異世界の権力者   作:IQ114の類似6

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(9)聖霊ディーナシーが使えないから、みんな困る

ウィークスは首都に帰還し、

その後、さらに西の港町である

軍港グラナイトに着いた。

 

鬼人族の海軍が西の海に何十艘も戦船を並べている。

攻撃はしてきていないようだ。

 

聖騎士国の軍港であるグラナイトでも

臨戦体制に入っている。

 

しかし兵士の多くがオーガス大戦に参戦しているため

守備兵の数が少ない。

 

ウィークスは再度不可思議に思う。

 

(なぜ攻めるチャンスがあるのに攻めなかったのか)

 

(鬼人族の海軍であれば、西の軍港を制圧して

 首都に通じるクォーツ川を通り

 首都を襲撃できたはずだ)

 

(鬼人族の族長トリチが

 あの戦船にはいるのだろうか。

 

 攻撃をしたら藪蛇をつついてしまうのか)

 

ウィークスは自問自答し始める。

 

聖騎士国では島国で鎖国状態の鬼人族の情報を

ほぼ持ち得ていなかった。

 

そのためウィークスは鬼人族の力を

推し量れていなかった。

 

ウィークスは様子を見る。

なぜなら相手の出方が想定できないからだ。

 

そこに聖霊ディーナシーを通じて

ウァイトからの指示が入る。

 

「中央帝国と停戦交渉に入る。

 日時は明日の正午、ブラッフロー丘陵にて。

 相手の出方が分からないため

 そこにとどまり最大限の警戒をつづけよ」

 

ディーナシーから思念伝達のように

直接脳に語りかけてくる。

 

「停戦?わたしが戦線を離脱した状況を考えると

 こちらからの停戦交渉はありえない。

 

 これは帝国側からの停戦交渉なのか......

 

 また分からないことが起きてるな」

 

「聖騎士団長も想定できないのですね。

 

 不安の種はなかなか解消されない、か」

 

1人つぶやくウィークス。

 

聖霊ディーナシーを召喚できるのは

聖騎士団長のみである。

 

そのため団長からの指示は一方通行である。

 

「ディーナシーは使い勝手が悪い」

とウィークスはいつも思ってしまうが

口には出せない。

 

聖霊は気まぐれである。

気分を害して団長の召喚に応じなくなることもある。

 

「ディーナシーは使い勝手悪いよね。

 

 こっちからも団長に報告を届けてよ。

 

 これじゃあ、使えないよ」

 

以前にフライがディーナシーに対して

悪気なく言ったことがある。

 

ディーナシーは膨れっ面になり

その場から消えていなくなった。

 

その後1ヶ月もの間、団長が召喚しても

応じてくれなくて大変だった経緯がある。

 

ウィークスはあの戦船の中にトリチがいるかどうか

知りたかった。

 

未知数なトリチがいるといないとでは

いざという時の対応が変わる。

 

ウィークスにとってここまで状況把握ができない

戦いは初めてであった。

 

ウィークスは他に何か見落としがないか

熟考し始める。

 

明日の午後までに相手の思惑を突き止めたい

と思い、考えを巡らせる。

 

想定ができないまま、そして何も起こらずに

次の日を迎えたのであった。

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