洛陽箱を回収。
『ここは天保14年の江戸なのか?』
『だーかーら、そう言ってるでしょ』
辺りを見渡し、視線を向けずに話す山姥切国広と鍵の束を見つめながら、錠前と見比べる加州清光。
『山姥切たちはどの時代にいたの?』
『享保の大飢饉。場所は人里離れた山奥だ…』
山姥切国広が長曽祢虎徹の方を見る。長曽祢も間違いないと頷いた。
錠前の付いた鍵穴に鍵を入れ、回す加州。
『今までそんな不具合、無かったのに』
『遠征部隊を送った歪みが、特命調査であるこの時間軸になだれ込んで来たのか?』
『歪み、ねぇ……。ま、細かく分析してみないとわからないけど、本丸にまだ帰城出来ないし、システム上、やむを得ずってやつかな』
転送装置の不具合か、それとも敵の罠か。
鍵を扉に差し込む。
『なんだ?それは』
『さぁ?ボスが頑なに守ってた焙烙箱ずらしたらあったんだけど、この扉の錠前っぽいし』
『適当なことをするな。違ってたら…』
ガシャン!
『…外れたけどー』
『運が良いのか悪いのか』
『ていうかさ?長曽祢さんとまんばちゃんの他の仲間は?』
『まだ遠征先にいるのかもしれん。完全にはぐれてしまったようだ』山姥切国広と目を合わせる長曽祢。
『この時代に一緒に流れ込んだわけじゃないってことか』
『そんなこと、あるのか?』
『さてね?前例がないかな』
『それより、早く遠征先に戻れる方法を探した方が良くないか?取り残された者の安否も気になる。もし何かあれば主が悲しむ。それだけは何としてでも許さん』長谷部が息巻く。
『許さない、からなんだ?そうはさせないために戻る方法を今皆で出し合っているんじゃないのか?』
『山姥切、貴様は部隊長でありながら自分が犯した失態を棚に上げるつもりか?』睨みつける長谷部。
『はぁ……じゃ、圧し切るのか?俺を』
睨み合う両者。
2振りが睨み合う間に入って仲裁する加州。
『あーもー止めてよ。とりあえず、特命調査は続いてるワケだし、一旦本丸に戻れるのは今だけみたいだし、一応戻っておこうよ。ね?』加州が本丸に帰れる帰城装置を指さす。
ふん、と二人はお互い背を向けた。
あれ?今のちょっと、隊長ぽい?
2人の喧嘩仲裁したし、これなら主も喜んでくれるかな〜。
『一旦本丸へ戻るのだな』水心子が声をかけてきた。
『あー、そうね。他の部隊の奴も居るし』
『…そうか』少し残念そうに呟く水心子の肩を軽く叩いて慰める清麿。
『焦ってこのまま進んで撤退なんてことになったら困るし、それこそ時間の無駄だよ。手伝ってもらう手前、こう言うのも何だけど…部隊を立て直したら、早々に戻ってきてくれないかな』
『やっと親玉を突き止められた。この機会を逃したくはないのだ』
『はいはーい。んじゃ、また』帰城装置に手をかざすと加州、長谷部、山姥切国広、長曽祢が装置ごと消えた。
『………』部隊が消えた方向を見つめる水心子と清麿。
『大丈夫、水心子とならなんだって出来るよ』清麿が微笑みかける
『ここら辺には敵はこないようだし、物陰に隠れて作戦を立て直すか』
『うん、さすが水心子』
『まぁな…!あ、いや、んん、こう言う時こそ冷静に、だな』
クスクスと笑う清麿。帽子を深く被り直して赤らめた頬を隠す水心子。
二人並んで歩き出す。