side:ショゼット
羅刹さんに支えてもらいながら、学園まで辿り着く。門をくぐってすぐを右に曲がると、堂々と『保健室』と書かれたプレートがかかっている部屋に連れていかれた。
「クレセント先生!
私を保健室の中に押し込みながら、羅刹さんも保健室の扉から顔だけ出して部屋の中を見てる。
椅子の上の影が動いてこっちに来…影…?影が…動いて…
「みれれは今来てないかなぁ、教室かも!」
影が…喋った…!
「どうしたの?怪我?体調が悪い?」
「違うんだ、足を捻っちゃったみたいで…」
「あちゃー、それは大変!すぐにみれれの所に行かないと!」
美麗とかみれれって誰だろう?
「そうだよね、ありがとう!ちょっと教室行くからエレベーター使ってもいい?」
「いいよー!」
保健室から出て、今度はすぐ近くのエレベーターに一緒に乗る。
3階のボタンを押すと、扉が閉まって上に上がり始めた。
「いるかな…?」
「ね、ねえ…あの…」
「ん?」
美麗って、誰?
って聞こうとしたら、軽い音を立てて扉が開いた。
「あ、着いたよ。大丈夫?」
「う、うん…大丈夫…」
羅刹さんに手を引かれて、廊下を先に進んでいく。
『S-1』と書かれたプレートの教室まで来ると、羅刹さんは引き戸を開けた。
「美麗いる?」
私の手を引きながら、教室の中にずかずかと入る羅刹さん。私ここの学生じゃないのに…いいのかな…
「む、今は『とらんぷ』とやらで勝負をしているが…この女子は?」
ドアのすぐ近くにいた人が、私に目線を向けて聞く。
「ぇ…ぁ、……え、と」
「ちょっと足を捻っちゃってるから治して欲しいなって」
机を向かい合わせにし、3人でテーブルを囲んでいるところに連れて行かれ、羅刹さんが空いた手で1人の女の子の肩を叩いた。
「美麗、ちょっとお願い」
「ん、はーい」
ババ抜きをしていたらしい。カードを伏せて、わざわざ私の方を見てくれる。
「えーっと…足を捻ったんだっけ?後ろの椅子に座ってもらって…」
言われた通りに椅子に座ると、美麗さん?は床に座って捻った方の足を持ち上げる。
そして。
「よし、治ったよ」
「え?」
「歩いてみて、普通に歩けると思う!」
手を離されて、恐る恐る床に足をつけてみる。
ドキドキしながら立つ。
痛く…ない。
歩いてみる。
やっぱり、痛くない…
「どう?もう大丈夫でしょ?」
にっこりというよりにぱっとした笑顔を浮かべながら、トランプを手に取った美麗さんに頭を下げた。
「う、うん…あ、ありが…と…」
「よかった!頭上げて!私達もう友達だから!あ、ねえ名前は?教えて!」
下げっぱなしの頭を上げる。
きょ…距離が近い…!
「しょ、ショゼット…って、呼んで……」
「ショゼット、よろしくね!私は美麗、それでえっと…そこにいるのが
入ってきたドアの方にいる人を指差しながら名前を教えてくれる。
当の本人は、不思議そうな顔で私の方を見てきた。ちょっと可愛いのやめてほしい。
「で、この子が
今度は、美麗さんの目の前の人を指差しで教えてくれる。
「初めまして、天萊と申します。以後、お見知り置きを」
丁寧にお辞儀までしてくれるものだから、私も慌ててお辞儀で返した。
「でその隣が
初めてカードから目を上げた白槍さんは、ちょっと私の方を見てから目を戻す。
「…ええ、そうよ。宜しく」
「う、うん…」
どうしよう、挨拶が素っ気ない…
「その小さいのが
「…ど、どこ…?」
そこ、と美麗さんが指した所には、羽を羽ばたかせながら宙に浮く小さい黄色い人が…人?
人って、あんなに小さかったんだっけ…
「ふっふーん!アタシが見える?」
「み、みえる…」
目の前までパタパタと飛んできた人?は、私の目の前で得意げに笑った。
「アタシが悠衣!」
「よ、よろしく…」
それにしても、この教室には女の子が多いな…觜霊さん、美麗さん、天萊さんはもちろんそうだし、白槍さんも女の子、悠衣さんは…ボーイッシュ、な女の子…のはず。
「あ、そうだ觜霊は男だよ」
男でした…