全く知らない時代全く知らない街でぶらぶらする彼女。
不安と恐怖の中それでも生きようと必死な彼女は1匹の黒猫と出会う___
プロローグ
最後の 見た外の景色は桜だった
普通に生きて学校て友達と楽しく過ごして
そんな日常だったはずなのに
突然捕まって、果てしない絶望と恐怖と痛みで
突然視界も真っ暗になって
冷たくて暑くて、苦しくて
そしたら暖かいものに包まれたんだ
見えないから分からないけど、暖かい。暖かくて
気づいたら木に寄りかるようにして寝ていて
暖かいものが日差しだとわかる
日差しなんていつぶりに浴びただろう
こんなにも、こんなにも気持ち良いものだなんて思わなかった
涙が自然とあふれてきて拭っても拭っても出てくる
落ち着いた時に当たりを見渡すとまったく知らない景色が広がっていて。
なんだろう公園……?自然公園かな
こんな場所知らないし、着ている服も見た事ないもの。
そして目が見えなくなってたはずなのに両目きちんと見えるし、腕も動く足も動く痛いところもない。
強いて言えば地面に座ってたお尻が痛むぐらい
立ち上がると身体が軽いことに気づく
歩ける……
そして走れる
昔の鬼ごっこした時みたいに楽しくて走れるのが楽しくて無我夢中で走る
いつの間にか公園は出ていて、住宅地が並んでいる。
ここどこだろう。本当に見た事ないな
見た事ない住宅地で本当に記憶の中にヒットしない
私の姿はやっぱり人間には見えていないらしく塀の上に登って綱渡りみたいにして両手を広げ出歩いても目向きもされない。
姿隠しの魔法は使えてるし。他の魔法も使えるけど、
どうしてだろ、なんか違和感がある
さっきの公園まで戻ると看板があって
《空座町自然公園》
っと書かれていた
空座町……?聞いたことないな。地方……なのかな。
それに気になるのが住宅地や人間の持ち物、店がなんか古い
『あれってもしかしてガラケー?』
すごい、ガラケーなんて今売ってるのかな
ピコピコっといじっている女子校生達
やっぱりなんか違和感。
まるでまったく知らない異世界のような
って事で記憶がよみがえる。
そうだよ、私なんで生きてるんだ?なんで動けるんだ?
そうして頭がこんがらがって突然不安が押し寄せる
私の身に何が起きてるんだ?
どこかの屋根の上で暖かい日差しを浴びながら横になる
でも身体はなんでか冷えてきて。
すると
「ニャーン」
っと一匹の猫が隣の屋根から飛び移ってきて、私のお腹の上に乗った
真っ黒な猫で黄色の瞳で可愛い頭を撫でると擦り寄ってくる
『ふふ、可愛い猫ちゃん。猫ちゃんはやっぱり私の姿見えるんだね』
姿隠しの魔法も猫ちゃんには見えるらしく私をジッっとお腹の上から見てくる
『一旦整理しようかな……聞いてくれる猫ちゃん』
「ニャーン」
返事をするように鳴くので笑ってしまった
『私は……確かね確か死んだはずなの。いつ死んだかは日付分からないから分からないんだけど。不思議。こうして腕が動くのも、左腕があるのも、足があるのも、痛みがないのも。目が見えるのも、舌があるのも。
どうして突然身体が戻ったんだろう。
猫ちゃん、ココラル都市って知ってる?ここ空座町って言うらしいんだけど知らないんだよね』
猫に問いかけるみたいに聞いてもニャーンとしか返ってこなくて
『ふふ、可愛い。日差しってこんなに暖かいんだね。風ってこんなに心地いい。ねぇ猫ちゃん。これって神様が私にもう1回普通に生きていいよって言ってるのかな。これが……夢じゃないといいな』
なんて青空を見上げると視界に猫ちゃんが映って
お腹じゃなくて胸の方に移動してきて少しくすぐったい
『あはくすぐったいよ』
ぺろぺろと頬を舐められて気づく
また涙出てきちゃった
『ふふ、話聞いてくれてありがとう。整理できたよきっと神様が願い叶えてくれたんだ!よし!今度こそちゃんと生きるぞ!!』
猫ちを抱き上げて起き上がる
『猫ちゃん、私ねこう見えて魔女なんだよ?』
下ろした猫ちゃんはニャーンっと首を傾げていて
まるで嘘だぁ?なんて言ってるみたい
『他の魔力感じないし、他に居ないのかな。もしかして……』
ここは……なんて言おうとした時
耳をつんざくような嫌な音が聞こえた
ウォオオオオンっとまるで雄叫びのような声はすぐ側から聞こえてきて
『な、なにあれ』
空間が裂けるようにして
気持ち悪い色をして仮面をつけた大きな化け物がでてきた
シャー!!っと毛を逆立てる猫
そして化け物は向かい側の屋根の上に乗ったかと思うと
『うそ!!』
こっちに飛んできた
間一髪避けると通り過ぎた化け物は地面に小さなクレーターを作り
周りにバラバラとコンクリー片が散らばる
『無理無理!何あれなにあれ、』
あんなのまともに食らったら死ぬんじゃない?死ぬよね!死にたくない。
あの化け物が何かなんて考える必要は今はない!今は命優先
「ニ”ャァ!!」
突然抱き上げられたのが驚いたのか変な声を上げる猫ちゃん
『このままじゃ危ないから!行くよ猫ちゃん!!』
私は亜空間にしまってた箒を探すと直ぐにパシッと手に収まる
『猫ちゃん、絶っったいに離れないでね!!』
私は箒に跨り猫ちゃんを片手で抱いた
「グァァ!!!」
『うわっ!!!』
起き上がった化け物がこちらにまた突っ込んできて鋭い爪が頬をかする
ピッっと頬がキレるのを感じる。
屋根から落っこちる寸前に箒が立て直しぷかぷかと重力に逆らう
『逃げよ猫ちゃん!』
ぐんぐんとスピードを上げて、人間と人間の間を縫うように進む
あんまり上を飛ぶと、もし奴らがいた時見つかってしまうから。
『嘘でしょ!!』
あろう事か化け物はものすごいスピードで追いかけてきていて
『羽があるなんてそりゃないよ!!』
気持ち悪い羽で飛んでこちらに向かってきていた
このままじゃ追いつかれる!!
怖い、死にたくない。死にたくないんだよ私は
遂に化け物は私の元まで来てその大きな手が私の箒を弾く
『きゃっ!!!』
グルンっっと一回転して、猫を抱き抱えてるせいか体制が保てなくて箒を置いて落下してしまう
『猫ちゃん!!』
私は猫を守るように身を丸めると
ズガガガガ!!!っとバキバキっという木の枝が折れる音と背中に痛みが走る
気づくと地面で
『猫ちゃん大丈夫……?』
猫ちゃんは私の体から出てきてニャーンっと鳴いた
『いたた……』
背中が痛みで足も切れてしまったようだ。
でも木と茂みのおかげでこのぐらいで済んだ
もしここがアスファルトの上だと思うとゾッとする
「うへへへ、美味そうな匂いだ」
『ヒッ』
その恐ろしいような声に肩がビクッっと跳ね上がる
目の前は影でおおわれていて、
後ろを振り向くとさっきの化け物がこちらを見下ろしていた
怖い、怖い怖い、きっと殺されるその鋭いつめで
しかも話せるの……知能があるって事?
私は立てなくて後ずさるようにして下がるが
ズンズンっと地面が沈むほどの足でこちらに寄ってくる
あぁ、ダメだ死ぬ。
死んでしまう
いやだよ、なんで私なの
『どうして、どうして。生きたいだけなのに!普通にご飯食べて普通に学校行って普通に……普通に……死にたくないよ……』
化け物が手を上げてふるい落とすのが見えた
次にくる痛みを恐れて目をつぶるが
しばらくしても痛みは来なくて
『えっ……?』
「大丈夫じゃ、儂が何とかする、この娘っ子には指一本触れさせぬぞ」
全裸の女の人がその手1本でその化け物の手を抑えていて
ニヤリと振り向きながら笑う女の人の目は黄色の目をしていて、まるで猫ちゃん見たいなんて、呑気なことを考えていた
すると私の目に追えないぐらいの勢いで、
どこからそんな力が出ているのかと言うほどに化け物は圧倒されて、蹴られ殴られ
そして化け物が塵になって消えた
『あ、……っ……』
お礼を言いたいのに化け物が居なくなって助かった安心感とまだ恐怖があって、声が上手く出ない
すると女の人はこちらに歩いてきて
ひょいっと横抱き……いわゆるお姫様抱っこをされた
『えっ……あの!』
驚いて声が出た。
「よいよい酷い怪我じゃあんずるな、このまま運が大丈夫じゃ安心せい!」
っと笑う
『い、いえ、あの……』
「なんじゃ?」
『服を……着てください…』
それからどこからか取り出した服を着た女の人は。
なんか忍者みたいな服だなって思ったし、どこから取りだしたんだろう
またひょいっと持ち上げられて
『あ、あの』
「大丈夫じゃ、ほれじっとしとれ」
そう言われて渋々首に手を回して落ちないようにすると
一瞬で
そう一瞬で別の景色に変わった
『え?っ。何が……』
「おーい!喜助!おるか」
私の言葉が聞こえてないのか
女の人はズカズカと古い民家に入っていってそう奥に叫ぶ
『あ、あのその、』
下ろして欲しいって頼もうとすると
「その足じゃ歩けんじゃろ?大丈夫じゃ重くもなんともないぞ」
っとニカッ!っとでも効果音がつきそうな笑顔を向けられて何も言えなくなった。
確かに私の足は今真っ赤に染っていてジクジクと痛んで正直直視できない。
降ろしてもらったとしても歩けず何も出来ないだろう
「はぁーい」っと聞こえたかと思うと緑っぽい作業服……?甚平?を来た人が着て
「おや……」っと私を見て目を見開いたかと思うと
奥の部屋開けてますよっと言った
「すまぬな」
といって女の人は男の人の横を通り過ぎて部屋にあがる
片手で布団を敷いたかと思うと私の靴をぬがせてそこに寝かせた
『あ、あのもう大丈夫で、布団もその汚れてしまうし』
すごい出血だから、汚れると思って暴れるけどすごい力で寝かされてしまった
「んな暴れるでない、本当に死ぬぞ?」
っと言われて力が抜ける
「そうじゃ安心せい」
私の頭を撫でる
指が涙袋をなぞるようにして触られてまた泣いてる恥ずかしい私っと思いながら目をつぶる
安心感と痛みが、わからないけど涙が止まらなくて
女の人はあやす様に撫でてきて気持ちよくて、
そのまま私は寝てしまったらしい
________________
目が覚めると知らない天井で
腕が痛む足も痛む
無理に起き上がると包帯が丁寧に巻かれていた。
あれは……夢じゃなかったのかと手のひらをニギニギすると
視界の端になにか映る
壁に身体を預けて座りながら寝ているさっきの男の人がいて
変な帽子……って思いながら見ていると
うっすら目を開けたかと思うと
バッチリ目が合う
「おや……起きたんスね」
なんて笑う男の人
そういえば……
わたしは今まだ姿隠しの魔法を解いてないのに……
『あ……の』
私の声は少しかすれていてゴホッゴホッっと噎せてしまう
「ほらほら、水ですよ、飲めます?」
っと私の横にあったお禅からグラスを取り出すと渡される
『ありがとう……ございます」
「いいえ♪」
っとどこからともなく取り出した扇子を開く
喉にしみ渡る。久しぶりの水だ……
なんて感動していると
ふと思い出す。
そうだよ魔法解いてないのに
『あの……なんで……その……』
なんで見えるんですか?なんて頭打ったかと思われる……よね。
どえしようかなって思ってると私の隣に座った男の人は
「まぁまぁ、気になることは沢山あるっスよね。急かしてる訳じゃないんでゆっくりでいいッスよ」
と優しく目を細めた
_____________________
浦原side
突然。
そう突然に奇妙な感じたことの無い霊圧を感じた
しかも案外近くて
「ちいと見てくる」
っと言って出ていった夜一サンはしばらくして戻ってきた。
血塗れた女の子一人抱えて。
少女の瞳には不安が浮かんでいて。
霊圧の正体が彼女だと知る。
虚の霊圧も感じたからきっと襲われたのだろうか。それにしても細かい傷が多いような気がすると考えていると
夜一サンは奥の部屋に入っていく
後を追いかけると
既に少女は眠っていた
テッサイが治療をするが怪我が酷すぎて一回では治らない。
しばらく様子を見ながら治すしかなく
夜一サンはソワソワと女の子の周りをうろついていて。
珍しいっと思った。
そして女の子の手が布団から出ているのに気づき布団の中に入れてやろうと手に触れた瞬間
バチッっと視界が揺れた
稀に整の魂魄に触れると魂魄の1番強い記憶が流れ込むことがある。
そして一気に不快な気持ちが心に渦巻き吐き気をもよおした
”『いやだ!!やめてよ!!やめて!!!!』”
泣き叫ぶ少女は壁に繋がれ鞭で打たれ
歯を抜かれ逃げ出す足を切られ
腕を切られ
うるさいと言われた舌を抜かれ
目を潰された
『わたし……まだ……しにたくない』
そして声も出なくなった少女は_______
そこで現実に戻る。
「夜一サン」
「喜助も見たか。相当思いが強いようじゃなこの娘っ子は」
っと悲しそうに少女を撫でる
「……この少女のわけを話してくださいな」
こくんっと頷いた夜一サン
「ココラル都市……魔女……ねぇ」
夜一サンは冗談を言ってるつもりは無いらしく、
本当に箒で空を飛ぶ本の中の魔女のように。飛んでいたという。
この傷は虚に叩き落とされた時の傷だそうだ
「力強すぎて抜けれんかったわ」っと苦笑いしていた
ほいっと渡された箒
特に何も感じなく一見普通の箒のようにみえるが、
装飾が施されておりとても丈夫で良い木を使っているようだ
それに少女の状態も気になるなぜ魂魄のような状態なのか。
人間……であるはずなのに魂魄のように霊力がないと見えない姿になっているのが気になる
少女は3時間ほどで目が覚めた
っていえ自分もうたた寝していたが
また不安をうかべる瞳がこちらを覗いていた
____________________________
男の人は落ち着いた私を見てなんでも聞いてくれていいと言った
『さっきの……女の人は。その……お知り合いですか?』
「そうっスよ、あの人は夜一サン。」
『夜一……さん。あの……化け物って。、いやその夢なのかもしれないんですけど。変な化け物がいて……』
「夢なんかじゃないッスよ、あれは【虚】といってまぁいわゆる悪霊ッスね」
『ほろう……あんなのがここにたくさん?』
「ええ、まぁそんな頻繁にって訳じゃないんスけどね」
『そうですか……』
悪霊……か。怖いななんで思ってると。
ふと、時間が切れたようで姿隠しの魔法が解けた
すると男の人は目を見開く
まさか……
『あの。えっと、もしかして……その。魔法を認識できる方……いや!何でもないです』
っとやっぱり魔法のことを言うのは怖くなり否定したら
深く突っ込まれずに
「そうっスか」っと笑った
見た目胡散臭いけと……優しい……のかな
「おお!起きたのか」
っと襖から顔を出す女の人……いや夜一さん
「喜助、起きたなら呼ばんか」
「すみません〜」っとヘラッっと謝る
「まぁよい、だいぶ怪我もよくなったな、喜助どこまで話した」
「虚と夜一サンの名前っスね」
「そうか、まぁよい、お主そう言えば名はなんという」
『り、リリカです。』
「可愛らしい名じゃの!リリカ、ここでしばらくゆっくりして傷を癒すといい」
『いや、でもそのご迷惑に……』
「いいんスよ〜そんな遠慮なさらず。ゆっくりしていってくださいな」
っと笑った
それからお言葉に甘えて傷が癒えるまで居候させてもらうことになった
最初は歩いたら傷口開いちゃって。
赤い髪の男の子に怒られたな。
しばらく歩いても少し痛む程度で大丈夫になり、背中も痛くなくなった。
お風呂を無理やり夜一さんと入ったのは恥ずかしかったな……
かれこれ1週間。包帯も解けて小さなガーゼだけで覆えるぐらいに傷は薄くなった。
ひとつのは部屋を貰い。
歩けるようになってからはみんなでご飯を食べて、その温かいご飯に泣いちゃって、みんなアワアワしちゃってたのは申し訳なかったな。
傷が治ったらここを出ていかなくては行けない。
ここはどこなのかまたあの化け物が出るのか。
衣食住が不安だと。日課になりつつある縁側で足をプラプラさせる
「あれ、こんな所にいたんスか?もう夜遅いッスよ」
っと後ろから聞こえて、どうやら様子を見に来てたらしい浦原さんが襖を開けていた
部屋に入って縁側に出て私の横に胡座をかいて座る
「傷もだいぶよくなりましたねぇ」
『はい、みんなのおかげです。何から何までありがとうございます』
っと笑うといいんスよ〜っと笑ってくれた
「まだ、聞きたいことあるんじゃないッスか?」
『……』
たしかに聞きたいことは沢山あるけど。
『いいんです』
もうすぐここを出てくし。聞きたい気持ち反面少し怖い。
何を言ってるんだ?なんて言われたら心が割れると思う
「……あなたがいいならいいんスけど。じゃぁこっちから聞いても?」
『?はい』
「行く宛てあるんスか?」
『……あ、ります』
「ないんスね」
っと言われギクッっと肩が震える。
私あんまり嘘得意じゃないんだって……
目を合わせれないしどうしても目が泳いでしまう
「なら、ここにこのまま住みません?」
『え?』
パシッと扇子が閉じられる音がして
顔を向けると口元に扇子をあてた浦原さんがニコリと笑っていた
『いやいやいや、そこまでご迷惑おかけする訳には』
「大丈夫ですって、無理ならこんなこと言いませんし、行く宛てのない少女をそのまま放り出す外道じゃないんスよ?」
『で、でも私……その素性も知らぬような私を置くのってその……嫌じゃないですか?』
家庭に見知らぬ女がいたらストレスになるんではと聞くと
「そんなことないスよ、雨もジン太もあなたに懐いているし、アタシも夜一サンもテッサイもここにずっといて欲しいなぁって思ってるんスよ」
『…………考え……ときます』
「はい♪それにこんな可愛い子と一緒に住むなんてドキドキしますよね」なんて最後に茶化すから笑ってしまった
______________________
それから傷も治った私はようやく全ての絆創膏、ガーゼを外せた
お祝いっと言って赤飯が出てきたのはびっくりしたな。
「ニャーン」
『猫ちゃん……』
あの時はじめて会った猫ちゃんはよくここに来るらしく、ここ1週間毎日どこかしらで見かけていた。
ゴロンっと私の膝の上で寝っ転がる。
あのとき無事で良かったと少し気がかりだったから安心する。
『ここに住まないかって言われたんだ』
っと撫でながら言うと顔を上げる
『でも、ここに住んでわかる。ここはきっと私のいた世界じゃない。テレビの形も人も服も物も、知らないものや昔のものがあって。
地方も全然ちがくて。お金も違う。他の人の魔力も感じなくて。私の同族はここに存在しない。未知の世界』
これが私の出した答えだ。
やっぱりここは未知の世界。平行世界とでも言うのか。
おそらく死んだ時に輪廻で私が別世界に流れてしまったのだろうと確かめられないけどそう考えた
『いずれ、ここに住んだら正体がバレる』
戸籍とかは普通にあるんだと思う。戸籍や学校なんか調べられたらそんな人存在しないってバレてしまうだろう。
『……ここに迷惑はもう掛けれない。十分恩を与えられた。いつか返しに来るよ。猫ちゃんともお別れだね』
「ニャー」
グイッと私の袖に爪が引っかかって引っ張られる
たまたまだとは思うけど、まるで行かないでなんて、都合のいい解釈をしてしまって涙がこぼれる
『1人でも生きていける。私に魔法があるから。この目でこの足でこの腕で世界を見て歩いて。旅をしてここに戻ってこようかな。うんそれもいいかもしれない。』
普通に名案かもしれないなぁって思った。きっと別世界を冒険するのってファンタジー感があって楽しいと思うの
『また今日のあの……からあげ?だっけ、食べたいなぁ。いつか作れるようになるかな。材料は何の鳥肉だろ。それにあんなきれいな小さい卵食べれるなんて思わなかった。あんなに美味しいんだね。目玉焼きって。
私の世界の卵はもっと大きいの』
「ニャー」
『それでも。もっと……ここにいたいなぁ…………猫ちゃん、また世界のどこかで会ったら私の話聞いてね』
猫は私の部屋まで着いてきて、私が貰ったノートに日記を書いていると私の膝の上に丸まった。
『箒……どこ行ったんだろ呼んだら来るかな……でも変に呼んで物壊すと危ないし……引っかかってるかも、あの公園また行ってみようかな』
1枚ノートを破る
ここの世界の文字は一緒で助かった。
『お世話になった浦原さんと、テッサイさん。雨ちゃんにジン太くん。夜一さん……沢山描きたいことあるけど簡潔にしようかな』
名前を書いて。お世話になりました、いずれ恩は返しに来ます
っと書いた
そしてノートの一番下に挟んで、出ていく日に置いていこうと
布団に入る
『猫ちゃん……おやすみ』
猫の体温であったかくなって直ぐに寝てしまった______
__________________________,
「まったく、馬鹿なやつよの」
ノートの一番下に挟んである紙切れをみて不器用で優しいこの子に笑う。
あんなに辛いことにあんなに怖い目にあったのに外に出るのかと。
勇気があるんだか馬鹿なんだか。
住みたいそばに居たいのに遠慮して出て行こうとする彼女を撫でる
「喜助」
「はいな」
やっぱり外から様子を見ていたらしく呼んだら襖が開いた
「そろそろ落ち着いてきた頃だしの、話し合ったらどうじゃ」
「……そうッスねぇ」
精神的にも少し落ち着いたりりか。そろそろお互い話し合ってもいい頃だろう
_________________________
朝起きる
日差しで起きるってこんなに気持ちいいのか。
と毎日心の中で思う。
起き上がって寝間着から夜一さんからいただいた服を着て
洗面所に行って歯を磨いて顔を洗う
「ねぇちゃん、今日はパンと米どっちがいいかだってよ」
ジン太くんがそう言ってやってきた
『パンがいいかな』
「好きだなーパン。毎日朝パンじゃねぇか」
『朝のご飯少し重くてね……』
なんなら朝はいらないぐらいだ。
はいよーっと言ったジン太
それに少し遅れて続くと居間にはもうみんな揃っていて
『いただきます』
っと手を合わせて食べる。ここの国……ここの世界?のお祈りらしい
イチゴジャムを塗って軽く焼いてあるパンにかぶりつく
美味しい……
「ほんと幸せそうに食べますねぇ〜」
なんて前に座っている浦原さんがこちらを見て言った
恥ずかしい。どんな顔で食べてるんだ私……
私は食べるの遅くて、ジン太くんと雨ちゃんはさっさと外に行って鉄斎さんもお皿洗いに出て行ってしまった
食べ終わってお茶を飲んでいると夜一さんが入ってきた
「りりかサン、少しお話しませんか」
なんて真剣な表情をした浦原さんに姿勢を正す
「まず、りりかさん……あなた気づいてますよね」
『気づく……?』
「あなたがこの世界の人間では無いことを」
心の芯が冷えた気がした
カタカタと手が震えてしまう
怖くて目が合わせられない
「攻めてる訳じゃないんス。大丈夫。気づいてましたから」
『……へ、変な話とか思わないんですか?』
「まぁ……色々調べたいことはありますけど。とりあえずりりかサン
あなたこちらの世界に来てどう思いました?今幸せですか?」
『……そうですね』
今……
変な化け物に会ったけど。優し人達に恵まれて美味しいご飯食べられて。
『しあわせ……です』
真っ直ぐ目を合わせて笑う
ホッとしたようすの浦原さんは
「ならここにいていいんスよ。この世界にきて不安なことも多いでしょうし。迷惑だなんて思ってないんスから」
『あの……どうして私が別世界からって分かったんですか?』
「うーん、何となくそうかなぁって思ってたんスよ。テレビの付け方分からないし。箸もおぼつかない、世間知らずではすまないような事がちょくちょくあったし、もしかしたらなぁなんて」
『そう……ですか』
そっか、気づいてて言わなかったんだ。
「だから甘えていいんスよ。ここにいて」
って優しい言葉で頭を撫でられて
「まったく、泣き虫じゃのぉ」
なんてケラケラわらう夜一さん。
仕方ないじゃん。視界が揺れて溢れてきちゃう
2人に抱きしめられてまたわんわん泣いてしまった
『お、お世話になりますりりかです。』
なんてみんなの前で言って少し緊張してしまう。
この世界の人間では無いことを伝えたら何となく知ってたらしい。
魔法の事は言わなかった。
騙してるような罪悪感。
また
「なぁ、そっちの世界ではもっと発展してるのか?」
なんてよくジン太くんが聞いてくるようになった
ファンタジーな感じはやっぱり男の子は好きなんだろうな
『うん、ガラケーじゃなくて、スマホって言って画面を触って操作する携帯なんだ、私が中学生の時には空中で映写されて操作できる携帯があったよ。高くて買えなかったけど』
「へぇ!すげぇ」
『ここは似てるところと似てないところがあるね。箸なんて初めて聞いたし。名称が一緒だったり、違うのに一緒のものを示してたりするから不思議な感じ』
「戻りたいって思うのか?」
一瞬だけフラッシュバックした気がした
『思わないよ』
そしてそのうち正式に部屋が貰えて。2階の一部屋を使っていいらしい
「いやぁ物置なんスけど、ほとんど要らないものなんで下に運んじゃいましょ」
っと浦原さんみずから手伝ってくれた
ダンボールや何も入ってない箱や壊れた家具が置いてあって埃を被っていた。
そして。
つい____
癖で魔法で重いものを持ち上げてしまったのだ
浦原さんの前で
いつも重いものは自分で持っていなくて、また過去と同じことを繰り返すのかと、学ばない自分にイライラしてしまうと同時に見られたという焦りが強くなる
ゆっくり下ろして浦原さんをみるとガン見していて、
『あ……えっと……ぽ、ポルターガイスト……なんちゃって』
マジックの方が良かったかななんて変な所を後悔した
「……」
浦原さんは黙ったままで帽子はすこしズレて影になって目は見えない
『う、うらはらさん?』
さすがに微動だにしない浦原さんに手を伸ばすとガシッと掴まれた
両手で
「すごいッス!!!!!それどういう原理なんスか?霊子でもない、見えない力!!」
っと目をキラキラさせた浦原さん
『こ、怖くないんですか?つ、通報とか……』
「怖くないっスよ?通報?」
『……えっと……私実は魔法が使えて』
「知ってますよ、見たのは初めてっスけど」
『まぁ、信じないとは思うん……え?知ってた?』
きっと私の顔はポカーンっとしてるだろう
「えぇ、夜一さんから聞いてましたよ」
『えっ!!!』
夜一さんが……?ど、どうして……もしかして空を飛んでたの見られてたのかな。
『それって初日に?』
「ええ、貴方が来て直ぐに」
『それなのに……通報したり……怖がったり気味悪がらずにあんなに……』
なんて優しい人なんだと目頭が熱くなる。
「まったく、泣いてばかりっスね」
ってヨシヨシよしっと優しく抱きしめられ浦原さんの懐で泣く
『ヒック……私の世界では……その魔女は異質とされて、討伐対象なんです……』
「討伐対象?」
『私たち魔女や魔法使いは人間と共存してたんですけど、人間側の法律で魔女魔法使いは逮捕されて処刑されるんです……また研究材料にもなるとかで……その……通報したり拘束すると大金が出るから……』
少し不安になる浦原さんを見上げると
「なるほど、あの記憶はそういう……」
っと少し納得していた。記憶??
「大丈夫ッスよこの世界にはそんなのありませんし。外では使ったら騒ぎになるんで控えて欲しいッスけど、この家の中なら使っても問題ないんで」
なんてサラッと言われてしまった
『ありがとうございます!お役に立ちます!!』
本当に本当に本当に……どれだけの恩を貰えば気が済むんだ私。
別世界から来た魔女と浦原商店の日常の物語____