刀剣乱舞 小噺 かりそめの撫子   作:一之瀬 萩

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ソニアとマルコ

倒壊した家屋の前。マルコに引っ張られてソニアがやって来る。

『ソニア、勝手な行動は謹んでくれ。何かあったらじゃ、手遅れになる』

『マルコ、ごめんなさい。でも、別本丸の刀剣男士とおしゃべり出来たわ』

『また、何か起こったら…』

『そんなこと、もう…』

月明かりに照らされた家屋を見つめる。

『俺は、もう一度再興させてみせる。敵をみな殲滅してここにまた、あの時と同じ本丸を』

『…マルコ!見て!』

『…全く聞いてない!今、俺は大事な話をして…』

マルコの前に差し出す一輪の花、撫子。マルコに渡す。

『まだ咲いてた。ふふ。懐かしいなぁ』

『…撫子。ああ、懐かしいな』

ソニアが建物に近づく。すかさずマルコが止める。

『危ないよ』

『誰もいないわ』

『誰も居なかったら何かあった時、助けられないだろう?』

『何かあった時って何?奇襲?』

『…』

『マルコ』

『すまない。そういう意味で言ったんじゃない』

目に涙を溜めてマルコに詰め寄るソニア。

そんなソニアに顔を向けられないマルコ。

『やり直せる』

『え?』

『何度だってやり直せる。そうでしょう?』

『ああ、もちろん。この俺が居るんだから』

『そうね』

『何をこそこそと話しているんだ?』

倒れた家屋の屋根の上、敵の雷雲(らいうん)だ。

『昔を憐んで、さぞ楽しいお話だったでしょうに水を差してしまいましたね』

また片方から、雷雲の相方で風雪(ふうせつ)がニヤニヤと笑いながら出てきた。

『そんなに楽しい話なら混ざってやってもいいぜ、お二人さん』

『話は済んだ。何か用か』

『用がなくとも、我々は貴方がたを見張らねばなりませんので』

『面倒くせぇけど、親方がうるさいからなぁ』

『それに』

遡行軍の一人がソニアに近づく。

『この女に死なれては、こちらが不利』

『ソニア!』

『お?どうした、マルコ。顔色が悪いぜ?働き過ぎなんだよ、少しは俺たちを信じて休め』

雷雲がマルコに刃を向ける。

『マルコ!』

『ソニア、大丈夫だ』

『貴方は下手に動かない方がいいですよ?』

ソニアに刃を向けジリジリと近づく風雪。

チリーン!チリーン!

ソニアの袂から鈴が落ちる。

雷雲と風雪が頭を抱える

『ぐう』

『耳障りな!』

敵が怯んだところで、鈴を拾うソニア。

その手を風雪が踏みつける。

『ああ!』

『ソニア!…おい!止めろ!』マルコが近づこうとすると雷雲が刃を向け行く手を阻む。

『過保護だなぁ。あんたが信じるアルジサマは本当に脆いなぁ!』

『ああ、脆い。だから、この俺が側に居て、守るのが役目』

『さぁ、手を離さないと腕が無くなりますよ?』と風雪が刀をソニアの腕に近づける。

『止めろ!』

バーン!

銃声が響き渡り、風雪の手から刀が落ちる。

『ぐぁ…』

『風雪!…誰だ!』

家屋の上から陸奥守。

『な?む、陸奥守吉行?』マルコが目を丸くして見る。陸奥守に気を取られた雷雲が背後から斬りつけられる。

『う!なんだ⁉︎お前ら!』

『この、無作法どもが!』

『歌仙兼定?』またマルコが驚く。

刀を拾おうとする風雪の動きを、刃を突きつけて止める巴。

『動かないでもらおうか』

『くっ!』

巴がソニアの腕を掴み、立ち上がらせ自分の影にソニアを隠す。

『他勢で女性をいたぶるんは見とうない』

『全く、雅なやつは居ないのか』

『大事はないか。手が赤らんでいる。俺の主も人間だ。我らと違って脆いんだ』

『巴型薙刀…なんで…』

『ん?よく見れば……何だぁ?お前ら…まだ、生きてたか』

『?なんの話じゃ?』

『倒しても倒しても、うじゃうじゃと。全く鬱陶しい!』

『誰のことを言っているんだい?』

『刀剣男士ぃ〜』雷雲が刀を歌仙に向ける。

『待て!雷雲』

『あ?何言ってんだ。ここで潰せば親方も喜んでくれるぜ?風雪』

『雷雲!』一斉に鳥達が鳴きながら飛び立つ。

『チッ、命拾いしたな』

『また、お会いしましょう』

敵が去る。

『マルコ!』マルコに近づく。

『ソニア…』

マルコに刃を向ける刀剣男士たち。

『仲間が逃げて行ったぞ?お前も下がったらどうだ?』歌仙が凄む。

『や、止めて!マルコは敵じゃない!貴方たちと同じ刀剣男士なの!』体を広げて間に入り、マルコを庇うソニア。

『と、刀剣男士?』拍子抜けな顔をする3振り。

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