ありふれてないシノビ達 異世界で覚悟を示す   作:なんとなく考えて書いてみました

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勝者は1人、瓦礫の上で何をする

「ならば!同意と見てよろしいですね!」

 

 沈んだ静寂を切り裂く声が響き月を背にして空中から黒のズボンに白のシャツそして、赤い蝶ネクタイの男が落ちてきた。

 

「ガハルド皇帝公認決闘審判員レフ・エリーが審判を務めさせてもらいます!!」

 

 その場の空気を無視してレフ・エリーが大声で話し出し体を後ろに倒し右腕を上げ空気を切り裂く速度で振り下ろす。

 

「それでは!!決闘ーーー!!開始!!!」

 

 長剣が半円を描き、芸術的な軌跡を生みながら遠藤を斜めに両断――しかし、(まばた)きすら許さぬ刹那の隙間を抜け、遠藤はガハルドの剣撃を掻い潜った。一本の剣が揺らぎ無数の軌跡を描きながら迫って来るが、

 

 けど、大丈夫

 

「見える」

 

 ガハルドの剣に合わせて両手に持っているナイフを振るう、打ち合う度に余波で吹き荒れた風が建物の残骸を斬り刻む。

 

 そして、同じタイミングで武器を鞘に収め脱力、ガハルドの体がブレ次の瞬間には眼の前に迫っていた。鞘に収められた剣は抜かれ猛烈な殺気が叩きつけられる。

 

 その殺気に迎え撃つ為に腰に下げた小刀を抜き

 

「「鞍馬神流 残雪」」

 

 2人の絶妙な間合から繰り出された必殺の一撃

 

 首を狙った攻撃は互いの武器に阻まれ弾かれる。

 

 右袈裟切り、左薙ぎ、前蹴り、右切り上げ、右肩の体当たり、左切り上げ、精密極まりない斬撃の嵐、そして、防御の隙を縫うように打ち込まれる体術の数々。

 

 少しずつ後ろに押しやられる両手の小刀とナイフで対応しているが、ガハルドの剣速に追い付かず少しずつ傷が増え

 

 左のナイフが弾かれ体幹が崩れる、右手の小刀は剣で巻き取り上空に弾き飛ばされ、無防備な上半身を晒してしまう。

 

 その隙を逃さずガハルドは巻き上げた剣をそのまま上段に構え、最速の振り下ろしが来る。

 

「ハグレモノ 獣化(じゅうか)

斜歯忍軍  暗密(くらみつ)

鞍馬神流  拳獣(けんじゅう)

 

 自身の獣を解き放ち、その肉体を強化、

 

 機身のリミッターを外して行う超高速攻撃、

 

 猛烈なラッシュを仕掛け目標の気勢をそぐ、

 

 服が破れ狼の腕が生え、コンマの差が無く放った音を置き去りにした2度の右の拳打、剣と爪がぶつかる音が何重にも響き渡りガハルドの腕が止まる。

 

「なにが起こっ」

 

 残った左腕を振り抜き、顔面に突き刺し吹き飛ばす。ガハルドは、剣を上段で構えたまま瓦礫の山に激突する。

 

 だが、ガハルドは攻撃できないと知ると反射的に後ろに跳んだ為、威力はいなされている。驚愕していた、攻撃を当てる隙があった、それに対して完璧に対応した。

 

 実力がつく度に思い知らされる本当に強い人との実力差、技術、筋肉量、速度、忍耐力、ここぞという時の判断、全てが遥か上、ほんと嫌になる。

 

「けど、負けられない」

 

 背後で自分を見ているリリィの為に実力も経験もすべて全てを捻じ伏せて勝つんだ。

 

 そのために俺はここに来た。

 

 

 何をした?

 

 振り下ろした剣に拳を何度も殴り付けると剣を持っていた腕が止まった、、今は動く、

 

 おぉ、おそらく拳から発した振動波が剣を通して俺の腕に伝わり神経を麻痺させたのか。

 

「くっ、くっ、く」

 

 なんというセンス、失敗したら死ぬという崖っぷちでこれを使う度胸、加えて俺やリリィ、フリード(最強と呼ばれる存在)ですら2つが限界なのに対して全てのシノビの流派が使えるシノビとしての才能。

 

 前に戦った時とほぼ別人、まだ1ヶ月もたってないのにも関わらず、この俺に迫り、追い越しかねない実力。

 

 あぁまったくこれだから戦いは、、

 

「やめられんなぁ!!」

 

 震える膝を叩き立ち上がり剣を構える、この夜を締め括る一戦を。

 

 いざ始めよう!

 

 

「隙を突いても完璧に対応されるなら、もっともっと速く」

 

 遠藤が両手の指をゆっくりと折り曲げ握手する様にナイフと小刀を軽く握り両腕の力をゆるめて地面スレスレまで伸ばして構える。

 

 ガハルドが半身に構え剣を右手で握り締め後ろに引く、左手で剣先をつまみ固定、腰を落とし剣先を遠藤に向けて真っ直ぐに構え息を吐き出す。

 

 緊張や恐れが感じるだが揺れぬ瞳でガハルドを見る。

 

 闘志や覇気で燃える瞳で遠藤を見つめ返す。

 

 物音一つ無い沈黙が場を支配した。衣服が擦れる音も聞こえず、呼吸音すらも最小へ抑えられる。

 

 動き出しは同じ、互いの心臓を狙っての突き、武器が交差する寸前で遠藤が右手の小刀を返して剣を弾き、左手のナイフでガハルドの腕の神経を斬ろうとするが、右脚を軸に左足で地面を蹴りナイフから逃れるように右回転しそのまま斬撃に移行、遠藤は音を斬り裂き迫る剣を右手の小刀で受け流しお互い後退。

 

 一瞬交戦し一瞬で離れた両者だが、ガハルドの腕からは血が滴っており、遠藤も(ひたい)から血を流していた。

 

 離れた両者が再び接近、腕から血を流すガハルドの剣から放たれる斬撃が地面を削る。その斬撃を両手の小刀で受け流す当たれば重傷になるのは間違い無い、しかしそれをギリギリで受け流し避け続ける。

 

 斬撃と斬撃の隙間に放たれる打撃も油断できず、遠藤が受け流せず掠ってしまうと肉が削られプツプツと血の玉が滲み出し、それらが連なって流血が流れる。

 

 残像でしか捉えることが出来なくなったガハルドの斬撃、それをナイフと小刀で受け流し続ける遠藤はこの戦いが始まってから攻撃らしい攻撃は顔面にぶち込んだ1発しか無い。

 

 もとより実力差がある勝負、まともに真っ正面から実直に挑めば勝つのはガハルドなのは間違い無い。

 

 潜在能力が高くても最終的に必要になるのは使い手の精神力と経験、脆弱な精神では強い力は扱い切れず、経験が無くては困難など打破出来ないから。

 

 遠藤に必要なのは覚悟と度胸、リスクを受け入れる「ここだ」

 

 ガハルドが後ろに跳ぶ、土を岩を削りながら止まると左肩から右肩にかけて一線の血が流れる。

 

「覚悟や度胸はもうできてるんだよ。

 

 私立御斎学園 速攻

 斜歯忍軍   精密機動」

 

 相手の幾先を一瞬だけ制する技。

 

 機身による高速移動中の動作補正機能。しかし、その使用は、脳に多大な負荷をかける。

 

 眼の白い部分が赤く充血し、体中の血液が沸騰したかの様に熱を帯び、口から吐き出す二酸化炭素が白く体からも白い煙が上がってくる。

 

「いくぞ」

 

 その眼が求めるは勝利の2文字だけ。

 

「ふは!だよな、そうだよな!もっと楽しむぞ!」

 

 剣を鞘に収め光を置き去りにする速さでガハルドの姿が消え遠藤も同じく光を置き去り消える。先程までは、その場で動かず超至近距離の近接戦だったが、いまは瓦礫が散弾の様に飛び散り、風が建物を切り裂き、炎が爆破し、召喚された怪異がぶつかり合う、遠距離乱打戦に変化する。

 

「っ」

 

 崩れる建物から人を救出し手助けに来た彼らは、遠藤浩介を追って来た2人は、少年が被せてくれた服を握り見る彼女は、その場にいる者たちは息を呑み込んだ。

 

 2人が発する気配だけで察してしまう。後先のことなど一切考えずに互いを殺す気で攻撃しようとしていると。だというのに体が動かない、羨望か、憧れか、どちらも正しくそれでいて間違いなのかもしれない。

 

 ひとつわかる事は、この戦いを邪魔してはいけない。

 

 戦いは更に苛烈に戦場が広がる。

 

「「私立御斎学園 戦場の極意」」

 

 自分の得意な戦場を設定する。

 

 2人が発動した忍法は偶然にも同じ、風が吹き荒れ、滝の様な雨が降り雲が集まり雷が落ち、息が凍りつき雹が降り注ぐ、月の光を閉ざし暗闇が支配して2人だけの戦場を作り出した。

 

「…ふぅ」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 息を整える、呼吸を整える、肉体は既に限界を迎え超えている、2人が立っている理由はひとつ負けられない。ただそれだけ。

 

 言葉は要らない。

 

 武器がぶつかり飛び散る火花が連鎖し暗闇が支配する空間を星々のように輝かせる。

 

 僅かに広がる間合い。ガハルドは一歩踏み込んで詰めると今まで溜めに溜めてきた剣の一振りを解放する。それに合わせる様に遠藤もナイフと小刀を十字に構える。

 

 今までと隔絶した横薙ぎの一振りが十字の中心に命中し空間を揺るがす衝撃が炸裂する。

 

 圧に押され、遠藤の武器に発生した振動波が両腕の神経まで伝わり痺れ、両手から小刀とナイフが滑り落ち両腕を力無く垂れ下げることとなった。

 

「!?」

「お返しだ」

 

 結果として無防備になった首筋に影すら置き去りにする剣の一振り、必殺の名に相応しい一振りが死神の如く遠藤の首筋に狙って振るわれる。

 

 命を断つガハルドの剣が遠藤の首を刈り取る

 

──刹那、遠藤の肉体が隆起する。

 

「ーーなんだその忍法は」

 

「古流忍法 岩宿」

 

 自身の身を守りつつ、気力をため、攻撃の隙を窺う。

 

 剣を首筋に打ち込まれて傾く遠藤の顔。遠藤の目とガハルドの目が合う。ガハルドの剣は骨に肉に阻まれ遠藤の首は離れず生気があった。

 

 そして、反撃を開始する。

 

「古流忍法 軒猿  魔拳

 鞍馬神流 蓮華王拳 錬気」

 

 一瞬に繰り出される恐るべき連撃。

 

 体内を巡る気を練り、必殺の一撃を放つ。

 

 剣が首に突き刺さったまま遠藤は、痺れる両拳を腰に持っていき腰を落とす、ガハルドの隙をつき拳からの連打が叩き込まれる。

 

「っつ!」

 

 鍛え上げた筋肉を貫通し体内に広がる衝撃の波紋。内臓を揺さぶり、表現しようのない不快感と激痛をガハルドに与え一歩二歩、後退させる。

 

 遠藤は攻撃の手を緩めない。地面に落ちた小刀を拾い、

 

「古流忍法 村雲(むらくも)

 

 先回りして相手を追い詰め、逃げ場を塞ぐ戦法

 

 だが、それに対応する様にガハルドも忍法を放つ。

 

「鞍馬神流 村雨(むらさめ)

 

 相手の回避行動を予測し、死地に追い込む剣技

 

 お互いが放つ似て非なる技、体の至る所に傷ができ血が流れるが、それらを無視し小刀を、剣を振るう。

 

 2人の向きは違うが方向は同じ、たった一点、勝利の為に命を賭けて自身の勝ちの道を掴まえること。

 

 一歩、また一歩と近づいてくる勝利の音と敗北の音を聞き剣を振るう。

 

 実力差をこの戦いで埋める為に遠藤が勝つ為に賭けに出る、

 

「なにぃ!?」

 

 武器が交わるその一瞬で小刀とナイフを空中に置くように手放す、そして迫り来る剣を両手の掌で合わせるように挟み真剣を白羽取りをして、剣をへし折った。

 

 その流れで拳を握り締めガハルドの顔面に打ち込むが、無意識に放たれたガハルドの前蹴りが腹に突きささり両者とも吹き飛ばされる。

 

 2人が起き上がり遠藤が空中に手放したナイフを手に取り首にめがけて突き刺すが2本のうち1本が遠藤の手にもう1本がガハルドの手に渡り結果として鍔迫り合いに持ち込まれる。

 

 鍔迫り合いで必要なのは2択、引くか、押すか、だが、ガハルドは選択を増やした。

 

「奥義 帝国式開伝『二律背反の宣告(アンチノミーセンテンス)』」

 

 世界の法則が変わった。

 

 落下した残骸が地面にヒビをいれ遠藤の足場が崩れた(・・・・・・・・・)

 

「奥義は初めて見せたな」

 

 月に反射する小刀が幾重にも軌跡を描き遠藤の全身から血が流れ地面を転がる、

 

 追撃を仕掛ける為に進めた足が突如止まる。

 

 それは、何十年と戦い続けた最強の座に座っていたガハルドの経験値からの違和感。

 

 最初に感じたのは、なぜまだ遠藤は生きている?

 

 剣から小刀になったとはいえ、俺が距離感を間違えた?

 

 運が悪く崩れた地面で俺はこいつに攻撃できた、だがもしこれが逆なら?

 

 崩れたことで助かり一息入れることができて、俺に反撃する値千金の時間を手に入れたとするなら。

 

 非現実的だが、考えれば考えるほど、そうとしか思えない。

 戦いを楽しみ酔いしれていたガハルドの顔が初めて戦いの最中で驚愕と戦慄で顔が引き攣った。

 

「お前、奥義を破りやがったな!!」

 

 体中から生温かい血が流れ飛びかける意識を痛みで無理矢理に保ち思い出す師匠たちとの会話。

 

「奥義は確かに重要だ、が、それだけで勝敗が決まる事はない、忍法同士のシナジーや忍法を知る事も奥義と同じくらい重要だ」

 

「…………」

 

「不安か?安心しろ全てのシノビを見て来た三日月が認めてやるお前の才能はシノビガミと同等だ。自信を持てお前は強くなる。その為の(すべ)は俺が教えてやる」

 

「斜歯忍軍 一見(いっけん)

 

 見ただけですぐに、それが何なのか把握することができる超解析能力。

 

 上忍頭、限られたごく一部のシノビしか使えない奥義を破る忍法である。

 

「ラストラウンド」

 

 血が流れる中で小刀の軌跡から守った眼と利き腕を振るう、足が止まったガハルドに目掛けて踏み込み、振り切り、遠藤のナイフはうなりを上げて大気を切り裂き、襲いかかる。

 

「絶対に勝つ方法?簡単、相手より先に動くこと」

「脳筋、お前しか出来ねぇよ」

「先に動けば、いろいろできる、他にある藤原?」

「それはな、大和、絶対に倒れないことだ」

「そっちの方が脳筋じゃない?」

 

「…そう?」

「そう」

 

「………」

 

「ん、速さは大事、速ければそれだけ救える人が増えるから」

「倒れなければ、まだ、負けてない。頑張れよ」

 

「鞍馬神流  先の先

 隠鬼の血統 悪食」

 

 相手の思惑を見切って、その隙を突く。

 

 自らの傷を喰らい、新たな肉体を再生する。

 

 流れる血が止まり再生された肉体が体を動かす動力をくれる、体はまだ倒れない。

 

 速く、もっと速く、もっともっと速く、誰よりも速く動き出せ。ねがいを叶えるため。

 

「ぐっおぉぉぉぉお!!!」

「はぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 小刀とナイフ打ち合いと肉体のぶつかり合い、嵐のような斬撃と打撃がガハルドに迫り肉体に無視出来ない傷をつけていく。

 

「自分より強い相手にどう勝つか?戦うな以上」

「城戸に同じく、めんどくさいからね」

 

「………」

 

「そう、、それでもか、、格上でも勝つパターンを作って嵌める、私はそうして来た」

「……何でも使え、そこら辺の瓦礫とか、あとは敵の武器とか、言葉通り何でもだ」

 

 一歩目で地面が割れ衝撃で石や土が空中に浮かぶ、鍔迫り合う小刀の軌跡に紛れこませガハルドが捨てた剣を掴み斬りつける、

 

「ハグレモノ 双影(ふたつかげ)

 比良坂機関 羽々矢(はばや)

 

 影分身よりも高度な分身技、実体のある分身を生み出す。

 

 自らの血に毒を混ぜ、その返り血で相手を絶命させる忍法。

 

 2本の手がブレ始め4、6、8、、、、と増え続けていき回避を不可能に逃げ道を潰して、ここで仕留める為に限界を超えて治した傷が破れ再度多量の出血と激痛に耐えて。

 

 飛び散った血が球体に集まるが、この場に散らばっている遠藤の血だけでなく、ガハルドの、リリアーナの血を取り込み更に成長する。

 

 見上げるほどデカくなった球体はその殻を破り美しく、幻想的な狼の姿を持ちガハルドに向かって猛毒の血の突撃を放った。

 

「かっ「鞍馬神流 月虹(げっこう)」…え」

 

 鞍馬神流に伝わる秘剣中の秘剣、白刃のきらめきが虹を生み出す。

 

 鞍馬神流の使い手でも片手の数しかいない上忍頭しか使えない奥義より難易度の高い忍法。

 

 ガハルドが繰り出した小刀の一振りで出来た虹が夜の世界を朝日のような輝きで消し飛ばした。

 

 血の狼を無数の小刀を幾つもの忍法が、たったひとつの忍法で消し飛び、遠藤を巻き込み爆発した。

 

「……………

「勝つ為の心構えですか?」

 

「……」

 

「そうですね。格上で、ボロボロで、それでどうしたら良いか、、、」

 

「………」

 

「知ることです。貴方自身を、そして、貴方を信じる人たちのことを、草薙沙耶(くさなぎのさや)である私が断言します。優しい貴方はきっとそれだけでどこまでも、どこまでも強くなれると」

 

 白くなった視界、息もまともに吸えない、腕も脚も限界を越えて震えてる、血が足りない、喉が渇いた、光速で動けない、何処にいるのか立っているのか倒れているのか分からない。疲労と熱で何も感じない。

 

 俺は負

 

「あ」

 

 冷たい風が熱くなった皮膚を冷ましてくれた、踏み締めてる大地が立っている事を教えてくれた、うるさいくらい動く心臓に生きてると感じた、サビと鉄の中優しい匂いが鼻腔をくすぐる、鈴のような息を呑む声と服を握りしめる音が聞こえた、ここに居ないけど見てくれる感じる6つの気配。

 

 あぁ、俺はなんて恵まれているんだ。

 

 負けられない。

 

「あと一歩」

 

 ナイフは無い、腕も脚も上がらない、

 

 それでも、

 

「それでも!!」

 

 勝利の女神は、諦めない人の上にしか微笑まない。

 

 遠藤浩介、

 

 ガハルド・D・ヘルシャー、

 

 リリアーナ・S・B・ハイリヒ、

 

 この3人が戦い続けた、たった5分に及ぶ激闘は幸運ではなく必然として地面が崩れた、

 

 この場の全員の世界がスローに動く、落ちる小石の一つ一つがゆっくりと落ちる中で、揺蕩う煙が周囲に広がる中で遠藤は動いた。

 

 技術も無い、力も入らない、何も無い、何も出来ない、それでも、がむしゃらに走り出す、当然ガハルドは反撃する横の一振り腕は動かない防御はできないだから、

 

「づぅあ゛ぁ!!」

 

 ボロボロの右脚に力を込めて跳んだ、ガハルドの小刀が下を通過して、目に映るのは驚愕したガハルドの表情、少しでも勢いを付けるために首を上げて、全力で、、、

 

 全ての石が落ち煙が消えさり、鈍い音が響きガハルドの顔面に頭突きが入った

 

 無防備に地面の上に落ちて、地面を転がりえずきながら振り返り、全身から大量の血を流すガハルドの後ろ姿を見る。

 

「――――」

 

 やがてガハルドが遠藤の方を振り返る。

 地べたに倒れながらそれでもまだ戦おうとする遠藤を見て、皇帝は笑い。

 

 そして、

 

「――やるじゃん、てめぇの勝ちだ」

 

 敗者からの称賛を

 

 誰か応じる前にその座を開け渡さなかった皇帝が地面に倒れる。

 

 賞賛を受けた少年は、血が流れ震える体を無視して力を込める、肺が痛いのに大量に酸素を取り込む、揺らぐ視界の中で無理やり立ち上がろうと膝を立てる。

 

 ただ静かに、その場にいる人はその様子を眺めた、この瓦礫の上で遠藤が何をするのか、その眼で記憶に刻む。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 勝者の凱旋が帝国中に響き渡った。

 

「この勝負!勝者!遠藤浩介ぇぇぇぇえ!!!!」

 





 勝負は筆がなるのに人間関係は筆が遅くなる。弱音を出さず早く出せるよう頑張ります。

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