異世界探索記   作:紅色の落ち葉

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世界探索 参-弌

 side:影星

 

 あれっきり、私に話しかけてくる奴はいない。奥の奴らはそういうのを心得てるらしく、部外者の私のことも一瞬眺めただけで、声もかけずに素通りしていく。

 こっちの方が楽でいい。いちいち絡まれんの面倒くさすぎてやってらんねーからな。

 

 人があまりいないお陰か、<聞き耳>が有効的だ。

 その結果、まだ夜になってねーのに騒がしい路地があることが分かった。

 嫌でも分かる、か。

 確かにこれは、嫌でも分かるな。

 

 声のする方へ向かう。

 1歩足を踏み入れた途端、

 

 雰囲気が、変わった。

 

 夜のように辺りは暗く、上から提灯がぶら下がっている。おまけに、そこら中には屋台が大量に開いており、客は道に収まりきらない程の人数が往来している。

 まるで、夏祭りだ。

 

 …これのどこが治安の悪いんだ?

 

「…ここどこなんだよ、ほんとに合ってんのか…?」

 

 雰囲気が変わったせいで、むしろ気味悪く感じるが、戻る訳にはいかない。ここまで来たんなら、何かきっとあるはずだ。

 私は、この祭りの終着まで見に行くことに決め、人混みの中に紛れ込む。

 と、後ろから肩を叩かれる。

 

「ここに来るのは初めて?」

 

 振り返ると、青色の髪に、毛先がグラデになってる性別不明のそいつが立っていた。

 

「あ?…そうだけど」

「なら、危険だから、これをつけておいて」

 

 そう言って、渡されたのはブレスレット。青く、赤く、黄色く、色とりどりに輝くそれは、どうやら光の反射ではなく、自然に光っているらしい。

 

「これは君を助けてくれる。…私の見たところ、今のままでも大丈夫だとは思うけど…一応保険として」

「なあ」

 

 帰ろうとするそいつを呼び止める。

 

「どうしたの?」

「…このブレスレットの効果は?」

 

 そいつは、パチリと瞬きをすると、髪の毛に指を引っ掛けてくるりと巻き付けた。

 

MP(マジック・ポイント)を一時的に…本当に一時的に増やすもの。砕けた時に力になるよ」

 

 その言葉を聞いて、一気に驚きと興味が湧き上がる。

 MPと言えば、呪文のようなものを使用するのに使われるものだ。

 この世界でも、そういうものは同じなのか?

 そういえば、知り合いに少し変わった力を使うアイドルがいたな。

 …確か、『門の創造』。

 

 「…あ」

 

 辺りの喧騒で我に返る。話しかけてきたやつは、とっくにいなくなっていた。あまりに現実味のない白昼夢。

 しかし、左腕に着けたブレスレットが、現実であることを教えてくれる。

 

 

 危険だから、そう言っていた。

 それは、私が初めて来たから。

 初めてじゃなければ、大丈夫なのか?

 

 …分からない。

 

 しかし、一つ分かることがあった。

 

 

 それは、この祭りの中に、元の世界へ戻る鍵があるかもしれないということ。

 

 もしかしたら、私の気のせいなだけかもしれない。

 

 それでもまあ、動いてみなきゃわかんねーものなんて沢山ある。

 

 今は自分を信じて、正しいと思ったことをすればいい。

 

 

 

 ─それが、『探索者』の姿なんだろ?

 

 乗ってやるよ。

 

 なあ、神話生物(カミサマモドキ)

 

 ───後悔、するなよ。




次回か次次回位で影星半無双が始まる予定
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