ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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賽は投げられようやく止まる

 

 

「ここが報告にあった、場所」

 

 樹海に魔物を追いやり魔法による遠距離魔砲を面攻撃中心として放ち、近づいてくる魔物を盾で守り槍で突き刺す、これを繰り返していた所、別動隊から報告された樹海の砂漠化現象、

 

 ガハルドは心配だが、砂漠化が進み被害を被るのはヘルシャー帝国なのは間違い無い、これもリリアーナの作戦か

 

「っ、これが、ハルツィナ樹海なのか?」

 

 ハルツィナ樹海はこの世で最大の大陸、一面に木々が生い茂る緑の楽園であり、恐ろしい魔獣が潜む場所だ。

 

 いやだった

 

 どの様な状況なのか報告はされていた、

 

 されていたが目の前の景色に息を呑む、

 

 そこには、巨大な獣に食い荒らされた森林、生命の気配が無い砂漠化した大地があった。

 

 巨大隕石の衝突…大規模火山噴火…気候変動…太古から繰り返す生物の大量絶滅の原因とは違う獣による砂漠化の生物大量絶滅の危機(・・・・・・・・・)ーーー

 

 

「うあゎゎゎゎ!!」

 

 部下の悲鳴、まだ魔獣討伐は終わっていない、気を抜くな、まだ間に合う、そうだ今朝はここは無事だった、まだ樹海だった、動き出したのはついさっき、ガハルドのことは今は忘れろ、自分の仕事を成せ私。

 

「副隊長半分は君に任せる」

「はっ!残りは」

「残りは私と一緒に砂漠化の元凶を討つ」

 

「「「は!」」」

 

 自由が好き、堅苦しいのは嫌い、だけど自由には、ある程度の苦しさと規律がいる、そう出ないと訪れるのは自由という名の混沌だ、、

 

「笑えない」

 

 魔獣の骨を砂漠化した大地を踏み締め走る、悪夢を止める為に

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 月の光がスポットライトのように照らす中で最強達は舞う剣と刀が打ち合い火花が散る、その美しさに2人が戦っていることすら忘れてしまう。

 

 皮膚を斬られ飛び散る血すらも幻想的で、何度目か分からない鍔迫り合いでお互い離れて距離を取った。

 

「楽しいな、そう思わないか?」

「まったく。早く国に戻りベッドで寝たいですね」

「くは、は、は、やはりお前とは合わんなぁ」

 

「斜歯忍軍 鍔鑿組 精密機動(せいみつきどう)

 斜歯忍軍 鍔鑿組 暗密(くらみつ)

 

 機身による高速移動中の動作補正機能。しかし、その使用は、脳に多大な負荷をかける。

 

 機身のリミッターを外して行う超高速攻撃。

 

 空から剣と槍が1本ずつ床に突き刺さる、吐き出した息が白くなり最恐(リリアーナ)の周辺が陽炎(かげろう)のように揺れ始め空気が熱くなる。

 

「鞍馬神流 降魔(こうま)

 

 魔を祓う神気宿りし降魔の武器

 

 空中から引き抜いたそれは正真正銘、最強(ガハルド)が本気で戦う時に使用する武器、刀なのか槍なのか鎌なのか見えない武器に空気が冷える。

 

 

 剣と槍が降って来たからか、第七席と皇太子達との戦闘の被害か、最強達の鍔迫り合いか、もしくはその全てか、天井が崩れ落ちる。

 

 最も彼等には関係無いが

 

 瞬きのたびに2人の戦う場所は変化していく、

 

 1度目で空中にてリリアーナが放った攻撃を見えない武器でガハルドが根本から斬り裂く

 

 2度目は壇上でガハルドがリリアーナの自傷覚悟の一撃を読み切りカウンターで肩から血が吹き出し

 

 3度目にリリアーナが自身の血を爆破させてガハルドを巻き込む

 

 4度目はガハルドが空を走り上がり上を取り空間を切り裂き

 

 5度目は2人の周囲に兎人族が倒れリリアーナの剣がガハルドを貫く

 

 時間にして僅か1分にも満たない事象、だが会場は悲鳴を上げいつ崩れるか分からない。誰かが息を呑み、誰かが歯軋りする、理解することの出来ない戦闘だが、分かる

 

(((私達が、皇帝の足を引っ張っている!!)))

 

 リリアーナは他国の国民を人と見ない、先程倒れている兎人族を操りガハルドに仕掛けたのは、今倒れている自分達にも同じことが出来るぞ、と言う暗黙の宣告。

 

 ならば、

 

(いま!ここで!自死を選び!!)

 

「おい」

 

「え?」

 

 静かで穏やかな声だった、死が色濃く匂うこの戦場で朝起きて「おはよう」と言うくらい穏やかでその声は会場に広がった、

 

「俺が、死ぬと思っているのか?」

 

 槍と剣が突き刺さり血が流れる、それを言うにはあまりにも、あまりにもな姿、だが、

 

「そうだ、俺は最強だ」

 

 剣と槍はガハルドの筋肉に固定され抜けず、すぐに手放し指をまとめ銃弾を超える速度で放たれる、が武器を持ってない左手で簡単に受け止められる。

 

 そして、

 

 天井から銀の羽根が舞い落ちてくる。

 

「黒衛隊第一席フリスト、只今現着しました」

 

 

「あーくそ」

 

 リリアーナから溢れた溜め息とも取れる言葉に応じてガハルドが武器を振り上げ

 

「顕現」

 

 見えない武器が空間を揺らぎ月の光を反射させ、1本の剣が、その刀身が外敵に向かい振るわれる。

 

「鞍馬神流 村雨(むらさめ)

 鞍馬神流 十六夜(いざよい)

 

 相手の回避軌道を予測し、死地に追い込む剣技

 

 刃によって呪印を刻み込む忍法

 

 銀の羽根により会場には分解の罠が張られ限られた逃げ道を剣の軌跡で潰しながら迫る、右、頭狙い、左、足狙い、右斜め上、肩狙い、決定的になる攻撃を避け続けるが完璧に避けれず皮膚に斬り傷が付きリリアーナの体を呪いが蝕む。

 

「ゲホ」

 

 口から吐き出される大量の血、その隙を逃す筈がなく。

 

「鞍馬神流 残雪(ざんせつ)

 

 絶妙な間合いから繰り出す必殺の一撃。

 

 ガハルドの光速に追い付けずリリアーナの両腕が空中を飛び胸から横に一筋の傷が現れ滝のように血が流れ出す。

 

「あ」

 

 まだ諦めず両腕を振るい目潰しの為に強力な魔法の触媒の為に血を撒くが、片手に持った剣の一振りの風圧で無に帰する。

 

 そして、再び

 

「鞍馬神流 血断(けつだん)

 

 自身の肉体の限界を超えて攻撃を行う。

 

 両手で剣の柄を持ち上段に構え、腕が剣が消え何もない空間に一線が引かれ、その線を起点に隣り合う空間が僅かにズレる。その空間の亀裂に重なっていたリリアーナは、一瞬の硬直の後、ズルっという生々しい音と共に空間ごと体を切断されて血飛沫を撒き散らしながら床に落ちた。

 

 

 

 残心

 

 

 油断せず、平常心を保つ心構え

 

 

 どんな生物であろうと脳を心臓を体を縦に斬られ2つになれば勝ちを確信する、だがガハルドは気を緩めず、残心すら無い。

 

 有るのは、「まだ終わってないだろ」と言う確信。

 

「今にして思えば、奥義前々から知ってただろ」

 

 ガハルドは周囲の警戒を解かずに話しかける、誰に話しかけているのか分かりきっている。

 

 返答はない、当然だ。真っ二つに斬られた人間が返事など出来るはずがない。

 

「アイツらの話にあった奥義のひとつ、不死身それがテメェのひとつ目の奥義か」

 

 煙が消え去りそこに有ったのは人が失血死するには十分過ぎる血の量だが、リリアーナの斬られた死体は無く。

 

 その血の上に2本の足で立ち怪我ひとつないリリアーナが立っていた。

 

「少しぐらい油断してほしいものですね」

「油断して敗北なんぞ、どっかのマヌケ(エヒト)と同じ負け方したくないんでな」

 

 鋼と鋼の打ち合う音が、擦過音に紛れる火花が、弾かれる斬撃と斬撃の衝撃が、月明かりの差し込む美しい日常を崩壊させていく。

 軽やかな音を立てて窓ガラスが弾け、床を砕かれる衝撃に絨毯が舞い上がり、壁に掛けられた絵画が咆哮とともに粉砕される。

 

 (めぐ)(まわ)る立ち会いは、床を壁を天井を時に空中すらも足場とし、その苛烈さに豪奢な屋敷に破壊をまき散らしていた。

 

「鞍馬神流 春雷(しゅんらい)

 

 壁や地形など、周囲の状況を利用して放つ変幻自在の蹴り技。

 

 ガハルドの下からの蹴りに腰を逸らし顔の皮膚を掠める、腰を捻り空中で回転し角度を調整し身体を操り上から叩き付ける蹴りに防御した腕ごと折り吹き飛ばされる。

 

「……」

 

 ノータイムで自らの首を刎ね、煙と共に折れた腕も刎ねた首も無く全快し攻勢にかかる。

 

「斜歯忍軍 布砦(ぬのとりで)

 

 まとった衣装を伸ばし、相手に絡ませてその動きを封じる。

 

 蹴ったガハルドの足にはリリアーナの腕の布が巻き付き綱引きのように引き伸ばされ、剣とナイフで応戦しつつ腕の足の布を巻き取りその距離は互いの攻撃範囲に入る。

 

「鞍馬神流 天狗(あまきつね)

「斜歯忍軍 鳳凰(ひのとり)

 

 疾風の体当たり、流星の如き一撃を放つことも。

 

 科学忍法の必殺技。自身を炎で包み、相手に体当たり。

 

 燃える炎と風を纏った体当たり生身の人間が直撃すれば、間違いなく挽肉になるほどの攻撃に遂に会場が根を上げ2人を中心として床が崩れ落ちる。

 

 だが彼らは止まらない。

 

「いつまで不死身でいられるかな!!」

「少しは黙って戦えないのかなぁ!?」

 

 空中で剣の刀身が揺らめきリリアーナの首に振り下ろされるが、布を引っ張り身体を崩し剣を避けナイフを突き刺そうとするが、その手前で自身の布を千切り離れる

 

「鞍馬神流 残雪(ざんせつ)

 

 絶妙な間合いから繰り出す必殺の一撃。

 

 鞘に入れた剣を振り抜き地面に着地し、残骸が砂になり、ぬるりとした赤い血が降りそそぐ。

 

 が、後から地面に着地したリリアーナに傷は無い。

 

「3回目、後何回だ」

「……」

 

 黙秘、だが、その表情は疲労が隠しきれない、

 

「まぁ、俺もほどほどにキツイ」

 

 眼に見える傷は無いが、ここ迄の戦闘からくる疲労か剣速は最初に比べ遅い。

 

 フリスト、キル、バイアスは巻き込まれた人の救出に専念し戦いを見ることが出来ない。

 

 周囲には2人以外誰も居ない、だからこそ

 

「終わりにしよう」

 

 その気配に最速で最短で地面を蹴りナイフを振る前にその言葉は紡がれた。

 

「奥義 帝国式開伝『二律背反の宣告(アンチノミーセンテンス)』」

 

 偶然、まぐれ、運が悪かった、たまたまそうなった、言い訳はいくらでも言っていいだが、戦場でそんな言い訳は通じない。

 

 奥義の一つ判定妨害、それは相手に失敗を付与する奥義である。

 

 その言葉に、振るったナイフは緩めない相打ち覚悟の一撃だが、遅れて落下(・・・・・)した天井の残骸がナイフに当たり(・・・・・・・・・・・・・・・)角度が変化し地面に突き刺さる。周囲に武器にリリアーナにガハルドに変化は無い、

 

 何かを感じ取ったのかそれとも、警戒からかリリアーナは光速で移動するがヒールが折れて動きが止まり(・・・・・・・・・・・・・)隙を晒してしまう。

 

「は?」

 

「鞍馬神流 時雨(しぐれ)

 

 乱れ撃ち、銃や手裏剣を撃ちまくる。

 

 蹴り跳ばした残骸が全てリリアーナに当たり骨が折れる音に頭蓋骨が砕かれる音、肉が削られ、穴が体にいくつも空き、眼が潰される、どう考えても戦闘不能。

 

 リリアーナには奥義(不死身)がある。

 

「奥義 遡行し補修すべき疵(リペインカバー)

 

 時間を遡るように穴が塞がり骨がくっつき、眼が再生される、両足で立ち上がりナイフを握り締め刃を向ける。

 

 だが、

 

「底が見えてきたな」

 

 再生しきれず口から流れる血、折れたままの小指が不死身の限界が近づいてきている事をガハルドに知らせる。

 

「舐めるな」

 

 リリアーナが一歩踏み込み光速にガハルドの背後を取るが足場にした残骸が不運にも崩れ(・・・・・・)隙を晒す。

 

「鞍馬神流 残雪(ざんせつ)

 

 超速の居合が放たれた、ナイフをぶつけるが運悪く(・・・)へし折られ肩から袈裟斬りにされ、鞘に戻し再び一閃で首を飛ばす。

 

 煙が周囲を取り囲みそこから袈裟斬りの怪我も無い、首も生えたリリアーナが出てくるが、治りきれず首から血が流れる。

 

 最恐が膝を地面につき、肩で息をして、酸素が行き渡らないのか顔色も悪くなり指先も震えている。

 

 震える手で足を叩き立ち上がり、未だ諦めていない眼でガハルドを睨みつけナイフを構える。

 

「はぁ、、、はぁ、、、はぁ、、」

 

 一方でガハルドは更に集中する、最恐の真価はここからだと知っているから。

 

 神との戦いでもそうだった、倒されても倒されても立ち上がり敵に向かってナイフを抜き神の最後の一撃を与えた。

 

 味方としてこれほど頼もしく敵に回すとこれ程恐怖を与えてくることを味わっているからこそ。

 

「油断はしない」

 

 ぼろぼろの身体を酷使して放つのは身を持って味わった初めて喰らったあの忍法

 

「比良坂機関 羽々矢(はばや)

 

 自らの血に毒を混ぜ、その返り血で相手を絶命させる忍法。

 

 流れた血を操り作り上げる狼がその牙をその爪を振り上げ叩き付ける、

 

 

「鞍馬神流 (おぼろ)

 私立御斎学園 速攻(そっこう)

 私立御斎学園 武曲(むごく)

 鞍馬神流 残雪(ざんせつ)

 

 

 肉体に負荷をかけつつも、本来なら不可能な動きを取る忍法。

 

 相手の幾先を一瞬だけ制する技。

 

 相手が弱ったところをたたく。

 

 絶妙な間合いから繰り出す必殺の一撃。

 

 剣を鞘に入れ血管が隆起する地面が揺れ、月光を浴び腰を下げ右手で剣の柄を持つ、リリアーナの動く0.5秒を捉え放たれる限界を超えた一撃。

 

 

 狼が崩れ溶け、建物がその先にある山々が一閃して斬られ落ち、

 

 

 

 ガハルドの一撃は避けられた

 

 

 

「誰だお前」

「なんで、なんで、君がここに」

 

 ガハルドは、歓喜、新たな強敵に口角を上げて次の一撃に繋げれるように、乱入者に剣を抜く。

 

 リリアーナは、驚愕、なんでどうして、考えがまとまらず、口を半開きにして乱入者を見る。

 

 乱入者は、腕の中にいる少女の姿を見る、黒いドレスから覗く肌は蠱惑的でだからこそ、その身体に刻まれた傷や流れる血が生々しく自身の不甲斐なさに唇を噛む。

 

 それを喉で飲み込んで

 

「もう大丈夫、後は俺に任せて」

 

 上着を脱ぎリリィに渡して、頭を撫で乱入者は立ち上がり歩く、ゆっくりと月の光に照らされてついのその顔が見える。

 

「俺の名前は遠藤浩介。リリィを守る為お前に勝つ」

 

 疲れが吹き飛ぶかの様に高らかに笑う

 

「くは、はは、ははは、は!!!いいだろう!!俺の名はガハルド!!やれるものならやってみろ!!遠藤!!!」

 

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