ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す 作:なんとなく考えて書いてみました
「なんだ!? なにが起こった!?」
「いやぁ! なに、なんなのぉ!?」
一瞬で五感の一つを奪われた帝国貴族達が混乱と動揺に声を震わせながら怒声を上げる。
「狼狽えるな! 魔法で光をつくっがぁ!?」
「どうしたっギャァ!?」
「何が起こっていっあぐっ!?」
比較的冷静だった者が、指示を出しながら魔法で光球を作り出し灯りを確保しようとする。が、直後には悲鳴と共に倒れ込む音が響いた。同時に、混乱する貴族達が次々と悲鳴を上げていく。
だがその程度で親子喧嘩は止まらない、更に苛烈し既に煌びやかで豪華だった会場はもう見る影もない。
「その戦斧はルイに教えてもらったのかぁ!?」
「そうだっよ!!」
遠心力を乗せ地面を削り机を破壊し横に叩き込むが剣の腹受け流される、体が戦斧に持っていかれるのを無理やり腰を回し振り下ろされた剣を弾き上げてさらに一歩詰め戦斧を回し続ける。
一歩でも後ろに下がったら攻め込まれる。それを理解してるからこそ、攻撃は最大の防御として戦斧を回し続ける。
息は途切れ途切れだが、その威力は衰えるどころか勢いを増して床を壁を余波でシャングリラを落として、受け流す剣ごと弾き床を蹴って跳ぶ、さらに回転を加え遠心力を強め重力を乗せてガハルドの剣ごと叩き潰して煙に包まれる。
先程までの戦闘音が嘘かと思うほど静まり返り周囲の人たちも口を開かない。
だが、静寂を討ち破り声が響いた。
「見事だ…だが、それだけか?」
煙が晴れ破壊した壁から極細の月の光が広場を照らし、何食わぬ顔で左手の親指と中指の2本で戦斧を受け止めたガハルドがいた。
「…なわけねぇだろ」
戦斧を手離し後ろに下がり腰の剣を抜き目を閉じる、そして両手で刃を握り締め血が剣をつたい床に流れおちる。
「契約ひとつ、代償ひとつ、代価ひとつ、得られる宝は、ほんの少しの笑顔のみ、だからこそ命を賭けるかいがある」
魔力が高まりにより髪が立ち上がり床が揺れバイアスの周りの小石は浮かび重圧がのしかかる、考えるまでも無く必殺技、それもガハルドを倒せる威力を秘めた。
だがその一撃は、連続した風切り音が2人を強襲した事により中断される。通常では考え切れないほど短い矢に、驚くほどの威力を秘めた攻撃が四方八方から飛来する。
所持している剣で飛来する矢を折り暗闇からの襲撃者達の対応としてガハルドは持っていた戦斧を放り投げ拳を握り近づいた黒服を殴り潰す。
投げられた戦斧は軌道を描き持ち主の手に吸い込まれるように収まり遠心力を乗せた一振りで何人も巻き込み振り抜く。
「親父」
「あぁ続きはこの後だ」
乱入者達は暗闇に乗じて帝国の重鎮達にも襲いかかるがすぐに対応し武官達は戦えない文官や女性達を壁に移動させ、自らを壁として迎え撃っている。バイアスの嫁達はまぁ大丈夫か、んじゃあそろそろ
「これはこれでまったく」
「あぁ、邪魔すんじゃねぇぞ、姫さん」
「しませんよ。ただひとつ気になる事がありまして。人数が少なく無いですか?」
「あぁ?」
「…どういうこと」
「今宵、この城の守衛を任されているのはたった2人だけです」
「…は?」
「ちなみにその2人とも黒衛隊で、そのうち1人はこの国の王にもっとも近い人、黒衛隊第一席フリストです。彼らはそして、貴方のシア・ハウリアは今生きているのでしょうか?」
「さて、と」
首か、腱を狙い暗闇から振り下ろしたナイフに背中を向け……そこから、光速で放たれた後ろ蹴りが真っすぐ足を突き出し足先がみぞうちに当たり空気を吐き出し飛ばされる。
空中で回転しながら地面に落ちるが勢いは止まらず2、3回跳ねてようやく止まる。ゆっくりと仰向けになって
「いつ気が付いたのか教えてくれますかね?」
「貴方が化けた必滅のバルトフェルドって子は両手利きです」
「はっ?そんなん誰も言ってない」
「えぇ、誰にも言ってませんし、最近追加した機能ですからね」
「………いや、いやいやいや、ま、さか、」
「気になるのなら、見に行ったらどうです?」
ゆっくりと右眼をつむり
「今見た、
首を絞め落とした時に触った感触は人肌と大差なかった、喋り方も動き方も何ひとつ人と大差無かった、何より彼は数年以上一緒にいて信頼されていた。つまり、バレなかった。
非現実、ありえねぇ!
「貴方が第七席のキル・ハウリアですか」
「分かってたんすか?俺がこうすると」
「貴方は最強になりたいんでしょう?ならこのチャンスを逃す筈がない」
「グゥの音も出ませんね。…
「そうですか」
「ですが、最強の前に最恐を倒しておきたい、無謀すかね?」
「…どうぞやりたい様に」
「黒衛隊第七席キル・ハウリア!!
「ええ、来なさい」
動き出しナイフを構えて光速で走り間合いに入り、2本のナイフを振るう。光に反射しないよう黒くした刃は、完全に夜に溶け込み襲い掛かる。
返ってきた音は鉄と鉄がぶつかる甲高い音。つい先程まで何も持っていなかったリリアーナの手には1本の長刀、後ろに跳ぶと同時に
「鞍馬神流
乱れ撃ち。
「鞍馬神流 神槍」
間合いをとった者を撃ち抜く神速の刺突。
椅子の足を砕き投げた木屑は数十本の槍を形成し曲がり、反射し、全てが時間差で次々とリリアーナに迫り
「比良坂機関 操り人形」
誰かの心に忍び寄り、自由に操る。
「嘘だろ」
俺が操っていたハウリアたちが自身を犠牲に槍に貫かれる。
「ごー」
その言葉に従い槍に貫かれたハウリア達は体を動かし暗闇に紛れ込み風切り音と共に矢とナイフが襲い掛かる。
「鞍馬神流 神槍」
右手のナイフを槍に形成し暗闇に光速で10を超える連続で突き武器と脚を奪うが、手で体を引きずり迫ってくる。
「ゾンビかよ」
だが、脚を奪った今までのように動くことは出来ない。十分無視出来る、
いざ、
「鞍馬神流
自身の肉体の限界を超えて攻撃を行う。
どっかの英雄は、3歩で光速を超えるらしいが1歩で十分背後に移動、神槍突き刺さ!?
「眼が!?」
光速の突きを邪魔したのは光の反射、長刀が月の光を反射して眼に入る。
「斜歯忍軍
攻撃を加えた相手を高く打ち上げる。
首を掴まれ、その言葉が聞こえた瞬間から地面がなくなり空に投げ飛ばされる平衡感覚が揺らぐ。
「うぉ!?」
投げつけようと振り上げた腕に何かが絡み付き両手を拘束する。
「斜歯忍軍
まとった衣装を伸ばし、相手をからませて動きを封じる。
まずい、避けられない。
「斜歯忍軍
忍具を使って、骨身に応える一撃を与える。
長刀が神槍とぶつかり支える地面が無い俺は、地面に叩き付けられ肺が麻痺して酸素が取り込めない。
強い強いけど、
眼を潰して、逃げ場を無くして、攻撃手段を奪い、動きを止める。
「これが、最恐ハイリヒ・S・B・リリアーナ!」
地面に叩き付けられた反動で体が空中に浮き蹴り飛ばされ誰かと激突し地面に落ちる。
「「かっ」」
「…キル邪魔だ」
「テメェの戦斧の方が
「女にボコボコにヤられるなんて情けない。それでも黒衛隊か?」
「…ウルセェ」
互いの背を支えに立ち上がり歩いて来る敵を睨みつける。
「おうおう、怖いなぁ、怖くて怖くてお涙ちょちょ切れそうだぜ」
「えぇ、えぇ、まったくです。少しくらい手加減して欲しいですね」
床を踏み付け蹴る足音が広がる、誰1人として動かない、いや動けないと言った方が正しいか。
「バイアス、最後の一撃になりそうだがお前は?」
「スカした顔に一発ぶち込んでやる」
「「いくぞぉ!!!」」
「黒衛隊第七席キル・ハウリア行くぜぇ!!!」
「皇太子ヘルシャー・D・バイアス参る!!!」
「奥義
玉砂利や石畳が周囲に敷き詰められ
一歩踏むたびに鳴り響く鈴の音
キルとリリアーナの一本道
誰1人避ける事は叶わない。
「
片手の剣と片手の斧を振り上げ一つの武器に
最強のシノビ血を引き継ぐがシノビの才は無い
だがそれでも諦めきれず一歩また一歩と進む
腹違いの弟や妹達に抜かれても腐らず歩む
その道筋を人は
並の相手でも格上の相手でも、間違い無く命を奪い取ったで有ろう一撃。
だが、
「いい一撃だった、2年前の俺なら死んでいたな」
「はは、全くです。私は死んでしまいましたよ」
ここに居るのは、頂点にいる最も強い2人
彼等に張り付いた血は挑戦者達の返り血、怪我も汚れも無い、自分達の全身から溢れ流れ出す血に、膝が崩れ落ちる。
横ぎる勝者が倒れる敗者に向けて、一言だけ
「数年後また挑みに来い。楽しみに待っている」
「貴方は強かった絡めてを使えばもっと強くなる」
そうして最強に挑んだ挑戦者は次を考えながら意識が落ちる。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「み、みんな、、」
帝城内部の連絡通路のエントランスは静まり返り、そこには20人近くの壁にめり込んだハウリア族を肴に退屈そうに床に座り酒を呑んでいるアール・コルが、シアに気づくが飲む事はやめない。
「彼等の相手が私で良かった、第七席の彼なら自分の目標の為に洗脳する、第一席の彼女なら容赦無く断罪する生きてるかも知れないけど、どうでもいい」
「父様達は無事なんですか」
「夢を見てるだけさ理想の自分達が大切にしてる夢を。生涯死ぬまで永劫ね」
「父様達を解放してください」
「黒衛隊は時に皇帝の命令すら無視できる権利がある。一体何を持って私に命令するの?注告したのに、警告したのに?……こんなにも弱いのに」
眼は離さなかったアールを視界に収めドリュッケンを取り出したそして、アールに頭を掴まれ地面に叩きつけられる。
壁、天井、机、受付、ぶつけられる全てに投げつけ叩き落とされ、抜け出そうと力を込めればすぐに脱力、遠心力、バランス、と対応して回復が追いつかない程投げられパンっ!破裂音がなり体が宙を舞い優しく受け止められる。
「ユエ!無事か!」
「ティオさん、皆さんごめんなさい。わたし」
「そんな事はいい、それより無事で良かった」
会場から出て来たのはハジメ達、リリィが言った最悪の未来を信じて走り出しギリギリで間に合った。
「てめぇ、いつからだ、いつから俺らの作戦を」
全員が戦闘態勢を整えるが、アールは一歩も動かず瓢箪に入っている酒を盃に注ぎ解放的になった通路から見える月に掲げ一気に飲み干す。
「……それ言ってどうなるの?作戦はすでに破綻した。ハウリア族はシアを除き敗北、ガハルドは君らの想定を超える強さ、もはや完全に蚊帳の外、そんな君らが何をするの?」
「理由が必要なら、ムカつくから」
「…なら仕方ないね。ヘルシャー帝国黒衛隊第四席アール・コル、相手になってあげる」
瓢箪を投げ動き出す光に至らず音を超えずその速度は弾速、ならばと、ハジメは使い慣れた2丁拳銃を取り出し引き金を引くがガチッという音がなり銃弾は発射されない。
「ジャムった!?」
その隙を逃す訳がなく右膝が上がり腰が捻られ放たれた蹴りに2丁の拳銃で防御するが防御した腕ごと持っていかれ床に押し潰される、
「がっ」
ユエが放った雷龍とティオが放ったブレスは喰らいつく寸前で彼女達の操作ミスでかき消され、香織に回復させて貰ったシアがドリュッケンを振り抜くが殴打モードから銃撃モードに変形して空振り、顔面を掴まれハジメと同じように床に叩き付けられる。
「黒衛隊の強さは席順じゃない、戦闘に関して私は、黒衛隊最弱だから私程度倒さないと彼等に認められてグリューエン大迷宮に入ることはできませんよ」
右手を前に差し出せば落ちて来た瓢箪を飲む余裕すらある。
「…どこまで知ってんだよ」
「この世界で私が、いや違う知らない事あったわ、、、いや、知りたく無い事か」
「何の事だよ」
「ハイリヒ・S・B・リリアーナ、この世で最も私が恐怖する存在」
「この世界で禁忌を犯したと言うのに誰も分からない、誰も憶えていない、後から知った私もいつ行われたのか分からない。知っていたのは3人だけ」
アールの手は震えていたいや、手だけで無く全身が小刻みに
「なにをやったんだ」
「彼女は、いや彼女達がした事それは、、、
〜〜〜〜〜〜〜〜
最強達は眼を合わせた、全ての人が床に倒れ伏し音の無くなった会場で、
「4年前の借りを返せるな」
「なら私は、2年前の借り、ですかね」
それを聞いたガハルドは、笑う高らかに
「ふ、は、は、は、は、は、アレは気にしなくていい、俺の嫁を殺すと言った奴に御礼参りに行けば、たまたまお前がいただけよ」
「まぁ、どちらにせよ」
「あぁ、関係のない事だ」
会話は途切れたが、2人に不満などない。
思惑はどうであれ、共にこの場に居合わせた。
仲間は居ない、作戦も無くなった、
残るは俺だけ
残るは私だけ
「俺が勝てばハイリヒ王国は俺の手に」
「私が勝てばヘルシャー帝国は私の手に」
「ヘルシャー帝国 最強 ヘルシャー・D・ガハルド」
「ハイリヒ王国 最恐 ハイリヒ・S・B・リリアーナ」
お互いの合図は必要無い、静まり返った会場で2人がぶつかり合う。
同時刻、震えるアールから放たれた一言は聞いた人全てが、驚き、焦燥、戸惑い、、、
溢れたバジメの言葉
「