あ、これ一応最終章…の予定、なのか?
世界調査 零
side:影星
学生じゃねーなら野宿やろ!とか思ってたんやけど、みのりがヘヴィーに掛け合ってくれたから一日泊めてくれることになった。
いやーほんといい友達だわこいつ。
あ、別に脅してねーぜ?ただ普通に「泊まるとこねーから泊まらせろ、じゃないと撃つ」って伝えただけやからな。
「さっき振りやんヘヴィー、泊めてくれるんやろ?」
3人で押しかけヘヴィー宅なのだが、広いか広くないかで言えば広い訳だし3人も4人も変わらんやろ。
「みのりが脅されたらしいからな…」
「は?脅してねーよ蹴り潰すぞ」
「それを脅しと言わずになんと言うんだ」
とは言いながらも、ちゃんと寝る場所まで用意してくれてるこいつは案外優しい。
そうだ、優しいついでにもう1つ頼み事しとくか…
待てよ、頼み事でまた思い出したわ。
「なーヘヴィー、お前に頼みてーこと1つと教えて欲しいこと1つあるんやけど」
「なんだ?ものによっては引き受けられない」
「あー大丈夫大丈夫」
ライフルとマシンガンを取り出す。私がいつも持ち歩いてる愛用のやつだ。
「こいつら2つ使って改良してくれね?」
この世界、ちょっと分かったことがあるんやけど
弾丸が効かないやつが多すぎる。
もうちょい言えば、効くんやろけど届かない奴らが多すぎる。
この世界に、弾が必要なこいつらはいらねーって事になる訳やし、それなら改良してもらった方が役に立つって話で。
ヘヴィーに半ば押し付けるような形で渡した。
「別に構わないが…ああ、なるほど。…わかった。教えて欲しい事とは?」
「あーそれはね…」
1番手先が器用な魔王教えてくれね?
「……one more time please」
やけにネイティブな発音で言われたな。しゃーねーから言ってやるか。
「1番手先が器用な魔王は?」
「私に聞く事かそれ?」
それでもやっぱり、しばらく考えてくれた挙句に出した結論は、少なくとも私が思い描いた相手じゃなかった事は確かな訳で。
「…雨飾?」
「マジ?」
正直言えば紅葉やと思ってたんやけどな…
「ああ、そうだが…」
「OK私今から雨飾んとこ行ってくるわ」
私はバッグに入れていたスペアの靴と新品のナイフ2本を取り出す。
他の荷物は…邪魔やし別にいっか。
「後で帰るから先寝といてくれ、時間かかるかもやし」
たまたま窓が空いてたからそこから外に出る。
学園への道は、1回みのりと行ったから分かってるんよなあ。
暗い道を走って、学園まで急いで向かう。
…が。
「っ…!?」
目の前を、何かが横切る。
そして、それは私を見つけるなり、動きを止めてこっちを見た。
木が動いた?確かにこの近くは森が…
…いや、ちげーな…
目の前に現れたのは、ロープのような触手がより合わさった、巨大な樹木のような姿。
蹄のついた太い四本の脚を持ち、獲物を捕らえる無数の小枝のように生えた触手。樹木の幹に当たる部分には巨大な口を持つその生物。
──黒い子山羊──
この近くにシュブ=ニグラスがいるとでも?
はは、上等じゃねーか。
折角強化されたんだ。試してみたかったしちょうどいいな。
さ、て、と。
始めますか。
「少しは楽しませてくれるやろ?」
──神格も屠れる存在、なんて願ったり叶ったりだな。