キングダム世界の趙の王族に転生してしまった   作:ROM

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一話 転生したら趙の王族(悼襄王の息子)になっていた件

 

0歳

自分が死んだ時の状況はハッキリとは思い出せない。元々体が弱かったから持病が悪化して死んだのだろうと思うが、同時に全く他の要因で死んだような気もする。まあ、死の真相なんて知ったところで今更どうにもならないし、死の直前の記憶は深い霧がかかったように真っ白で思い出そうとすると頭痛がするので、放置することにした。

今理解すべきは自分が死に、何故か赤子に生まれ変わったと言うことだけで十分だ。てか、それだけでもうお腹一杯だ。

 

 

四歳

あれから暫く経った。

 

俺は一歳で手を使わず足で立ち、二歳で言葉を話し、三歳で本を読んだ。この異常な早熟さを見て周囲の人々は俺を神童と持て囃したが、実際の所俺は神童でも何でもないただの凡人である。本当に神童ならばこの時点で既に自分がキングダムの世界に転生したのだと気付いて然るべきだった。ヒントは散りばめられていたし、気づけるタイミングもあったのだから。だが、どうしても俺は気付くことが出来なかった。赤子ゆえ行動が制限され情報が中々手に入らないことに加え、生れた時から持っていた特殊能力が更に気付きの邪魔をした。

 

知っての通りキングダムと言う漫画は史実を元にした戦記である。魔法も出てこなければ、ゴブリンみたいな怪物もいないし、当然異能だって存在しない。しかし、俺には生まれもった異能があった。実際使った事はないが、まるで鳥が誰にも教わらず空を飛べるように、人が呼吸をするように、俺は生まれた瞬間から自身の能力の名前、使い方、力の概要を知っていた。

 

《王の恩寵》

使い方:対象の背中に直接触れた状態で、口頭での契約を行うことにより、発動。

能力の内容:対象の潜在能力を引き出す。代償に術者への忠誠心や信仰心が植え付けられる。どの程度の忠誠心かは対象により異なる。

 

ダンまちの神様のような、特殊能力を手に入れた俺はすっかりこの世界が中華系ファンタジーな世界であると疑わなかった。

俺が漫画の世界だと気付くのは五歳になってからである。

 

 

 

四歳になってすぐ、郭開が教育係としてやって来た。この当時の俺は兎に角自分の能力を早く試したくて仕方がなかった。異能なんて面白い物を手に入れたのに中々それを使う機会を作れず鬱々とした気分を抱いていたのだ。普通に「背中見せろ!」と命令すれば良いだろうと思うかもしれないが、今迄俺の側にいるのは大抵女の側仕えや乳母であり、唐突に上半身裸になれと命令するのは憚られた。只でさえ俺の今世の父親は変人だと耳に聞く─会ったことはないので真相は定かではないが──、そんな変人の子が変態な発言をすれば、三歳にしてあの親にしてこの子ありなんて不名誉なレッテルを貼られかねない。一度ついた醜聞やイメージと言うのは中々晴れることがないと前世で学んでいた俺は少しだけ慎重に行動した。

無論、風呂に入るときは互いに裸なので自然と背中に触るだけなら結構簡単に出来るのだが、困ったことに風呂に入るときは何時も複数人の女官が付いてきて体を手取り足取り洗うので、そこで能力を使うと必然的に複数人の目撃者が出ることになる。これはあまり歓迎できない。なにせ、能力使用時どんなエフェクトがあり、どんな風になるのかさえ分かっていないのだ。この状況で能力を使うと、最悪悪魔付きのような邪悪な感じになりかねず、悪魔子や忌み子認定される危険がある。だが、仮に邪悪なエフェクトが出たとしても、目撃者が一人なら単なる戯れ言だと処理できるのだ。だから、目撃者は出来るだけ少なく、出来れば一人で、しかも、男であることが望ましい!

 

そんな時、初めて条件を満たす男として現れたのが郭開だった。

 

俺は郭開を使って能力を存分に試した。

 

 

 

結果

 

郭開は狂信者になった。

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