side:影星
暫く無言で着いていくと、寮とは離れた場所についた。
紫色で飾られた豪奢な建物。城にしか見えないんやけど、こんな広い家に住んでるんか…
「僕の家だから入っていいよ。1番手前の部屋で」
門を潜り、入口から1番近い左側の部屋の扉を開ける。
机と椅子しかねー質素な部屋。
「ここでいいんか?」
「そこでいいかな」
椅子に座る。殺風景がすぎるこの部屋で、暫く私も雨飾も何も言わなかった。
聞いていい事なのか?本当に?
「何か話したい事があるんでしょ?」
考えるのはらしくない、と思う。
いつも巻き込まれた時は、情報は集められるものは集めたし、その為には他の誰かがどうなろうが知った事じゃねーのに。
どうして、今は上手く言葉が出てこないんだ?
「…はあ。仕方ないから言ってあげるよ。時間の無駄だし」
窓の外を見ながら、雨飾は頬杖をつく。
「…僕らが感情を持たない理由は色々あるんだよ。まあ、殆どが紅葉の教育方針なんだけど」
ぼんやりと視線が宙を浮く。
その瞳が、僅か一瞬だけ虚ろになった。
「僕は紅葉に拾われる前からそうだった。魔王になってからも変わらない。それだけの話」
他のみんなは分からないけど。
そうやって話す雨飾は、本当に無機質だった。
喋る人形だと言われても疑わない。
表情も感情も抜け落ちた、ただの抜け殻。
体に命が宿っただけの何か。
「…紅葉のせいで悪化したんか?それと…お前が感情を失う事になったきっかけは?」
言葉を噛み砕いて、飲み込んで。
そうして、その問を吐き出す。
「1つ目。違うとは言い切れない。感情を無くしたのは僕だけど、感情を取り戻す機会を失くしたのは紅葉。2つ目。それは単純に、僕の昔の育ち方。僕は悪魔だからね。色々あったんだよ」
答えを聞いた私の心は、どんな言葉を弾き出せばいいのか分からなかった。
分かった事は主に2つ。
紅葉が絶対悪である事。
そして、雨飾の人生を狂わせたのは周りの悪魔という事。
これらを知ったからと言って、だから私がどう、とはならないはず。だった。
…しかし、迷走した末に導いた1つの結論は。
「なら、私がその悪魔共全員殺してきてやろーか?」
「いいよ、そんなことしなくて」
「んーじゃあこう言うか。私がやりたいんよ、強化の為に」
そいつらを全員殺して、その命で自分を強化、そして
どっちも出来ないのなら、どっちも選べばいい。
「まあ、それなら別にいいけど」
「OKさんきゅ、話したかったのはそれだけやし、もう夜遅いから帰るわ」
椅子から立ち上がる。次のプランは決まっていた。
寝る前に残りのコストで出来る所まで強化してから行くとするか。
モジュールもとっくに出来上がってるやろし、それでもっと上乗せられれば、自分で言うのもなんだが私の
「んじゃまたな、あ1人で帰れるから気にしなくていいぜ」
城から飛び出す。
まずは悪魔がいる所への行き方からか。
何が必要になるかはわからんけど、次に得るべき呪文は決まったな。
脳内ですべき事をまとめながら、ショゼ達のいる家へと走った。