因みに最後は紅葉sideになります
side:ショゼット
急に校庭から虚無の世界に送り込まれちゃった。周りに何も無い…ここ…どこ…?誰も何も無い…
「お、来たか」
「ぇ」
だ、だれ…!?誰もいないのに声が…何処から聞こえるんだろう…!?ラ、ライフル…ライフル構えないと…!
「あーそんな警戒する事ないってちょいちょい、まあ座ってくれ」
急に私の目の前に椅子とテーブルが出現する。テーブルの上にはチョコケーキ。普通に美味しそう。
「それ食いながらでいいから魔力ちょっとくれね?そうすると次お前らの世界のやつをここに呼ぶのがめちゃくちゃ簡単になるしお前らと同じ世界のやつが来た時すぐ分かるからさ。あちゃんと座って食えよ」
「う、うん…いただきます」
早口でよく分からない事を言われたから、聞き取れなかったけど、最後だけは聞こえたから、有難く椅子に座ってケーキを頂く。
普通のチョコケーキで普通に美味しい。実は私、チョコケーキが一番好き。…他のものも好きだけど。
「とりまお前の魔力貰って外界ゲート開けたからもう帰れるぜ、おつかれおつかれ、大変だったな」
「う、うん」
やけに早口だけど、何とか聞き取れないこともなかった。帰れるという言葉を聞いて、私は安心する。悪い世界ではなかったんだけど…何だか、いつもとは違って…違和感、があった…かな。
そう言えば、この人の名前は?
「…あの、名前は?」
「名前ー?」
その人はふっ、と笑って…声だけから笑ったとは言えないのかな…?かっこつけてるようにしか聞こえなかった……
「紅葉からは朱杏って呼ばれてる。観測者、全てを喰らう者。まあ好きに呼んでくれ」
…?全く、分からない。
「ほら、帰宅の時間だぜ」
突然、目の前が真っ白に霞む。思わず握っていたフォークを落とした。にも関わらず、落ちた音が一切しない。
そして…
気付いた時は、校庭に立っていた。
「もう帰れるんだろ、さっさと帰りなよ」
声のした方を振り向くと、影星を後ろに従えた?紅葉さんがいた。
「結局出かけらんなかったな」
「そうだね…」
急に後ろから光が差し込んできて、手で覆いながら今度はそっちの方を見る。
さっきまではなかったゲート?のようなものがあった。
「そこから帰れるから。キミらに会う事がない事を願うよ」
影星は、私の隣に来ると、荷物を持っていない方の手で私の手を握る。
そして、私に囁いてにっこりと笑う。
私は、その言葉に頷いて、2人でゲートの中に飛び込んだ。
目が覚めると、自分の家のベッドの上。服装は出かける前の服…パジャマ。
今は何時なんだろう。そう思って時計を見上げると、影星との待ち合わせ1時間前だった。
この時間ならまだ余裕がある。そう思って、私はベッドから起き上がった。
前日にまとめた荷物を確認し、顔を洗って歯を磨いて髪を梳かして…
──もう1回遊びに行かね?
さっき影星に言われた言葉だ。
予定の時間より、少し早めに家を出る。
目的地につくと、影星は私よりも早く着いてた。…まあ、私の方が遠い場所だけど。
「んじゃ行こーぜ、1日やり直しって事で」
「うん…行こ…!」
影星は、荷物を持っていない方の手で私の手を握る。
そのまま、朝の街を2人で駆け出した。