side:影星
意気揚々と街に出たはいいけど、裏路地らしいものは見当たらない。勿論、慣れない土地だからってのもあるだろーけど、それでもそれらしいものは見当たらなかった。
聞き込みは不得意だけどやるしかねーよなあ?にしても、交渉だなんてめんどくせー事この上ねーなマジで。
確か…適当なやつに話しかければいいんだったか?自分から話しかけに行くのは、管理人とか殺してもぜーんぜん問題ねーやつばっかだしな。それに人だってあんまいねー時だし、いてもすぐに片付けられる程度だし。流石に、こんな人通り多いとこで殺すほど無計画じゃねーからな。
「あ、なあお前。この街の中に裏路地とかねーか?」
出来るだけ自然に、怪しまれないように聞いてみる。『治安悪い店とかねーか?』って聞くのは、いくらなんでもやべーってのは私でも分かる。
「裏路地ですか…この街はとても治安がいいのでありませんよ。そうですね…この街を出て、左手に曲がってしばらく進むと…あまり良くない集団がいる、という話は流れてきます」
聞いたやつは、親切にもちゃんと教えてくれた。とは言え、ワンチャン嘘ついてる可能性だって否定できねーしな。つーわけで<心理学>で確かめてみる。
結果は白。少なくとも、嘘はついてない。
「ふーん、ありがとな」
とりあえず礼は言った。後はこの場をさっさと去るだけだ。変な事すると、すぐに足が出そうだしな。
街の出入口は2箇所ある。が、言い方的に近い方…つまり、さっき入ってきた方だと予想した。あんな丁寧に道まで教えてくれたやつが、どっち側かなんて言わねーことなんてねーはずだから、どっち側か分かってる前提でのナビゲーションだと読む。
街の外に出ると、意外にも外はそれなりなのがわかった。来た時は、結構綺麗だと思ったんだけどな。…街の中が綺麗なだけか?
「さっきとは反対方向か…つーかマジであんのかよ?」
半信半疑で足を進める。なかったらなかったで、他のやつに聞けばいいしな。めんどくせーから出来ればあってほしいけど。
「…あ、あれか?」
しばらくも経たないうちに、廃墟っぽいとこに出る。人の気配もそこそこ多いし、違いなければここだな。さて、どんな店なんだか。その前に、その裏路地ってのはどこにあるんだ?
「おい、そこのガキ」
目的地に着いた事と、ちょっとした探索気分が私のテンションを妙にあげていたのか?
だから最初、私の事だと思わなかった。
廃墟の中に足を踏み入れた時、背後から肩を掴まれる。
「聞いてんのか?無視するとはいい度胸じゃねえか。あぁ?」
「あ?なんだよ」
無理やり解いて後ろを振り向く。
…誰だこいつ?ここに住んでるやつっぽいな。
「てめぇ、誰に向かってその口聞いてんだ?」
「お前誰だよ…」
ここでもしも相手が退くなら、私もなにかするつもりはなかった。
楽しみは取っとくもんだろ?
だってのに。
「口の利き方に気をつけろガキ。俺様を誰だと思ってんだ」
ガキ?こいつは私に向かってガキっつったのか?
口の利き方に気をつけろだ?
この男、立場なんてわかってなさそーだな。
ああ…こんなにムカつく奴はこの世界じゃ初かもな。
「…お前が口の利き方に気をつけろよ。お前が誰かなんて知らねーけど、喧嘩なら買ってやるから」
思った事をそのまま言ってやる。オブラートに包んでやる意味なんてねーよ。
だってのに、今の言葉で相手は完全にキレたらしい。
「女の癖にいきがってんじゃねえよ。来いお前ら!この生意気なガキの事、分からせてやろうぜ!」
呼びかけに応えてか、人が次々と集まってくる。
その数、12人。最初にいたやつも合わせれば13人。
「やる気なのは別にいいけど、死なねーように気をつけろよ。ま、無理だろーな」
来いよ
─私を怒らせたこと、後悔するんだな。
次回 影星無双(次はショゼットsideです)