『辺りがだいぶ明るくなってきたな』
夜明けの近い空を見上げる水心子。
『そろそろ加州清光の部隊が戻ってくると思うんだけど』同じ空を見上げながら、応える清麿。
『遅いな』
『慎重な審神者なのかも知れないね』
加州の部隊が本丸へ一時帰還してはや2週間が過ぎようとしている。
清麿が懐中時計を見る。
『?それは?』
『ああ、政府からの支給品。内側のポケットに入ってたよ』
『え?ど、どこどこ?』あわてる水心子
『慌てなくていいよ。大丈夫。それより…』
小高い場所から2人は家を見つめていた。
家の裏手には鍛冶場だ。煙が出ている。
今はまだ見出されない、刀鍛冶が住む家。
『…』
『どうしたの、水心子』
『史実どおりに、遂行しなくてはならない』
『うん』
『だが、…』
『水心子。…ダメだよ』
『わかっている』
『うん。僕らがこうしてここにいるのも、こうやって刀剣男士になれたことも彼らの存在あってこそ』
『ああ』
背後から何者かがこちらに向かってくる。
振り向く2人。刀に手を乗せる。
『何体だろう』
『かなり大勢のような…』
ガサガサと音を立てて近づいてくる。
2人、身構える。
ガサリ、と物音が止まる。
やけに大きなシルエットが見えた。
『ん?これは…』
『何者だ』
『…すまない。道を間違えたようだ』
『巴、どういた?』
巴形薙刀の背後から、陸奥守たちが声をかける。
『これは、どういうことだ?』
『おん?なんじゃおんしら?』
『刀剣男士…』
『わしらのこと、知っちょるみたいやにゃ』
『また、僕らに切りつけて来るのかい?』刀を握る歌仙。
『?また?なんの話だ』
『どうやら、君たちがこの本戦に参加する部隊みたいだね』
『は?本戦?』
『特命調査の任務が降りている。本戦は3連戦。途中本丸には帰還することができないから、軽症者は早めに申告してくれ』
『無理に進軍するのはオススメしないかな』
『お、おい。おまんら…』
『先に行くぞ。付いてこい』水心子が駆ける。
後を追って清麿も駆けていく。
『な、何が起きちゅう?なぁ、歌仙』
『どうやら戦いを避けては通れないみたいだな。…おい、貴殿は戦えるのか?その格好だと怪しまれるのでは?』
茂みの影に佇む、黒甲冑。
『…なんてことはない。この時代の敵と戦うのは初めてなだけだ』
『そうか、おんし[あの場所]から時間を跨ぐのは久しぶりなんじゃな』
『ああ、それに別部隊を組まされるのも初めてだ』
『すまんが乗りかかった船、手伝うてもらうき』
『ああ、わかってるよ』
『全く、僕らはいつになったら山姥切たちと合流出来るんだろうね』
『特命調査、開始するか』
『コレで終いにせんと、本丸に帰れんような気がするぜよ』
『無論。主が悲しむのは見たくない』
『それはみんな同じ思いさ』
『はよ追わんと見失うてしまうぜよ』
『ああ、行こう』
陸奥守たちと黒甲冑が水心子たちの跡を追う。