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ショゼットが起床してから間もなく、紅葉は大魔王を何人か集めた。
理由は1つ。朱杏との会話で、玄戈が裏世界を探っていないと明言した事。あの朱杏の事だ。どうせ、あの後もやっていないに決まっている。であれば、自ら出向けばいい話。
…なのだが。
裏世界へ続くホールを開いていない。故に、存在のある物体は行けないのだ。
だから、表世界から何かないかを調査する。その為だった。
そして、その為に連れてきたメンバーは魔力、妖力、霊力等力に敏感な悠依、地理に精通している白槍、非常に魔力に精通している雨飾、そしていざという時に強力な戦力となる羅刹と美麗。学園には司令塔を置き、不在の場合の司令権を一任した。
─────
「…で、何かある?」
魔力の流れが滞っていると悠依に言われた場所は、世界の端の方だった。
広い崖に、木が彼方此方に生えている。それだけの場所。
1歩踏み外せば、奈落行き。
「うーん…魔力が流れてない!でも理由はわかんない!」
「ここだけじゃない、あと3箇所で感じる」
悠依と雨飾が言うも、理由は2人にも分からない様だ。
魔力が流れていないということは、ホースの水と同じようにどこかで堰き止められているという事になる。しかし、ここに来るまでに怪しいものは1つもなかった。
「…ん、あれ何だろう?」
周囲を見回していた羅刹は、紅葉の服の袖を引っ張り、刀の先で『あれ』を指した。
「…魔法陣?」
そこにあったのは、どこにでもあるような魔法陣だった。但し、木の影に隠れるような位置にあり、よく見なければ気が付かない。明らかに、意図的に隠されたものだった。
だが見たところ、結界などが貼られている様子もない。
「美麗、あの魔法陣壊せる?」
「えー、やってみる」
美麗は魔法陣に近付くと、右腕には力を篭め、
存在している以上、それはある。だが──
「…壊れない」
魔法陣はその場で何事も無かったように有った。
「なら
「うん、私も気になるから聞く」
美麗は、神に憑かれている。
その神こそ、五柱の一柱にして、世界の創造神。何故かは知らないが、いつの間にか菊花は彼女の元にいて、
暫くして、そんな神から聞いた情報を美麗は話した。
「菊花が言うには裏世界がやった事だって。後邪王も裏世界に加担してるって言ってる」
それを聞いて、紅葉は目を閉じる。
考えていた内、最も最悪な状況へ陥ってしまったらしい、とは流石に言えず。代わりに、雨飾を突っついて魔法陣へ誘導する。
「壊せるか試してみてくれない?」
「半妖王が無理なら無理だと思うけど」
「んだてめぇその顔」
「別に?そんなに見ないでよ気持ち悪い」
「あ?この下に突き落としてやってもいいけどどうするよ」
美麗の方を向き、わざとらしく面倒臭そうな表情を浮かべる。「何で壊せなかったの?」と言いたげな顔に、一瞬で殺意が沸騰した美麗─美麗と雨飾は学園外でもとても有名な不仲だ─は思わず雨飾の顔を睨みつける。その視線に気付いた雨飾は、長いパーカーの袖で顔を隠しながら言う。その言葉に、普段の性格を投げ捨てて圧力をかけるまでがテンプレート。
雨飾が美麗を「半妖王」と呼ぶ事は珍しくない。否、いつもの事だ。お互い名前で呼びたがらないし、呼ばれようものならあまりの気色悪さに顔を顰めてしまう程には、互いの事を嫌いあっている。
話を戻して。
雨飾は、武器であるロケットランチャーを魔法陣に撃ち込む。
地面が抉れ、木は消し飛ぶ。普通の魔法陣であれば、破損している火力。
普通であれば。
「ダメだね、壊れないや」
雨飾はロケットランチャーを下ろす。
煙が晴れた先には、無傷の魔法陣。
「ならボクが──」
二人で駄目ならば、自分がやるしか無いと決めた時、紅葉に語り掛ける声。
「あー、取り込み中悪ぃんだけど」
少しも悪いとは思っていない声色で話しかけるのは、同じく五柱の内の一柱、朱杏。
「封印してた奴が学園に流れ出しちまったから戻ってくれ、その代わりもう帰れる用意はしてある。後はー…ピンク髪の方に声掛けといてくれ、魔力欲しい」
その言葉を聞き流すと、紅葉は皆の方を向いた。
「今すぐ帰れ、ってさ。学園に戻るよ、着いてきて」
言うが早いが、紅葉は学園に向かって飛ぶ。他の皆を待たずして、向かった先の学園には、ショゴスが大量にいたのだが。
元から弱いショゴスが弱体化した今、紅葉の敵にもならない。
飛来した衝撃でショゴスは消滅し、学園の校庭でそれらと戦っていたショゼット達も巻き込まれた。
然し、紅葉にとってはそんな事はどうでもいい事。
地面に転がっているショゼットの前に移動し、声をかける。
「何かあったみたいだけれど、大丈夫?」
すると、顔が此方側を向く。続いて、朱杏に言われた事を伝えようとして──
「…」
背後を向き、少し上の方へ左手を翳す。
刹那、門の創造で上空に現れた影星は、紅葉目掛けて<跳躍>を重ねた<マーシャルキック>を叩き込もうとする。
それを、左手の小指1本で止めた。
「ッチ…」
不服そうな影星に視線を向けたまま、紅葉はショゼットへ告げる。
「観測者がキミに用事だ。…ボクは伝えたよ」
その言葉と殆ど同時、ショゼットがその場から消えた。
「な!ショゼ!」
「ただの転移だ。気にしなくていい。他のみんなも戻っておいて。ボクは…」
影星を弾き飛ばし、冷ややかに見据える。
「少し、影星と話す事にするよ」
初めと比べてだいぶ特殊読み増えたなあ