【1993年/7/28】
私はチナツ・ミズサワ
今日は計画の始まりと記念の日として友人と交換日記を始めることにした。こうして振り返るとあっという間の数ヶ月だった
ちなみに私は世間では羨望のまなざしを受けているけど、実態は汚職の罪が可愛く見えるほどどす黒い闇を抱え人体実験などが日常茶飯事に行われるアンブレラ社の研究員。
数ヶ月前故郷では人を使った実験を行おうとしたため異端扱いされ、警察にも追われる身となり路頭に迷っていた所を救い出したのが神様の手ではなく悪魔の手だったなんて思ってもいなかったけど、ここで行われている研究は私にとって暁光だった
私は小さいころから動物が好きで彼等の生きるために強く進化した軌跡とその力と姿に憧れいつしか自分でより強くより賢く人間を超える進化し続ける新しい種を生み出したいと願い始め研究者となった。その願いのためならどんな物を差し出す思いが届いたのか、その研究がここに来て時が経ちついに昨日・・・その第一歩を踏み出すことに成功した!
アンブレラ社が生み出した『T-ウィルス』とは全く別の存在にして細胞・・・凄まじい再生能力と害となる毒や細菌等の物を喰らって免疫を獲得し、成長するに従って様々な進化をする完璧な生物を生み出す可能性を秘めたまさに私が求めていた新たな命の一部!
私はコレを『アマゾン細胞』と呼ぶことにし、本日からようやく許可が下り『アマゾン計画』が始まった。これからどんな生命が誕生するかと考えるだけで楽しみが尽きなかった
今日はこれぐらいにしてサラに渡してこようかしら?
【1993/7/30】
私はサラ・クリエイティア
チナツの日記を読めば察する事が出来ると思うが彼女が言う友人にしてアンブレラの研究員だ
彼女と同様に私も腰を下ろしていた研究所で倫理からあまりにも逸脱しているとされ、追い出された上に警察に売られようとしていたところをかなり前からスカウトを申し込まれたアンブレラがその権力と金に物を言わせて全てを闇に葬って流れるようにここに来た。
まあ、私にとっては好奇心と探究心を満たすことが出来るなら何所であもうと構わなかった。昔から私は自分が興味を持った物、知って突き止めたいと思った物以外に感情を向けることが出来なかった。私は生まれたときから何かが壊れていたのだろう・・・だがそんなことはどうでも良い、これからする計画に不要なことだ
アンブレラに入社した直後私は『Tーウィルス』と出会い、今までに無いほど好奇心と探究心を刺激させられた。これほどの物をどう使いどのように利用すればどのような結果を知り、どのような物が生み出せるのか?そう考えながらチナツの進める計画に興味がわき手伝う最中、ふと思い浮かんだ・・最強の身体能力を持った兵士に近代装備を組み合わせるとどうなるのだろうと!
そこからの私の行動は早かった、『Tーウィルス』によって強化された怪物に人の産物である近代兵器を組み合わせ新たな存在を生み出す計画・・・『戦術人間計画』を本部にまとめ提出すると思いの外興味を引いたのか許可が下りチナツの計画と共に始動した
これから生み出されるであろう結果と産物に私は興奮を抑えられそうになかった
今日の分はこれでいいだろう。チナツに渡してくるか
【1994/4/19】
チナツ・ミズサワ
アマゾン細胞が誕生して数か月が経過し、予想以上の特徴を発見することが出来た
100個ある試験管の中で培養し成長させたアマゾン細胞は普通の生物に比べて成長スピードは速くたった二ヶ月でミジンコ程度の大きさだった大型犬ほど大きさの生命体へと変貌していた。しかも其れは虫・魚・獣など個別によって異なる特徴を持っている他に腕が欠損するほどのダメージを負っても直ぐさま細胞が増殖・修復し新たに前よりも強靭な腕を構成する再生能力を持っていた・・・この生命体を『アマゾン』と呼ぶことに決めた
けれどそこから困難な道のりが続いた
その後も観察を続けると獣のように本能のままに行動して言葉を話すことはできなかった。B.O.W.『ハンター』同様に目標を識別して命令を実行する知能を持ち合わせているが、個体によっては知性が著しく欠如している物がいれば、自我がないように全く動こうとしない物が現われ、再生能力の速度に差異が存在し、進化する個体もいればしない個体なども現れ始めた。そして麻酔で眠らせた後点滴による栄養投与をしているのにもかかわらずまるで餓えを見たそうと何かを求めて暴れ出し仕方なく殺処分する個体が増え始めた
殺処分の際アマゾン細胞は電撃による攻撃に一番弱く、細胞や神経回路をずたずたにすることで再生速度を著しく下げることが可能と言うことがわかる。そして後に分かったことだけど彼等はタンパク質が好物であり、エネルギー源であるため進化する場合や再生能力をすればするほど細胞がタンパク質を求めるので今理性や知性が無い個体しかいないアマゾン達には耐えがたい衝動であるのか必ず暴走する事、そしてタンパク質を与えないまま再生のためのエネルギーを生み出そうとすると細胞が壊死していくという副次的な成果も出せたが、最近上手く研究が進展することがなくイライラがたまりだしている
私が願うのはより強く賢く人間も超える進化する新たな種・・・今のアマゾンは知性があるどころか自我があるかも怪しく、ただ餌を求めるためしかその牙と爪を使おうとしない理性無き獣・・・私が願う種とはほど遠い。今後生まれる改良種のこともあるからこの理性無きアマゾン細胞から生まれた種を『第一のアマゾン』と呼称することにした
課題としては飢餓からの衝動も抑え、高い知性と理性をアマゾン達に持たせるという問題だけど・・今試案されている重火器を装備可能なタイラントのために研究されている寄生生物であるパラサイトも使う手も考えたけど、アマゾン細胞が自分を操ろうとする異物と共生しようとするわけがない。あっという間に細胞から少しずつ食い尽くすだろう
今度はあの手で行こうかしら?
そういえばサラの『戦術人間計画』はどうなってるのかしら、あの子は結果を求めるなら最上の結果を知ろうとするから酷いときは三日も徹夜するときがあるから心配だわ
【1994/5/29】
サラ・クリエイティア
この数か月と言う月日の中で困難が障害も発生しながらも『戦術人間計画』は順調に進んでいった
最大の難関は『T‐ウィルス』による知性と思考の欠如だ。『T-ウィルス』による恩恵は凄まじい身体能力と耐久性を与える事だがデメリットとして知能を奪い食欲だけの化け物にしてしまうのだ
それでは兵器としての価値は正直無に等しいだろう。いくら戦闘力が高くても命令を聞き、思考し実行するほどの知能が無ければそこらの野良犬にも劣る存在だ、兵器とは命令に忠実だからこそ兵器なのだ
どうすれば良いかを考えながら今までの『T-ウィルス』による実験と作品のレポートを見返しているとある文書に目がとまった。それは完全適合者という項目だ、完全適合者は一千万人に一人という確率で生まれる『Tーウィルス』に対して完全に亭号する人間のことを言い、知能の低下や自我を損失すること無く肉体の増強が可能であるうえ、自身の意志で肉体のリミッターを外し、タイラントなどに見られる劇的な形状変化も可能というまさに私が求めた素体だった
その後さっそく本部に掛け合い『セルゲイ・ウラジミール』と『リサ・トレヴァー』という人物達の体細胞を送るように伝達し、数日後待ちに待った細胞が届きすぐさまセルゲイの細胞核とリサの細胞核を用いて未受精卵に移植して生まれながら人間と同等の知能を持つと同時に圧倒的身体能力を持つ素体を生み出すことが出来た
しかしそう上手くは研究は進まなかった。試しにセルゲイの細胞核を未受精卵に植え付け生み出した素体は知能は卓越していたが身体能力はどうもオリジナルやタイラントシリーズにおとっており、その戦闘力は一般の人間の兵士に毛が生えた程度の戦力止まりで終わった
リサの細胞核の場合はタイラントシリーズを超えるパワーを持ち高い生命力を持つため戦闘力は申し分は無かったが、知能はネズミ以下でまったく命令を聞かないどころか指示すらも受け付けずまさに本能に従って辺り一面を破壊しながら暴れ回るという結果で終わった。どれも優れた部分もあるが劣っている部分もあるというなんとも後味悪い結果で終わってしまった。もしこの優れた部分を掛け合わせることが出来たなら私が求める肉体を持つ兵士が誕生するだろう
ここに来て行き詰まってしまい私が求める素体には届かない、私はかなりの賭に出ることにしてそこで細胞などには私よりも詳しいチナツの手も借りることにした
【1997/12/19】
チナツ・ミズサワ
研究を始めてから3年、私はこれほど興奮して喜びに震える日は生まれた日から感じることがなかった。3年前からアンブレラがボランティアや高額時給の職に介護など様々な甘言で集めた人間もとい実験体を使って、『第一のアマゾン』のように一から細胞を培養して生み出す手法ではなく成体になった人間にアマゾン細胞を移植することで知能をそのままにして人間を私が求める種へと変化させる手法に乗り換えた
実験は半ば成功し被験体15名のうち5名はアマゾン細胞に脳まで支配されて『第一のアマゾン』達とは身体能力も戦闘能力も一線を越える存在だが理性無き獣止まりになってしまったが残り10名はアマゾン細胞に適応し高い能力を持ち知性を持ち合わせているどころか人間時の姿とアマゾンとしての姿に変われるという結果を出してくれた。具体的には彼等に首輪型の爆弾を取り付け、彼等にアンブレラの製品であるB.O.Wを差し向けて様々な結果を得ることが出来たが、所詮は元人間で民間人だったためかハンターやタイラントとの戦闘になってからは苦戦処か半殺しになることが多くなり、アマゾン細胞が後付けのように取り込ませたせいなのか、意識や精神が弱い部類の人間はアマゾン細胞が元の人間の意識や細胞を食らうようにして変異させていき、善悪や物の考えを変質させてしまうことが判明した
例えば時間が経つにつれ温厚だった性格が好戦的になったり、アマゾンとして生まれ変わった事で人間を格下と見下したり、人肉への抵抗が薄れて普通の食事より人肉を求めるようになるなのだ。結果最近では私以外に彼等への食事を持って行った職員に対して、罵詈雑言を浴びせた後に食事に満足できずにそのままアマゾンとなって研究員を食い殺してしまう。攻撃性や人を求めては容赦なく殺せるという点では兵器として良いが私が求めるのは完全な種。細胞にいい様に性質を変えられて本能に振り回されるままにされるのは完全とは言えない。その後アマゾン態へと変身する前にタンパク質を取る事で長い時間アマゾン態を維持することができる他に卓越した身体能力を常に維持できることが分かった。でなければ姿を短い時間しか維持できない上に身体能力も時間が経つにつれ落ちていくこと、そして彼等にもタンパク質・・・というより人肉を求めるから食人衝動と呼ぶけどその衝動を理性と精神力で抑え込めることも判明した。ついでに言えば『第一のアマゾン』達の血はほぼ細胞からできているせいか真っ黒であるのに対し、『第二のアマゾン』は後天的に細胞を持っただけなので人間と同様に赤い血のままだった
彼等には多くの結果や反省点など貴重な事をたくさん教えてくれたが、もう興味は持てなくなってしまった以上貴重な人手を食べてしまう者はいても困るので処分することにした。正直"精神力が強靭な人物ならば精神が変異することは無い"のではという疑問は残るけど仕方ない。それにこのまま生きて社会に放てばアンブレラの裏の顔を暴露する上に周辺で人を食べてはしまえばその疑いが会社に向けられてしまう、そうすれば私の夢もそこで終わってしまう・・・恨むならアンブレラの闇を見抜けずのこの悪の吹きだまりに来た自分を恨んで欲しい。私は純粋に夢を叶えようとしているだけなんだから、夢を必死に叶えようとするのが間違いのはずはないしね
その後彼等を焼却処分した後、人間に細胞を埋め込みアマゾンへとなった彼等を『第二のアマゾン』とカテゴライズした後、彼等のもたらしてくれた成果を元にまさしく原点へといたる手法に乗り出すことにした
その後ついに私の求めた存在にして種の創造に成功した!まだ培養前のアマゾン細胞に人間の遺伝子を組み込むことで、生まれながらにして人間と同様の知能と知性を持ち合わせているだけでなく、後天的に人間の遺伝子に細胞を組み込み込んだ『第二のアマゾン』のように人間としての姿とアマゾンとしての姿を持ち合わせると同時に肉体の割合はアマゾンとしての部分が大半のため人間の限界に縛られない進化が可能となった。その証拠に4体のアマゾン細胞が生まれたばかりの胎児の姿は危ういと判断したのか普通ならばあまりの成長速度に肉体がついて行けず死ぬはずだが、あの子らはなんら問題も無たった3年で生後一週間の姿から齢16歳の姿にまで成長してみせた。戦闘力時にも相手に合わせて脚力や腕力が変化、今までのアマゾン達とは比べ物にならないほどの耐久力に身体能力、致命傷レベルのダメージを受けても少しでもタンパク質を摂取するだけ数時間で全快する回復能力と腕がちぎれても数秒で再生する再生能力、しかもダメージによって変動するけどたんぱく質を摂取してからのアマゾン態に変化すると最大でも数日はアマゾン態を維持できる性質を持っていた・・・まさに私が求めた最強にして最高の種の誕生にして夢を果たすことが出来た!
その後あの子らを観察すると今までのアマゾン達と違って食人衝動は全く見られなかったけど代わりとでも言うように時折猛烈な闘争本能が顔を出すらしい。けれど今はみられないけどいつかは人肉への衝動がでて暴走することも考えて細胞の覚醒を抑制する薬剤も作ることにした。それにしてもあの子らの中で一際力強く一目置ける子が二人・・・赤いピラニアのアマゾンの『ジン』に緑色の蜥蜴のアマゾンの『ハルカ』。
『第三のアマゾン』達もそうだけど特にあの二人にはさらなる可能性を感じられずにはいられなかった。だけどすでに成熟しきれていない彼らに下手に手を加えればどんな副作用が起こるか分からない、ならば外側からアマゾン細胞に働きかける装置が一番だけど、それに薬剤を定期的に投与してくれる装置もあればメンテナンスも楽で良いんだけど・・・サラに頼んでみようかな?
それにしても自分がここまで『第三のアマゾン』達がとても可愛く愛しく思えるとは思わなかった。やっぱりサラが使った完全適合者の遺伝子には『T-ウィルス』が含まれているため、アマゾン細胞は『Tーウィルス』をも喰らってしまうのが前の実験で分かっているのでもし下手に細胞が変異し活性化したらと不安があったため自分の遺伝子を使ったためか無意識にあの子達を本当に私の子供だと思ってるのかな?
そういえば『第1のアマゾン』が生まれた時にサラが二つの細胞を見せに来てどうすれば均一に混ざり合わせることが出来るかって相談に来たけどどうするんだろう? この3年間研究区画が離れたり忙しかったから会えていないけど、久しぶりに会いに行こうかな?
【1998/1/11】
サラ・クリエイティア
チナツの手助けの元、セルゲイとリサの体細胞を掛け合わせることに成功した。今まではリサの細胞核が強すぎるあまりセルゲイの細胞核を跡形もなく食べ尽くしてしまうのが難点であり壁だったが、チナツの「強すぎる細胞ならそれに同等な細胞か弱らすことで同等にするのが良いよ」とアドバイスを受けて、あらかじめ抗ウィルス剤でリサの細胞を弱らしている間にセルゲイの細胞核をを『Tーウィルス』で強化しておくことで、元の状態のリサの細胞とセルゲイの細胞は均衡を為してなんて生かさせると同時に合成することに成功した。
私だけでは到達できなかったが、頼もしき友人のおかげでここまでたどり着くことが出来た。持つべき者は頼れる友とはよく言った物だ。しかし今思い出してもこんな私に友人が出来るとは驚きだった。最初は自身と同様な頭脳を持っている優秀な研究員だとしか思わなかったが、合っていく内に彼女は自分と同じくどこか壊れた人間であるとわかり、いつのまにか親近感という感覚が生まれていた。その後も自分と同様に自分が知りたいという探究心と願いに向けてただ走る姿と重なってしまったのもありいつの間に彼女との会話の中で研究でしか感情を出せなかった私が彼女との間でも感情を出せるようになっていた
話がそれてしまったが細胞同士の合成に成功したその後、未受精卵に組み込ませ受精卵にすることに成功したがその後受精卵を適した環境で育てなくてはならない。試験管などもってのほかだ、そこで健康な子供を産むための器官・・・子宮が必要になるわけだが、あいにく時間を掛ければせっかくの受精卵が使えなくなってしまうため手配する時間も惜しい。そこで私は・・・・
数か月後、私のおなかは大きくふくれていた。あの後受精卵を自身の子宮に移す事で私は妊娠し妊婦と成り、半ば代理母のようなことをすることにした。まさか4つ子も孕むことになるとは思いもしなかったがこうして子を生むという体験はどのような物かと好奇心を抱いていた上にどのような存在が生まれるのかという探究心もあったので悪くはなかった
そして数週間後・・・凄まじい陣痛が突然と始まった。味わったことのない激痛を一日近く味わうことになったが無事素体で有り、私の子供を産み落とすことが出来た。生まれた4つ子が全て女の子で在る事もかなりの驚愕物だったがこうしてこれが母親になると言うことが知れたことに少しばかり探究心が満たされると同時にこの子らをその手に抱いてみると今までチナツにも思わなかった感情・・・愛情をこの子らに感じるようになった
その1994頃から3年後の現在、生まれた赤子達はあっという間に齢16歳ほどの大きさに成長した。その後私の言う指示ならどんなことでも聞き入れ、流れるように『アンブレラ』のいつもの手である甘言によってそそのかされた一般人や傭兵にB.O.W達相手に戦闘実験をさせるとまさに私が求めた傑作がそこにはあった!身体能力は個体差によるがタイラントと同等かそれ以上の身体能力と耐久性、そして凄まじい思考速度と知能を持ち合わせていた。しかしパワーとスピードに知能の両立に成功し、活きた人間を殺した罪悪感や嫌悪感なども感じさせず、敵に対しての苛烈さは凄まじい物だった。後に分かったことだがあの子らには闘争本能が存在するらしく戦闘時に無意識に其れが現われるためいつの間にか敵に対して容赦の欠片もなくなるのだろう。兵器としては積極的に敵を倒せるのでプラスな要素だろう。途中でガラス越しに何人かが此方に向かって助けを求めたが知ったことではない、むしろこうして私が文字通り産みだした新人類と言っても過言ではないあの子らの探求、私の好奇心と探究心を満たす要因となったのだから感謝して欲しい
戦闘実験終了後に分かったことだがリサの細胞を弱体化させた影響か回復力はほぼ普通の人間と同じ物だった。あの子達がどれだけ素晴らしく優れているとしても体の欠損が出来れば、その力は格段に墜ちてしまう。下手をすれば予想外の突然兵を発現しかねない。どうすれば良いかと思考していると風の便りである情報を手に入れた
ウィリアム・バーキン博士という私とチナツよりも間違いなく優秀であるだろう博士がいる。同じ研究所に所属しているが面識が無く、だが噂ではかなり嫉妬深く上昇志向の強いらしいが・・・・ともかくその博士が今何よりも優先して作り出そうとしている『Gーウィルス』の開発並びに研究を行っているのだが、先日その製造過程で生まれた『Gーウィルス』の失敗作を近々処分するらしい。なんでも遺伝子に変化を起こして宿主に異常な変異・進化をもたらすという効果をもつらしいが其れはあくまで完成した物で有り、失敗作は遺伝子をある程度変化させ人体に対して高い再生能力と耐久力を持つという・・・実験では四肢を切断したマウスに投与したところたちまち四肢が新しい物に生え替わったると若干その皮膚の硬度が上がるという結果があるらしい。このまま捨てられるならば・・・
その後、博士に接触し難なく失敗作を入手することが出来た。もう少し時間を要すると思ったが、思ったよりも『Gーウィルス』の完成が近い上に博士はそれに愛情に近い物を注いでいるらしい。彼にとってはもう興味も関心が無い失敗作としても曲がりなりにも『G』なので処理に時間を割くくらいなら他人に丸投げしてもいいと判断したのだろうか? ともかくこうして名付けるなら『劣化版G』を手に入れたので彼女たちの肉体がもう少し成熟してから投与することにしよう
それから研究が一段落して子供たちと何気ない会話をしていると2年ぶりにチナツが顔を見に来てくれた。研究区画が互いに離れた上に研究に没頭すると他はすべて忘れてしまう互いの癖のせいで顔を見ることが無くなっていたが、久しぶりに会いに来てくれた友人が変わり内容で嬉しく思え、こうして研究を置いて会いに来てくれた彼女と言う友人を持てたことは幸福だと思う。そして彼女は私の傍にいる子たちを見て誰かと聞いてきたから説明すると、目を見開いて驚くも心から祝ってくれた。すると今度は彼女が4人の男の子を連れてくる。この子らが『アマゾンズ計画』の最高傑作にしてチナツの子供たちだ。初めて顔を見た時2年前で同タイミングで彼女達を産み落とした直後にチナツが四人を乗せたベビーカーを引いて現れた時だ。その時はガラにもなく驚いて、こうして歪んだ形だが二人して母親になるとは完全に予想外だったので珍しく目を見開いてしまった
その後私とチナツの子供たちは初めて会った時から3年たった今でもそれぞれで交流と会話を重ねて、関係を築いていく様子を傍で眺めているときにチナツがアマゾン達のための装置を作るように頼んできた。あの子たちの誕生の手助けに報いる良い機会だったので快く引き受けた。久しぶりに腕が成るな
【1998/7/29】
チナツ・ミズサワ
ここにきて長いようで短いような5年と数ヶ月の時間が過ぎ、アマゾン達はあっという間に外見年齢が18歳に見えるほど成長した。まだ実年齢は3歳なのに・・・それはそうとこの日記も5年間の付き合いになっていたと考えるとなんだか感慨深かった。ここ最近や3年の空白期間はおざなりになっていたけど・・・・・
いつの間にかジンには背を抜かれるし、実験で『B.O.W.』の肉を食らっていたせいか『T-ウィルス』を食らった『アマゾン細胞』があの子たちに人間の姿の時でも並みの人間よりも数段優れた身体能力をもたらしていた。例えるならオリンピック選手並みの身体能力で、流石にサラの子や完全適合者たちとは劣るけど運動がからっきしの私が思わず嫉妬するくらいだった・・・・悔しい
それはそうと数ヶ月前にサラに頼んだ装置が完成して届けられた。種類に分けると二つ、一つはジンとハルカ用に作られたベルト型の装置『アマゾンズドライバー』、もう一つは食人衝動を抑制する薬剤を定期的に投与する『アマゾンズレジスター』だ。サラの知識や技術も凄いがアンブレラの技術力の水準も今出回ってる技術よりも圧倒的に高い。改めてアンブレラが恐ろしく思えた
そして早速装置の効果をみるべく試したがその効力は素晴らしいのひと事に尽きた、ドライバーを装着したジンとハルカがそれを起動すると通常時よりもすさまじい熱気と炎が周囲にほとばしる。そしてそれらが収まるとアマゾン細胞が変質し姿が変わった二人が立っていた
ジンは腕や足に黒い魚の背鰭をもしたカッターがあり、体中に緑色の傷跡を思わせる模様が歴戦の獣を思わせた。ハルカも腕や足にジンと同様にカッターがあるが形状が異なり、姿もどちらかというと近代装備な感じだが生物的なデザインがある。その後二人に試しにタイラントと互いにハンターや数々のB.O.Wを差し向けたが、冗談抜きで残像が見えるほどの身体能力と鉄や岩盤などあっという間に破壊してしまう破壊力をもっていて、ベルトをする前の彼等がかすんで見えるほど圧倒的強さを見せつけ殲滅してしまった。私はいつの間にか自身の子供がここまで強くなっていたことに感動を覚えられずにいられなかった
他の子達も同様にB.O.Wと戦ってもらった。その中で三男と末っ子ともいえるアマゾン達もジンやハルカに近づける格闘センスを持っており格闘戦ならジン達と渡り合えるほどの力を持っていては、戦闘力でいえば半歩劣るも直感や嗅覚が3人よりも優れているなど様々だが、ジンたちと同じように二人の強さとその能力の高さに興奮を抑えられなかった
その後全員に二人同様にレジスターを付けて貰った。これで万が一の食人衝動に悩まされることはなくなった。他の子達も試しに二人と同様な戦闘をして貰ったけど、互いに連携し合って個々の力も二人と比べると劣るがその能力は非常に高い物になっていた。産みだした本人としてあの子達の成長に嬉しくならないはずがなかった
数日後私は『アマゾン計画』の成功をアンブレラに伝えようとしたが、私の心が其れを真っ向から否定した。私もどうにもそうする気にもなれなかった・・・昔の私なら夢を叶えたことを夢にすっきりとした気持ちで報告したと思う、けれどあの子達が私を「母さん」と呼び母親にしてもらってから私は変わっていた。『アマゾンレジスター』だって昔の私なら作ろうと頼まず、食人衝動に目覚めたなら容赦なく失敗作だと切り捨てていただろう。そして何より自分の子だけは『第1のアマゾン』や『B.O.W.』のようなただ殺す事と本能と命令に従う事しか能のない怪物になってほしくないなんて思うわけがない
私はあの子達を本当の子だと思ってる。私は客観的にみれば外道だろう・・・けれど心だけはあの子達が人間に戻してくれた。愛するという事の大切さを教えてくれた、家族と過ごす暖かい時間をくれた、人としての幸せを感じさせてくれた。アンブレラは悪と強欲が渦巻く巣窟、上層部はその限りじゃない・・・そんな彼等に計画の終了と共にあの子達は成功したサンプルとして連れて行かれ、言葉に尽くしがたい痛みと尊厳を踏みにじられて最期は用済みとして廃棄物のように捨てられる
そう考えただけで私は鳥肌が立ってしまった。ここまで考えて私は決意した・・奴らに愛する子達を渡すもんか!あの子達は誰が言おうとと私の大切な子供達、アンブレラに好き勝手されてあの子達の自由と幸せを奪われてたまるか!その後報告では順調だがいまだ精神構造が不安定で制御方法に問題があるため未完成とだけ伝え、レポートもある程度長引かせることであの子達と高飛びする準備を始めた。サラにも提案を持ちかけると彼女も同じ考えを持ってたみたいだった。私も『戦術人間』の子達は大事だと思ってる・・・何度か『アマゾン』と『戦術人間』の子達が交流して時には喧嘩をしたり、笑い合ったり、遊び有ったりする仲である彼女たちの幸せもアンブレラに壊されてたまるか!
【1998/9/20】
サラ・クリエイティア
あと少しで全ての準備が終わるところで私とチナツが所属するアンブレラの研究施設であるラクーンシティ第一研究所・・・通称【NEST】に本部の視察が来日してくるという知らせを聞いた。 あまりのタイミングの悪さに私は人生で抱くことはないだろうと思った感情の一つである怒りを初めて感じた
事の発端は数週間にさかのぼる。後で知ったがチナツがアンブレラに成果を報告しようとしたさらに数週間前・・・彼女たちの体が外見年齢が16~18くらいにまで成長すると体は成熟しそれ以上の成長はしなかったので『劣化版G』を投与すると失われた回復力と再生能力が大きく向上した。その後探究心に任せアマゾン達と共に彼等の体を調べてみると、アマゾンと鉄血は同様に細胞の特異性や完全適合者とGの影響による耐久性、身体能力、回復力、再生力等互いにあらゆる特性が相まって歳を取らずほぼ不死身に近くどれくらい活きられるかは不明・・・少なくと常人より遙かに長生きだろうと仮定することにした
その一週間後、『戦術人間計画』は最終段階に入ると同時に彼等に私の思いつく全ての技術とアンブレラの技術で生み出した近未来的装備を取り付けていった。ある子は脳と神経をハッキング用の武装と接続しシンクロさせることで端末や機器を用いらずに相手の危機を掌握したり、眼球や腕を丸ごと機械と融合もといサイボーグ化することで計り知れないパワーと動体視力とスキャン能力による状況把握を実現、足や腕には身体能力をさらに向上させると共に高い防弾性のある強化骨格、サイボーグ化した部分が変形し人類ではとうてい扱えきれない超大型の銃やあらゆる物を破壊する近接装備、光を利用して姿を隠す光学迷彩を取り付けることに成功した。みな自分が「かっこよくなった・・・」や「早く使ってみたいな!」や「フフ、これすごく馴染むわ。さすがお母さんよね~」や「これでまた完璧になったわ、ありがとうお母さん」など言ってくれた。・・・こうして私が探求と好奇心の末に求めた兵器が完成した。私の心に言葉にできないざわめきと痛み、何より罪悪感を残して・・・
チナツが報告しようとした前日、『戦術人間計画』の終了と共に結果を報告しようとパソコンを開いたところで私は制止した。理由は私の心が酷く揺れているからだ・・・初めは追い求めた兵器がどのような力を持ち、私の探究心と好奇心を満たすためだけに生み出す事しか考えていなかった。5年前の私ならここで報告を躊躇うことなく伝え、あの子達の未来がどうなろうと気にも留めることもなく最後まで作品か兵器としてか見ることが無かっただろう。しかし彼女たちを自身の体の中で育み産み落としその手で抱き上げたあの日から私は根本から変わったのだろう・・・いや人間に戻ったと言えば良いのだろうか?
生まれたばかりの頃、あの子達を大事な素体であり傑作の作品としか思わなかった。しかし時が経つにつれチナツとアマゾン達と交流して共に過ごす内に、いつの間にか私は笑顔と共に楽しいという感情を感じていた。そして側にいてくれる人達がいる事で感じる暖かさ、どんな時も家族で支え合う大切さ、自身の子達に捧げて感じる愛、「お母さん」と呼び母親として見てくれて自身も母親にしてくれた喜び等を私に教えてくれた。私がこうして壊れた器が少しずつ直されていくように人間らしさを取り戻させてくれた愛しい我が子達・・・
このまま私が嘘偽ることなく報告すればあの子達は私が拒否してもサンプルとして強制連行されるだろう。アンブレラのことだ、筆舌に尽くしがたい所行をあの子達に施すだろう・・・それに用済みとなれば解剖され保存液に標本とされる可能性もあれば、女性で在る事を良いことに慰み者にされる可能性もある。そんな事を考えれば考えるほど恐怖と怒りを感じられずにはいられなかった。繰り返すようだが私は昔の自分ならとうてい考えられず理解できなかっただろう決断をした。身分や全てを偽装して奴らの手の届かない場所へと逃亡することだ。私を人間にしてくれた恩人であり愛しい我が子を奴らの玩具になどさせる物か! もう私はあの子達を兵器として完成させてしまった、後悔先に立たずとはよく言った物だ。だがまだあの子達を人間として生きさせる事は出来る。早速準備を進めようとした直後チナツと出会い、共に目的が同じ事に喜びを感じると共に報告書をそれとなく偽装してあの子たちはまだ精神が未熟であり装備も未完成としか言えない未完成品とした
そしてやっと準備完了まで後一歩という所で上層部が予定を早めて明日にはこの【NEST】に到着するらしい。なんとかあの子達の身分証明書などを偽装したが、ここで奴等にはまだあの子たちは未完成と思わせなければ奴らは強引でも研究のすべてを強奪していく可能性がある。チナツと相談し、彼女も私と同じ考えであったため一行を案じた。アマゾンやあの子達には身体検査という事で冷凍保存機でしばらく眠ってもらうことにした、これなら未完成であるがゆえに『肉体や精神が不安定だからこそ眠らせて保存している』という言い訳が立つからだ。なんとしてもアンブレラを出し抜いてあの子達の所に戻らなければ・・ ・
【1998/9/23】
チナツ・ミズサワ
本当に最悪
到着した視察団を案内中にバーキン博士が数日前に『Gーウィルス』を完成させた話を耳にした後、サラと共に誤魔化し用のレポートを手に視察団に偽の情報を説明しているとまさかここで『バイオハザード』が発生した。何らかの事故で『T-ウィルス』が漏れたみたい。ここの管理システムと研究員は一体何をしていたのだろうか、アレがどれほど危険なモノか分かっていたはずなのに・・・
拡散し始めた『T-ウィルス』の感染力は驚異的、きっと私もサラも感染している。抗ウィルス剤を投与したけど一時凌ぎにしかならない程ここの汚染レベルが高すぎる
気のせいか腕や背中が痒くなってきた。さっきからもの凄い食欲が襲ってくる。感染者にみられる急速な新陳代謝の影響が現われてきた
こんな所で終われないのに・・・まだあの子達が奴らの手の中にいるのに・・・
せめてあの子達だけでも・・・ここから逃がさないと・・・・
【1998/9/27】
サラ・クリエイティア
意味が無いと分かっていても立てこもらずにいられなくなって早一日、どうやら『NEST』で生存しているのは私達だけのようだ。他の区画はおそらく感染者ゾンビ達のバーゲンセールになっているだろう。間違いなく上にいってもそこは持ち通り缶詰の状態だ
幸い私達がいるここは換気システムが故障しているほか頑強な扉が有る上に食料もたくさんあった。けれどもう無駄だ。症状が着実に進行している以上退路などもはや潰えている。抗ウィルス剤は進行を遅らせることしか出来ていない
私達は死ぬことに関しては怖くはない。アンブレラに組していた上に今思い返せば悪魔の所行と同等の行いをしてきたのだ、これが天罰というなら甘んじて受けよう
しかしまだ逝けない、あの子達の未来は何としても守らなければ・・・
幸い非常に備えて研究所に備えてあった重火器が手元にある。十数体は相手にできるだろう・・・せめてあの子たちを起こしに行かなければ・・・・・
私もチナツも・・・もう限界だ・・・だから・・・急がn(ここから先は血がにじんで読めない)
記録はここで途切れている
リメイク版はどうでしたでしょうか
色々卒研やら勉強やら設定やら練り直しやらテストやらやる気が出ないやらで遅れてしまいました
避ければ感想、評価、誤字報告におかしな点を挙げてくれると幸いです