異世界探索記   作:紅色の落ち葉

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影星は魔界研究所の一員になりました(多分)
あとみのりがまた出てきてるけどどうしても必須なんだこいつの存在()


魔界調査 ─魔界研究所─

 side:影星

 

 誰が話しかけてきたのかと思ってそっちを見る。オッドアイの紫髪半仮面女男だった。さっきまでいたか?いなかったな。私が戦ってる所見られてたか…流石に戦えねーぞ今の私…

 

「こんな所に1人で何しに来たんだよ」

「私の台詞やな、お前私の事見てたんやろ?」

 

 半仮面女男は頷く。そして、後ろを振り返ると急にデカい声で私も知ってる奴らの名前を呼んだ。

 

「おいヘヴィー!みのり!誰かいる!」

「は、みのり!?」

 

 あいつもここに来てるのか?でも何で?あいつもまさか悪魔共殺しに来たとかじゃ…ないんやろな、多分…そういや「仕事ある」とか言ってたけどこれの事か?

 

「誰かってだ…れ…って影星!?」

「何故貴様がここにいる?」

「何お前ら知り合いか?」

 

 ビビり倒したみのりと、冷静に私に聞くヘヴィーと、困惑してる半仮面女男。この空間混沌としすぎだろ。なんか悪いことしたか私?

 

「ちょい待ち、先にお前の名前教えろ」

「ヴァリネッタ・クロスディール。お前は?後ヘヴィー達との関係も言え」

「チッ…」

 

 ちょっと、いやかなりイラッとする。何だこの上から目線なやつ。1発いっとくか?むしろ蹴らせろ。

 …普段なら即実行やけど、残念ながら今の私は会話をまともにするので精一杯。しゃーねーから今回は見逃してやるけど、全快したら覚えとけよゴミが。

 

「影星、ヘヴィーとみのりとは知り合いだぜ」

「だから別に怪しくない。敵では無いから安心しろ」

「敵だとは思ってねえよ」

 

 元々疑ってはなかったんか、まーでも疑ってたらそんな簡単に名前言わねーか。ヘヴィー達の知り合いって聞いて警戒解いたっぽいし、今のカバーで信用してくれたみてーやな。

 

「それで、まだ私の質問に答えてもらっていないのだが」

「あーそれは…」

 

 これまでの事…例えば、どうやってここに来たのかとか、ここで悪魔を殺しに来た事とか、全滅させたこととか、まあそういうどうでもいいことやな。

 

「なるほど…魔力切れか」

 

 ヘヴィーは何かを取り出す。少し水色に光ったそれを私に手渡してくる。ひんやりしていて硬い。琥珀糖っぽいな…なんだこれ?

 

「食べれば魔力が回復する。戻れるはずだ」

「マジ?」

 

 琥珀糖っぽい何かを少し齧って、すぐに吐き出した。

 硬いし味が不味いし舌触り最悪だしこれどう考えても食えたもんじゃねーぞ…鉱石食わされた方がマシだと思うわ…

 

「無理私には食えねーから他の方法で頼む」

「他…他か…」

 

 ヘヴィーは少し考えた後、私達にこっちに来るように手で誘導する。それだけで分かるわけねーだろ説明しろと意味を込めた視線を向ける。が、他2人は分かっているようで、文句も言わずに着いていく。言ってもしゃーねーから、私も特に何も言わずに後を追うことにした。

 

 目的地に向かう中で聞いた話では、この魔界は魔界生まれ以外の奴らの魔力を吸ってるらしい。だから、魔界は魔力が濃くて多いんだとか。で、その副産物として魔力が大量に含まれた琥珀糖紛いの石…『魔石』がそこらじゅうにあるから、魔力が切れたらそれで継ぎ足すとの事。

 みのりは能力の性質的に魔力を持たないらしく、この魔界での影響を受けないからヘヴィーも助かっているらしい。能力の仕組みを聞いたところによれば、

 

「転生した時に性別変わる代わりに能力を貰ったんだよ。デメリットがデメリットだからそもそも魔力って概念がないんだろ、それに俺割と変わった形でここに来た自覚はあるしな」

 

 って言ってた。その能力ってのが【神様のいたずら】で、身体能力強化とか、持続回復とかそういうのなんだろ。

 

─────

 

「ここだな」

 

 30分程度歩いた所にあった建物。ここに来るまでには見かけなかったけど、割とでかいな。ヘヴィーがここに来るって事は、なんかしらの用があるのか…パッと見誰かの家とかでもなさそうなんよな。割と頑丈そうで…まるで研究所みたいな…

 

「入ってくれ。影星、催眠魔法を食らっただろう。私の第2の居住地、『魔界研究所』だ。この中に入れば魔力は吸われない。安心しろ」

 

 鉄製の扉を開き、私に声をかけながら中に入っていく。着いて来いって言ったのはあいつやし、入れって言われてんやし土足で入る。

 玄関の近くには謎のタンク、がホースに…多分外に繋がってる。後は普通の研究所らしく机やら椅子やらモニターやら…なんか腕転がってね?しかも機械の…か?何やってんだこいつ。

 

「汚いが気にしないでくれ。早速だが、魔力の供給を行うぞ」

 

 タンクの前に連れていかれると、細いチューブを渡される。ここから魔力供給しろってことなんやろけど、どっから摂ればいいんだ…?

 

「普通に咥えたら良い奴なんか?」

「どちらかと言えば吸う、だな。吸引器の様な感じで頼む」

 

 そう言って、タンクの横にしゃがみ込んだ。

 少し時間かかるのかと思った私は何となく外をぼんやり眺めてたけど、いつまで経っても動く気配は無い。

 

「どうしたヘヴィー、何か問題でもあったか?」

 

 見兼ねたヴァリネッタが、ヘヴィーに声をかける。その声に、溜息混じりで答えたヘヴィー。

 

「作動しない。どこかしらで異常が起きているようだ。外を確認してくるから、みのりと影星はここにいてくれ。ヴァリネッタ、行くぞ」

「はーマジかよ…ま、いいけど」

 

 厄介だと言いたげにツインテールを掻き回し、ヴァリネッタを連れて外に出ていった。この研究所で待ってろと言われても、私の魔力はもうないし、みのりはそもそも魔力がない。外に出ても問題ねーのに、何で私らも連れてかなかったんだか。それともあれか、研究所の護衛でも任されたんか?

 

 その時、服の中にしまっていたスマホからバイブレーションが鳴る。取り出してみると、それはショゼットからの電話だった。何か言われるかもしれねーし言われないかもしれねーな。とか、そんなしょーもないことを考えながら電話に出た。

 

「どしたんショゼ、私なら平気だぜ」

『う、うん良かった…あのね、大変なんだ』

「大変?何が?」

 

 焦りに焦ったショゼの声に、私は嫌な予感に苛まれた。けど私は帰れねーし、そもそも催眠魔法にかけられてるから戦闘面で役立つかってのも怪しいな…時間経ってるからか大分影響は弱まってきてるけど。まあ、あの悪魔の頭領ぶっ殺して能力得たから耐性が出来た、とかそういう面も当然あるだろ。

 それにまあ、言ってもそんな大事じゃねーだろ、ショゼットは少し怖がりやからな。

 

『あの、えっと…学園に…

 

 大量のショゴスが…』

「はあ!?紅葉はどこ行ったんだよ!?」

 

 希望的観測とは真逆の状態に思わず声を荒らげる。みのりも違和感に気付いたのか、そっと私に近づいて会話を盗聴し始めた。

 

『紅葉さん達、調べに行きたいことがあるって…それで今、私の他には觜霊さんと夜鴉さんと天萊さんしか残ってなくて…』

「半分以上が出払ってんのかよ無能やなあいつら…」

 

 帰れるもんなら帰りたい。けど、帰れない。魔力が溜まりさえすれば、すぐにでも門の創造で戻るのに…

 

『どうしよう影星…!』

 

 …いや待てよ、これむしろチャンスじゃね?上手く行けばさっきの悪魔共とショゴス分で強化結構行けんじゃね?ショゼはショゴス如きに負ける程雑魚でもねーし、気絶で留めろと言われればきっとそうしてくれる。世界補正で有利な立場に立ってんのはショゼだ。負ける訳ねーな、大丈夫だ。

 

「ショゼ、そいつらに言ってくれ。気絶で済ませろ、残りは私が殺すって」

『わ、わか───』

 

 電話が切れた。出来ることなら繋ぎっぱなしにしたかったけど、かけようとしてもかからない。充電が切れたか、もしくは電波状況が著しく悪くなったか。

 伝えたい事は伝えたけど、ショゼの無事が確認出来ないのが痛いな。でもこんなとこで私が考えたって、戻れないもんは戻れないんやけど。

 

「…ショゼットの方、大変な事になってるみたいだな」

 

 会話を勝手に聞いてたみのりが、私から離れてそう言う。なんだかんだこいつ優しいよな。

 

「…せやな」

 

 

 その時。

 建物が、僅かに揺れた。

 

「何だ…?」

 

 気のせいか?自分が揺れたか?外に何かいるのか?とりあえず気になるから窓から確認してみる。みのりも私の後ろから窓の外を見て、そして息を飲んだ。

 

 そこには、悪魔の姿に似た黒い闇の存在が、数多く蠢いていた。




戦闘シーンが多いかもしれないけど次の話は守護者2人だから影星達は出てこないし戦闘にすら持ち込まない(多分漫才やってる)
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