ポケットモンスター 〜THE LEGEND OF SAGA〜 REMAKE   作:虎武士

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#13 ただいまサクラギ研究所

 暗闇が続く空洞に入ってどれだけの時が過ぎ去っただろうか。

 

 

 三十分? 一時間? 一日? はたまた一年?

 

 

 気が遠くなる位に時差が錯覚する程に歩き続け、その結果足の感覚が麻痺して歩いている事を忘れてしまいそうだ。

 

 

 歩けば歩いているのに一向に光が見えて来ず、今にも倒れかねない。

 

 

 そう思っていたらぼんやりと光が見えて来た、自然と駆け出して光目掛けて走り出す。

 

 

 光を抜けてその先にあったのは、茜色の空と──夕焼けに照らされる大都市。

 

 

「つ……着いた?」

 

 

「あ、ああ、間違いない……!」

 

 

「ク、クチバシティだー!」

 

 全身泥だらけの姿でサトシ一行は歓喜の声を上げる、ピカチュウも同様の姿で嬉しそうに鳴く。

 

 


 

 

「いや〜〜、夕方に着けて本当に良かったわね。一時は野宿になるかと思ったわよ」

 空洞──基、ディグダの穴を通っている間は大変だった。

 カンテラがない状況の中でピカチュウの電撃と炎ポケモン達の炎が生命線だった為、それを頼りに進むしかなかった。

 他にも野生のディグダやその進化形であるダグトリオに遭遇したり、石に躓いて転けたり、落とし穴に落ちたりと散々な目に遭った。

 この汚れた身体を流す為、早くシャワーを浴びようとポケモンセンターに向かう事に。

「お疲れ様です、ポケモンセンターです。ポケモンの回復をしますか?」

「はい、お願いします」

「私のもお願いします」

「自分はジョーイさんに誠心誠意癒してもらいたいです!」

「はいはい、邪魔しないでね〜」

 ポケモンセンターに入るとタケシはナンパしようとするも、カスミに耳を引っ張られていくと言ういつものパターンが繰り返される。

 その隙にサトシが三人分のモンスターボールをジョーイに預け、夜は静かに更けていく。

 

 

 

 朝。

 ポケモン達の入ったモンスターボール、そしてピカチュウの回復が終わって一同はある場所へと足を運ぶ。

 その先には立派な建造物があり、カスミとタケシはついつい見上げてしまう。

「此処がサクラギ研究所ね」

「話には聞いていたが、サトシがリサーチフェローとして過ごした場所か」

「はは……三年ぶりだな、此処を訪れるのは」

 感慨深く思い出に浸かり、サトシ達は階段を登って研究所の正面玄関に近付く。

 まるで自分の家に帰って来た様な心地となり、ついついただいまと言ってしまいそうだ。

「ワパッ!」

 インターホンを鳴らそうとした時、一匹のポケモンが道を塞ぐ。ガラル地方に生息している電気タイプのポケモン、ワンパチだ。

 ワンパチが元気良く吠えていて中々入れそうにない、サトシが一歩前に出てワンパチと目線を合わせてしゃがみ込む。

「ワンパチ、元気にしていたか?」

「ワ、ワパ!?」

 ワンパチは目の前にいる人間が誰なのか気付いて驚く、振り返ると扉を開けて中に入っていった。

「うわぁ!? ど、どうしたのワンパチ! お仕事中なんだけど!」

 ひ弱そうな印象を持つ金髪の男性のズボンの裾を引っ張り、ワンパチはその男性をサトシ達の前に連れてくる。

「あ、お客様ですか? すいません、気付けなくて──って、え!?」

「レンジさん、久しぶり」

「サ、サトシ君!?」

 男性──レンジは驚いて目の前の少年を凝視する、その声を聞いて玄関に二人の人物がやって来る。

「レンジ君、どうしたの?」

「どうやらお客様のようだが……おや?」

 青い髪の女性と、眼鏡を掛けている壮年の男性…その二人もサトシ達を見て目を見開いた。

「え…嘘、もしかして」

「サトシなのかい!?」

「はい、サクラギ所長! キクナさんもお久しぶりです!」

 青い髪の女性──キクナとこの研究所の責任者──サクラギ博士にサトシは挨拶を交わす、その後…サクラギは三人を研究所内の居間に招き入れる。

「マサラタウンの事を聞いて心配していたが、元気そうで何よりだよ」

「はい。所長達も相変わらずみたいですね」

 他愛ない会話をしながらお茶を飲む一同。

「カスミちゃんとタケシ君もこれからもよろしくね」

「はい! 自分はキクナさんの為ならば、一連托生の思いで頑張ります…ぐはっ!?」

 キクナをさりげなく口説こうとしたタケシだが、グレッグルの毒突きで制裁される。

「そう言えばゴウとコハルは帰って来てるんですか?」

「すまないね。ゴウは旅から帰って来てないんだよ、コハルも昨年学校を卒業して旅に出ているんだ。二人共ポケモンに関するレポートを送って来ているから、心配していないんだが…」

「そう言えばコハルちゃん、ちょっと前に連絡が来て研究所や御実家に顔を出すって言っていたわ」

「そうですか、じゃあ俺サクラギパークのポケモン達の様子を見て来ます」

 リサーチフェローの相棒とその幼馴染でサクラギの娘の近情を聞き、サトシはその場を離れる。

 折角なのでカスミとタケシも着いて行き、暫くの間研究者三人はお茶を飲みながら寛ぐのだった。

 

 


 

 

 クチバシティの港。

 豪華な客船や商船が停泊しており、物資を業者達が下ろしていっている。

 賑わいに包まれている中、一隻の小さな小舟が港に行き着く。

「……此処なら騒ぎを起こすにもってこいの場所だなぁ」

 ニヤリと不敵に笑みを零し、その人物は静かに陸地へと足を踏み入れる。

 緑髪のモヒカンにV字の入れ墨が刻まれ、八重歯の持つ素行の悪そうな男だった。

 更に学ランに下駄を履いていると言う、一昔前のレトロな服装をしている。

 

 

「くくく……デザイアの為、さっさと暴れるとすっかァ!」

 そう言うと男はモンスターボールを投げる、中から現れたのはイッシュ地方の炎ポケモン──ヒヒダルマだ。

「焼き払えヒヒダルマ! 火炎放射!!」

 瞬間、ヒヒダルマの口から灼熱の炎が発射される。

 突然の事に船乗りや作業員、観光客は逃げ惑う。

「ははははっ! 燃え上がれ、もっともっと燃えちまえぇぇ!!」

 高らかに下卑た笑い声を上げる男、ヒヒダルマも上機嫌に炎を吐いて倉庫や船火が燃え移る。

 船乗り達は水タイプのポケモン達で消火活動に行動を移す、しかし火の手が激しくて中々消えずにいる。

 この港は終わりだと男はニヤける、だが現実はそう甘くはない。

「すいません! そのカメックスの技、お借りします!」

「え?」

「イーブイ、真似っこで回転しながらハイドロポンプ!」

 茶色の毛並みを持つイーブイが回転しながら巨大な水流を放つ、水流は忽ち倉庫や船の火を消火していく。

「イーブイ、続けて目覚めるパワー!」

 イーブイの小さな身体に凄まじい光が満ち溢れる、光はそのままヒヒダルマに命中する。

「なっ! だ、誰だ!?」

「貴方なんて事をするの! 港を行き来する船にはその人達の大切なものがあるのに!」

 小豆色の髪をお下げにしている少女は男に怒鳴る、イーブイも同じ様に怒りを露わにする。

「そんなん知るかよ! このデザイアが一人、ドルク様に逆らうたあいい度胸だ!」

「っ! デザイアって、マサラタウンを襲ったって言う…!」

 少女は眉毛を吊り上げ、拳を握り締める。

「ヒヒダルマ! このメスガキを痛めつけてやれ! 完膚なきまでになぁ!」

 男──ドルクは高らかに叫ぶ、そして勝利を確信した笑みを浮かべる。

「イーブイ、行くよ!」

 少女もまた、イーブイと共に愚かな悪漢に立ち向かう。

 

 

 

 一方同じ頃、サクラギパークにてサトシ達はポケモン達と触れ合っていた。

「ちょ、ちょっと…こんなにGETしていたの? あのゴウって子?」

「嗚呼。ミュウに会いたい一心で此処までのポケモンをGETしたんだ。本当に色んなポケモンがいてさ」

 ポケモン達がポケモンフードを食す姿を眺めながら語るサトシ、するとスマホロトムが激しく振動する。

『サクラギ博士から着信です。サクラギ博士から着信です』

「何だろう? はい、もしも──」

『サトシ、大変な事が起きた!』

 切迫詰まった声がスマホロトムに響く。至近距離だったので片耳を押さえ、サトシは通話に応じる。

『先程クチバの港で火災が発生したらしい! 現在進行形で火の手は上がり、被害が広がる可能性がある!』

 更に付け加えると自然にではなく人為的な火災、恐らくこの事件には奴等が絡んでいるだろう。

「それに今の時間帯なら豪華客船などが停泊している! もしその中にコハルがいたとしたら…!!」

 慌てふためく様子が想像出来る、サトシ達は互いに頷き合う。全員の意志を確認し、やる事は決まっている。

「分かりました、サクラギ所長。俺達が様子を見て来ます。コハルがいるかどうかも確認してくるから」

『本当かい!? 三人共、悪いが力を貸してくれ!』

 その言葉を最後に通話が切れる。

「サトシ!」

「行くしかないみたいだな」

「嗚呼、クチバ港へ行くぞ!」

 サクラギ研究所を飛び出し、サトシ達は街中を走り抜けていく。

(それに…何だ? この異様な気配、とても強い力を感じる)

 一縷の確信を持ちつつ、彼等は走り抜ける。

 

 

 To be continued

 

 

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