異世界探索記   作:紅色の落ち葉

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今回は新能力開花…なのか?多分そうだね


世界調査 ─新たな能力 後─

 side:影星

 

 1番奥の部屋に辿り着くまでに、眩みが治る事はなかった。かといって悪化したわけでもねーし、ほんとちょっと歪んでるってだけ。

 

 奥の部屋は扉が閉まってるわ鍵かかってるわでここだけ頑丈になってんな。めんどくせーから蹴り破って入ってやろうと思いっきり足を振り上げた瞬間。

 視界がぐらりと傾く。

 

「なん、だ…」

 

 どうなってんだ…動いたら急に悪化しやがった…あの針、もしかして毒針か?こんな状況で囲まれたら勝てる気がしねーぞおい…でも戻っても扉閉まってるんよな…入口よりこっちの扉の方が脆そうやし、多少無理してでもこっち壊して中にいるやつ殺す方がいいな。

 

「はぁ…っ、この野郎…!」

 

 気合で堪えて扉を足で破壊する。正直に言えばかなりやばい。まともに戦えんのか不安なレベルだ。間違いなく、過去最大でヤバい状況になってる。

 

 扉を破壊した先は、玉座が1つ置いてあるだけだった。

 その椅子に1人が座っていて、その横にもう1人が控えてる。2人か。そんくらいならまあまあ…いけるやろ。

 

「侵入者…確認。速やかな抹殺を推奨します」

「ああ、そうだね。殺さなければ」

 

 玉座から立ち上がり、近付いてくる。普段なら構えなくてもいい位の心の余裕はあるのに、今はそれがない。

 不思議な事だが、動かずにいれば少しずつ症状は引いていく。ここは少しでも落ち着ける為に、敢えて会話をして時間を稼ぐ事にした。

 

「お前がここの親玉か?悪いけどお前らの部下全員ぶっ殺してきたから」

「勿論知っているよ。そうでなければ、ここには来られないのだし」

 

 歩みを止めず、私のすぐ眼前まで来て目を合わせる。

 私も負けじと見詰め返す。もう狙いはバレてんだろ、だったらこのまま無理やり戦いに持ち込むしか…

 

「ところで君、僕ばかり気にしているみたいだけれどいいのかい?」

「は?それってどういう──」

 

 背後からの殺気。

 咄嗟にそっちの方を向いたが、手に2本目の針が刺さる。

 こいつが毒針を渡したやつか?ってことは…こいつは毒を扱う能力系か…

 針を抜いて適当に捨てる。指先が少し痺れてる様な…麻痺毒、か?しかも即効性やな…

 

「やられたな…マジか」

「入ってきたのは君なのだし、僕達が遠慮してあげる理由はどこにもない。…まあ、そうでなくても遠慮をするつもりも無いけれど」

 

 少し落ち着いたしこれなら普通に戦えるな。多分悪化するんやろけど、それは仕方ないとして…まずは毒使いの奴殺してこれ以上デバフ嵩まない様にして…その後こっちか。

 

「当たり前やろ。私だってそんなつもりねーよ」

 

 こっからは感覚で当てる事になる。一撃当てれば殺せる自信はあるんやし、後はどう当てるか。

 気配だ。

 

「お前ら全員殺して私の糧にする。だからさっさと死んだ方が楽だぜ」

 

 感覚頼り。それでも勝てる気がするのは、私が信じてるのは私の実力だけだから。

 ということで、まずは毒使いのやつを目で追ってある程度の気配を感じ取り、飛び上がってキック。

 視界が歪んで気持ち悪い、がそんな事言ってる場合でもなく。

 着地と同時にバズーカを構える。躱される事は想定内。寧ろ、そっちを狙った。だから<マーシャルアーツ>も載せなかった。

 躱された瞬間を狙ってバズーカの引き金を引く。

 生死不明。しかしおそらく死亡。生きてたなら後でまた殺せばいい。

 残り1人、1人分の気配を追うのは簡単な話。

 痺れと歪みは益々酷くなる。でもあと少し、こいつさえ殺せば…

 

 気配を追って踏み込んで殴る。

 当たった、はずだ。

 

 私の感覚が正しければ。

 

「少し狙いがブレているよ」

「は!?」

 

 気配も追えていた。当たる距離にいた事も分かっている。視界は歪んでいたから正確じゃねーけど、それでも…

 

 …まさか、感覚を狂わされてるとでも?

 でももしそれが本当だったら…今の状態、当てられるのはバズーカの乱射だけ。それもかなりの魔力を消費する。当たったと思っても当たってなかったら…

 

「くっそ…めんどくせー能力持ってやがる…」

「気が付いた様だね。今の君に勝てる要素はどこにもない。諦めてしまえば?」

「は?笑わせんな、諦めるわけねーだろ!」

 

 近付く気配に、感覚で離れる。

 しかし、この感覚を頼りに動く事も長くは出来ない。気配の感覚さえ狂わされてる事に気付いたのは、流石に当たると思ったキックが空振った事。

 確かにすぐそばにいたはずなのに、視界で捉えたそいつの姿は随分遠くにいた。

 

「ふふ…倒せる?無理だろう」

「舐めてんじゃ…」

 

 踏み込んだ瞬間、足元がふらついて倒れる。立ち上がるべきなのに、視界が歪んで、全身が痺れて、体が上手く動かない。気配を探る事も出来ず、聴覚で足音が近付いてくる事を感じる事しか出来ない。

 

 まずい…殺される…

 

「少しはやると思ったけれど、まだまだだったね」

 

 足音が止まる。僅かに銃を抜く音が聞こえた。

 ああ、死ぬってこういう事か。案外短い人生だったな。ショゼとみのり、大丈夫だといいけど…あんだけ心配してくれてたのに、生きて帰れないとは情けねーな…はは…

 

「それじゃあ…

 

 さようなら」

 

 私は覚悟して、目を瞑った。

 

 

 ─────

 

 

「結界…!?」

 

 思わず目を開ける。私の目の前には、貼った覚えのない半透明の壁…結界が貼ってある。つーかこの結界、さっきの奴の…

 思えば、不自然に加速した事があった。単純に身体増強の効果かと思ったけど…あれはもしかしてあの最初に殺した高速移動の能力か?

 …って事は…

 

「はー…殺した奴の能力を奪って使えるみてーだわ」

 

 いつ得たのかは知らねーけど、使えるんやし使うに決まっとるやん。

 

「殺した奴の能力を奪って使う…?」

「そそ。名前は…

 

 

 【天誅の殺生】とでも言っとくわ」

 

 毒使いが時間経過で死んだのか、そいつの能力を奪ったらしい。さっきまで私を苦しませていた毒の症状が、薄らいでいくのを感じた。

 毒使いに毒は効かない。だから、あいつにかけられた毒は自然と打ち消される。

 視界の歪みも痺れも、まだ残ってはいる。けど、正直いう程のもんでもないし、動ける。どーせすぐにこの毒も解毒される。勝ちは貰ったも同然やな。

 

「君が勝ったと決まった訳ではない。分かるだろ」

「いやいや、私的には当てられれば勝ちなんやし…」

 

 相手に向かって踏み出し、自分の意思で加速能力を使った。

 身体増強+加速能力。距離を詰めて、でも、まだ。

 感覚を狂わされても確実に仕留められる部屋の端まで追い込む。

 

「君、ただの人間じゃないんだろう…一体…一体、何者だ?」

 

 目で、耳で、気配で、感覚で、そいつがどこにいるかを捉えて。

 

「何者?あーお前になら教えてやるよ、どーせ死ぬんやしな」

 

 壁際まで追い込み、上に飛び上がった。

 

「私は神話殺し(キラー)、ただの人間だぜ」

 

 視覚を狂わされている事も考慮して、少し奥めに蹴りを入れたけど、結果としてそれがピンポイントで脳天ぶち抜く事になって、足裏にぐちゃぐちゃした感触が伝わる。

 これで完全制圧か。さて…どこで扉開けられるん?

 とりあえず探索で<目星>をしてみる。

 

 あった。椅子の下にレバーだ。今は『close』の方に倒れてっから…『open』の方にレバーを倒す。

 <聞き耳>で確認すると、扉の方から機械が動いた音が少しだけした。

 これで出られるんか、でも一応今レベル上げときてーしな…悪魔がどれくらいの強さかも分からんし…

 魔力には余裕あるしとりま本召喚っと。

 

=====目次=====

HP増強

MP増強

身体増強

呪文

コスト

=============

 

 で、増強…の前にコスト見てみっかな。あーあとモジュールも確認しねーと…結局使わんかったけど。

 

=====コスト=====

コストとは、殺した人数の事を指し示します。

増強にはコストが必須であり、Lvを上げる度に必要コストは2倍求められます。

増強倍率はLvを1上げる度に二乗になります。

コストが余っている場合、一度に可能なレベルまで増強する事が出来ます。

特殊な力や能力を所有した相手を殺した場合、コストは2倍になります。

=============

 

 …いや説明付け足すなて!!先に書けや…あーでもこれあれか、今まで能力者殺してなかったからこの文が追加されてなかったのか…本の性質考えれば納得やな…

 なら今のコストはいくつだ?

 

=====コスト=====

残りコスト:25

増強可能

・HP増強

・MP増強

・身体増強

解放可能呪文

・悪魔退散

・悪魔の暴露

・悪夢

・暗黒の呪い

・萎縮

・イブン=グハジの粉

・癒し

・鋭敏な2人

・延長

・黄金の蜂蜜酒の製法

・記憶を曇らせる

・空中浮遊

・魚の招来

・精神交換

・ゾンビの創造

・無欠の投擲

・門の観察

・門の創造

・夢の映像

=============

 

 なんか呪文増えてね?もう突っ込まねーけど。

 獲得したいのは〈門の創造〉、それから…〈萎縮〉。ほんとは〈自己保護の創造〉と〈心肺停止〉も欲しかったとこやけど…ないものねだりは無意味、先に呪文とって残りを増強に回すか。

 

==========

門の創造(CREATE GATE)

この呪文は使う者別の場所、別の次元、別の世界へ行かせてくれる重要な呪文である。

1つの「門」は、別のところにある1つの場所にだけ通じている。門を創造するためにはマジック・ポイントを消費しなければならない。

門の向こう側の端は、こちら側の端と同じような形態になっている。普通の場合には、どんな者(物)でも門を通ることが出来るが、中には門の入口を活性化させるために、何かの言葉あるいは身ぶりなどが必要なように作られている門もある。また、門はそこを通る者を向こう側の異世界で生き残れるような形に変える力があることでも知られている。1つ以上の目的地へと通じている門もあるかもしれない。

 

獲得コスト 9

==========

 

 9?めちゃくちゃ持ってかれんな…ま、便利やし取っとけばいっか。

 という事で獲得。

 残り16で取れるといいんやけど…

 

==========

萎縮(SHRIVFLLING)

パワフルな攻撃の呪文である。この呪いをかけるためには好きなだけのマジック・ポイントをコストにしなければならない。呪文に投入したマジック・ポイントにつき、対象の耐久力が失われるのである。

 

獲得コスト 3

==========

 

 これ、ラウンドのやつも無くなるんか。へー便利やん、ラッキー。これもとっとこ。

 

 

 という事で、とりあえず残りコストと獲得呪文の一覧を見に行く。

 

=====コスト=====

残りコスト:13

増強可能

・HP増強

・MP増強

・身体増強

解放可能呪文

・悪魔退散

・悪魔の暴露

・悪夢

・暗黒の呪い

・イブン=グハジの粉

・癒し

・鋭敏な2人

・延長

・黄金の蜂蜜酒の製法

・記憶を曇らせる

・空中浮遊

・魚の招来

・精神交換

・ゾンビの創造

・無欠の投擲

・門の観察

・夢の映像

=============

 

 残りコスト13…ある程度強化いけるやん。呪文はー…

 

=====呪文=====

・肉体の保護

・門の創造

・萎縮

=============

 

 ちゃんと取れてんな。んじゃ最後にやれるだけ強化するか。まずは…全部強化してからやな。

 

=====HP増強=====

Lv2

強化後 Lv2→Lv3

コスト:2

===============

 

 とりま1段階強化でいいか。

 

=====HP増強=====

Lv3

強化後 Lv3→Lv4

コスト:4

===============

 

 次はMP…つかコスト少しづつやっぱかかってくるよな…

 

=====MP増強=====

Lv2

強化後 Lv2→Lv3

コスト:2

===============

 

 …この本、私が人殺すように仕向けてねーか?流石に気のせいか?

 

=====MP増強=====

Lv3

強化後 Lv3→Lv4

コスト:4

===============

 

 残りコスト9…1回は身体増強に回せるな。HP増強かMP増強…どっちか1回強化できんな…

 

=====身体増強=====

Lv3

強化後 Lv3→Lv4

コスト:4

===============

 

 どーすっかな…あと1回強化するか…もしくは温存のどっちかやな。どっちが最善か…

 

=====身体増強=====

Lv4

強化後 Lv4→Lv5

コスト:8

===============

 

 …1回魔界に行ってみて、それからでも強化は多分遅くないやろ。それで行くか…

 んで後モジュール…は、どうなってるん?

 

 バッグを開く。ひっくり返すと、中からガチャのカプセル…ではなく、iPadみたいな板と9枚のカセットのようなものが落ちてきた。これか、モジュールに嵌めるやつ。

 あーとは…これを嵌めてかざせばその効果が得られるってことな。

 何にすっかな…

 移動速度上昇、跳躍力上昇、防御力上昇、体力上昇、攻撃力上昇、無呼吸可能時間倍加、暗視効果付与、飛行能力付与、体力自動回復付与の9つ。もう移動速度はよっぽどのことがない限りいらねーな…攻撃力上昇と飛行能力付与、とりあえずこの2つは嵌めとくか。

 そういやこれ、自分を翳さなきゃならねーのか。自撮りか?

 iPadもどきを自分に向ける。特に意味は無いんやろけどピースしといた。

 とりあえず翳したからチップを2つ嵌め込む。

 残り1枠は…自動回復でも適当に入れとけばいっか。

 

 モジュールの方も終わったし、嵌めたやつと使わなかったチップをバッグに戻す。本は今は使わねーからとりま消しといた。バズーカも縮小化で小さくしてからバッグを持って立ち上がる。

 毒の効果はとっくに打ち消されて、というか強化されてむしろ快適になったな。

 入口まで徒歩で戻る。

 

 そこでは、みのりが血を吐いて座り込んでいた。

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