番外編1話 煉獄家訪問
炭治郎の世界へと再び降り立ったエレンは鬼殺隊の隊服に身を包み地へ降り立つ。
魔理沙「なぁ?私等も行かなくていいのか?」
エレン「できれば連れていきたいが…あまり大勢だと煉獄さんの家族に迷惑が掛かる」
霊夢「まぁ、私達はグミシップで留守番しているから気を付けて行ってきな」
エレン「ありがとう。なら、行ってくる」
霊夢達に見送られ、エレンは1人煉獄家へと走るのだった。
とある田舎町。
エレンはその道中で炭治郎と合流する。
炭治郎「あ、エレンさん!申し訳ごさいません。突然呼び出してしまって…」
エレン「気にするな。俺も煉獄さんの家に行きたかったからな」
炭治郎「なら行きましょう!こっちです!」
エレン「ああ」
こうして、炭治郎と共に走り出す。
上を見上げると一匹のカラスが飛んでいた。
エレン「あれが、煉獄さんのカラスか…」
炭治郎「はい、煉獄さんの意を組んで道案内してくれているのかと…」
その時、炭治郎が横腹を抑える。
エレン「まだ傷が癒えてないのか?」
炭治郎「もう大丈夫です。行きましょう」
エレンは頷き、先を急ぐ。
暫く走ると、2人は大きな屋敷へと辿り着く。
そう煉獄家だ。
そしてそこに居たのは1人の少年。
その少年は煉獄に似た髪色をしており、下に俯いていた。
エレン「あれはまさか…」
炭治郎「千寿郎…君?」
千寿郎と思わしき少年は顔を上げて2人を見る。
千寿郎「えと…あなた達は…」
エレン「俺達は、君のお兄さんに助けられた者だ」
炭治郎「あの杏寿郎さんからお父上と千寿郎さんへの言葉を預かりましたので伝えに来ました」
千寿郎「兄から?兄のことは既に承知しておりますが…」
「やめろ…!どうせ下らんことを言い残しているんだろ?」
家の中からドスのきいた声が響く。
2人が声の方向を見ると、そこには酒に溺れた男がいた。
姿を見る限り中年の男性…杏寿郎と千寿郎の父親と言うべきか…
「大した才能もないのに剣士になるからだ。だから死ぬんだ!下らない!」
炭治郎は拳を握りしめる。
その感情から、怒りが満ち溢れているのがエレンには分かった。
「愚かな息子だ杏寿郎は!人間の能力は生まれたときから決められている。才能のある者は極一部。あとは有象無象……何の価値もない塵芥だ!杏寿郎もそうだ。大した才能もなかった死ぬに決まってる」
エレンも怒りを露わにする。
あの煉獄杏寿郎が俺達に何をしてくれたのか俺達の道へ導いてくれた事を…
「千寿郎!葬式は終わったんだ!いつまでもしみったれた顔をするな」
エレン「………しろよ…」
「何?」
エレン「煉獄さんの事を侮辱するのをいい加減にしろって言ってんだよ!!」
エレンは怒りに震えながら男へと近づいていく。
その腕を炭治郎が摑み、止める。
「なんだお前達は!部外者が口を挟むんじゃない!」
炭治郎「俺達は鬼殺隊の…!!」
その時、男が炭治郎を見た瞬間酒瓶を落とすと肩を震わせる。
「お前…そうか…お前!日の呼吸の使い手だな?そうだろ!!」
炭治郎「日の呼吸…?なんの事で……」
その時、男の素早い動きで炭治郎をねじ伏せる。
エレン「速い!?素人の動きじゃない!」
千寿郎「父上、やめてください!その人の顔を見てください!具合が悪いんですよ!?」
「うるさい!黙れ!」
男が腕を上げると、千寿郎に目掛けて拳を振りかぶる。
その瞬間、千寿郎が吹き飛び地に倒れる。
エレン「っ!お前!!なんてことを!!」
エレンは拳を男に放つがそれを受け止め蹴り飛ばされ、勢いのまま塀に叩きつけられる。
炭治郎「貴様ぁ!」
炭治郎は馬鹿力で男の拘束を振りほどき殴りかかる。
炭治郎「さっきからあんたは一体なんなんだ。命を落とした息子を侮辱して…殴って…何がしたいんだ!」
「お前…俺たちの事を馬鹿にしてるだろ?」
炭治郎「どういうことだ…言いがかりだ!」
「お前が日の呼吸の使い手だからだ。その耳飾りを俺は知ってる。書いてあった」
炭治郎「耳飾り……日の呼吸……ヒノカミ神楽のことか?!」
「日の呼吸は始まりの呼吸、全ての呼吸は日の呼吸の派生!全ての呼吸が日の呼吸の劣化版だ。火も水も風も全てが!!」
炭治郎「始まりの呼吸……!?」
炭治郎が一瞬考え込む。
「日の呼吸の使い手だからと言って調子に乗るなよ小僧共!」
炭治郎「乗れるわけ無いだろうが!!今俺が自分の弱さにどれほど打ちのめされているか……知りもしないで……上辺だけを見て知ったような事を言うな!!このクソジジイが!!」
エレン「よくもやりやがったな!!」
炭治郎の言葉と共にエレンは立ち上がりキーブレードを握り男に振るう。
だが男はそれを回避し、エレンを殴り飛ばす。
「その武器…まさか…!?お前は…!」
すると、今度は炭治郎が男に殴り掛かるが反撃される。
エレン「アイツ…普通の動きじゃないな…!」
千寿郎「それもそのはずです。父は元柱なのですから」
エレン「柱?ってなんだ?」
千寿郎「鬼殺の剣士で最も位の高い九名の剣士です。鬼殺隊を取り纏める者の事です」
エレンは聞きながらも男の動きを観察する。
エレン(凄まじい速さだが……)
男は目にも止まらぬ速さで動き、炭治郎を殴り続ける。
エレン「って、ぼっとしてる場合じゃないっ!」
炭治郎を助けようと再び駆け出すエレンだが、突如炭治郎が男に頭突きをかました。
炭治郎「ぬおおおおっ!」
「がっ!?ごっ!?」
エレンや千寿郎はその光景に驚き、動きを止めてしまう。
そして、二人は倒れてしまった。
千寿郎「あの、お茶です」
その後、エレンと千寿郎は炭治郎と煉獄の父親を家の中に運び事態は収束したのも束の間。
炭治郎はずっと項垂れていた。
炭治郎「ごめんね本当に?お父さん頭突いちゃって…大丈夫だった?」
千寿郎「大丈夫だと思います。さっき目を覚ましたらお酒を買いに出ていってしまったので」
エレン「それはいいが、お前も殴れた傷は大丈夫か?」
千寿郎「はい、私は全然大丈夫です。それよりもお二人にはご迷惑をおかけしました…」
エレン「……いや、俺達は大丈夫だ…なぁ、炭治郎?」
炭治郎「はい…」
千寿郎「ありがとうございます。その、スッキリしました。兄のことを悪く言われても…僕は口答えすることすら出来なかった…」
エレン「色々と事情はあるみたいだが…」
千寿郎「それより…兄はどのような最期だったのでしょうか?」
エレンと炭治郎は煉獄杏寿郎の最期の経緯まで千寿郎に話す。
千寿郎「そうですが…兄は最期まで立派に…ありがとうございます」
炭治郎「いえ、そんな!力及ばず申し訳ありません」
エレン「本当にすまない…」
千寿郎「気になさらないでください。兄ならそう言いましたよね…」
千寿郎の目から涙が零れ落ちていた。
そう、彼は誰よりも煉獄杏寿郎を尊敬し、愛していたのだ。
あれから、炭治郎が日の呼吸について色々と調べたいらしく千寿郎から書物を漁ってみたりと色々とやってたらしいが何も成果を上げられなかったらしい。
そして、夕方になりエレンと炭治郎は帰る支度を済ませ玄関に出る。
千寿郎「お話ができて良かった。お気をつけてお帰りください」
炭治郎「いえ、ありがとうございました」
エレン「失礼する」
千寿郎「炭治郎さん、これを受け取ってください」
千寿郎の手に握られていたのは煉獄杏寿郎の日輪刀に使っていた炎の形をした鍔だった。
炭治郎「い、いただけません!こんな大切なもの俺は…!」
千寿郎「持っていてほしいんです。きっとあなたを守ってくれます」
炭治郎「……分かりました。ありがとう」
炭治郎が受け取り握りしめる。
エレン「行くぞ炭治郎」
炭治郎「はい!では!」
二人は煉獄家を後にする。
そして、暫く歩き……何か気付き、エレンが足を止める。
後ろを振り返ると炭治郎が足を止めていた。
エレン「どうした?」
炭治郎「いえ、その……少し寄り道してもいいですか?」
エレン「別に構わないが…」
2人は町外れの墓地へと足を運ぶ。そして、着いたのは一つの墓の前。
そこには『煉獄家之墓』と書かれていた。
2人は線香をあげ、手を合わせる。
エレン「煉獄さん…本当に立派な人だったな…」
炭治郎「……はい」
エレン「あんなに強くて優しい人は本当に初めて見た。もっと話をしたかった……」
炭治郎「……エレンさん…」
エレン「なぁ、炭治郎。お前、煉獄さんがあの鬼と戦っている時に俺に向けた言葉忘れないぞ?」
炭治郎「え?」
ーエレン、動けっ!!煉獄さんのために動けっ!!ー
エレン「お前普段は俺のことさん付けなのに、珍しく呼び捨てしてくれた時…嬉しかった」
炭治郎「……あ、いや……その……」
エレン「だからこそ、今後も呼び捨てで構わない。その方が俺もしっくりする」
炭治郎「……分かったよエレン…」
2人の間に穏やかな時間が流れる。
その後、炭治郎の現在の住まいである蝶屋敷という場所までやってくる。
なぜなら、炭治郎がフラフラだったからだ。
エレン「おい、やっぱ万全な状態じゃなかっただろ?」
炭治郎「なんというか発熱してるのか…苦しい…」
エレン「もうすぐそこだ。頑張………ん?」
炭治郎「どうしたんだエレン?」
エレン「いや、門の前に誰かいるような?」
炭治郎「え?………はっ!!!」
その人物は仮面をつけており、両手に包丁を持ったただならぬ雰囲気を醸し出していた。
そして、2人を見るとゆっくりと近づいてくる。
炭治郎「は、鋼塚さんっ!?」
エレン「本当に誰なんだ?あの人は……」
鋼塚「刀を失くすとはどういう了見だてめぇ?!万死に値する!万死に………値するっ!!」
エレン「な、なんだなんだ!?」
炭治郎「に、逃げるぞエレン!!」
鋼塚「待てやゴラァ!!」
エレン「おい、なんでアイツ俺達を追いかけて来るんだよ!?」
炭治郎「あの人はなんというか!!刀に対する愛情が人一倍過ぎて……!!」
鋼塚「待てやゴラァァァッ!!」
2人を追いかける速度が上回っているためかジリジリと近づく。
それを見たエレンは咄嗟に炭治郎を担ぎ上げる。
しかし、鋼塚も負けておらず2人を追い掛ける速度について来るのだ。
炭治郎「は、早いっ!?」
エレン「おい!お前!その包丁で炭治郎を殺す気かっ!?」
鋼塚「うるせぇ!!"てめぇら"叩っ斬ってやる!!」
エレン「てめぇら!?俺も巻き添えかよっ!!」
炭治郎「うわぁぁぁぁぁぁっ!ごめんなさい"エレンさん"!!!本当にごめんなさい!!」
その後、夜明け近くまで二人は鋼塚に追跡されるのであった…。
そして、無事にグミシップに戻ったエレンは…
エレン「やめろっ!!それを持って近づくなっ!!」
霊夢「朝に帰ってきたかと思えばなんで魔理沙の包丁を見て怖がってるの?折角、魔理沙が腕をふるって朝飯作ってるって言うのに」
エレン「大体なんで包丁を持ってんだお前?!」
魔理沙「そこら辺で鉄が手に入ったからそれで」
エレン「頼むから今すぐ捨ててきてくれ」
魔理沙「はぁ?もったいないだろ!?貴重な鉄資源だぞ!?」
エレン「いいから捨ててこい!!」
その後、朝食は無事に食べれた。
しかし、暫くの間包丁を見るだけで恐怖する日がエレンに続いたのであった……。
どうしても鋼塚さん登場させたくてこの番外編を描きました。
も、もちろん、煉獄家の話も重要ですよ?!
そして、2025年の劇場公開も楽しみです