仮面ライダーネビュラス -Cosmos of the Fighter-   作:地水

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後編:そして正義の味方は現れた

 

「お邪魔するよ」

 

「なっ、ぐああ!?」

 

淡白な言葉と共にティアへ触れようとしていたトラッシュオーグマンは一人の乱入者によって蹴り飛ばされた。

一体何事か、とエレキュールが見れば、そこに立っていたのは一人の地球人の青年・シデン。

突如乱入したシデンの姿を見て、ティアが驚きの声で名前を叫んだ。

 

「シデンさん!?」

 

「んー、大丈夫かい? 二人とも」

 

「私の事なんかより、ユースが! ユースが!」

 

叫ぶティアの様子を見て、ユースが尋常じゃない状態だと悟ったシデンは、目の前にいるエレキュール達オーグマンへ向き直ると視線を向ける。

エレキュールは怪訝な表情を隠そうとせず、シデンへと問いかけた。

 

『お前、一体何者だ?』

 

「この子達の知り合いさ。で、ユースを傷つけたのはお前らの仕業かな?」

 

『ああ。そいつらは我らの星から逃げてきた逃亡者……例え生死に係る事態になろうが、捕縛する』

 

「そうか。じゃあ俺はお前達からこの子達を守るから。よろしく」

 

『……なん、だと?』

 

エレキュールはシデンの言い放った驚愕した。

シデンの『ユースとティアの守る』という予想外の対応に加え、淡々と語った嘘偽りのない言葉に思わず驚きの声を上げてしまったのだ。

エレキュールの様子に反応してか、トラッシュオーグマン達は怒鳴り声をお返しした。

 

「テメェ、ふざけてんのかぁ!」

 

「地球人が俺達オーグマンに敵うとでも思っているのか!?」

 

「ゼッテェ勝てるわけねえだろうがボケがぁ!!」

 

激高したトラッシュオーグマン達は銃口を向けて脅しの言葉を飛ばしてくる。

だがシデンは涼しい顔で言葉を紡いでいった。

 

 

「なに、何事も挑戦だ。Try&Errorは人間が獲得した技術であり、飽くなきFRONTIER SPIRITS(挑戦する精神)さ」

 

 

異星人(お前ら)地球人(オレ)に勝てない方程式があるなら、ぜひとも検証してみたいね」

 

 

「もっとも、絶対に勝てないという検証をするにはどれだけ大変か知ってるかい? 聞きたい?」

 

 

異形の怪人相手に怯える様子も声音も変える様子もなく、淡々と語るシデン。

その手には何らかのトリガーが備え付けられている見慣れない機械のバックルが印象的なドライバー『エナジードライバー』が握られており、自身の腰部に装着する。

事前にネットワークであらゆる情報を集めていたにも拘らず知らない代物であるそれをエレキュールは目を細めた。

 

『それは一体なんだ?』

 

「君達に対抗するための力さ」

 

『何だと?』

 

エレキュールはシデンの言葉に思わず驚きの声を上げた。

自分達の星でいうところの御伽話の中で語られるその『正義の味方』が地球に実在すると聞いて驚く。

一方でシデンは横顔を向けてユースを見やると一言だけ呟いた。

 

「俺が君達を守るよ」

 

「何を、する気だ……?」

 

今にも失いそう意識を気合で保ちながらユースはシデンの顔を見た。

彼の浮かべる表情は何処か優しそうな、しかし余裕に満ちた笑顔だった。

シデンはエレキュール率いるオーグマンズへ向きなおると、ニヤリと不敵な笑みを見せる。

 

「知らないのかい? この地球(ほし)には本物の正義の味方がいるって」

 

懐から取り出したのは、炎のエンブレムがあしらった一つのアイテム。

車や飛行機等の機械に使われるエンジンのような形のアイテム"コアエンジン"の一つ・フレイムエンジンをドライバーへと装填した。

 

【FLAME-POWER】

 

「変身」

 

【ROWLING】

 

備え付けられたトリガーを引き、鳴り響く電子音声と共に、シデンの背後に出現するは大型のエンジンのような光のエフェクト。

熱く燃える炎が吹き荒れ、それらは全てシデンの体へと纏わりつく。

シデンに纏わりついた炎は灰色にくすんだクリスタル部分と白いボディースーツへと変化していく。

やがてシデンの頭部が灰色の複眼と短い一本の角を持った仮面へと変わると、新たなる電子音声が鳴り響いた。

 

【KAMEN-RIDER・NEBULAS】

 

燃え上がる炎のようなサウンドと共に、灰色のクリスタル部分と複眼の双眸は鮮やかなオレンジ色へと変わる。

まるで炎の如く燃え上がった姿へとなると、シデンが姿を変えた仮面の戦士は堂々と名乗り上げた。

 

 

「仮面ライダーネビュラス、Neo・Energy・Boost・Leader・Assist・System(新エネルギー強化先導補助装置)、略してネビュラスだ」

 

 

オレンジと白で彩られた仮面の戦士『仮面ライダーネビュラス フレイムジェネート』。

変身を終えたネビュラスは少し助走をつけた後、近くに立っていたトラッシュオーグマンへと立ち向かっていく。

 

「とりゃっ」

 

「がっ!?!?」

 

ネビュラスが放った鉄拳がトラッシュオーグマンのガードの上から直撃し、そのまま遠くへと殴り飛ばした

自分達以外の"未知の存在"と遭遇したエレキュールやユースの双方に驚きの様子を見せていた。

 

「仮面、ライダーだと?」

 

(物質と融合したオーグマンをああも容易く……一体何なんだ?)

 

仮にも地球人より陵駕した強さを誇る融合オーグマンを往なすネビュラスの姿に、ユースは疑問を覚えた。

自分が知る限りでは、オーグマンに対抗できる組織や戦力は存在しないと考えていた。

だが目の前でトラッシュオーグマン達と渡り合うネビュラスの姿が繰り広げられていた。

 

「よっ、はぁっ、たぁっ」

 

「ぐはぁ!?」

 

「だはぁ!?」

 

荒ぶる烈火のごとくネビュラスの連続パンチがトラッシュオーグマンらへと炸裂していく。

対抗しようとこちらもパンチやキックといった殴打を繰り出すが、ネビュラスは繰り出された攻撃を躱し、時に迫る拳と蹴りを回避していく。

全て見切るとネビュラスは右手を構えると、掌から炎を生み出し、それを放った。

 

「火、いるかな? よっと」

 

「「「ぐああああああああああ!!」」」

 

ネビュラスの放った火の玉はトラッシュオーグマン達へと炸裂。

廃棄物のボディで出来上がったトラッシュオーグマン達はそのまま爆発してしまう。

後に残されたのは本来の姿であるオーグマン達の姿のみ。

オーグマンズの戦闘兵であるトラッシュオーグマン達を意図も容易く蹴散らす姿を見て、エレキュールは危機感を覚えた。

 

『不味い、下がれ!』

 

ネビュラスと交戦していたトラッシュオーグマンに向かって命令を飛ばし、エレキュールは飛び出した。

その素早さは稲妻の如く不可視の速度まで達し、瞬く間にネビュラスへと迫る。

ユースとティアが目を見張る中、眼前まで雷光の矢とかしたエレキュールが貫こうとした。

だが直撃する寸前、ネビュラスは取っ組み合っていたトラッシュオーグマンを蹴り飛ばすと、すぐさま地面を殴りつけた。

 

「はっ」

 

地面へ勢いよく叩きつけた拳が当たった瞬間、ネビュラスがいた場所は爆炎に飲み込まれた。

立ち上る火柱を切り裂くようにエレキュールの稲妻を纏った突貫攻撃が貫いた。

だが手ごたえが無い事をすぐに気づいたエレキュールは振り向く。

 

『ヤツは一体どこに……?』

 

先程はなったエレキュールの一撃によって炎が掻き消えると、そこに立っていたネビュラスの姿がない。

どうやら自分の一撃を寸前にかわし切ったようで、装甲の残骸などどこにもなかった。

周囲を見回すがエレキュール以外にはトラッシュオーグマン達とユースとティアの姿だけ。

件のネビュラスの姿は何処にもない。一体どこに行ったのか警戒していると、周囲にいたトラッシュオーグマンの一体が叫んだ。

 

「エレキュール様! 上です!」

 

『ッッ!?』

 

上を見上げるとそこには、空高く打ち上げられたネビュラスの姿があった。

ネビュラスは限界まで上がった後、トリガーに手にかけて思いっきり引き金を引いた。

 

【FLAME-OVER DRIVE!】

 

「さぁ、解答開始だ」

 

身体のオレンジ色のクリスタル部分から赤い炎が勢いよく吹きあがり、推進機代わりとなってオーグマン達へと突っ込んでいく。

これはヤバイ、と悟ったトラッシュオーグマン達は咄嗟にエレキュールの前へと出て、そのまま突進。

ネビュラスは炎を吹き出しながら飛び、炎のエネルギーが宿った右足をトラッシュオーグマン達へと突き出した。

 

 

「ハァァァァァッ」

 

 

炎を纏ったネビュラスの必殺キック『エレメンタルインパルス』が向かってきたトラッシュオーグマン達へ炸裂。

文字通り蹴散らされたトラッシュオーグマン達は廃棄物で出来上がったボディを破壊されながら倒れていく。

その姿を見たエレキュールは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、同胞へ向かって叫んだ。

 

『撤退だ! 皆の者、撤退しろ!』

 

エレキュールの言われた通り、トラッシュオーグマンだったオーグマン達は空高く飛び上がって姿を消した。

全てのオーグマン達の気配が消えた後、エレキュールは自分達を退けたネビュラスへ眼光を飛ばす。

 

『仮面ライダーネビュラス、貴様の名前忘れんぞ……!!』

 

「どうぞお見知りおきを。でもまた俺の知り合いを狙うのなら容赦はしないよ」

 

何時射抜かれてもおかしくないような視線をネビュラスへ向け、エレキュールは雷の姿となってその場から去っていった。

ユース達を害する敵がいなくなった事を確認すると、ネビュラスはベルトを取り外して変身を解いた。

シデンはユース達の方へ駆け寄ると、膝をついて安否を確認する。

 

「大丈夫かい?」

 

「ああ……アンタが時間を稼いでくれたおかげで、幾分か傷が塞がった」

 

そう言いながらユースは抱えられていたティアから離れ、ふらつきながらも立ち上がる。

オーグマン達によって受けた負傷は幾分か塞がっており、流血は既になくなっていた。

普通なら致命傷だとおかしくないものだったが、今のユースはその様子は見られない。地球とは別の存在ゆえか、とにかく今は無事だと分かったシデンは彼らの事について訊ねようとする。

 

だが、それを遮るようにティアがユースへ抱き着いた事でシデンの口は止まった。

 

「ユース……!」

 

「なっ、ティア!?」

 

「嫌だよ、私を守るために傷つくのはやめて……傷つくアナタを見たくない」

 

「だが君を守るのが俺の役目だから仕方のない事であってだな?」

 

「それだったら私もユースと一緒に傷ついて守りたい。あなた一人だけ傷だらけになるのは嫌だ」

 

ティアはユースの胸元に顔を埋めながら必死に抱きしめる。

顔を真っ赤にしながらユースは引きはがそうとするも先程まで重傷を負っていたために上手く引きはがせない。

困った様子のユースの様子を見て、ポリポリと頭のかきながらシデンは呟いた。

 

「俺、お邪魔だったかな?」

 

「だっ……違うッッッ!!」

 

「そんなに否定しなくてもいいのに。君達の話は別の機会にしよう」

 

「待て、俺達から離れるなぁ!」

 

ニコリと笑いかけられたシデンに、ユースは今にも泣きそうなティアを受け止めつつ真っ赤な顏で怒号を上げた。

まるで普通の友達のようにさりげないからかう会話を繰り広げる。

 

 

「ところで二人とも」

 

「なんだよ」

 

「なんですか?」

 

「この街は好きになったかい?」

 

「「ーーうん!」」

 

 

これは地球へ逃げのびたとあるオーグマン達と奇妙な地球人の物語。

 

そして地球を守る戦士『仮面ライダー』の物語である。

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