side:羅刹
目の前でパフェの大早食いが行われるから実況していくよ、羅刹だよ。
このパフェ、成功者が出る度に10cmずつ高くなるって噂なんだ。90cmを食べた人がいるってことだね。
実は僕も挑戦しに来た事があるんだ。まだ70cmだった時に。
結果?もちろん食べきれなかったよ。
このチャレンジメニュー、アイスが多いしフレークも多いし何より深くて手も顎も疲れちゃう。味は何種類もあるから飽きないんだけど、量と味は別問題。僕にはまだ早かったんだ。
「い、いただきます」
タイマーがピッ、と音を立てて鳴る。30分で100cm。
…普通に絶望を感じた。
僕だったら絶対無理。ショゼットさんは凄いなあ。
椅子に座ったショゼットさんよりも高いパフェだから、必然的に立って食べざるを得ない。人が立って食べるパフェって…何だろう。
グラスの中から中を見ると、アイスが横2つ、縦3つとコーンフレークで作られたパフェだとわかった。しかもチョコフレーク。何が笠増ししてるんだろ、やっぱりフレークかな?見てる分には美味しそうだけど、食べると急に視点が変わるよね。
その量を休む事なく平然と食べるショゼットさん。この人どこかで鍛えてきた?って疑問を持たざるを得ない。多分鍛えてないんだろうけど。
「…食べないの?」
「え?」
ショゼットさんが指さした先にあるのは、僕のフルーツパフェ…って
「わ、忘れてた!!」
アイスが若干溶けてきている。どうしよう、食べないと。
でも目の前の大食いも気になる…なんなら頼んだ事を後悔してる…目の前のフードファイトを眺めたい…
「うん、後で…にしよう、かな?」
どうせ後でなんて食べないのに、とりあえずそう言っておく。
「…そっか」
それだけ言って、またパフェをもきゅもきゅと食べ始める。食べる量が多い人ってなんで多いんだろうね。
目の前で見る間に空になっていくパフェの器を見ながら、胃を鍛えようかと割と真剣に悩んでみる。
まあ、やらないんだけど。
眺めている内に、中身は完全に空になる。スプーンを丁寧に器の中に立てかけると、ショゼットさんはタイマーを止めた。
残り時間:6分24秒
「…うん、余裕…だった…かな…」
「すごーい…!店員さん呼んでみる?褒められちゃったりするんじゃない?」
僕がボタンを押そうとしたら、ちょうど厨房から店員さんが出てくるところだった。
空の器と、タイマーを見て目を丸くしている。
「え、ぇと…」
「あ、完食した…みたいです」
急に萎れたショゼットさんの代わりに僕が説明すると、店員さんはすぐに裏の方へ走っていった。
「ぁ…」
きょろきょろしながら椅子に座るショゼットさんに、自分のパフェを渡した。
「…いる?」
「お、なか…いっぱい……」
まあ、仕方ない。そうだよね。
「でも…僕も見てて満足しちゃったしな…」
「……ごめん」
「何で…?」
思わず本音を零せば、気まずそうに謝罪が返ってくる。が、心当たりがどこにもない。
「ぁ、ぁ……えと、癖で……」
申し訳なさそうに言われ、僕も慌てて頭を下げる。
「あ、大丈夫だよ!気にしてないから!」
「…う、ん」
逆効果だったかもしれない。
「お待たせ致しました!こちら、チャレンジメニュー完食報酬になります!」
気まずい沈黙を破る様に、店員さんが大きめの箱を持ってきて、ショゼットさんに渡す。
急な事に咄嗟に手を出したのか、無事箱はショゼットさんの元に収まった。
「またのご来店をお待ちしております!」
結局、お代は払わなかった。チャレンジメニューをクリアした人のお連れ様、という事で無料になった。僕何もしてなくない?
「…どう、だった?」
お店を出て、少ししたところで感想を聞いてみる。
「…美味しかった」
こく、と頷いて僅かに微笑むショゼットさん。
「良かった、そう言ってくれて!次はどこに行きたい?」
「次、は…」
不意に、小さく声を上げた。
「いたっ…」
「え?」
足元を見れば、右足を少し引きずっているような気もする。
「大丈夫!?」
「…さっき、捻っちゃった…」
試しに右足首を見てみれば、赤く腫れて…い、いたそう…
「学園に戻ろう、それで手当してもらわないと…」
「で、でも…これくらい…」
何でか学園に戻るのを渋るショゼットさんを、強引に引っ張って学園の方へ向かう。
「ダメだよ、戻らないと」
少し強めに言えば、ショゼットさんも素直に後を着いてくる。
「…うん」
パフェの描写だけで1億年かかるかと思ったのでside変更
影星パートより楽しくないけどショゼにはショゼなりの楽しさがある気もする
戦闘メインは影星、世界楽しむのはショゼ、みたいなね
ってか正直ショゼの戦闘シーンなんて影星に比べて見劣りするから基本書きたくない(おい)