もしも天馬司がギャルゲーの主人公で、ヒロインがヤンデレだったら   作:イチカワヒナナテスカトリ

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最初はこれと次の話で第二話やったけどちょっと長かったから分割。サブタイトルは毎回深く考えずノリで決めてます


レオニは全員ヤンデレ適性高そう

「「いってきまーす!」」

 

朝食を食べ支度を終えたオレは、いつものように咲希と一緒に家を出た。

 

「咲希、もう体調は大丈夫か?」

「うん! 全然平気だよっ!」

 

今朝の咲希は少し様子がおかしかったが、もう大丈夫そうだな。

いつも以上にニコニコした顔でオレの隣をぴったりついてくる。なにかいいことでもあったのだろう。咲希はすぐに表情に出るから分かりやすいのだ。

 

「その顔……さては何か良いことがあったのか?」

「え~~? 分かってるくせに!」

 

ニコニコしながらそう言う咲希。

 

分かってるくせに、だと? さ、さっぱり分からん。今朝オレがしたことと言えば『ずっと一緒だ』という、至極当たり前のことを約束しただけだ。

 

無論、文字通り一生一緒に過ごせるとはオレとて思っていない。いずれオレは世界中を飛び回るスターとなるし、咲希だって遠くの大学に行くとなったら一人暮らしすることになるだろう。

だが仮にそうなったとしても、オレにとって咲希が一番大事な妹であることは変わらないし、心はいつも一緒にいられると確信している。

 

咲希もオレと同じ気持ちだと分かって嬉しかったが、しかしあんな約束だけでここまで上機嫌にはなるまい。

他に何か良いことがあったのかだろうが、分かってるくせにだと?

 

う~~む、わからん。機嫌を損ねてしまうかもしれんが聞いておくか。

 

「すまん咲希、なんのことだ?」

「も~~、そんなにアタシの口から言って欲しいの?……お兄ちゃんのいじわる♪」

「なっ! いじわるってそんなつもりじゃないぞ!? オレはほんとに分からなくてだな……」

「でも、いいよ? お兄ちゃんが言って欲しいなら……」

 

オレの手を握って、上目遣いで見てくる咲希。

潤んだ瞳で見つめられ、思わず息が止まった。

 

咲希は緊張しているのか、オレの手をぎゅっと手を握っている。

その緊張が伝わってきて、その瞬間だけ世界が止まったかのような錯覚に陥った。

 

「それはね、アタシの「咲希、おはよう。司さんもおはようございます」

 

後ろから声をかけられ、オレは急に現実に引き戻された。

 

以前までは数年間聞いてなかったが、最近はもう聞き馴染んだ声だ。

声の方へ振り返ると、予想通りそこには咲希と同じ制服を着た女子高生が三人いた。

 

「おお、おはよう一歌! と、レオニード全員いるのか」

 

オレに挨拶してきたのは咲希の幼馴染みでバンド仲間の星乃一歌。その後ろには同じく幼馴染みでバンド仲間である日野森志歩と望月穂波がいた。

 

最近三人ともよく家の近くで見かけるが、登校の時間に会うのは初めてだった。こんな時間からいるのは、きっと咲希と一緒に登校するためだろう。

再会した当初は色々すれ違ってギクシャクしていたらしいが、もうすっかり昔のような仲良しになっている。さすが幼馴染みだな。

 

「おはようございます、司さん。急にお邪魔しちゃってすみません……」

「司さん、そんな雑な感じで呼ぶのは止めてください」

「ああすまん、失礼だったな。改めておはよう。穂波、志歩」

「ぁっ。きゅ、急に恥ずかしいですよ司さん!」

「……………最初からそう呼んで下さい」

 

赤くなった顔を手で隠す穂波と口をもにょもにょさせてそっぽを向く志歩。

 

名前で呼んだ方が微妙な反応をされたんだが、一体どういうことだ?

うーむ、女の子の気持ちはよく分からん。みんな咲希くらい分かりやすかったら良いのだが。いや、咲希も最近はよく分からんところで不機嫌になったりするからなあ……。

 

オレが悩んでいると、さっそく咲希たちで話始めたようだった。

 

「……ねえいっちゃん、どういうつもり?」

「どういうつもりって、咲希と一緒に登校したいから来たんだよ」

「そうなんだ、ありがとう! でもごめんね、アタシはお兄ちゃんと一緒に登校するんだ♪」

「うおっ!? 咲希、急に抱きついてくるんじゃない!」

 

咲希はそう言うとオレの腕に抱きついてきた。

まったく友達の前だというのに恥ずかしいやつだな

と、思った時だった。

 

「「「…………………」」」

「ひっ……!」

「…………」

 

一歌たちは一切の感情が抜け落ちたかのような表情でオレの腕を凝視していた。

 

い、一体どうしたというんだ。そんな気を悪くするようなことをした覚えはないんだが……。

いや、オレじゃなくて咲希か。一歌たちは咲希と一緒に登校するためにわざわざここまで来たというのに、当の咲希自身がオレにぴったりじゃ確かに面白くないよな。

こういうことにすぐ気づけないから、咲希や寧々に鈍感と言われてしまうのだろう。反省せねばな。

 

オレは咲希ホールドから腕をすっぽ抜いて、一歌たちの方へ背中を押した。

 

「ほら咲希、今日は友達と登校するといい」

「あ、ま、待ってよお兄ちゃん! ずっと一緒じゃなかったの!?」

「流石に学校までは一緒じゃないぞ!? じゃあ一歌、穂波、志歩。咲希を頼んだぞ!」

「はい、行ってらっしゃい司さん!」

「気をつけて下さいね!」

「うん、咲希は私たちに任せて」

 

そうしてオレは咲希たちと別れを告げた。

 

にしてもわざわざ家まで来てくれるなんて、咲希はいい友達を持ったな。

あの様子だと、以前ギクシャクしてたときもオレが介入せずともすぐに仲直りしていただろう。

 

少し気になって振り返ると、咲希たちは歩きもせずにおしゃべりしているようだった。

一歌たちは明日からも咲希と一緒に登校するんだろうか。もしそうなら兄として嬉しい反面、やはり少し寂しい気持ちもあるな。

 

寧々に指摘された時はそんなわけがないと思ったが、オレはもしかしたらシスコンってやつなのかもしれんな。この年にもなって恥ずかしい話だ。

いずれ咲希も兄離れしていくのだろうし、それを笑顔で受け入れられるくらいの度量が欲しいものだ。

 

そんなことを考えながら、オレは久々の一人登校をするのであった。

 

 

 

 

……そういえば、結局何故咲希が上機嫌だったのかわからなかったな。

 

 

 

 

 

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