各軍の戦いが戦局を占うわけではないらしい。
聖騎士国の各師団長と
中央帝国の各族長の戦いが
戦局に直結するらしい。
各軍のトップ1人が数千の兵に匹敵するらしく、
中央の軍も左軍も右軍もどちらかの軍のトップが
殺された瞬間に戦局が傾くのだそうだ。
あくまで各軍のトップ同士の戦いが全てであり、
兵士どうしの戦いは
各軍のトップに余分な負担をかけないために
戦い合っているのである。
ゆえに、この戦局を見るなら
中央の軍は、
聖騎士副団長ウィークスと獣人族長ヘリの
戦いである。
それより北の位置で戦うのは、
第一師団長ジュピター、第三師団長スカイ・フライと
龍人族長フェルミである。
南の位置で戦うのは、
第二師団長コンチネント、第五師団長スィーと
巨人族プルトニである。
中央、北、南のそれぞれの戦地では
軍団長 対 族長の戦いが拮抗している。
ただ、中央の獣人族はそれぞれの種族の族長である
犬族、猫族、熊族、兎族の族長も
ウィークスとの戦いに参戦している。
獣人族長とそれぞれの種族長4人を相手に対して
聖騎士副団長1人で戦っていることを考えると
ウィークスの強さが垣間見える。
龍人族長フェルミも巨人族長プルトニも
それぞれ師団長2人を相手にしている。
その中でも苛烈な戦いを展開していたのが、
聖騎士団長ウァイトと
中央帝国皇帝ライトの一騎打ちである。
2人は味方を巻き込まないために
遥か上空で戦いを展開している。
光の魔法やスキルを使い戦うウァイト。
闇の魔法やスキルを使い戦うライト。
両者拮抗する。
聖騎士団長と中央帝国皇帝
聖騎士副団長と獣人族長、種族長
各師団長と龍人族、巨人族
トップ同士の戦いは均衡が保たれている。
崩れ始めているのは兵士同士の戦い。
聖騎士国兵士は半分近くの兵士を失いながらも
有利に進めている。
中央帝国軍は半分をゆうに超える兵士を
失っている。
ウィークスは戦いながらこの戦況を見極めている。
(おかしい、この戦い方では中央帝国軍は
兵をいたずらに減らしているだけだ)
「これでは無意味ではないか」
そう呟いた瞬間に意味を見い出す。
ウィークスは聖騎士国副団長として
突出した武力だけでなく、
知力もあり、身に纏うオーラも凛としており
威厳がある。
誰からも信頼されている。
ただ、完璧すぎて近寄りがたいと思う人も
数多くいるという。
ウィークスは中央帝国の戦い方が
無意味ではない可能性に思考を重ねる。
「中央帝国軍の目的はなにか......」
「聖騎士国の滅亡、聖騎士団長の抹殺、
その先は大陸統一......」
「この戦いでは聖騎士団長の抹殺は不可能だ」
「あっ!
我が首都アストロフィライトへの襲来か!」
その答えに辿り着く。
「とすると、ついに東の島国の鬼人族と
中央帝国が繋がりを持ってしまったのか」
そこまで考えをめぐらせるとウィークスは
すぐさま獣人族長ヘリと種族長に向けて
最大火力の爆撃魔法を放つ。
爆撃魔法でも時間稼ぎ程度にしかならないのは
わかった上で放つ。
放った瞬間にウィークスは戦線を離脱して
聖騎士団長ウァイトの元へ向かう。
獣人族長ヘリと種族長を
置き去りにするということは、
中央の戦いにおいて聖騎士副団長兵の存続は
危ういだろう。
それでも首都の危険性を考えるとウィークスは
聖騎士団長の元へ駆けつける必要があった。
(すまん、わが兵たちよ)
心の中で謝罪するウィークス。
突如、ウァイトの元に現れる
聖騎士副団長ウィークス。
何かを察知したライトは距離を取り離れる。
「ようやく気付いたか」
とぼそりとライトはつぶやく。
ウィークスにとっては幸いだったのが、
獣人族長も、種族長も追いかけて来なかった。
さらにライトも離れた距離を取り、
様子をうかがってくれている。
「ウァイト様、中央帝国軍の狙いは
首都アストロフィライトだと思われます」
「鬼人族が中央帝国と手を組んだとしたら
海路から首都を直接狙う可能性があります」
「このような手がなければ
中央帝国にとってこの戦いは
無意味でしかありません。」
と矢継ぎ早にウァイトへ報告をする。