side:ショゼット
教室を出て、近くの校舎マップを探しに行く。
きっと柱かどこかにあるはず…きっと……
「…なくね?」
「…ないね」
20分程かけて探してみたけど、どこにもなかった。というより、迷った。
<目星>でより調べられるところがないか?<聞き耳>で騒がしいところはないか?<図書館>でマップを探せないか?
…これらの影星の提案は、尽く使えなかった。
「まーーーじでほんと意味わかんねー」
現在地は4階。私達が出発したのは3階。明らかにおかしい。
「…ど、どうする?」
「……待てよ、エレベーターあるよな?」
「うん…」
確かに私は1回乗った。Rまでボタンがあったのだから、エレベーターさえ探せれば1階に降りられる。
「んじゃ探そうぜ、迷ったら困るし一緒に行くぞ」
…………更に数十分後。
「エレベーターも見当たらねーとかマジどうなってんだよ!」
「ど、どうしよう」
今が何時かも分からない。もしかして、ずっとここから出られないとか…
「なあショゼ」
「…?」
影星は、廊下の窓を叩く。
「こっから飛び降りね?」
「あ、開くの?」
影星が窓の鍵を開けると、普通にスライドして開いた。
「降りれば1階には行けるやろ、後…」
窓の方へ私を手招く影星。何事かと思えば、私達がここに来た時に校舎の奥に見えた建物。
「あれじゃねーか?」
「そ、そうかも…」
そこまで距離は離れていなさそうだし、そうなのかもしれない。別館とかではなくて、寮なのか。
「んじゃ、私先行って安全確認してみるか?」
「大丈夫、私が行くよ…」
「足はもう大丈夫なん?」
影星には言ったつもりは無かったのに、やっぱりバレてたみたい。
「うん。…えっと、行ってきます」
私は窓から飛び降りる。
流石に4階から飛び降りたんだ。意外と高くてやっぱり怖…い…
「…あれ?」
地面の数m上、足から落ちて怪我をすると思ったら、急に体が空中で浮かび上がった。
「な、なにこれ……わっ!?」
それ以上浮かび上がらずそのまま暫く経って…急に地面に落とされた。
でも、高さが高さだったからか、痛くはない。ちょっと衝撃にびっくりした。
「ショゼ?大丈夫か?」
「う、うん…」
窓から飛び降りてきた影星は、私とは違って普通に隣に着地した。
「降りれたか…」
私が立ち上がるのを待って、寮の方へ行こうとして…
「──誰かいる」
影星が立ち止まった。
「誰だお前ら、気付かれねーとでも思ってるんか?」
後ろを振り返り、影星愛用の銃…マシンガン?を構える。私はその後ろに隠れて待っていると。
「お前のせいで危ないと思われてんじゃねぇか、どうすんだよ」
「危険人物か?それなら消すか?」
「お前それでも教師か?」
普通に昇降口から人影が2人。
話を聞くに、先生みたい。
「お前ら誰なん?」
そっと影星の後ろから覗き込む。
2人とも性別が…分からない…
が、 話し方的には男性…
「ん?ああ、俺らはこの学校で教師やってるただの魔王、よろしくな?」
「…は、魔王?」
影星はマシンガンを降ろす。とりあえず、戦闘になるのは避けられたみたい…
「ああ、魔王だ」
「…大魔王じゃなくて?」
「魔王だ」
何が違うんだろう、大魔王と魔王だと大魔王の方が偉いとか?
「名前は?」
私を後ろに庇い、警戒を解かない影星。一応、すぐに手が出せるように私も構えた。
「俺はサーガ・ファイス、社会科を担当させてもらってる」
「ナイティア・ノクト・ブラッドノヴァ。理科教師をやっている」
サーガさん、とナイティアさん…ブラッドノヴァさん?長いからナイティアさんでいいか…
「私は影星、後ろにいるのがショゼットだ。んで、お前らここで何してんの?」
強気な影星の態度を窘めるように、サーガさんは説明してくれた。
「明日で学校辞める生徒がいるんだ。それで、生徒たっての希望でパーティを開くことになった。今から会場に行く所だけど、お前らも来るか?」
ちょうど迷ってたのでとても助かります。
「んじゃ行ってもいいか?」
「いいぜ、こっちだ」
3人の後ろを申し訳なくついていく。混ざれないので控えめに。
「ところで私上から見てたんやけどさ、何でショゼ急に無重力になったん?しかも1人だけ」
「俺があいつが落ちて危ないから助けてやれって言った」
ふわふわ浮いたのは…能力なのか。なるほど。
「…あれ、教師ってお前らだけじゃねーだろ?」
「ん?そりゃそうだろ、他の奴らもういるだろうけど」
「じゃ早く行かねーとな」
校舎から見えた建物へ4人で急ぐ。
明るすぎて少し眩しい建物に近付けば、<聞き耳>が要らないくらい賑やか。
「だいぶ遅れたな…」
サーガさんがそう呟いて、扉を開ける。
1階がパーティ会場と言うのは本当らしく、沢山の人がいた。
私、この中にいられるかな。