけ。

 

 そんな彼女が他国の為に婚約?

 

 ないな。「私の夫はこの国です」を現実で言う王女が

 

 魔人族との戦いの為?

 

 この王女は魔人族トップと同盟を結んでいる

 

 人間族の栄光の為?

 

 それは、どうでも良い事だ。ハイリヒ王国の民が幸せである。これが王女にとって大事なこと。

 

 だから、確信に変わったのはすぐだ。

 

 2人は帝城で泊まれるのを断りホテルに泊まる事にして気分が悪いとパーティーも断った、雫の眼は未来を予知はまだ出来ないが確信をもって言える絶対に帝城は酷い有様になる、、

 

 

 

 

 彼らはひとつミスをした、考えは自体は合っている。ただ、リリィという女が他国に対してどれほど冷酷であるか知らなかっただけ。もし知っていたら、「とっととハイリヒ王国に帰る」が正解であった。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 リリアーナは1人でパーティーの準備の為に部屋でドレスの選別をする。

 

 お付きのメイドはいない、はっきり言って邪魔になる。

 

 それに

 

「この姿は見せたく無いですしね」

 

 14歳という、少女と女の狭間の魅力それが霞むほど生々しく刻まれた刀疵とシノビガミとの戦いで出来た瘢痕。

 

 人がこれを見れば

 

「うおっ何だそれ」

 

 ドアが開いた音がなければ、気配すらなかった、外の騎士達からの反応は無い。

 

 溜め息を吐きつつそばにあった、淡い桃色のドレスを着て女の部屋に音も無く入って来た不埒者に身体を向ける。

 

「まぁまぁだな」

「いきなり淑女の部屋に入るのは感心致しませんわ。バイアス・D・ヘルシャー様」

 

 この国の皇太子バイアス・D・ヘルシャー、外見は父親であるガハルドに似ている。王族同士の付き合いで6歳の頃から何度も顔を合わせている。

 

「はっ!ガキの身体を見てなにを興奮しろって?」

「ガキ、、、ですか?」

「国家転覆を企み実行、んで成功させちまったガキなんぞ、、、ガキじゃなくて悪ガキが良かったか」

「む」

 

 それは、リリアーナが最恐と呼ばれる由来となった出来事、誰にも知られず、誰にも気付かれず、協力者も見つからない、だが、4年前の帝国襲撃事件の裏にいる。だが決定的な証拠は見つからない。何もかもがベールに包まれた存在、それこそがリリアーナ・S・B・ハイリヒなのだ。

 

「でぇ?今度は何やらかすつもりだ?」

「え!?そ、そんな、私はそんな事、、」

「ま、いいか、俺は俺のやりたい様にやるだけだ、お前も其れを望んでるんだろ」

「はい!!」

「おお、良い返事だ。次は、遠藤浩介も連れて来い」

「え?何で、、ですか?」

「あ??何でってそりゃ……ほぉ〜じゃまた後で」

「ちょっ!何なんですか一体!?」

「あと、そのドレスは向いてない、別のにしとけ」

「分かってます!!」

「くは、は、は、は」

 

 夜が深くなりあかりが灯る、豪華絢爛な装飾が施された立食パーティーに帝国の上院達が集まり賑わい始め。

 

 朝の商店街と違う別の顔を覗かせた夜の街を歩く天之河と八重樫、中村は、身に覚えのある力に歩みを止めて、空を見上げる。

 

 賑わいとは、かけ離れた魔獣の森に近い場所、冒険者からの情報により集められた黒衛隊を含む混合師団、唾を飲む音が大きく聞こえるほどの静けさ。

 

 力ある者は知っている、それは嵐の前の静けさであると。

 

 

 






卍健太改さん 世良康正さんお気に入り登録ありがとうございます。
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