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影星は、目の前の女をじっくりと観察する。品定めする様な視線に、心地悪く感じたのか、彼女は改めてロケットランチャーを構え直した。
「…お前ってさあ、身体能力ある方?」
「…無いとは言わないかもしれないけど」
「へー、それは楽しみだな」
それは、一瞬。
手に持つ銃器と、肉体が交差する。
「ふーん、とりあえずこの程度にはついてこれるらしいな。ま、当然っちゃ当然か。この程度で殺られてたら相手にならねーもんな」
「さすがに甘く見られすぎじゃない?君より弱いとは思わないよ」
振り下げた足を、ロケットランチャーで受け止めたのだ。
接触した瞬間の爆風が2人を包む。辺りに塵が舞い、視界が曇る。
不意に、足下の塊の感覚が消える。
「チッ…見えねーなこん中じゃ」
塵の向こうから聞こえた発砲音。極限まで下げられたその音を、けれど影星は聞き逃さなかった。
元の世界で基盤とされていた技能の1つ、<聞き耳>により鮮明に聞こえていたからだ。
その場で跳び上がる<跳躍回避>。影星の得意技能…とは言い難いものの、確かに専門技能であり、1度も失敗したことはない。
今回も例に漏れず成功し、弾は地面で弾け飛んだ。
そのままの流れで、遥か上空から蹴り潰そうと頭部を狙う。
ターゲットが、1歩分離れた。
狙いを外したキックは、地面に巨大なクレーターを残す。新たに生まれた衝撃波で、塵が払われた。
「あーあ、狙ったつもりだったんだけどなあ」
「なかなかやるみてーだな、お前」
クレーターから足を引き抜き、右手に持つそれに目を向ける。
さっきまで持っていたものとは明らかに違う銃器。
「ふーん…お前殴り合い苦手なんだな」
「まあね。僕そんなに力ないし」
「あくまであるのは回避能力か…なら銃さえ落とせば戦えねーよなぁ?」
即座に近付き、反撃の暇すら与えず押し倒す。
「このままお前の首締めてやれば死ぬんじゃね?」
蹴られないよう足までしっかり押さえつけ、細い首に手をかける。
そして、気管を指で圧迫し、新たな空気を少しも入れないように締め上げる。
しばらく塞いでいると、やがて震える手から銃が落ちる。それに、ニヤリと笑って手を離す。
途端に入る空気に咳き込み、涙を滲ませる相手に銃を拾って突きつける。
「キックの方がいい武器なんだよなー…さて、私に喧嘩売ったお前の自業自得ってことで…」
─大人しく死んどけ。
その言葉は、言葉にはならなかった。
此方に向かってくる足音。
スニーカーなどでは絶対に鳴らない靴音。
この独特な音は─下駄だ。
「─こんなところで何してるんだい?『探索者』」
今更ながら<>はクトゥルフの技能(ショゼットと影星がいた世界で使える力?のようなもの)を基本的には表記。
ただし<跳躍回避>は本来は技能には無い。