別世界移動
side:ショゼット=シュゼット=シェヴァンターレ
事の発端はなんて事ない、私と影星で遊びに行こう。そう話して、計画無しにショッピングモールや遊園地に行くか、或いは影星か私が変な人に絡まれて、それを影星が叩きのめしたりするか。若しくは、少し変わった現象に巻き込まれるか。
その、どれかのはずだった。
さっき居た所と違うところに連れてこられて…なんていうのは、経験した事がある。
…だからと言って、家を出た瞬間に目眩に襲われて、気付いたら世界すら違う、っていうのはおかしいんじゃないの。
「…ここ、どこなの?」
「さあ?私便利屋じゃねえし分かるわけないじゃーん?まあそこら辺の奴にでも聞けば何かしら分かるっしょ」
いつもの調子で話すのは、私の友達の影星。余りにもいつもすぎるのに、いっそ正気なのかを疑いたい。
…残念ながら、正気なのだけれど。否、ある意味狂気かもしれない。どちらにしても、通常運転である事に違いは無い。
「お、あいつとか知ってそうじゃね?話聞いてみる?」
指を指した先にいるのは多分…というかほぼ確定でこの世界の人。視線に気付いたのか、足早に向こうに歩いていってしまった。
が、格好の獲物を逃がす影星では無いのはよく知っている。
「あいつ逃げようとしてんの?へえ…ちょうどいいね、あいつでこの世界がどんなもんなのか見定めてやろ」
言うが早いが駆け出した影星。その背中を見つめながら、いつもより身軽に動いてない?と気付くのにはそれなりの時間を要した。
目線の先、簡単に追いついた彼女…影星は都合上彼女としておく…は飛び蹴りを喰らわせた。
一撃で弾け飛ぶ頭に、飛び散る血飛沫。彼女を赤く染め上げて、それだけでなく地面にさえも跡を残した。頭を失った身体は、そのまま前に倒れ込む。もう命はないはずなのに、ついでとでも言うように背中に向かって踵を振り下ろした。
上がる口角に、前髪のせいで影掛かった瞳は凡そ正常とは言い難い。
「あー、やっぱこんなもんか」
辛うじて原型の留まった身体を、意味もなく踏みつけているのを見て、私も其方へ行こうと足を動かす。
そして、いつもよりも身体が軽い事に気が付いた。
動きやすい。例えるなら、全身マッサージして揉みほぐしてもらった後…それ以上かもしれない。
「…その人、もう死んでるの?」
「あったりまえじゃん。にしてもさ、なんかいつもより戦いやすいね。世界補正とかかな?」
「世界補正…?」
「まーなんかその世界にある程度適応して動けるように、みたいなもんじゃね」
「…なるほど?…そうかも」
にしてもさあ、折角見つけたのに殺したのヤバめな感じだった?と、今更ながら死体の前で立ち往生をする私達に、背後から聞こえる女の子のような声。
「ねえ、君ら。こんなところで何してるの?…見た事ない人達だけど、どこから来たのかな?」
使い方がわからないよ…