降り立った地は天保十四年、江戸。
十一代将軍家斉(いえなり)の悪政と大飢饉で、全国各地で百姓一揆、大塩平八郎の乱など御上に反旗を翻す事件が勃発。何とか軌道修正を図ろうと老中の水野忠邦の発令した『天保の改革』で更に幕府への不振、倒幕へと追い討ちをかける。
はずなのだが…。
場所の特定は出来ないが、煙が上がり鐘の音が響き渡っている。
調査員との合流場所に近づくが、出歩く町民はほとんどおらず、誰かと誰かが口論を始めている。
『荒れてるなぁ。あれが江戸城で、…天守閣か』
『呑気にしてる場合か。着いて早々…来たぞ』
『索敵?苦手なんだよねー』
敵が複数現れたものの、一瞬で蹴散らしてしまう刀剣男士たち。その奥に人影が二つ。
『あ、入電くれた人?』
『戦力派遣、感謝する。私の名は水心子正秀』
『僕は源清麿。僕たちは、此処の先行調査を任されている』
『本来の歴史であれば、あの悪政と名高い天保の改革が失敗に終わる年。その結果、幕府は衰退。幕府と諸藩との対立は深まり、倒幕へ流れが生まれる』
『…はずだったんだけど、雲行きが怪しいのが此処なんだ。厄介だよね』
『我々も同行し、歴史修正の糸口をみつける。天保の改革は、正しく頓挫してもらわねばならない。私は、江戸の町を元に戻したいんだ……』
『僕たちは、隊の中と外から支援するよ』
『あぁ、任務を遂行させるにあたって我々のどちらかを隊に加えてもらうのだが…』
水心子と清麿がお互いを見やる。
『単刀直入に言わせてもらうと、私は…』
『水心子を選ぶべきだと思うな』と間髪入れずに清麿が言う。
『…いや、源清麿を選ぶべきだと思う』加州を真っ直ぐ見つめて水心子が言う。
『どうかしたのかな?新々刀の祖たる水心子』
『……………。そちらの隊長の目を信じるしかないな。それに実力もしっかり見定めなくてはならない。…で、なければ意味がない』
『そうだね』
『さぁ、決めてくれ』
『うーん。それじゃ、水心子正秀!』
『…なっ!』
『素直でいいね』
『…くっ!…私が部隊に加わる。清麿は先導を頼む』
『承知したよ』微笑む清麿。
戸惑いをみせる水心子とそれを微笑んで見守る源清麿。
突然の爆発音。
悲鳴と黒煙が舞い上がる。
『さっそく…敵のお出ましだな』と長谷部が走り出す。
『ちょっと!長谷部!もー。単独行動禁止だって!』加州、清麿、水心子と後を追う。
出陣の儀
『あー川の子です。加州清光。扱いにくいけど、性能はいい感じ』
『へし切り長谷部と申します。主命とあらばなんでもこなしますよ』
『私は水心子正秀。太平の世の刀だからと侮ってもらっては困る』
『僕は源清麿。江戸三作と称された名工の1人、源清麿が打った刀だよ。よろしくね』
いざ、出陣!